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. 溢れる想い 1
~Cside~
「チャンミンそれ取って!!テーブルに置いてるファイル!!」
「こ、これですか?あ!!携帯も忘れてますよ」
「やべ!!サンキュー、もう行くわ!!」
「はいはい、行ってらっしゃい」
そう言って慌てて荷物を抱えると、チョンさんは全速力で玄関を飛び出して行った
ああ、あんなに急で転んだりしなきゃいいけど(笑)
今日の午前中は新作の打ち合わせで出版社へと出かけるけど、家で待ってて欲しいって言われて朝からここに来てるってわけ
付き合い始めてから、仕事だかプライベートだかわかんなくなっちゃってるから
そこはちゃんとケジメをつけなきゃってこの前話したところだったんだよね
最初は驚いていたチョンさんも、ちゃんと分かってくれたから良かったけど
『それならいっそ俺専属の家政婦に永久就職すればいい』
なんてプロポーズまがいの爆弾発言とかされちゃって、心臓が止まるかと思ってしまった
そりゃあ僕だってそうなりたいけど……まだキスだってしていないのに///
考えたら僕達ってデートすらまともにした事がない気がする
小説家って職業柄仕方ないのかもしれないけど
ほんの少し寂しいなって思うのは、きっと贅沢な事なんだよね
. しなやかに眠れ 19
~Cside~
……なんでこうなったのか
確かに僕はドアの前で毛布に包まったまま横になって眠った筈なのに
次の朝目を覚ますと、鼻先が触れるほどの距離でユノの顔が目の前にあって///
しかも僕の体は逞しい腕にがっしりとホールドされて身動き一つ取れないし!!
こ、これって……?///
「………ん、起きたのか」
そう言って僕を抱き寄せるユノは大きな欠伸を一つ、てか、なんで離してくれないんだ!!
「………ちょっ///」
「こら逃げるな、せっかく抱き心地良かったのに」
「だ、だき!?///」
「騒ぐなって、俺は今日は休みなんだ」
「………離せって、なんで!!///」
「床で寝てるやつ放って置けないだろ?」
「!!!!///」
ああそうか、夜中に寝入った僕をベッドへ運んでくれたんだ
お、男の僕を軽々と抱えて運ぶとか、どんだけ馬鹿力なんだよ…!!
「ふふ、そう怒るなって、お礼なら貰ったからさ」
………お、お礼?
「………わっ!!///」
呆然とする僕をあっという間に組み敷くと、落ちてくるのは綺麗なアーモンドの瞳
「足んないからもう一回貰うな?」
「………え?……んっ、んん///」
ニヤリと笑ったユノにそのまま押さえ込まれて
、蕩けるようなキスをたっぷりとされてしまったんだ
「
. うちの家政婦さん 45
~Yside~
「そんで?取材は捗ったわけ?」
「ん、ああ勿論!!天気も良かったし、コテージは最高だったし、なにより……///」
「……なにより?」
「い、いや!!とにかく最高のシチュエーションだったって事!!」
「ふうん?ま、それならいいけど」
出版社の応接室で訝しげに俺を見つめる編集のボア
取材旅行から帰ってすぐに連絡が来て、取材の状況はどうだの、新作の進み具合はどうだの
……まったく煩くて仕方ない
あの日、チャンミンがコテージを飛び出した夜、俺達はめでたく恋人になった
ちょっとしまらない告白だった気もするけど、二人ともが同じ気持ちだって分かって
その夜はとても離れられなくて、二人手を繋いで眠ったんだ
少々寝不足のまま次の日の予定をこなして、家政婦の仕事は食事の時以外は休みってことにして(笑)
二人で綺麗な景色を眺めながら色んなことを話した
で、肝心の2日目の夜はその……二人ともが疲れちゃっててロマンチックなことは一つもなかったけど
……朝早く目が覚めた隙にふわふわの髪にキスをした
その後は二度寝してすっかり寝坊してしまったけど
とにかく目も合わせられないほどのデレっぷりっていうか、甘い雰囲気で
これからの二人に期待できるっていうか、その……もっと先に進めたらって思ってる
ま、焦る必要なんてないんだけど
だってずっと一緒にいるのはもう決定事項だから!!
