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. 二人の天使 ~15年後~ おまけ
~Cside~
「へえ、それで結局家でご飯食べたんだ」
「ああ、洗い物はちゃんとしておいたからさ」
「ふふ、ありがと、で?シウは寝ちゃったの?」
「あーさっきまで起きてたんだけどな、おいシウ!!部屋行けよ!!」
そう言ってソファでうたた寝するシウに声を掛けるハル
言い方は荒いけど無理やり起こそうとしないのは、やっぱり弟溺愛だから、かな?(笑)
あんまり言うと怒るから口には出さないけど……
ハルのシウへの可愛がりようはちょっと尋常じゃないほどで
とにかく産まれた時から離れようとしなかった
中学に上がるまでは一緒のベッドで寝ていたし、今でも時々………
「ん、お兄ちゃん……連れてって」
「ったく、しょうがねぇなあ」
毛布に包まったまんまのシウを抱えるようにして部屋に連れて行くハル
あれ?そっちって自分の部屋なんじゃ……
「母さんおやすみ」
「あ、うん、おやすみ///」
寄り添う我が子達の姿になんだかドキドキしてしまうのは、ハルがユノにそっくりだからなのかもしれないね
. 二人の天使 ~15年後~ 後編
~Hside~
「だからテイクアウトにしようって言ったのに!!」
「なんだよ、シウが作るって言ったんじゃないか!!「
「そりゃ、そうだけど……でもお兄ちゃんが!!」
「おいおい、二人とも落ち着けって」
キッチンに並んであーだこうだと喧嘩をする俺達に呆れたように割って入るボングン
三人で飯でも、なんて軽く考えたのが良くなかった
部活終わりに校門で待ち合わせて意気揚々とお目当てのファーストフード店へと向かったのに
店に着いてから財布の中身が空っぽなことに気付くとか!!
そういやこないだゲーム買ったんだ……そんなことすっかり忘れていた
慌ててシウに聞いたものの、当然三人分出せる金額なんて持ってるわけもなく
『じゃあ僕何か作ろうか?』
なんて、ボングンに向かってうるうるの上目遣いとか!!
気に入らない……
まったく兄を差し置いてなんて弟だ!!
それに!!それにだ!!
せっかく手伝ってやろうとキッチンに入ったのに、邪魔だとばかりに追い出そうとしやがるし!!
洗おうとした皿は見事に割ちまうし!!
「もう!!いいから座ってて!!」
なんて母さんばりの強面でピシャリと言われちまって、兄の面目はどこへやら
「はあ///」
「本当仲良いよな」
「はあ?どこが!!」
「惚けんなよな、まあ仕方ないか、とびきり可愛いし」
「!!おいボングン」
「お兄ちゃんお皿運んで!!」
「あーったく!!わかったよ!!」
ボングンの口からポロリと出た言葉が引っかかるが、とりあえずは飯を食わなきゃ始まらない
シウが作ったのは母さん直伝のカルボナーラ !!
「うん、美味い」
「あ、良かった///」
俺の目の前でイチャイチャとするシウとボングンに、イライラとしながらパスタをかき込む俺だったんだ
. 二人の天使 ~15年後~ 中編
~Sside~
「もう、お兄ちゃん力強過ぎ!!赤くなってるじゃん」
「どれ、見せてみろ」
「あ……えっと、大丈夫、です///」
いきなりボングンさんに手を握られて、一気に顔に熱が集まるのがわかる
胸がドキドキとして心臓が飛び出てしまいそう
だってボングンさんは僕の憧れの人、なんだよね///
お兄ちゃんとはるほどのイケメンなのに、それを鼻にかけるでもなくクールで静かな人
女の子達からは怖いって言われてるみたいだけど、本当はとっても優しいの知ってるんだ!!
