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. 君じゃなきゃ意味がない 15
~Cside~
「シム君、この間はうちのユノが世話になったそうだね」
「あ!!いえ///」
「ほんとあいつってば何にも考えてないんだよな、いや、ほんと助かった、ありがとう」
「あ、はい///」
深々と頭を下げるマネージャーさんに僕も慌てて頭を下げる
別に大したことをしたわけじゃない、ただあまりにも無防備でびっくりしたぐらいで
ある意味大物なのかもしれない(笑)
今日はまたツアーのリハーサルが入っているから、朝一からスタジオにスタンバっているけど
そういや、まだ彼の姿は見ていなかった……
この前の場所とは違うし、今回は狭いスタジオだから会えるかと思ってたのに
なんだか残念、だな……
実はあの夜から彼のことが頭から離れなくて、ラーメン食べてる姿とか、怒って僕を睨みつけるアーモンドアイとか
噂で聞くよりずっと子供っぽくて、なんだか可愛かったんだよね
だってあんなクールなビジュアルであんな膨れっ面とか(笑)
「「「あ、おはようございます!!」」」
「U-KNOWさん入られます、宜しくお願いします!!」
スタッフ達に囲まれて入ってきた彼はジロリと僕を睨むとクイと手招きをする
……え?なんだろ、今……?
「トレーナーさんマッサージお願いします」
「え?あ!!はい!!」
スタッフに声をかけられて慌てて椅子から立ち上がる僕に、U-KNOWはニヤリと不適な笑みを浮かべたんだ
. ユノ社長の憂鬱 22
~Yside~
「え………ユノさん?///」
「おはようチャンミン、そしてただいま」
「あ、えっと……おかえりなさい///」
玄関先で茫然とする君が可愛いくて仕方ない
まさかこんな朝早くに俺が来るとは思わなかったのだろう
相手先の都合で会議がキャンセルになったのをいいことに、とにかく急いで戻ってきたんだ
まだ寝起きの君は瞳をくるくるとさせるばかりで、なかなか中には入れてもらえそうもない
そろそろ抱き締めてもいいだろうか?
「中に入っても?」
「あ!!も、勿論です!!どうぞ、寒かったでしょう?」
「ああ、寒くて死んでしまいそうだ」
「ええ!?………わ///」
オロオロと慌てる君の肩に顔を埋めて胸いっぱいに甘い香りを吸い込んだ
たった数日離れていただけなのに、こんなにも人恋しくなるものなのか
寝起きのままの君はだだ茫然としているから、その鼻先にチュッとキスをしてやった
途端に真っ赤に染まる君が愛おしい
「!!!!ユ、ユノさん!!///」
「あーはーはーは!!朝の挨拶だ」
「も、もう///早く入ってください!!」
「ああ、ありがとう」
真っ赤な顔で逃げていく君に愛おしさが溢れそうで、緩む口元を抑えられない俺だったんだ
. 君じゃなきゃ意味がない 14
~Yside~
「ち、ちゃんとわかるように説明しろっての!!」
結構な剣幕で怒ってるってのに、そいつはキョトンと俺を見つめるだけでなんの反応もない
腕組みしてギロリと睨んでやったのに、怯えるどころかクスクスと笑い出してしまった
「な、何がおかしいんだ!!」
「ぷっ、すいません、あまりにもわかってなくて呆然としちゃって」
「なっ!!///」
「本当に気づいてなかったんですか?もう少しでファンの子達に囲まれる所でしたよ?」
「へっ?///」
「だいたい軽装なんですよ、せめてもっとニット帽を深く被るとか、眼鏡をかけるとか、ね?」
そう言って俺の上着を渡してくれるシム・チャンミン
そうだ、俺ってば上着も着ないままで出てきちまったのか!!
ま、半ば強引に連れ出された気もするが、じゃあ持って出てくれたってこと……?
差し出されたジャケットを受け取るとにっこりと笑うバンビアイ
男のくせにやたらと長い睫毛が気になっちまう///
「突然すいませんでした、ほら、タクシー来ましたよ」
「あ、ああ」
「真っ直ぐに帰ってくださいね、お疲れ様です」
「お、おう///」
ニコニコと笑うそいつに絆されちまって、大人しくタクシーに乗りこむしかない俺だったんだ
. ユノ社長の憂鬱 21
~Cside~
「早く会いたい」
『ぼ、僕も……です///』
そんな、昨日の会話をベッドの中で思い出す
今日は休みだからゆっくり寝てても良いはずなのに、早朝からすっかり目が覚めてゴロゴロとしていた
掃除とか洗濯とかしなきゃいけないことはいっぱいあるのに、なんだかちっともやる気が起きない
今日帰ってくる筈のあなたからは連絡もないままで、スマホを眺めては溜息をつくばかり
………午前中は会議だって言ってたっけ
朝のメッセージが届かないだけでこんなにブルーになるとか
やっぱり様子がおかしかったから気になってるのかも
もしかしてだけど、ミノに妬いてくれた、とか?
