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. オオカミなんかじゃない 1
~Cside~
「ほんっとよく降るよな~」
「ああ、まったくだよ」
「せっかくの酔いが覚めてちゃうよな~じゃ、チャンミナまた月曜にな」
「うん、キュヒョンもお疲れ様」
せっかく仕事終わりにキュヒョンと居酒屋に行ったのに、夕方から降り出した雨はどんどん酷くなって
店を出る頃にはすっかり土砂降りになってしまった
こんな時はタクシーも掴まらないし、仕方がないと諦めて折りたたみの傘を取り出した
ここから地下鉄の駅までは割と近いけど、最寄駅に着いてからが意外と遠かったりする
早足で歩けば十分強、こりゃびしょ濡れになるの覚悟しないとだよ……
僕の名前はシム・チャンミン、今の会社に勤めてもう一年が過ぎた
ごく普通の高校を出て、ごく普通の大学に入り、今の生活にも慣れてようやく1人立ちできた気がする
大学時代からの親友のキュヒョンも近くの会社に勤めてるし、こうして週末毎に飲むのも楽しみの一つになってたりする
明日は休みだし、朝はゆっくりして近くのカフェでモーニングとかもいいかもしれない
ま、雨が降ってたら二度寝決定だけど(笑)
そんな事を考えながら雨の中を歩いていると、ふと目に入ったのは歩道で蹲る1人の男
傘もさしてないし、もしかして具合が悪い、とか?
気にはなるけど誰かもわからない他人に声をかけるのはちょっぴり勇気のいる事
チラチラと横目に見ながら通り過ぎようとしたけれど、ぐったりとするその人は目を閉じているようだった
「あの、すいません、大丈夫ですか?」
そう言って声をかけてしまった事でまさか自分の運命が変わってしまうなんて、この時の僕は思いもしなかったんだ
. 俺の最強様 ~恋人初心者~ 21
~Cside~
カフェで過ごしたあの後、ユンホさんとご飯を食べてゆっくりと話すことができた
お互いに車だったし、その、家に寄るとかそういうのはなかったけど
でも、帰る前にユンホさんの車の中に連れ込まれてたっぷりとキスされちゃって、暫く離してもらえなかった
この前初めてキスしたばっかりなのに、今日のユンホさんはやたらと積極的で
最初は啄むようにじゃれあっていたのに、だんだんと熱を帯びてユンホさんの舌が僕の唇をノックして……
キスされて声を上げてしまうとか、きっとエロいやつだって思われたかもしれない
だって、ユンホさんのキスが甘いから///
そして、お互いの熱が膨らんでいた事もわかってしまった!!///
そりゃ、男だから好きな人とくっついてたら、そうなるに決まってるし
この先そういう事もするんだろうって覚悟はしている
覚悟ってちょっぴり大袈裟な気がするけど、初めての同性の恋人で、しかも僕はきっと受け入れる方だから
う、受け入れるとか!!////
そして、今日はユンホさんの意外な一面を見てしまった気がする
人にやきもちを妬かれることがこんなにも幸せなことだなんて
そのせいであんな風になっちゃったのかな?
ちょっと強引にされて嬉しかったとか、とても言えない///
ああ、あの、切なそうなアーモンドの瞳が頭から離れてくれないよ!!
『チャンミン、俺以外の男と2人きりで会うの禁止だから!!』
なんて、耳元で甘く囁かれて、コクコクと頷くことしかできなかった僕だったんだ
. 俺の最強様 ~恋人初心者~ 20
~Yside~
「ただ………ユンホさんが好きだなって思ったんです///」
「!!!!ゔっ、ゴホッゴボッ!!」
「ユ、ユンホさん!!」
突然の爆弾発言に咳き込んでしまった俺、慌てて背中をさすってくれるけど、それって逆効果でしか無い気がする!!
