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. そばにいて、愛しい人 8
~Yside~
「で、どうした風の吹きまわしなんだ?」
「何がだよ」
「うちの新人だよ、シム・チャンミン」
そう言って俺の背中をバシバシと叩くシウォンを睨み返す
そう、今日は仕事終わりに親友のシウォンと飲みに来てるってわけ
うちの近くに出来た小洒落たワインバー
俺もそこまで強くはないが多少なりとも嗜む方だし 、酒好きな親友にはもってこいかと思ったから連れてきてやったのに
開口一番その事とは(笑)
ま、突っ込まれるかとは思ったけどね
シウォンとは学生時代からの付き合いで、一時は同じ職場で勤めていたが
俺が思い切って独立したのが2年ほど前のこと
うちのマンションの一室から始めたデザイン会社、まだまだ足りないことは多い苦労ばかりだけれど
コイツには本当に世話になっている
「いや、お前が他人に興味を示したのはいいことだよ」
「ったく、何の心配だよ」
「あれえ?結構本気だぜ」
「ふふ、気持ちだけ受け取っとくよ」
何故か得意げに俺を見つめるシウォンを軽く睨んで、グラスのの向こうに思い浮かぶバンビアイに思いを馳せる俺だったんだ
. チャラい奴には敵わない 11
~Cside~
「チャンドラ、ウチ来ない?」
「……え?///」
「もっといいことシよ?」
咄嗟に頷いてしまったのは自分に驚いてしまった
勿論酔った勢いもあるとは思う
でも、まさかこんな素直になってしまうとか、人生ってほんとわかんないもんだ
「チャンドラ眠い?」
「……少し」
「着くまで寝てていいよ、起こしてあげる」
「うん///」
タクシーの中で繋がれた手、僕の手より少し冷たいユノの手が心地よくてぎゅっと握り返す
コイツのペースに振り回されるのは癪に触るけど、好きになっちゃったんだから仕方ない
ふわふわしたままの僕は、ユノに抱えられるようにして部屋へ運ばれて
ああ、なんて心地いいんだろう……なんて
「好きだよチャンドラ」
「……///」
「ね、チャンドラは俺のこと好き?」
「………好き///」
「ふふ、やっと聞けた」
僕の上に覆いかぶさったまま子供みたいに笑うユノが可愛くて、初めて僕からキスをしたんだ
. そばにいて、愛しい人 7
~Cside~
「あれ?そのコーヒーどうしたの?」
「あ、えっとチョンさんから頂いたんです、すいません仕事中に」
「いや、それは構わないけど、ユノの奴が?」
「へ?///」
「ああ、ユノってのはチョンさんの事だよ、へぇ、珍しいな」
手に持ったコーヒーをマジマジと眺めながらしきりに感心するチェチーフ
良かった、怒られたわけじゃなかったんだ……
チョンさんのいるカフェに書類を持って行って、暫くそこで待っていたら、チョンさんがコーヒーを頼んでくれたんだよね
で、でも、そこでゆっくりとできるような身分でもないし、そそくさとその場を去ってしまったものの
飲みかけのコーヒーは持って帰ってきちゃったんだ///
サングラスこそ外さなかったけど、優しい表情は見て取れたし
きっと、良い人なんだって思う///
まだドキドキする心臓を抑えようと深呼吸をするる僕
初めて会ったのにこんなに印象的なのは初めてかも///
「ま、気に入られたって事だな」
「へっ?///」
「あいつ面食いだからな~ユノの担当はシム君に決定だな!!」
「は、はあ///」
僕の肩をバシバシと叩きながらウンウンと頷くチェチーフに、苦笑いしてしまう僕だったんだ
. チャラい奴には敵わない 10
~Yside~
「……んっ……ふっ……んん///」
深くなるキスに悩ましげに身を捩る君
息継ぎがうまくできないのか苦しげに眉を寄せる姿にすら煽られるとか
いくら酔ってるからって外でキスとか、きっとまた怒り出すと思ったのに
予想外に服の裾をキュッと掴むから止まらなくなる
ああ、服の上からでもわかるお互いの熱はもう弾けんばかりに膨らんで……
「チャンドラ可愛い」
「………か、可愛くなんて……あっ///」
「シたくなった?」
「!!!!は、離せって……///」
「無理、止まんない」
「ちょ……ユノ…んっ……ふぅ…んっ///」
そんなに可愛く抗議したって無駄だよ?