そんなの全然気にしなくてもいいのに……
正直ミノにその、告白めいた事は言われたけど、今も昔も僕には全くそんな気持ちは無かったし
なによりミノは可愛い後輩だし!!
ミノだってサラッとしてて別に迫ってくるとかでもなかった
そんなの全然わかんなかったと思うのに、ユノさんはなにかを感じ取っていたって事?
それとも………
枕を抱いてぼんやりとしていると、不意にインターホンが鳴った
……こんな朝早くから誰だろう
そんな疑問を抱きつつ玄関に向かうと、ガチャガチャと鍵を回す音が聞こえた
………まさか?
ガチャリと音を立てて扉が開くと同時に飛び込んできたのは大好きなアーモンドの瞳
そして僕は息もできないほどにぎゅうぎゅうに抱き締められてしまったんだ
. 君じゃなきゃ意味がない 13
~Cside~
「気づかれてますよ」
「へっ?///」
「先にでましょう」
「あ、おい!!」
僕は呑気にカウンターでラーメンを啜る彼の腕を掴んで外へと連れ出した
勿論正面じゃなくって裏口の方、店主にはこっそりお願いしておいたから大丈夫だろう
まさかU-KMOWがこんな所にいるなんて誰も思いつかないだろう、が……
身に纏うオーラは隠しきれるもんじゃない
僕が気付くくらいだから世間の女性達が気づかないわけがない
後少し遅かったら女の子の団体に囲まれていたかもしれないのに
咄嗟の自分の行動を褒めてやりたいと思うよ
しかもこんなに短い時間で!!
「ちょ!!待てって!!おい!!」
「ここまで来れば大丈夫でしょう、絶妙なタイミングでしたね」
「おまっ、何言ってんだ!?俺はラーメンをだな!!」
「ラーメン食べてる場合ですか!!店の外から覗く女の子達の視線に気付きませんでしたか?」
「へっ?///」
キョトンとするアーモンドの瞳はどこまでも澄んでいて、なんだ、もしかしてこの人……
………ド天然?
「ち、ちゃんとわかるように説明しろっての!!」
腕を組んで怒り始めた彼がなんだか可愛いく思えて、思わず笑ってしまった僕だったんだ
. ユノ社長の憂鬱 20
~Yside~
『ユノさんお疲れ様です、返事遅くなってすいません。ミノと飲んでて今から帰る所です』
そんなメッセージが来たのはコ課長が二杯目のカクテルを頼んだ後だった
暫くはホテルのバーでコ課長と飲んでいたものの、どうにも落ち着かなくてすぐに部屋に戻ってきた
シャワーでも浴びて寝るとするか、明日は朝一に打ち合わせがあってやっと解放される
君からの返信には気づいていたけど、なんだか悔しくて返事はしないままにしておいた
だってね、俺ばかりが君を好きみたいで
いい歳をしてチャンミンの友人にまでヤキモチを妬いてしまうとか
まったく、かっこ悪いったらないな
そう思いながらも結局放ってはおけなくて、スマホを手に取ると君の名前をタップする
ワンコールでたのは待っていたから?
俺のこと、少しは考えてくれたのか?
『ユノさん!!あの!!///』
「ん、お疲れ様」
『お、お疲れ様です、あの僕、メッセージに気付かなくて、その……ごめんなさい///』
「いや、いいんだ、もう帰ってきたの?」
『あ、はい!!今、シャワー浴びようかって思ってて』
電話の向こうで慌てる君の姿が目に浮かぶようで思わず口元が緩む
やっぱり君の声を聞くと安心するよ……
『ユ、ユノさん?あの………コ課長は?』
「ああ、さっきバーで別れたよ、だから今は1人だ」
『そ、ですか……///』
そんな、ほっとしたような君の声に、くだらない事で腹を立てている自分が嫌になる
ああ、お互いに考えてることは一緒、だな
「早く会いたい」
『ぼ、僕も……です///』
それからお互いに今日あったことを話して、やっと落ち着いて眠ることができた俺だったんだ
. 君じゃなきゃ意味がない 12
~Yside~
「へい、おまちどう!!」
「おっ、うまそう!!」
「兄ちゃん久しぶりだな、チャーシューおまけしとくよ」
「おやっさんサンキュー」
すっげえ久しぶりにきた馴染みのラーメン屋、練習生の頃通いつめた味は今も変わってない
デビューしてからは宿舎も引っ越してしまったから、あんまり来れなくなってしまったけど
やっぱここのラーメンは美味い!!
今日はリハーサルも一発で上手くいったし、なんだかここに来たい気分だったんだ
初心に戻る、ってやつかな?
熱々のラーメンを夢中で啜っていると、ふとカウンターの向こうからの目線に気がついた
あ、あれって……まさかシム・チャンミン?
明るくて短めの髪、ガタイが良さそうなのにほっそりとしたシルエット
そしてなによりバンビみたいなでっかい目!!
あいつ、なんでこんな所に………?
友達らしき奴が隣で必死に喋っているのに、目線だけはこっちを見ていて落ち着かないったらない
なんだよ、俺がラーメン食べに来ちゃいけないのかよ!!
