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. 恋人なんかじゃない 16
~Yside~
俺がその記事の事を知ったのは、雑誌が発売されて直ぐの事だった
『ユンホさん、いったいどういう事なの!?』
お祖母様からの電話で開口一番、何のことか分からず困惑していたが
まさか週刊誌に俺の名前が載っていたとは
しかも相手は幼馴染であるユリ、確かに今でも交流はあるものの、結婚秒読みだなんてとんでもない!!
直ぐに記事の取り消しをとりはからう様手配をかけたが
………まったく、タイミングが悪い
どうりで今朝から電話にも出てくれないわけだ
とりあえずは誤解を解こうとメッセージを送ったが、既読はつかないまま
きっと不安な想いをしているのだろう
直ぐにぐるぐるとしてしまう君だから………
夜には仕事も片づくから会いに行ってみようか、さて、あの気難し屋が素直に出てきてくれるか
『チャンミン会いたい』
そんなすがるようなメッセージを送ってしまう自分に、どこまでも君に夢中なんだと実感する俺だったんだ
. 迷惑な同居人 15
~Cside~
今何を見ちゃったんだろう……!!
慌てて飛び出して行ったユンホ君が気になってそわそわとドアの前を行き来していたけど
どうやら二人はすぐそこで話してるようで何やらボソボソと声が聞こえる
友達なら入って貰えばいいのに、ユンホ君の使ってる部屋もあるわけだし
僕は外に出かけたっていいんだし……
ここは年上の僕が気を利かせて声をかけるべき?
そして意を決してドアを開けた僕の視界に入ってきたのは、なんだか抱き合っちゃってる二人の姿で
ああ、やっぱりそういう関係なんだって………
慌ててドアを閉めて部屋に入ったものの、心臓が飛び出しそうなほどバクバクと音を立てている
あ、なんか痛い……
チクチクと胸が痛んで目頭が熱くなる、こんな感情誰にも抱いた事がないのに
なんだ、ユンホ君恋人いたんだ
まあ、あれだけイケメンなんだからそりゃ恋人ぐらいいるよね
うん、良かったじゃん
そう自分に言い聞かせて大きく息を吐いた、そうだ、お昼ご飯どうしようか……
「チャンミン?」
「………ユンホ君」
コンコンとノックの音が聞こえてドアが開くと、怪訝そうな顔をしたユンホ君がそこに立っていたんだ
. 恋人なんかじゃない 15
~Cside~
「これってさ、ユノさんだよな!!」
「……あ///」
「うわあ、真相の令嬢の噂のお相手って書いてあるよ!!これってチャンミン大丈夫なの?」
そう言って僕の顔を覗き込むキュヒョンに大きくため息をつく
講義の途中で思わせぶりなメッセージを送ってきたと思ったら、チャイムがなった途端にカフェへと連れていかれて
普段はあまり目にしないような週刊誌を広げて事情聴取だ、なんて
記事には赤ペンで丸まで付けちゃってるし!!
なんなんだよ深窓のご令嬢とか………
実は今朝本屋に寄った時にその記事見たんだよね………だってかなり大きな見出しだったし
ほんの少しだけ立ち読みしたけど、なんでも二人は幼馴染なんだとか
結婚まで秒読みとまで書かれていて、これってどうしたらいいんだろう
確かに僕とユノさんの婚約はまだ発表されてはいないから
ただのガセだと思いたいけど、確かにこのお屋敷はユノさんの家の近くにあった気もするし
目の前であーだこーだと語るキュヒョンの話なんて全く耳に入ってこない
「ねえ、ちゃんと確かめた方がいいよ!!」
「う、うん」
心配してくれるキュヒョンの言葉に頷きながらも、どうしていいか分からず途方にくれる僕だったんだ
. 迷惑な同居人 14
~Yside~
せっかくの休みだし、ゴロゴロしながらチャンミンに昼飯をおねだりして二度寝に入ったところだった
お客さん、なんて言われて何のことかわからなかったけど
訪ねて来たのは後輩のテミンだった
そうだ、事務所、辞めるって言ってたな……
ドアの前でキュッと唇を噛んだテミンは、俺の顔を見ると深々と頭を下げた
「すいません、こんな所まで」
「いや、体調はどう?」
「あ、はい、大丈夫です」
「そっか、寮を出るって聞いたけど」
「はい、とりあえずは治療に専念します………あの、ユノ先輩」
「うん?」
「………迷惑かけちゃって、その」
そう言って涙を堪えるテミンの肩をポンポンと叩く、何となくだけどコイツの気持ちはわかっていた
でも、応えてはやれないんだよな、可愛い弟みたいなものなんだから
寮で揉めたのもテミンを好きな奴がいて逆恨みされたっていうか、ま、別にコイツが悪いわけじゃないから
「気にすんなって、な」
「………はい」
俯いてしまったテミンの肩を抱いて、落ち着くまで暫く待っていた
……と、その時!!
