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苺な彼とビールな僕

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. シークレットサービス 8








~Cside~






「チャンミン様ちゃんとベッドでお休みになったんですね~いやぁ、良かった良かった」




朝ご飯を用意するキュヒョンはニコニコとしながら僕の好きなコーヒーを淹れてくれる



……そう、僕ベッドで寝てたんだよね



ユノに鍵を閉められて悲しくて、そのままドアの前で寝ちゃったはずなのに、何故か目が覚めたらベッドの中で



もしかしてユノが僕を運んでくれた、とか?



そうだったら凄く恥ずかしい……だって泣いちゃった後だったし//////




ユノに聞いてみようと思ったけど、相変わらずの仏頂面でニコリともしてくれないし




どうやったら笑ってくれるんだろう……




アレコレ考えてはみたけどいい方法なんて浮かばないし、僕ってば嫌われちゃってるのかな




なんとか出してもらえたコンビニでもずっと僕の事を睨んでるみたいだし、せっかく外に出たのに気持ちだって沈んでしまうよ



アイスクリームを選ぶふりをして小さく溜息をつくと、不意に伸びてきた腕が僕の手を握りしめた




「買わないのか?」


「あ……いっぱいあって迷っちゃって//////」


「この苺のやつがうまい、そっちのバニラもいける、早く決めないとお前が冷えてしまうぞ」


「………はい//////」




ユノの顔が近くにあって、なんだかドキドキしてしまうのに



握った手はそのままでレジでお金を払うと、僕を庇うように店を出るとか




カッコ良すぎて困ってしまう//////




部屋に着く前に離された指が恋しくて、スーツの裾を握ってまた睨まれてしまった僕だったんだ












































. 健全なる同棲 13








~Cside~






「………え?外国人のお客さん?」


「ええ、チャンミンさんを訪ねてこられて、ちょうどおられない時だったので」




今朝は珍しく早朝から市場に仕入れに行って、そのまま店に出たんだけど



お客さんって誰だろう……



開店前にやってきて僕の事を尋ねて帰ったらしいけど、全く心当たりがない



聞けば綺麗な女の人だったとか、そんな知り合いいたっけ?



気にはなったけど話してるうちにバタバタとお客さんがやってきて、夕方にはそんなことはすっかり忘れてしまっていた



イェソンさんと入れ替わりに夕方に仕事を終えて店を出たところで、高級そうな車から出てきたのは綺麗な金髪の女の人



強気な目線で僕を睨むと、カツカツとヒールの音を立ててこちらへとやってきた




あ、あの人って……!!




「あなたがシム・チャンミンさん?」


「そう……ですけど」


「ユノの婚約者って聞いたけど……まさか男の方だなんて」



その人は可笑しそうにクスリと笑って僕を見つめた、何……すごく嫌な感じなんだけど




「あら、ご挨拶が遅れましたわね、私はアリス、ユノの元恋人よ」


「………え?」


「早速ですけどユノと別れてくださらない?」



「………はっ!?」





僕の前に仁王立ちになったアリスは、腕を組んで意地悪そうに微笑んだんだ

























. シークレットサービス 7









~Yside~







『じゃあチョンさん、後はよろしくお願いします』




そう言って笑顔で去って行った世話係のキュヒョン、どうやら彼は春からこっちで留学をしていて急遽世話係に抜擢されたらしい



……気の毒な話だ



『チャンミン様はめちゃくちゃな方ですが、本当は優しくていい方なんです』



色々と我儘を言われている割には嫌な顔一つせずそんな事が言えるなんて




なかなか出来た世話係じゃねーか!!




しかし世話係ならそのまま王子と同じ部屋に泊まればいいと思うのに、そこは一線を引くところらしい



ま、元々24時間体制の警護だからこれは仕方のないことだとは思うけど



添い寝までは聞いてない!!////




『ね、ユノ、今夜は一緒に寝てくれる?』




キラッキラのバンビアイを潤ませてそんな事を言われたって添い寝なんてお断りだし



いくら可愛いからって男なんて全く興味はねーし!!




