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. ずっと一緒に… ~夕食は君と~ 7
~Yside~
「それで?チャンミンの手作りディナーはどうだったわけ?」
カウンターの奥でグラスを拭きながら俺に尋問……いや、質問するマスター、なんだかんだチャンミンのこと結構心配してんだ(笑)
「いや、それが……/////」
「え?まさか失敗!?」
「いや、ちょっと焦げちゃって」
「ああ~」
そう、結局あれからチャンミンの家に晩飯の招待を受けたわけだけど…その緊張してたらしくて、出てきたのは見事に真っ黒なハンバーグで(笑)
しゅんとするチャンミンを宥めるのが大変だったけど、焦げたところを避けてちゃんと頂いたんだ
だって記念すべきチャンミンの手作り晩御飯第一号なんだからね
「ユノ、ごめんなさい/////」
「ん、うまかったよ?次も期待していい?」
「……が、がんばる/////」
ソファで寄り添いつつ交わすたわいのない会話、縮まる二人の距離、これは期待のできるいい雰囲気!!……の、筈だったんだけど
その後何故か小説の神が突然降りてたきたらしく、いきなりパソコンをカタカタとやり始めちゃって
……はあ/////
「ふふん、前途多難そうだね?ユノ君」
「まあ小説書いてるのが好きなんで」
「そうだった(笑)ほら、あいつまだ気づかないよ?」
柔らかな陽があたる端っこの席、今日も瞳を閉じて小説の構想を練るチャンミンがいて
いつか同じ朝を迎えられたら、なんて……
とりあえずは料理の腕を上げてくれないとだけどね(笑)
. ずっと一緒に… ~夕食は君と~ 6
~Cside~
今日は珍しく外で取材も兼ねて編集さんと約束があった
取材自体はごく短いものだったし、最初から打ち合わせの方がメインだったから、軽く食事をとりながら久しぶりにゆっくりと編集さんと話をしたんだけど
『先生、ちゃんと書いてます?このままじゃ連載止まっちゃいますよ?』
なんて鋭いツッコミを入れられてしまって、そういえば料理の練習をしまくってたから、本業の小説の方はおざなりになってしまっていたかも
僕なんてものを書くことしか出来ないのに……
なんでこんなに融通がきかないんだろう、一つのことに集中してしまうとほんとに周りが見えなくなってしまう
沈んだ気持ちのままカフェに戻ると、そこにはユノの優しい笑顔があって
僕はなんだか泣いてしまいそうで、ユノにぎゅっとしがみついてしまう
「チャンミン、外行こっか」
ユノに抱えられるように店を出て川沿いの道を歩き、イチョウのある公園のベンチに二人で座った
夕方の風は少し冷たくて、僕の手はユノのポケットのなかでしっかりと握られていた
「チャンミン、俺さ、チャンミンが一生懸命料理してくれるのすげぇ嬉しい」
「……え?/////」
「でもね、そんなに一度に頑張りすぎなくても大丈夫」
「……/////」
「だってこれからずっと一緒にいるんだよ、時間はたっぷりある、ね?」
「…ぼ、僕不器用だから」
「ふふ、知ってる」
「……/////」
「そんなところも好きだよ」
「ユノ……/////」
夕暮れの公園で頬を寄せ合って、いつまでも二人でぴったりと寄り添っていたんだ
. ずっと一緒に… ~夕食は君と~ 5
~Yside~
『…今度はうちに晩御飯食べにきて/////』
消え入るような声で恥ずかしそうに頬を赤らめる君、単なるご飯の誘いかもしれないけど、期待してしまうのは仕方ないよな
料理の腕も少しずつ上がってるみたいだし、これは楽しみになってきた!!
「ユノ君キモいよ(笑)」
「……へっ?あっ!!/////」
脳内で色々妄想しちゃってニヤニヤしてたけど、俺って今『pisolino』でチャンミンを待ってるんだった
バツが悪くて慌てて本で顔を隠すけど、カウンター越しにカフェオレのお代わりを淹れてくれようとしてたマスターは苦笑い
「まあ、幸せそうでいいけどね(笑)」
「……は、はあ、すいません/////」
「それにしてもチャンミンがこんなに恋愛に対して積極的になるなんて、ユノ君の力は凄いよ、ほんと当たって砕けるもんだね~」
うんうんとなんだか納得顔のマスター、いや、当たったけど砕けてはないんだけどね、うん(笑)
「でもさ、チャンミンってばこないだからの料理の特訓のせいで小説書けてないみたいなんだ」
「……え?」
「あいつ、凝り始めるとそればっかりに集中しちまうからな~こないだ編集さんに怒られてたよ」
……そうなんだ、確かにこの前から小説書いてるの見てない気がする、いや、これって俺のせいじゃないのか!?
