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. チャンスニの憂鬱 ~彼は恋人~ 2
~Yside~
今日は取引先の接待で中々帰してもらえず、『MIROTIC』には行けそうもなかったけど
チャンスニ、いや、チャンミンから連絡があって、店が終わってから待ち合わせすることにしたんだ
最近はこうして君から連絡をくれることも増えてきて……
少し飲まされてしまったけど、眠ってしまうほどではない、君に会えると思ったら何日だって起きていられるさ
今は季節柄接待がとても多くて、でも、なるべくなら『MIROTIC』には連れて行きたくないんだ
だってね、誰にも君を見せたくないから……
「ユノ!!」
「チャンミンお疲れ様、着替えてきたんだ?」
「うん、ダメだった?//////」
「まさか、どっちの君も魅力的だ」
「……//////」
ああ、会った途端にそんな表情とか!!頬を赤く染めて視線を泳がせて….
これは我慢できそうもない//////
隙をついてキスをすれば目を白黒させて睨みつける君、どんな表情も愛おしい
「ふふ、怒った顔も可愛いよ」
「……も、もう!!//////」
「何か食べる?」
「……うん、話しもしたいんだ//////」
「うん?じゃあ部屋に行こうか?」
一瞬ハッとして頬を更に赤く染める君の手を取ってタクシーへと乗り込むと、攫うように俺のマンションへと向かったんだ
. 愛の詩をきかせて 5
~Cside~
……全くなんだったんだ//////
本を拾ってくれて、車に乗せてくれて、おまけに頬まで触られてから自分は雨に濡れて本と僕を送ってくれるとか!!
まるで少女漫画みたいなシチュエーションじゃないか!!//////
僕は男で、あの社長さんも男!!ま、まさかそっち系の人なのか……!?
僕は断然女の子の方がいいんだ!!ゆでダコだなんて失礼な!!顔が赤くなるのは僕の癖みたいなもんなんだから仕方ないんだ!!
「チャンミン何やってんの?(笑)」
「あ……//////」
親友のキュヒョンがニヤニヤしながら僕の目の前にすとんと座った、僕は今まさに学食でオムライスを食べようとしていたところで、何故かスプーンを握りしめたまま、あの社長さんのことを思い出してしまって………
「まだ怒ってんの?例の社長さんの事だろ?親切な人じゃん」
「べ、別に怒ってなんか!!//////」
「まあまあムキになるなよ、そんな人二度と会うことないって、運転手付きの高級車に乗った社長さんなんて、こんな大学ばっかあるとこに来ないって」
そう、だよね……もう会うこともないんだ
だってあの時は偶々あそこに居合わせただけで、このあたりは大学が集まる学園都市なわけで
……会えるはずないんだ
「何?随分残念そうだね、惚れちゃった?」
「キ、キュヒョン!!//////」
「お、もう時間だ、あ、バイトの件考えといてくれよ、っていうかもうOKでいいよな?じゃ、もう行くわ!!」
「あ、こらっ!!」
キュヒョンは僕のオムライスを高速で二口ほど詰め込むと、後ろ手に手をヒラヒラしながら行ってしまった
……はあ
ホテルのウェイターの臨時バイトなんて普段なら気が乗らないけど、今は気晴らしになるかもしれないな
自分が濡れてまで本を庇って送ってくれた人、きっと変わった人だから頭から離れないんだ
……もう既にあなたに心を奪われていたことを、この時の僕は思いもしなかったんだ
. チャンスニの憂鬱 ~彼は恋人~ 1
~Cside~
どういうわけだか僕はユノと付き合う事になってしまって……//////
まあ、僕だってまんざらでもないっていうか、ユノのことは好きなんだけど、やっぱり戸惑うのは仕方ないことで
「チャンスニ?」