なんとか突っぱねて部屋に押し込んでみたものの、案の定ゴソゴソと音が聞こえるからこっちから鍵を閉めてやった!!




『………グスッ……』




暫くはそこにいたのか泣いてる様子が伺えたけど、ここは心を鬼にして諦めるのをじっと待っていた




静かになったところを見計らってドアを開けてみれば、足元にはシーツに包まる王子の姿




………まったくとんだお転婆だし、長い睫毛に光る雫がやけに艶っぽいとか





「こら、こんなとこで寝るな」


「……ん」


「…よいしょっ、と」






丸くなった体をシーツごと抱え上げると、すやすやと寝息を立てる彼をそのままベットへと運んでやったんだ

























. 健全なる同棲 12








~Yside~






「ユノ!!久しぶりだな!!」


「……ジェソクさん?」




カフェで俺を待っていたのはイタリアでカメラマンとして活動しているコ・ジェソクさんだった



こっちにいた時結構世話になったし、今でもメールでやり取りをしていたけどまさか訪ねてくれるなんて!!



「どうしたんです急に!!連絡くれたら会いにいったのに!!」


「いやあ、野暮用でね、それに忙しいんだろ?」




パチンとウインクをするジェソクさん、そういや恋人が出来た話もこないだ伝えたっけ////




「あの遊び人だったお前がねぇ(笑)」


「やめてくださいよジェソクさん////」


「まあいい、またあっちに帰ったら紹介しろよ、お前の心を射止めるなんて、全くどんな美人だよ」


「…………////」



「ああ、後な、アリスには気をつけろよ」





やけに神妙な顔をしたジェソクさんは小声で俺の顔をじっと見つめた




………アリス?俺がイタリアにいる頃皆んなで落としにかかってたお嬢様のことか?



最後には俺が射止めたワケだけど、ゲームのような恋愛だったし、その後すぐに韓国に戻ってしまったから音沙汰もなかったのに



「ちらっと聞いた噂なんだけどな、お前のこと聞いて回ってたらしいから」


「……俺のことを?」


「ああ、なんでもモデルになってるらしい、確かに美人だけど殆どは親父のコネだろうな」


「でもこんな離れてるのに今更……」


「それが今韓国にいるんだそうだ」


「………はっ?」






思いもよらないジェソクさんの言葉に、プライドの高そうなお嬢様の顔がふと頭をかすめる




まさかあいつが、俺のいない間にチャンミンに会いにいっていたなんて、この時の俺は知る由もなかったんだ





















. シークレットサービス 6








~Cside~






『ね、ユノ、今夜は一緒に寝てくれる?』





可愛くそう伝えたのに鼻息でフンと吹き飛ばされて全く相手にされてないとか!!





なんなの?ほんとやんなっちゃう!!






父様が亡くなられてとても悲しかったけど、もっと悲しかったのは兄様達の争う姿で




一夫多妻制だから仕方のないことなのかもしれないけど、その場から逃れたかったのも事実、なんだよね




母様はハレムを出て別の屋敷へと移り住んだから心配はないって話してたけど、さすがに喪に服す期間は父のそばに居たいと話しておられた




お祖父様とお呼びしてもいいほど年の離れた父だったけど、とても優しくしていただいたから




…僕も安らかに眠って欲しいって心から思ってる





それにしてもキュヒョンは早々に自分の部屋に戻ってしまったし、僕はといえばこんな広い部屋にポツンと一人きり




一人じゃ眠れそうもないし、ぐっすり眠れるおまじないだってしてくれる人もいない




寂しくて続き部屋になっているユノの部屋にこっそり忍び込もうと思って居たのに



中からはしっかりと鍵をかけられていて……



シークレットサービスのくせに鍵かけちゃうとかまったくどういうことだよ!!