だって君はもう既に俺のものだから………
「チャンドラ、ウチ来ない?」
「……え?///」
「もっといいことシよ?」
俺の言葉に小さく頷く君の手を引いて、攫うようにタクシーへと滑り込んだんだ
. そばにいて、愛しい人 6
~Yside~
「じゃ、僕はこれで」
「ああ、ご苦労様」
「は、はい!!失礼します!!///」
ペコリと頭を下げてその場を立ち去る後ろ姿をしばし見送る
緊張していたのか随分と硬い表情だったけど、最後には打ち解けてくれた感じ、かな
シウォンの所に新人が入るのは珍しいことじゃない
あそこは入れ替わりが激しくて、仕事についていけないやつはガンガン辞めていくから
さて、いつまで続くことやら……
職業柄人の名前を覚えるのは得意な方だが、あれほどの美人ならば忘れたくても忘れられないというもの
スラリとしたモデルばりのプロポーションに、艶々の肌
そして何より大きくて意志の強そうなバンビアイとか
長い睫毛、とか……
あまり他人に興味を持たない俺がここまで唆られるとは
「面白くなりそうだ」
俺は空に向かって伸びを一つすると、もう一度パソコンの画面に目線を移したんだ
. チャラい奴には敵わない 9
~Cside~
「チャンドラ、飯食ったら外歩こうか」
「え?あ……うん///」
食事の後川沿いの道を二人並んで歩く、こういうのってなんだか緊張しちゃう
だって周りを見渡せばカップルばかりだし!!
そういう僕らも恋人同士であったりするわけだけど、でも………
「チャンドラ、腹一杯になった?」
「え?あ、うん///」
「今度は何考えてんの?」
「べ、別に///」
「そう?じゃあこっちおいでよ」
「わ///」
不意に引き寄せられてふらつく僕を優しく包み込むアーモンドの瞳
いくら夜だっていっても街灯だってついてるし、そこそこ視界もいいはずなのに
抵抗できないのは、なぜ?///
ズルズルと引き摺られるように木の陰に連れていかれて、期待に胸が高鳴ってしまうとか!!
「チャンドラ、キスしたい」
「……ダメ///」
「なんで?」
「だ、だって外だし、その///」
「もう黙って」
「………んっ///」
木に押し付けられるように腕を掴まれて、赤い唇が落ちてくるのをただ見つめることしかできなかったんだ
. そばにいて、愛しい人 5
~Cside~
「あ、あの、失礼ですがチョンさんでしょうか?」
「……そうだけど君は?」
「あ!!ミラーズ印刷から来たシムと言います、あの、シウォンさんから書類を……」
「ああ、シウォンのとこの新人か」
「あ、はい!!」
ドキドキとしながら声をかけてみたけど、思ったより優しい声に少し心が和む
見かけは随分強面っていうか、誰も寄せ付けない雰囲気だけど
身のこなしとか所作とかはとても上品に感じられるし、座ってるだけでもスタイルの良さがわかる
この人ってもしかして超絶にイケメンなんじゃ……
そんな事を思いながら向かいの席に座ると、僕はいそいそと書類を差し出した
ってか、届けに来ただけじゃないのか!!