「ユンホ君やっぱり入って貰ったら?あ……!!ご、ごめん!!///」
「え?」
そう言ってドアからひょいと顔をのぞかせたチャンミンは、なんだか慌てて中へと入ってしまったんだ
. 恋人なんかじゃない 14
~Yside~
「それで、お式の後はそちらにお住まいになるの?」
「ええ、そのつもりです」
「まあ、お屋敷にいても気が張るだけでしょうしね、せめて週に一回はお顔を見せてちょうだいね」
「わかっておりますよ、お祖母様」
「そう言って訪ねてくださらないのよねきっと」
呆れたように俺を睨むお祖母様につい苦笑いしてしまう
申し訳ないけど二人で過ごす時間も欲しいから、結婚後は仕事で利用しているマンションに住もうかと考えている
場所も会社から近いし、チャンミンの実家にも1時間とかからずに行ける距離だし
なにかと便利な立地になっているから、気に入ってくれる、かな
なにせ気難しいところのある我が婚約者殿だから……
この前初めて触れた君の唇は予想以上に甘くて柔らかくて
……自分を抑えるのに必死だった
会社のデスクで考えるのは君のことばかりで、またミノに笑われてしまいそうだが
全身で君を求めていることも知ってほしいなんて
どれだけ君に夢中なんだか……
「室長、お客様です」
「ああ、すぐ行く」
ノックと同時に入ってきたミノに何事もなかったように返事をしながら、君へのメッセージを送る俺だったんだ
. 迷惑な同居人 13
~Cside~
「……あの、この部屋の方ですか?」
「………え?」
マンションのエントランスで見かけた若い青年、いや、あんまり可愛いから最初は女の子かと思った
………でも、声は男の子、だよね?
うちのマンションじゃ見かけない顏だし、どうやら誰かの家を探してるみたいだけど
「あ、あの………突然すいません、こちらにチョン・ユンホさんがおられるって聞いて」
そう言ってその子はキュッと唇を噛んだ、何やら思い詰めている感じだし
……ユンホ君の知り合い?
「えっと、君は?」
「あ、僕、イ・テミンと言います、あの、事務所の後輩で」
「あ……そうなんだね、今家にいるよ?ちょっと待って」
「は、はい!!」
今日はたまたま二人とも休みが重なって、疲れて寝てるユンホ君にお昼でも作ろうかと買い物に出た所だった
家に入れた方がいいのかもしれないけど、一応僕の家じゃないし、ね
「ユンホ君?お客さんだよ」
「………ん~?」
ソファで丸くなって眠るユンホ君をゆさゆさと起こしてみる
まったく、いつになったら布団で眠るんだか
「俺に客?誰?」
「ん、事務所の後輩だって」
「え!!」
ガバリと起きたユンホ君は僕に毛布を渡すと、一目散に部屋を出て行ったんだ
. 恋人なんかじゃない 13
~Cside~
「じゃあまた連絡するよ」
「は、はい///」
「気をつけて」
「ユ、ユノさんも///」
図書館の駐車場でユノさんの車を見送ると、僕はその場にヘナヘナとしゃがみこんでしまう
………キス、されてしまった///
車を降りようとする瞬間抱き寄せられて、頭の中が真っ白になっちゃって
落ちてくるアーモンドアイに逃げることなんてできるはずもなく
そのままギュッと目を閉じることしか……
真昼間の駐車場とか誰が見てるかわかんないのに
わ………///思い出しただけで心臓が飛び出してしまいそう
僕をこんな風にして何もない顔で去っていくとか、本当に酷い
出会いから最悪だって思ってたはずなのに、いつのまにかこんなに好きになっちゃって
普通の恋人同士とは違うような気がしていたから、こういうのって、凄く嬉しい
しばらく余韻に浸っていたら、通りすがりの人に心配いされちゃって、慌てて図書館に入ったけど
触れた唇が燃えるように熱い……
そういえば衣装合わせだっていってたのに、ユノさんは試着もしていなかった
ぼ、僕だけのために来てくれたのかな
そしてイェソンさんに紹介してくれるために仕事を抜けて………?