「………グスッ……ユノのバカ////」




ドアの前でへなへなと座り込んだ僕は体に巻きつけたシーツをぎゅっと握る




頬を伝う涙の冷たさにやけに胸が痛くて、僕はそのまま眠ってしまったんだ





















. 健全なる同棲 11









~Cside~






仕事から帰って簡単に食事を済ませると、僕は一人ソファに座って小さく息を吐いた




『順調だから2、3日は早めに帰るよ』



そんなメッセージが届いたのはちょうど3日ほど前だったのに、まさか出張が一週間も延びてしまうなんて



一緒に住み始めてから隣にいることが当たり前になっていて、こんな広い家に一人でいるのはとても心細く感じる




イタリアにいる頃からずっと一人で住んでいたのに、こんな風に寂しくなるなんて




ユノのせい、だよね////




お見合いをしてからあっという間に一緒に住むようになって、それから恋人同士になって



普通とはちょっと違う出会いだったけど、とうとう僕もユノのものになる/////



心の準備は出来てるとはいえないけど、せめて幻滅だけはさせないようにってお肌のお手入れとかもしてみた



鏡に映る自分はなんだか顔も火照って瞳も潤んじゃって僕じゃないみたい




ユノの事を考えるだけで体が熱くなっちゃうなんて、僕ってこんな風だっけ




『奥さんはちょっとエロいほうがいい』




なんて言ってたユノのデレた顔が浮かんで思わず笑っちゃったけど




本当にエロいならきっとユノの前だけ、かな////




お祖母様からいただいたベッドは一人で眠るのには広すぎて、ユノの枕にそっと顔を埋めてみた



ほんの少し残るユノの匂いに胸がキュッと音を立てる




……早く帰ってこないかな




そんな事を思いながら眠りにつく夜は、やっぱり寂しすぎて、あなたのことばかりを考えてしまう僕だったんだ




































. シークレットサービス 5








~Yside~






「チャンミン様!!そんな格好でどうなさったんです!!」


「あ、キュヒョン遅いよ~聞いて?ユノがファスナー下ろしてくれないんだよ~」


「あ!!あなたがシークレットサービスのチョンさんですか?」


「ねぇキュヒョン!!お腹すいたしこれ脱ぎたい!!」


「ちょっと黙っててくださいチャンミン様!!」





王子を目の前にして呆然とする俺に、今度はキュヒョンって奴まで加わってそりゃもうすったもんだの大騒ぎで



しまいには外のドアにいた警備員までが心配して連絡してくる始末で




……ったく、とんだ王子様だ!!




王子が着替えている隙にシウォンに連絡して詳細を伝えたけれど、まあ、当たり前に断ることなんてできないと言われてしまった



がっくりと項垂れる俺に着替えを済ませた王子がニコニコとしながら擦り寄ってきて




「やっと楽になった、ね、似合う?」



俺の目の前でくるりと回る姿はまるで天使のようだが、可愛い顔の奥にどんな事を企んでるのか




か、考えるだけで恐ろしい……




ハンバーガーをもぐもぐと食べる王子を尻目に、乳兄弟で世話係のキュヒョンから色々事情を聞いてはみたけど、かなりのはっちゃけ具合で手を焼いているようだ



ま……合点が行く、よな(笑)




大きな瞳をくるくるとさせて悪戯っぽく笑う彼は、天使というよりは小悪魔って感じだな




身の安全を守るというよりは、王子の行動を見張るといったほうが良さそうだ




「ね、ユノ、今夜は一緒に寝てくれる?」




そんな殺文句に上目遣いで俺を見つめる王子様に、見るたび溜息しか出てこない俺だったんだ


































. 健全なる同棲 10








~Yside~





「チーフったら浮かない顔ですねぇ」


「んぁ?」


「ほらほら男前が台無しですよ(笑)」




あれから一週間、出張先での仕事は順調に進んで明日には帰れる筈だったのに



………ここにきて足止めを食らうとは(泣)




最終目的地であるミラノに入ったのは3日前、俺がこっちにいた時に世話になったアートディレクターとの打ち合わせと新人デザイナーとのコラボに参加する予定だったんだが



運悪く選んだ会場で不具合があって、急遽開催場所の変更を余儀なくされてしまって




滞在が一週間も延びてしまった!!