「……え、あ、はい、ごめんなさいシウォンさん//////」
そうだ、僕は今お店で接客中で、1番のお得意様であるシウォンさんの横にいるっていうのにぼんやりしちゃって//////
シウォンさんはフッと寂しそうに笑って、膝に肘をついて僕の顔を覗き込む
「なんだか最近綺麗になっちゃって、好きな人でも出来たのかな?」
「……えっ?//////」
「そんなわかりやすい反応、なんだかショックだなぁ」
「シウォンさん、あの……//////」
……どうしよう!!気を悪くしてしまったかも、シウォンさんは僕にとてもよくしてくださるのに
「ああ、困らせたいわけじゃないよ、ただ相手が俺じゃないのが残念なだけ、さあこの話はもう終わりだ、俺が君を気に入ってるのは変わらないんだから」
そう言って店のみんなにシャンパンを振る舞うシウォンさんはやっぱり寂しそうな表情で
だってユノのことは話せないもの……
シウォンさんはユノのお父様の関係の知り合いらしくて、なんでも、シウォンさんが僕との写真を見せたから居場所がわかったとか
ユノは近々話すって言ってたけど、お店にとっても大きなお客様なのに、大丈夫だろうか…
ママに迷惑だけはかけたくないんだよね
「チャンスニ?君も飲みなさい」
「あ、はい//////」
僕はシャンパンを注いでもらいながら、この先のことを考えずにはいられなかったんだ
. 愛の詩をきかせて 5
~Yside~
『……ごめんね、何回も落っことしちゃって、痛かったよね』
ぎゅっと本を抱きしめてそんな事を言うなんて、ちょっと可愛すぎるんじゃないか
きっと警戒してるんだろう、大きな瞳をキョロキョロと泳がせながら話す姿はまるで怯えた仔鹿のようだ
……まあ、当たり前か
「社長、この先は車では入れません」
「……あっ、僕ここで降ります、ありがとうございました!!」
運転手のミノの言葉にハッとしてドアに手をかける君、雨は強くなっているようだし1人じゃまた本を落とすのがオチだ
「ミノ、傘を」
「は、はいっ!!」
「そ、そんな、運転手さんが濡れてしまいますから!!」
「大丈夫だ、ほら、半分貸して?」
申し訳なさそうに眉を下げる君、そっと頬を撫でると途端に真っ赤になるから面白い
「まるでゆでダコだ(笑)」
「……なっ!!//////」
「そのアパートでいいんだな」
「……へっ?//////」
「し、社長っ!?」
本を半分ほど持ってミノの傘に彼を促すと、俺はスーツのジャケットに本を包んで彼のアパートまで走った
後から慌てて2人が追いかけてきたけど、あまりに悲壮な顔をするからちょっと笑ってしまった
「……あ、あのっ、社長さん、びしょ濡れに……」
「ふふ、もう落とすなよ、さあミノ行くぞ」
「は、はいっ!!」
俺は呆然とする仔鹿君に本を渡すと、ミノと一緒に車へと戻ったんだ
. バンビな君にくびったけ ~キスまでの距離~ 14
~Cside~
クリスマスに初めてキスをして以来、ユンホさんは僕に触るのが少しだけ慣れたみたいで…
前みたいに真っ赤になって飛び跳ねたりとかは無くなって
最近はもっと慣れる為にって僕のことをやたらと抱きしめてくるからなんだかこそばゆい
だって甘い言葉ばっかりを囁いてくるんだもの/////
保育園のお散歩とか、毎日顔を合わせることは多くても、こうして抱きしめ合うのは週末だけだし
ユンホさんのマンションに通うのが日課になってしまったっていうか……/////
男同士だし、この先のことは不安しかないんだけど、ユンホさんと二人なら大丈夫な気がする
座ったまんま後ろから抱っこされてて、僕の髪に顔を埋めるユンホさん、顔が見えなくて不安だから振り向いたのにキスされちゃってやっぱり表情はわからない/////
「何考えてたの?」
「……ユ、ユンホさんのこと/////」