「ちょっとユノ!!何一人でニヤニヤしてんのよ!!」
「……へ?あ、いや、あーはーはー!!」
目の前にボアがいることを忘れて、すっかり妄想の世界に入っちまって、後でこっ酷く叱られてしまった俺だったんだ
. しなやかに眠れ 18
~Yside~
……こんな事だと思った
俺がベッドルームへ入ってからゴソゴソと音がしていたが
コトリ、とドアの前で音がしてから静かになった
暫くしてそっとドアを開けると、やっぱりそこで丸くなるそいつの姿があって
全く、捨て猫かよ……
すっかり寝入ってしまったそいつを抱えてベッドへと寝かせる
床に転がったまま爆睡するとか、どんだけ俺を信用してんだか……
仕方なく隣に滑り込むと無意識に擦り寄るから思わず抱き締める
「………ん」
そう言って腕の中で丸くなるそいつに、どうしようもなく庇護欲が湧き上がる
「本当に襲うぞ?」
「………ん……?」
「ったく、呑気なもんだ」
「………ユノ」
目を閉じたまま俺の名を呼ぶ唇に、堪らず自分の唇を重ねたんだ
. うちの家政婦さん 44
~Cside~
「………う、うん……?」
ふと目を覚ませば見知らぬ天井、えっと、ここは………?
眠い目を擦って隣を見ると、枕に突っ伏して寝るチョンさんの姿があって
……そうだ、昨日二人で眠ったんだっけ///
ふふ、寝顔見るの初めてかもしれない
柔らかそうなほっぺが枕に押し付けられて、あれじゃあ起きた時に跡がついてるかも(笑)
そう、僕達、恋人同士になったんだよね………///
昨日はもう帰んなきゃって思っていたのに、状況の変化が凄すぎて頭がついていかない
一人で勝手にぐるぐると考えすぎちゃって、でも、ちゃんと探しに来てくれた
そろそろ起きなきゃいけないけど、こうやって好きな人の寝顔を見つめていられるとか幸せすぎて
もう少しだけ寝坊したくなる、そんな初めての朝だったんだ
. しなやかに眠れ 17
~Cside~
………嘘を、ついてしまった
本当は20歳の誕生日までは半年以上あるのに
こんな状況で未成年かって言われたら、正直には答えられない、よね…
きっとあの人なら気づいたかもしれないけど、彼は何も言わずにベッドルームへと消えて行った
出された毛布を頭まで被ってぐるぐると考える
2、3日は置いてくれるって言ったけど、その後どうすればいいんだろう
遠くの親戚を訪ねたいけど先立つものが無けりゃどうしようもない
どこかバイトでも探さなきゃ、今すぐでなくていい、ほとぼりが冷めてから行けたら……
でも急がないと居所を突き止めらてしまうかもしれないし
「………はあ」
大きく溜息をついてゴロゴロとソファの上を転がる、今日もやっぱり眠れそうもない、な
流石に今日も一緒に寝て欲しいなんて頼めないし、僕は毛布に包まったままベッドルームのドアの前に座った
……ここならきっとバレないよね
初対面の人なのにこんなに頼ってしまうなんて、よっぽど心が弱っているのかな
いや、あのアーモンドの瞳が良くないんだ
見つめられたら動けなくなって、顔に熱が集まってきちゃって、ずっと見つめていたくて
いくつぐらいなんだろう
彼女とか、いるのかな
…………彼女
そんな事を考えているとなんだか悲しくなってきて、僕は膝を抱えて目を瞑ったんだ
. うちの家政婦さん 43
~Yside~
『………ユノ、さん?///』
上目遣いではにかみながらそんな事言われたらもう!!///
名前で呼んで欲しいって言ったのは確かに俺だけど
可愛くて仕方ないっていうか!!
好きが止まんないっていうか!!