連れの奴がトイレに行った隙に席を立ったそいつはゆっくりと俺に近づいてくる
やたらと真剣な表情に俺の方がドキドキとしちまって………
「気づかれてますよ」
「へっ?///」
「先にでましょう」
「あ、おい!!」
そいつはカウンターに札を何枚か置くと、俺の腕を掴んで外へと連れ出したんだ
. ユノ社長の憂鬱 19
~Cside~
「で、ズバリ、付き合ってるんでしょ?」
「えっ?///」
突然のミノの言葉にフリーズしてしまう僕
つ、付き合ってるって……なんで知って……!?
「ぼ、僕は別に社長とは……!!///」
「ぷっ、先輩ってばわかりやすすぎ」
「………へっ?あ!!///」
やばい!!まんまとミノにのせられてつい口を滑らせてしまった!!
僕ってば余計な事を………!!///
動揺する僕を眺めてクスクスと笑うミノ、ああ、もう万事休すじゃないか………
「別に責めてるわけじゃありませんよ」
「あ、あの///」
「ただ、出遅れたなって思っただけなんです」
「……ミノ?」
「で、さっきからスマホの通知凄いですよ?(笑)」
「えっ?あ!!///」
ミノに言われてスマホに目をやると、画面いっぱいに広がる何件ものメッセージ
ユノさん?いや、別の人からも………?
『お互いに素敵な夜を過ごしましょう』
そんなコ課長からのメッセージに、思わずフリーズしてしまう僕だったんだ
. 君じゃなきゃ意味がない 11
~Cside~
「で、どうだったの?」
「な、何がだよ///」
「またまた~めでたくトレーナー就任したじゃん」
「あ、うん///」
ニヤニヤとしながら僕の顔を覗き込むキュヒョンから慌てて目を逸らす
ツアースタッフの顔合わせが終わって、その……噂の彼にも挨拶ができたし
今日は身になる一日だったと思うんだ、うん///
初めてU-KNOWに触ることもできたし
リハーサルも見ることができたし
あの体幹を支える筋肉は素晴らしいものだった!!
つい緩んでしまう口元を誤魔化すようにビールを流し込む
今日は親友であり悪友でもあるキュヒョンとラーメンを食べに来た
最近見つけた家の近くのラーメン屋、カウンターしかない小さな店だけどとっても美味しいんだ
路地裏の小さなお店だから知る人ぞ知るって感じだし、お客さんも常連さんが多い感じがする
オーナーのおじさんもいい人だし!!
キュヒョンとは同じマンションに住んでいるから、事あるごとにご飯を食べに行ったり飲みに行ったり
趣味も合うから一緒にいて楽なんだよね
「ああ~俺も有名人に会いたい!!」
「ぷっ、なんだよそれ」
「ま、できたら可愛い女の子とかがいいけどさ、周りは加齢臭プンプンのおっさんばかりだよ~」
はあ、と大袈裟に溜息をつくキュヒョン、いつだって馬鹿な事ばかり言ってて本当に面白い
確かにトレーナーって仕事は有名人と会えることも多いけど、そんなに仲良くなれるわけでもないのに……
餃子を摘みつつビールを流し込んでいると、ガラリと入口の扉が開いて誰かが中を覗き込んだ
その人はキョロキョロと店内を見回してからそろりと中へと入ってきた
………あれ?あのニット帽
「ちょ、チャンミン聞いてんの?」
「へ?ああ、うん」
やけにスタイルのいいその人につい目を奪われて、キュヒョンの話が全然耳に入ってこない僕だったんだ
. ユノ社長の憂鬱 18
~Yside~
『仕事が終わってホテルに戻ったよ』
そんなメッセージを送ったのはもう1時間ほど前になるだろうか
取引先との会食を終えてホテルへと戻ったものの、なんだか落ち着かなくて1人最上階のバーへとやってきた
落ち着いた雰囲気の店内には心地の良いジャズが流れていて、疲れた体を癒してくれる
一向に返事がないのはやはり出かけているから?
久しぶりに後輩と飲みに行くという君にまだヤキモキとしているとか
………俺ってこんなにも小さな男だったのか
恋愛をしてこなかったわけじゃない
だが、仕事にかまけてばかりだったからこういうのは不慣れなのかもしれない、な
つれない恋人のことばかり考えて沈んでいるとか、この歳になってこんな風になるとは……
「社長、ここにいらしたのね?」
「コ課長」
「ご一緒しても?」
「ああ、勿論だよ」
にっこりと笑って俺の隣に座るコ課長、まさか断るわけにもいかない、よな
「連絡がないんですか?」
「え?」
「ふふ、顔に書いてますよ」
「いや……」
クスクスと笑う彼女に思わず苦笑いする、なんともバツの悪い状況じゃないか
「ご心配なく、起爆剤を投下しておきましたから」
「え?」
そう言って何故か楽しそうに笑う彼女を見つめながら、小さく溜息をつく俺だったんだ