「ほんとに?嬉しい」
「な、慣れてきましたか?/////」
「ん、でもドキドキする」
「………僕も/////」
顎を掬われて、ちゅっちゅっと何度か口付けると、嬉しそうににっこり微笑むアーモンドアイ
「前はさ、凄く遠くに感じてたのに」
「……え?/////」
「今はこんなに近い」
「……はい/////」
それから僕らはいっぱいキスをして、隙間なんてないくらいにぴったりと寄り添って
……ちょっと当たってるのが気になったけど/////
もっと二人の距離が縮まるのは、少し先の話
. 愛の詩をきかせて 4
~Cside~
何がどうしてこうなったのか、僕は今高級車の後部座席に知らない人と並んで座っていて……
『何処まで帰るんだ、乗せて行ってやろう』
あまりの突然のことに、そのまま腕を引かれて車に乗せられてしまって
図書館で本をぶちまけていたところに、手を貸してくれたまではいいけれど、こんなのことまで
……な、何か目的があるとか!?(汗)
「どうした?随分と大人しいんだな」
「……あ、いえ、申し訳ないなって思って」
「大学生?」
「……あ、はい……あの/////」
ちらりとその人を見ると優しい表情、運転手付きの車だなんて……それに社長って呼ばれてたし
「気にすることはない、俺が言い出したことだ、それにほらご覧、もう降ってきたようだ」
「……あ!!」
窓の外を見れば既に雨が降り出していて、ああ、本が濡れなくて本当に良かった!!
「……ごめんね、何回も落っことしちゃって、痛かったよね」
本をぎゅっと抱きしめていると、隣の社長さんは僕のことをじっと見つめていて……
お、落ち着いて見ると本当にイケメンなんだよね、そんなに見つめないでほしい/////なんだかドキドキしちゃうよ……見たところアラサーって感じだけど
「本が好きなんだな」
「………え?は、はい/////」
「そうか、俺もだよ、図書館ってのは落ち着くもんだ、時間を忘れられる」
そう言って視線を窓の外に向けるその人は、何故だか少し寂しそうに思えて
その物憂げな横顔に……僕は目が離せなくなってしまったんだ
. バンビな君にくびったけ ~キスまでの距離~ 13
~Yside~
先生……いや、チャンミンとの初めてのキスは、甘くて蕩けそうで、とても一回だけじゃ止められそうになくて
何度も啄ばむように触れ合う唇が、ちゅっ、ちゅと音を立てて離れる度に、不安げに瞳を開く君が愛おしすぎて
ほんとはさ、もっと雰囲気のいい場所で、甘い言葉を囁いて、ロマンチックに初めてのキスをする予定だったんだ
……でも、俺ってば考えすぎてたんだな
お互いを思い合っていたって、言葉にしなきゃ伝わらないことだってあるんだ
……まさか、そんなに不安にさせていたなんて
君の不安な心ごと抱きしめて、大丈夫だよって囁いてあげる、俺の心の中を開いて見せてやりたいぐらいだよ
「チャンミン好きだよ、俺……不器用で、なんの取り柄もない奴だけど、ずっと大切にするから」
「……ユンホさん/////」
いっぱいキスしていっぱい話して、やっと落ち着いたのはもう日付も変わるころ、気付けば飯だって食べていなくて
結局二人でカップラーメンを啜る羽目になったけど、それも幸せで
クリスマスは終わっちゃったけど、俺たち二人はもっともっと仲良しになれた、そんな風に思える夜だったんだ
. 愛の詩をきかせて 3
~Yside~
これはなかなかない光景だと思うんだ……
たまたま用事があって訪れた図書館で、細っこい腕に大きな荷物を抱えて歩く一人の男、荷物の先からふわふわの髪がぴょこんと飛び出していて
俺と変わらないほどの高身長なのに、ちゃんと食べてんのかってぐらい細い足、お尻なんて掌に収まってしまうほど小さい
見たところ大学生?