せっかくばあちゃんがプレゼントしてくれた豪華なベッド、一緒に住んでるくせに中々前に進めない俺達にはいいきっかけになったのに、このタイミングとか




最初につけられていたピンクのフリルのカバーやなんかはもっとシンプルなものに変えて貰ったけど



………ったく、ばあちゃんの考える事ときたら(笑)




「チャンミンさんには伝えたんですか?」


「……ああ」


「残念ですよねぇ、せっかくのラブラブチャンスだったのに」




………ちょっと待て、おい!!




「………テミン?」


「やだチーフったら、みんなお見通しですよぉ、情報はしっかり掴んでますから」


「!!!!おい!!////」



「とばっちりはなしですよ~ああ、一階のカフェにお客様がお見えです、じゃ僕はあっちの仕事てつだってきま~す(笑)」



「ちょ、待て!!テミン!!」





コロコロと笑って逃げていくテミン、ったく誰だよ余計な事言ったのは!!////




……これだから身内ばっかの会社はやなんだ(泣)




俺は大きく溜息を一つついて、事務所を出ると重い足取りでカフェへと向かったんだ
























. シークレットサービス 4









~Cside~







僕の前でフリーズしてしまったこの人、そう、チョン・ユンホことユノ♡



父様が亡くなって、ゴタゴタから逃れるためにこの国へやってきた僕を警護してくれるシークレットサービスの彼



第6王子の僕になんて王位継承のとばっちりは受けない気もするけど、母様の配慮で警護もつけることになっちゃって



大袈裟だって怒る僕に母様は優しい声で




『せめてあなたの好きな人を選びなさい』




そう言ってくれたから、あらゆるシークレットサービスを検索してユノを選んだってわけ



だってほら、見るからにイケメンだし、スタイルだって抜群だし



なんたってあのアーモンドの瞳が魅力的じゃない?////////



どうせ一緒にいるならかっこいいに越した事ないし♡



勿論腕も立つ人じゃないと困るから、そこんとこはちゃんと調べてもらって




出国時のドタバタ騒ぎですっかり忘れていたなんて……




「ユノ?」



そっと腕を回して顔を覗き込む、真っ黒な瞳には僕の顔が写っていてドキドキとしてしまう



「……あー、理解しました」


「ん?」


「なぜか女装をされているけど、あなたがチャンミン王子」


「そ、よろしくね、ユノ♡」


「………申し訳ありませんがこちらのお話は…」


「却下、断るのなしね」


「!!王子!!」


「んふふ~♡もうお金払っちゃったもん、ね、早く外行こ?」





どんどん困った顔になってしまうユノが思ったよりも可愛くて、益々意地悪したくなっちゃう僕だったんだ



































. 健全なる同棲 9








~Cside~






一緒のベッドでなんて眠れるわけないって思ってたけど、隣にユノがいる安心感とシーツから伝わる温もりが気持ちよくて




……結局ぐっすり眠ってしまった////




朝方目が覚めた時に、抱きしめられているのに気づいた時は驚いて叫びそうになっちゃったけど



ユノの厚い胸が目の前にあって、離れたくなくてちょっとだけ寝たふりをした



あんまり気持ち良さそうに眠ってるから、そっとベッドを抜け出して朝食を作っていたのに




『なんで起きた時側にいねーんだ!!』




なんて怒られてしまって////




キッチンで後ろから抱きしめられて、耳元に当たる吐息に体は熱くなってきちゃうし……




恋人同士になってからは、もちろん甘い毎日を過ごしていたけど、こんな風に求められてるってわかると、ちょっと嬉しい、かな////



明日から出張なのが残念だけど、そ、それまでに準備も出来るし



じ、準備とか……!!////




「何赤くなってんの?」


「べ、別に////」


「なんかエロい顔してた」


「!!!!////」


「ぷっ、図星だ(笑)」


「ユ、ユノ!!………あっ…////」


「ん、色っぽい、やばいなお前」


「……バカ////」




隙をついて舐められた耳に熱が集まる、今日はこんな風に突然キスされたり、抱きしめられたり



まったく心臓に悪いったら////




明日店に行ったらイェソンさんに連休の相談しなきゃなんて考えていたら、益々顔が赤くなっちゃって、やっぱりユノにからかわれてしまう僕だったんだ


























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紫苑☆

Author:紫苑☆
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