だって、今確か………好きって?////
「だ、大丈夫ですか?///」
「ああ、悪い///」
「ごめんなさい、驚かせてしまって、その///」
「あ、いや///」
恋人に好きって言われて嫌な奴なんて居るはずない、でも、ただ普段からあまり口にするタイプじゃ無いから余計に動揺したっていうか
「なんか今日の俺、やっぱりかっこ悪いな」
「えっ?///」
なんだか居た堪れないよ、せっかく会えたんだからもっと色々話したいのに……
何か気の利いた言葉の一つも言えたらいいが、生憎仕事一筋できたからこんな時なんて言えばいいか皆目……
「…………かっこ悪くなんて、ないですよ?」
「は?///」
「ユンホさんはいつだってかっこいいです///」
そう言って片目を細めてにっこりと笑う君に、やっぱり何も言えなくなってしまう俺だったんだ
. 出会った日から恋に堕ちてます 12
~Cside~
「な、何するんだ!!」
「やっぱすげー好みだわ」
「はっ!?///」
「ん?一目惚れって事」
「!!!!///」
そんなとんでもないことを言い出したと思ったら、あっという間に抱き締められて蕩けるようなキスをされてしまった……!!
なんであんなとこにいたんだ!!
てか、しっかり仕事先までリサーチされてたってこと!?
そして、二度とありえないって思っていたのに、その……ソファに押し倒されて、またそのまま///
ちなみに最後まではシていないんだ、うん
無理やりって感じではなかった、そりゃ確かにこの前は酔っていたから抵抗も出来なかったわけだけど
僕に触れる指があんまり優しいから胸の奥がジンとしてきちゃって、流されちゃったっていうか……
一目惚れだ、なんてその時だけの言葉かと思ったらそうでもないみたい
出会いははちゃめちゃだし、でも、僕は……僕だって///
「チャンミン、チャンミナ?」
「チャンミナって呼ぶな!!このストーカー!!」
「あ、酷えな、こんなに恋い焦がれてるのに」
「こっ、恋?だ、誰が!!///」
「ん?俺俺!!もうすっかりチャンミナに夢中だよ」
「!!!!///バカっ、離せっ!!」
「好きだよチャンミナ」
「僕は嫌いだーーー!!////」
背中から抱き締められて耳元で甘く囁く声に、体の奥がジンジンと疼いてしまう僕だったんだ
. 俺の最強様 ~恋人初心者~ 19
~Cside~
「あー俺なんかすげーかっこ悪い、ごめん!!」
そう言ってガックリと項垂れてしまうユンホさん
いつもと違う雰囲気になんだかドキドキしてきちゃうよ///
視線を逸らしたままボリボリと頭を掻く様子も見たことがないっていうか
さっき………ってことはもしかして、シウォンさんと一緒のところを見られたって事?
顔だって赤いし、それって…………?///
「ユ、ユンホさん、僕を見たのってSJビルの前、ですか?」
「ああ、向かいのビルにいた」
バツが悪そうに僕の顔をチラリと見るユンホさんはちょっぴり拗ねてるみたいでなんだかかわいい
僕の思い違いじゃなければもしかして………やきもち、妬いてくれてる、とか?
「あのさ、一緒にいたやつって知り合い?」
「はい、学校の先輩です、叔母に頼まれて配達に来たんですよ」
「配達?」
「はい、仕事です」
申し訳ないとは思うけどちょっとニヤけちゃうのは仕方がない、よね
だってユンホさんが妬きもち、とか///
「な、何笑ってんだ?」
「あ、いえ///」
「………なんだよ、言えよ」
「ただ………ユンホさんが好きだなって思ったんです///」
「!!!!ゔっ、ゴホッゴボッ!!」
「ユ、ユンホさん!!」
目の前でみるみる真っ赤になったユンホさんは、アメリカーノを一気飲みして咳き込んでしまったんだ
. 出会った日から恋に堕ちてます 11
~Yside~
「無銭飲食」
「!!!!///」
「って事で体で払ってもらおうかな」
「なっ、なっーーー!!///」
ふふん、いたいた、会社はすでにリサーチ済み、実はこの週末あたりを狙っていたんだ
俺って最高に良い勘してる
突然の俺の登場に驚いて大きな瞳をくるくるとさせるその表情
ほら、口だってぽっかりと開いたまんまだし、せっかくの可愛い顔も台無しになってるし(笑)
こういう反応が堪んないんだよな………
なんていうかそう、新鮮そのもの!!