恐らく本が入ってるんだろう紙袋、随分と許容範囲の狭い袋に詰め込んだもんだ
少し興味を覚えて観察していると、中庭に出た所でとうとう袋が限界を迎えて見事芝生に本をぶちまけてしまった
……まあ、大体予想はついてたけど(笑)
その身長からは意外なほどのなで肩を落として呆然とする彼、なんだか放ってはおけなくて柄にもなく手を貸してやったんだ
親切心で拾ってやったのに、何か気に障ったのか大きな瞳で睨み返すバンビアイ、凄い美人だな…女の子みたいな見かけの割になかなかいい度胸してる
『ありがとうございました!!』
威勢良く立ち上がったのはいいけれど、やはり本の重みに勝てなかったのかバランスを崩してまたもや本をぶちまけてしまった!!
「ああ~(泣)」
「ぷっ、全く手のかかる子だ、何処まで帰るんだ、乗せて行ってやろう」
「……へっ?」
「ほら、貸してごらん」
「……えっ?あ、あの…?/////」
俺は重たそうな本を半分ほど手に持つと、彼の腕を引いて駐車場へと向かったんだ
. バンビな君にくびったけ ~キスまでの距離~ 12
~Cside~
『好きすぎて困ってる』
そう言って僕を抱きしめるユンホさんの胸はあったかくて、胸の奥がジンと熱くなって
……ずっとこのままでいたい/////
もっとこのままくっついていたかったけど、ふと気づけばここは歩道のど真ん中で、道行く人にジロジロと見られてしまっていて
「い、行こうか、もっと話したいし/////」
「……は、はいっ/////」
僕達は慌てて体を離すと、手を繋いでユンホさんのマンションへと向かったんだ
本当ならご飯を食べに行く予定だったけど、そんな事より今は二人っきりになりたくて
エントランスを抜けてエレベーターへ、お互い無言のままで、手だけはぎゅっと絡めたまんまで
ドアを開けて中へ入ると、ユンホさんはもう一度僕を抱き寄せた
隙間なんてないくらいぎゅうぎゅうに!!/////
「ずっとこうしたかったんだ、好きすぎて苦しすぎて………俺ってチャンミンには我慢できないみたい、ごめん、勘違いさせちゃって」
「……よかった/////」
「…チャンミン?」
「嫌われちゃったのかって……」
「そんなの、世界の終わりが来たって有り得ない」
「…ユンホさん/////」
「キス、したい」
「……はい」
「いっぱいしていい?」
「……え……は、はい/////」
それから僕達は見つめあって、おでこをコツンと合わせてから、初めてのキスをしたんだ
. 愛の詩をきかせて 2
~Cside~
「うわ……マジか」
持ち手だけが手に残り僕は呆然とその場に立ち尽くした!!紙袋は無残にも破れてもう使えそうにないし(泣)
と、とりあえず落ちた本を拾わなきゃ……
「芝生の上でよかったよ…」
「全くだ」
「……へっ?/////」
僕の目の前に伸びて来た長い腕、チラリと見えるのは高級そうな時計、え……誰!?
顔を上げると目の前にいたのは、図書館にはおおよそ不似合いなスーツ姿のイケメン、なんか見るからにセレブオーラが漂ってるんだけど
「随分と目測を誤ったもんだ、これで運ぶのは無理があると思うけど?」
可笑しそうに破れた紙袋をヒラヒラと見せつけられてカチンときた!!
「だ、大丈夫ですっ、手に持って運びますから!!」
せっかく本を拾ってくれたのになんだけど、ちょっと小馬鹿にされてる!!
「ほう、手に持ってね」
「そうです、拾って頂いてありがとうございました!!」
「天気予報では夕方から雨だそうだ、気をつけて行くんだな」
「……え、雨?」
……天気のことなんて全く頭になかった、雨とか勘弁してほしい、だって僕の家はバス停から10分ほど急な坂を登らなきゃならないのに!!
「……どうかしたのか?」
「あ、いや、なんでもないです、じゃ!!……とっ、わっわわわっ!!」
バサッ、ドサドサドサッ!!!!
本を抱えて立ち去ろうとした瞬間!!僕はバランスを崩して、またしても本を芝生へとぶちまけてしまったんだ