「ハル、力入れすぎだ」
「はいはい、分かったよ、ちぇ、なんだよ」
ボングンさんに怒られて唇がとんがっちゃってるお兄ちゃん
こういうとこ、本当に父さんに似てる(笑)
前を歩く二人の後ろをちょこちょことついて回る僕は、こんなやりとりを見るのが楽しくて仕方ない
高等部を代表するイケメン二人、なんて(笑)
「あ、そうだシウ、今日の晩飯どうすんだ?」
「え?あ!!そっか、今日二人で出かけるって言ってたね」
「ああ、外で食べて帰るか?ボングンも一緒にどうだ?」
「た、食べる!!!!///」
「バカ、お前に聞いてねーよ!!」
「あ///」
嬉しくて思わず叫んでしまった僕に、ボングンさんは優しく笑って髪を撫でてくれたんだ
. 二人の天使 ~15年後~ 前編
*ハルとシウの15年後
~Hside~
「おいシウ!!置いてくぞ!!」
「ま、待ってよお兄ちゃん、あ、お弁当」
「ほらほら慌てないの、水筒も忘れてるよ」
「母さん行ってきます」
「行ってきまーす!!」
二人で縺れるように玄関を出ると、呆れたような母さんの声に苦笑いする
そう、これがうちのいつもの光景
靴紐が解けたとモタモタとしているのは俺のたった1人の弟!!
荷物のリュックも持ってやってるのにギロリと睨み返すからため息が出る
黙ってりゃ母さんに似て極上の美人なのに……
「まったく、お兄ちゃんがゲームやめてくれないから寝坊したんだよ?」
「はあ?お前が勝手にやめなかったんだろ?」
「もう、いっつも勝つまでやるんだから~僕には敵わないって言ってんじゃん!!」
「言ったなシウ!!こいつ!!」
「わあ!!やめて~」
細っこい体を後ろから抱え込んで持ち上げてやると、降参とばかりに首を横に振るから笑ってしまった
「……何やってんの?」
「あ、ボングン」
「ボ、ボングンさん、おはようございます///」
「お、シウのやつ途端に大人しくなってやんの!!」
「お、お兄ちゃん!!///」
戯れる俺達を呆れ顔で見つめるのは同級生で親友でもあるチャ・ボングン
家も近いから毎日待ち合わせて一緒に学校に通ってるってわけ
そしてどうやら……
「もう、お兄ちゃん力強過ぎ!!赤くなってるじゃん」
「どれ、見せてみろ」
「あ……えっと、大丈夫、です///」
ボングンに手を握られて真っ赤になる我が弟に、なんだか複雑な気持ちになる俺だったんだ
. 二人の天使 25
~Cside~
「じゃあ行ってくる」
「行ってらっしゃい」
「あのさ、テミンの奴にうまいタルトの店聞いたから帰りに買ってくるな!!」
「ふふ、はい///」
「じゃ、行ってくるよ、奥さん」
張り切って出かけて行く旦那様を見送った後は、ほんの少し自分の時間
昨日はしゃぎ過ぎたハルはまだ夢の中だし、夜明け前にミルクを飲ませたシウも今はスヤスヤと眠ってる
それにしてもまさか僕が二人も子供を産むなんて……
ユノと出会ってからというもの、僕の人生はガラリと変わってしまった
ひたすらに料理の道を歩んでいたのに、ほんの偶然であなたとお見合いをすることになって、それから……
愛する人の子供を産むということが、どれだけ幸せなことか今ならわかる
男だからとか
女だからとか
そんなことは重要じゃなくて
お互いに心から求め合って
お互いに心から愛し合って
二人の天使が産まれたことはまさに奇跡……!!
ねぇ、ユノ、僕達は今世界一幸せな家族だと思うんだ
「ん、ママ」
「ハル、起きたんだね、お顔洗おうか?」
「うん、ぼくひとりでできよ!!ちゃんとおかおあらえるよ?」
眠い目を擦りながらにっこりと笑うハルが可愛くて、その小さな体を抱きしめずにはいられなかったんだ