こんなとこに座ってちゃ……
「うん、いいね」
「……へっ?」
「誰が揃えてくれたの?もしかして君が?」
「あ、えっと///」
サングラスの向こうから覗く瞳があまりにも優しく思えて、何も言えなくなってしまう僕だったんだ
. チャラい奴には敵わない 8
~Yside~
『んふ、今日は脱がせてもいい?』
余裕たっぷりに見せておいて本当は結構ギリギリだったりするのに
君って全くわかってない(笑)
グラス片手にそっぽを向いてしまう君が可愛くて、ついからかってしまうとか
……俺って本当に君にやられてる
ここを選んだのは君が喜びそうだと思ったから、なんせ新米の恋人は気難しいから
雰囲気に弱いのも知ってるし、クールに見えて実は優しいのも知ってる
そろそろ俺も限界なんだってわからせてやらなきゃ、ね
「ん、美味しい!!」
「だろ?俺の見立ては間違いない」
「よく言うよ、どの口?」
「ん?この口」
「ふふ///」
俺の言葉にふわりと笑う君、ああ、このまま連れ去って奪ってしまいたい
いやいや、焦るなチョン・ユンホ
ここはやんわりと、そして確実に………
「チャンドラ、飯食ったら外歩こうか」
「え?あ……うん///」
伏せた睫毛から覗く濡れたバンビアイに、緩む口元が抑えきれない俺だったんだ
. そばにいて、愛しい人 4
~Cside~
「えっと、この先にあるカフェでいいんだよね?」
チーフから預かった書類を持って初めてのおつかいならぬ、初めての外周り
こういうのって外周りとか言うんだろうか……
あまりに急に言われたもんだから戸惑ってしまったけど、書類を届けるだけだからって笑顔で言われちゃって
道に迷わないようにしなきゃとか、あまり遅くならないように戻らなきゃ、とか
会社を出る前から緊張しまくってる(笑)
チーフから聞いた人の名前は確かチョンさんとか言ったっけ
なんでもうちの専属のデザイナーで、自分で事務所を構えて仕事をしているとか
チーフの大学の同期で部署のみんなは知ってるからあんな風に電話がかかってくるらしい
それならそれで言っておいて欲しかった、かな
随分ぶっきらぼうな感じだったし、怖い人だったらどうしようってドキドキしてしまう
なんたって人一倍人見知りなんだから!!
「あ、ここ、かな?」
目的のカフェの前に着いたのはいいけど入り口がわからない
これってどこから入るんだろう、店の中は見えてるっていうのに……
あ……もしかしてあの人?
確か白いシャツにサングラス、ノートパソコンを広げて肩肘をつく男性の姿
うん、きっとそうだ、チーフから聞いた通りの身なりだし!!
僕はごくんと唾を飲み込むと、テラス席に座るその男性の元へゆっくりと向かったんだ
. チャラい奴には敵わない 7
~Cside~
「う、わあ///」
「な、すげーいいだろ?さ、席につこう」
「う、うん///」
ユノが連れてきてくれたのは川沿いにあるお洒落なレストラン
ピアノの音が静かに流れていて、各々のテーブルには赤いバラが飾られている
ニッコリと笑って僕の手を引くユノは震えるくらいカッコよくて
ああ、せめて私服で来ればよかった、なんて今更後悔してしまうよ///
「どう?気に入った?」
「あ、うん///」
「それにしては浮かない顔だな、どうした?」
「あ、いや………僕だけビジネススーツで浮いてないかなって///」
僕の言葉にキョトンとするユノから眼を逸らす、だってこんな所には僕なんかより綺麗な女の人の方が良い気がするもの……
自分で思った事に酷く落ち込んじゃって、ああ、なんだか泣いてしまいそう
「チャンドラ」
「………///」
「何を着てたってチャンドラは世界一綺麗だ」
「……ユノ///」
「ま、何も着てないのが一番だけどな」
「なっ!!!!///」
「んふ、今日は脱がせてもいい?」
極上の笑顔でとんでもないことを言い出すこのチャラいやつに、やっぱり溜息しかでない僕だったんだ