『今日は会えて嬉しかった』
そんなあなたからのメッセージが心の奥に響いて、すぐにでもまた逢いたくなってしまう僕だったんだ
. 迷惑な同居人 12
~Yside~
「え?テミンが?」
「ああ、やっぱり寮を出るらしい」
「そっか」
「こればっかりは仕方ないよな」
「ああ」
レッスンの休憩時間、久しぶりに練習室で会った親友のドンへから聞いたのは
後輩のテミンがうちの事務所を辞めるって話だった
ダンスに夢中になりすぎて無理をしすぎたせいで体調を壊してしまって
まあ、その他にも色々と問題があったわけだけど
可愛がってた後輩が辞めていくのは、やはり複雑な気持ちで
まあ、完全にダンスを辞めるってわけじゃないから、またどこかで会える日もある、よな
「なんだかな~せっかくお前が寮を出てまで…」
「いや、それはいいんだよ」
「そっか、それにお前今、すげーいい感じだしな」
「ああ、まあな」
「なんだよ!!恋人でもできたのか!?くそ~俺にも紹介しろよ!!」
そう言って心底羨ましそうに俺を見るドンヘに思わず吹き出してしまう
……恋人じゃねぇけど好きなやつ、いるよ
見惚れるほど綺麗で
料理だって上手くて
クールに見えるのに超絶に照れ屋で
優しい声で俺を起こしてくれる優しい人
でも………好きになっちゃいけない人なんだ
「おーい、お前らいつまで休憩してんだ」
「「あ、はい!!」」
先生に呼ばれて慌てて立ち上がった俺達は、顔を見合わせて頷くとまたレッスンへと戻ったんだ
. 恋人なんかじゃない 12
~Yside~
自分でもカッコ悪いと思う……
帰るっていう君を引き止めて、強引に図書館まで着いていくとか
きっとね、俺の事を気遣ってのことだってわかってる
せっかくの婚約式の衣装合わせだっていうのに、こんな風に仕事を抜けてくることしか出来ないとか
全くどんだけ忙しいんだよ……
結婚後に住む家だってまだ見に行けてないし、何より君の顔が見れないのが一番堪えてる
いっそ一緒に住めばいいのに、なんてお祖母様には見透かされて
カッコ悪いと思う反面、それもいいかな、なんて君がいる生活を考えたりして
図書館の駐車場で堪えきれずに君を腕の中に閉じ込める
驚いて強張った体が次第に緩んで、呆れたように見上げるバンビアイに吸い込まれてしまいそう
「………だ、誰かに見られちゃいます///」
「構わない」
「………も、もう行かなきゃ///」
「ん、わかってる」
「………駄々っ子、ですね///」
そう言って腕の中で笑う君の笑顔が眩しくて、逃げないようにそっとその唇にキスをしたんだ
. 迷惑な同居人 11
~Cside~
またソファで寝てる………
大きな体を折りたたむように丸くなって眠る君、呑気にスヤスヤと寝息なんて立てちゃって
ちゃんと部屋に布団があるのに、気付けばいつもこのソファで寝ちゃってるんだよね
シャワーは浴びたのかな、濡れた髪が乾いて大変なことになっている
今日は早朝から出かけたと思ったら、僕が会社から帰ってもその姿はなく
恐らくはバイトに行ってからレッスンに通っているんだと思う
だって洗濯機のあたりにはタオルが散乱していたし、練習着にしてるジャージも落っこちていたし
ほんとだらしないんだよね(笑)
別にスケジュールを把握してるわけじゃないけど、一緒に住んでるんだから気になるのは仕方のないこと
最初はとんでもない、なんて思ってた筈なのに、お腹を空かせてキュンキュン言ってる姿とか
強引なように見えて意外と周りを見ていて神経質なところとか
知れば知るほど、なんていうか……好印象っていうか
見かけはクールな感じだからもっと嫌なヤツかと思っていたのに
いや、かえってそっちの方が良かったのかも……
だってね、君のことが気になって仕方ない
ちゃんとご飯食べてるのかな、とか
今朝はちゃんと起きれたのかな、とか
夜に作っておいたおにぎりはしっかりなくなって、ありがとうなんて置き手紙がしてあって
なんだか心がじんわりとあったかくなっちゃって
僕ってこんなに世話好きだったっけって……
そんな自分の変化に戸惑いながらも、君のことばかりを考えしまう僕だったんだ