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苺な彼とビールな僕

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. 夢で逢えたら 24







~Yside~





「……ユノッ…ダメだって……んっ/////」



俺達はふわふわの雲の上、隣に座って話しているだけだった筈なのに



最初はふざけて啄ばむように、だんだんと甘く深くなる口付けに、お互いが熱を持ち始めて……



そう、ここは夢の中、チャンミンは未だ術後の帰国許可は下りていなくて、俺は少々欲求不満ぎみ



だから夢で逢えたらつい触れたくなってしまうんだ



「チャンミン好きだよ」


「……ぽ、僕も好きだけどっ……夢の中が先とか……嫌/////」



ついには怒って体を離してしまうから、これは観念するしかないよな(笑)



「ほんとユノって強引だ/////」


「ん?チャンミンにだけだよ」


「………口も上手いし/////」


「だからチャンミンにだけだって、だから早く帰ってきて?」


「……ん、もうちょっと待ってて/////」



小首を傾げてそんな可愛い顔で見つめられたら、誰だって言うこと聞かないわけにはいかないよ



アメリカにね、渡ろうかって思ったときもあったけど、こうして夢で逢えてるし



何よりチャンミンが一人で頑張っているのに…



俺は俺の出来ることをして、待っていようって思ったんだ



だって俺達は確実に繋がっているから……!!



早く、早く戻っておいで

俺の腕の中に飛び込んでくれたら

二度と離れないように強く抱きしめるから




夢の中の君より数倍も愛おしい、現実の君を……























. 夢で逢えたら 23







~Cside~





手術の当日はちゃんとユノと電話で話して、頑張ってくるって言ったけど、本当は不安でいっぱいだったんだ



手術室に向かうまでは、ずっと付き添ってくれた母さんと、わざわざ駆けつけてくれた父さんもいて



ガチガチに緊張した僕をずっと励ましていてくれていた



麻酔が効いてしまえば後は先生方に任せるしかないから、僕は深い眠りの底でじっと時が過ぎるのを待っているしかなかった




ふと気付くと、僕はまた白い世界で人の流れに沿って歩き出していて



行きたくないって思うのに、体は言うことをきいてくれなくて



……そっちには行きたくないのに!!



そんな時に聞こえたのはやっぱりユノの声…



『チャンミン!!行くな!!』



あの時と違うのは、ユノの腕が伸びて僕をしっかりと引き止めてくれたこと




……ほら、やっぱりね




いつだってユノは僕を助けてくれる、夢の中の出来事は現実と繋がっていて、きっとこの事も……




ふわふわとした感覚から目覚めたのは丸一日経った後のことで、術中に自分が危ない状況だったことは後から知った



母さんがユノに連絡をしてくれて、電話の向こうで泣いてたって聞いた時には僕も涙ぐんでしまったけど




『泣いてる場合じゃないわよ、これからが大変なのよ』




なんて言う母さんに、涙の跡があった事は、僕の胸の中にしまっておいたんだ
































. 夢で逢えたら 22









~Yside~






チャンミンがアメリカへと渡ってからもう一ヶ月が過ぎた




彼と現実で出逢ってからは、その…夢の中で一番逢うことはなくなっていたけど、これだけ遠く離れてしまえば、また夢で逢えるんじゃないかって俺達は思っていた



でも、実際はそううまくはいかなくて、チャンミンが怒って電話してきたりして色々あったけど



どうやら同じ時間帯に眠ると逢える確率が上がるみたいで



……いったいどういう法則なんだか(笑)




ずっと逢えていたときは抑えていた俺だけど、君と離れてから夢の中では歯止めが効かないっていうか、愛しさが止まらなくて



もっと君を知りたくて、触れたくて……つい、強引にして夢の中の君を泣かせたりして



俺って思ったより君に依存してる、なんて変に実感してしまうよ/////




いよいよ迎えた手術の日は、朝から落ち着かなくて仕事なんて全く手につかなかったけど




とりあえず無事に終わったって連絡があったときは、本当に神様に感謝をしたんだ




実と言うと、夢の中でまた君を連れて行かれそうになって、でも、今度は俺もちゃんと動く事が出来て、しっかりと細い腕を掴むことができた



夢の中の君は俺の腕の中でそのまま眠ってしまったから、もしかしたら覚えていないかもしれないけど




とにかく手術の経過は良好で、チャンミンは体調を見て帰国の許可を待つだけとなったんだ


















. 夢で逢えたら 21








~Cside~





僕は今アメリカにいて、手術を受けるべく検査とか必要な治療とか、毎日を忙しく過ごしている



……ユノとは相変わらず、その……ラブラブだって思う/////



見送りの時は悲しくて、周りが見えないほど二人だけの世界を作っちゃって、うちの両親とか、わざわざ来てくれた担当のイ先生とかに呆れられてしまったけど/////



……きっと夢で逢える気がしていたから



でも……いざ向こうに行ってみると、ユノってば全然夢の中に出て来てくれないから、腹が立った僕は抗議の電話をかけてやったんだけど



僕達、時差があるの忘れてたんだよね/////



どうやら僕達が夢で会うには同じような時間に寝ていないとダメらしい



だから、僕がお昼寝をしたり、ちょっと頑張って変な時間に寝たりして(笑)



やっと逢えた時には嬉しくてつい涙ぐんでしまったけど、ユノが優しく抱きしめてくれたから/////



1つ悩みといえば、現実の僕達はキスまでしかしていないのに、夢の中のユノはやけに積極的で……/////



本人曰く、夢の中の自分は抑えが効かないんだ、なんて/////




この前なんて、凄く大人なキスをされて、力の抜けた僕は、ふわふわの雲の上に押し倒されてしまって



恥ずかしくてこのまま雲の中に逃げてしまいたかったけど、ユノが離してくれるはずもなくて/////



見られたくなかった胸の傷にキスされた時は、思わず泣き出してしまったけど




『これはチャンミンの勲章だから』




そう言ってくれたユノの言葉が嬉しすぎて、結局もっと泣いてしまった僕だったんだ





















. 夢で逢えたら 20








~Yside~






『チャンミン好きだ』




君に逢ってからずっと言いたかった言葉、溢れ出る想いをとめることなんて出来なかった



君に伝えたくて……



「……ユノ?……んっ/////」



一度重ねてしまった唇は、甘くて優しくて離れるのが辛くなるほどでつい夢中になってしまって



ちゅっ、と音を立てて離れると、潤んだバンビアイが俺を睨みつけていた



「……ユノのバカ!!僕だって……!!/////」


「うん?」


「…い、いきなりキスとかずるい!!/////」


「ん、ごめん/////」


「……僕だってユノのこと……好き/////」



そう言って俺の胸に顔を埋める君は、これ以上ない程に真っ赤になってしまった



俺らしくないな……



前向きだけが取り柄だった筈なのに、君に悲しい顔をさせてしまって



「チャンミン、俺はアメリカにはついて行ってやれないけどさ」


「……うん」


「チャンミンが危ない時はきっと夢の中で助けるから!!」


「……ユノ/////」


「絶対助ける!!だから…!!」


「うん……うん!!僕、ユノのために頑張る/////」





こうしてチャンミンは手術を受けるため、一ヶ月後、アメリカに発つことになったんだ




























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紫苑☆

Author:紫苑☆
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