「ちょ!!あの///」
「いいから来て」
「お、お金なら払いますから!!///」
「ん?体で?」
「!!!!だ、だからっ///」
口では嫌がってるように見えるけど、掴んだ腕を振り解くこともしないから大丈夫、かな?
それに、そんな潤んだ瞳で睨まれたって説得力のかけらもない
なんとか宥め賺して店までたどり着く、この期に及んでなかなか入ろうとしないから細い腰をグッと掴んだ!!
「ちょっ!!マスター!!///」
「ユノ」
「うっ……ユノ、さん///」
「ユノ」
「ユ、ユノ?///」
「ん、よく出来ました」
「なっ!!///」
チュッと口付けると慌てて後ずさるからジリジリと追い詰める
油断した隙に店の中へと押し込んで、後ろ手に鍵をガチャリと閉めてやった
「な、何するんだ!!」
「やっぱすげー好みだわ」
「はっ!?///」
「ん?一目惚れって事」
「!!!!///」
逃げようとする体をグッと抱き寄せて、今度は蕩けるようなキスをたっぷりとしてやったんだ
. 俺の最強様 ~恋人初心者~ 18
~Yside~
「ユンホさん、遅くなりました!!///」
「ああ、お疲れ様」
「お、お疲れ様です、急にどうしたんです?」
「あ、いや///」
俺の顔を見た途端、無邪気に駆けてくる君にうっかり見惚れてしまった
だって今日も破壊級の可愛さじゃないか!!
だってその小首を傾げる仕草とか、控えめに椅子を引いて座る姿とか………
「…….ユンホさん?///」
「あっと、ごめん、何飲む?」
「あ、じゃあアメリカーノで///」
不思議そうに見つめるバンビアイから目を逸らし、通りすがりの店員に注文をする
自分から誘ったくせに何を話していいかわからないとか、今更ながらに勢いで連絡した事を後悔してる
「えっと、今日は近くでお仕事だったんですか?」
「ああ、打ち合わせがあってね」
「ふふ、僕も実は近くにいたんです、だから連絡貰ってびっくりしちゃいました///」
「実はさ、見かけたんだ」
「えっ!?///」
俺の言葉に驚いて目を見張る君、なんだろう、胸がドキドキとして動悸が激しい
俺ってこんなに心の狭い奴だったのか……
「あれ?どこでだろう、全然気づかなくて///」
「あーいや、建物の中だったし、君は誰かと一緒だったから」
「!!!!///」
とてもじゃないけど目を合わせていられない、グラスを手に取ると水を一気に流し込んだ
「ユンホさん、あの///」
「あー俺なんかすげーかっこ悪い、ごめん!!
自分から言った割にガクンと落ちる自分があまりにも情けなくて、頭を抱え込んでしまう俺だったんだ
. 出会った日から恋に堕ちてます 10
~Cside~
………どうしよう、やっぱり行くべき、だよね
皺々になったビラをギュッと握りしめて大きく溜息をつく
イケメンマスターに襲われた次の朝、逃げるように店から飛び出してしまった僕
よくよく考えたら飲み代とか食事の代金とか払ってなかった事に気がついた
あんな風に客を襲う店なんて2度と行くかって思っていたのに、お金を払いに行かなきゃと思ったらなんだか胸がドキドキしちゃって様子がおかしい
そりゃとっても気持ちよかったには違いないけど……
しゃくな事にあれから随分スッキリして生活は出来てる気がする
いや、溜まってたとかそういうんじゃなくて、自分を解放できたっていうか、その……正直ワクワクして楽しんでたっていうか
日を追うごとにそういう気持ちがふつふつと湧いてきて、あのマスターの顔が浮かんできちゃって///
「ユノ、って言ったっけ」
「ん?呼んだ?」
「へ?///」
不意に背中から聞こえた声に思わずギョッとして振り返る
そこにはまさかのあのイケメンマスターの姿があった!!///
「マ、マスター!?////」
「あれえ?今俺の名前呼んだのに~」
「なっ!!そ、それは!!///」
「なんだよもっと嬉しそうな顔してくれよ~ね、バンビちゃん?」
そう言って僕の肩をがっしりと抱くイケメンマスター!!