思わず抱きついちゃって、結局はビールを零して怒られてしまったけど
どうやっても緩んでしまう顔に、チャンミンも呆れ顔で(笑)
結局はお互いに顔を見合わせて爆笑しちまって、ロマンチックな雰囲気は何処へやら
いや、こういうのも俺達らしくていいかも、なんて思いながら
そして、その夜はとても離れられそうもなくて手を繋いで一緒に眠った
おやすみのキスとかしたかったけど、そこはまだまだ我慢のチョン・ユンホ
今、恋人同士になったばっかなんだから大切に大切に
でもね、先に寝入ってしまった君の寝顔が愛おしすぎて
……そっと髪にキスをしたのは内緒の話
. しなやかに眠れ 16
~Yside~
『……もう少し、ここに置いてくれませんか?』
そう言ってキュッと下唇を噛むそいつは、俯いたままこれでもかってくらい頭を下げた
帰れないのは何となくわかっていたけど
………これは断るのが難しい、な
俺は大きく溜息をつくとそいつの頭をぐしゃぐしゃと撫でてやった
「仕方ねぇな」
「!!!!」
「2、3日は置いてやる、だがお前の心の整理がつくまでだ、着替えは悪いが俺のしかねぇぞ」
「………あり、がとう///」
「わかったらとっとと寝る用意しろ」
ぐしゃぐしゃになった髪を直しながら、ブスッと膨れてラーメンを片付けるそいつ
……こうしてると子供みたいなんだがな
「なあチャンミン?」
「………え?///」
「お前まさか未成年なんじゃ……」
「……ち、違うよ!!20歳になったばっかなんだって!!」
「ん、ならいい」
慌てて視線を逸らすバンビアイがゆらゆらと揺れていて、目を離すことができない俺だったんだ
. うちの家政婦さん 42
~Cside~
『………僕も、好きです、よ?///』
『チャンミン!!』
そう言って僕をぎゅうぎゅうと抱きしめるチョンさん、目の端に光るのはもしかして涙……?
それから暫くは二人でぴったりとくっついていたけど、夜も更けてきて寒くなったし、コテージに戻ることにした
どちらからともなく手を繋いで微笑みあって
途中だった片付けを先に済ませてシャワーを浴びると、僕らはもう一度乾杯をした
「僕らの未来に」
「ふふ、はい///」
「チャンミン?」
「あの……あのさ、名前で呼んでくんないかな?」
「………え?///」
「こ、恋人になってんだから、さ///」
グラスを合わせたままそんな事言われちゃって、暫くフリーズしちゃったけど
片手を胸において深呼吸をすると、僕は思い切って呼んでみたんだ
「………ユノ、さん?///」
「!!!!やべ、すっげ嬉しい!!///」
「………えっ?……わわっ!!///」
名前を呼んだ途端にぎゅうぎゅうと抱きしめられて、とうとうビールを零して大笑いした僕達だったんだ
. しなやかに眠れ 15
~Cside~
「美味いだろそれ、俺のオススメなんだ」
そう言って微笑むアーモンドアイから目が離せない
ここに居座っている事を咎めもせず、夜食まで勧めてくれるとか
……どういうつもりなんだろう///
「なんだ?今日はやけに見つめてくれるな」
「!!!!///」
「で、少しは自分のこと話す気になったのか?」
「 ………///」
「親が心配してんじゃねーの?」
「………親は、いない」
「……そうか、でも世話になってる人はいたんだろう?」
そう言われて頭に浮かぶのはシスター達の笑顔、ああ、本当にお世話になったのに
肩肘をつきながらそんな優しい口調で言われたら、なんだか泣きそうになってしまうよ
「バカ、泣くな、麺が伸びんだろ」
「……ぷっ」
「お、やっと笑ったな、美人は笑ってるほうがいい」
「……ユノは変わってる///」
「は!!そうか?」
「……そう///」
からかわれてるとしか思えない口調なのに、優しく響く低音が心地よくて
「……もう少し、ここに置いてくれませんか?」
ダメだとわかっているのにそんな事を口にしてしまって、思わず俯いてしまう僕だったんだ