ぐるぐると考えているとカランと扉を開けて、コート姿のチャンミンが現れた
ああ、そのベージュのコートとてもよく似合ってる、今日もやっぱり見惚れてしまうよ、あれ……でもなんかちょっと元気ない?
「ユノお待たせ」
「ん、どうかしたの?」
俺の言葉にハッとして黙って俯いてしまうチャンミン、思わず引き寄せるとそのまま俺の肩口におでこをつけて、ぎゅっとしがみついてしまったんだ
. ずっと一緒に… ~夕食は君と~ 4
~Cside~
「だからぁ、ミノ、お願い!!」
「えええ~?またぁ?」
閉店準備を終えてミノがエプロンを外そうとしたところで、すかさず料理の先生へのアプローチ
だってこんなこと頼めるのミノぐらいしか居ないし、人見知りな僕が料理教室とか無理に決まってるし!!
目下の師匠はミノ先生!!なんだかんだと頼りになる先生なんだよね(笑)
あれから何度かユノにランチを食べてもらって、今度は晩御飯のメニューを考え中なんだ
やっぱりユノのために低カロリーメニューを考えるわけだけど、ユノの好きなものって結構カロリー高いのが多かったりする
だって甘いものも大好きだしね、ほんとそういうとこ子供っぽい(笑)
でも、普段はグイグイ引っ張っていくタイプっていうか、男らしいっていうか……そういうとこ、気に入ってるんだよね/////
「チャンミンニヤケすぎ、あと肉混ぜすぎ(笑)」
「……へっ?わ、わあっ!!/////」
「…どうせまたユノ君のこととか考えてんだろ?」
「……なっ!!/////」
「ふふん、図星ね、全くわかりやすいったら(笑)」
ミノにからかわれて、豆腐ハンバーグは完膚なきまでに練り込まれてしまった、まあ、練れば練るほど旨味が出るらしいからよかったけど……
フライパンにお肉を入れながら熱くなった顔をパタパタと扇ぐ、とにかくこの豆腐ハンバーグ照り焼きソースをマスターして、ユノを家へと招待するんだ!!
焼き上がりを確かめて恐る恐るミノ大先生に食べてもらう、形は不恰好だけど味は結構自信あるんだ/////
「うん、いいんじゃない?上達したね」
「ほんと!?よかった~」
「でもさあ、ユノ君はハンバーグよりチャンミンの方が食べたいと思ってんじゃないの?(笑)」
「……っ!!ミ、ミノ!!/////」
思いもかけないミノの言葉に、洗いかけの食器をガチャガチャと落としてしまう僕だったんだ
. ずっと一緒に… ~夕食は君と~ 3
~Yside~
チャンミンが俺のためにランチを作ってくれるなんて/////
勢いで告白して、何故かOKしてもらって、もう天にも昇る気持ちだったのに、俺のためにこんなことまで
指の怪我が痛々しくて、思わず抱きしめてキスをしてしまった
そろりと舌を絡ませると控えめに応えてくれるから止まらなくなる、不器用な俺達のキスは、日を追うごとに熱を帯びて深いものになっていく
……だってね、俺たちまだキスしかしてないんだ
『pisolino』から歩いて5分ほどのチャンミンのマンション、何度は入ったことはあるけどまだそこまで気を許してくれてるわけじゃないみたい
男同士だし、恋愛に奥手なチャンミンとはゆっくり時間をかけてって思うけど、やっぱり俺も男だから……
腕の中で真っ赤になって寄り添うあなたが愛しくて堪らない、髪にキスをするともごもごと何か呟いた
「……こ、今度は/////」
小さくてよく聞こえない、両頬を包んでこちらを向かせるとボッと音を立てて真っ赤になる可愛い人
「ん?何?」
「……あの……今度はうちに晩御飯食べにきて?/////」
「マジ!?やった!!」
「……ユ、ユノ、声が大きい/////」
俺はあまりの嬉しさにチャンミンをぎゅうぎゅうと抱きしめて、顔中にキスの雨を降らせてやったんだ