てか、近いってば!!///
「な、なんでこんな所に!!///」
「ん?決まってるじゃん」
「へっ?///」
「無銭飲食」
「!!!!///」
「って事で体で払ってもらおうかな」
「なっ、なっーーー!!///」
にっこりと笑うイケメンマスターにがっしりと肩を掴まれて、ただ呆然とするしかない僕だったんだ
. 俺の最強様 ~恋人初心者~ 17
~Cside~
シウォンさんに強引にお茶に付き合わされて、渋々だったとはいえ時間を忘れて話し込んでしまった
お土産だとこれも強引に色々と手渡されて、ワインも何本も頂いてちょっぴり驚いてしまった
車だって言ってるのに無理やり別の場所に連れて行かれてしまったし
ま、荷物も増えたから結果的には良かったんだけど(笑)
でも、あの人の話、結構面白いんだよね……
やはり海外でバリバリ働いているだけのことはある、こちらでは聞けないような貴重な話も沢山あるから
置かせてもらっていた車に荷物を載せるとふう、と一つ息を吐く
一旦事務所に戻ろうかと思案していると、ポケットに入れたスマホがぶるりと震えた
………え?ユンホ、さん?///
慌てて画面をタップすれば普段とは違う声色にドキドキと胸が高鳴る
だって急に会いたいとか、何があったんだろう……
気にはなるけど片付けもあるし、少し悩んで1時間後に待ち合わせる事にした
待ち合わせに指定されたカフェが意外にも今いる場所に近くて驚いてしまったけど
ユンホさんもこの近くにいたんだ///
暫く会えてなかったから今日会えるのはとても嬉しい、ああ、もう少しマシな服にすれば良かった
髪は変じゃないかな?疲れた顔をしていないだろうか?
そんな事を考えながらバックミラーを見る自分にはたと気がついた
さっきまではシウォンさんの話に夢中だったのに、今はユンホさんの事で頭がいっぱいになってる
まったく、僕ってどれだけユンホさんに夢中なんだろう///
叔母さんにはこのまま帰るって連絡しておけばいいだろう
あ、さっき別れたシウォンさんからもうメッセージが届いてる
『会えて嬉しかったよ、次は食事でもどう?』
そんなシウォンさんらしい文面に、思わず苦笑いしてしまう僕だったんだ
. 出会った日から恋に堕ちてます 9
~Yside~
盛大に職権濫用して可愛いバンビちゃんを襲った次の朝、彼は逃げるように去ってしまった
あんなに楽しい夜を過ごしたのに、あんなに熱く燃えたのにと少し寂しくなったが
ま、普通の反応としてはあんなもんだろう
俺って割と最低な人間じゃね?
いつだって冷静に人を見てそいつの人柄をズバリと当ててしまう
ま、きっとそれは職業柄でもある……
居なくなった彼に想いを馳せながら余韻に浸る、いや、きっと君は戻ってくるだろう
なんだろう、運命、かな?
自然と思いついた答えにフッと笑いがこみ上げる、まったく我ながら自信過剰にも程がある
ある意味賭けだ
意外にも鈍感そうにも見えたから、こちらから仕掛けるのもいいかもしれない
きっと数日はかかるだろう
「ふふん、きっと会いにくる」
「マスター?なんか言いました?」
「あ、いや、チラシをね」
「はあ、でも周年記念は終わりましたよ?」
「それがさ、スペシャルなおまけが付いてたんだよ」
「???」
訝しげに俺を眺めるバイト君にサムズアップして、グラスを磨き上げる俺だったんだ