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. チャンスニの憂鬱 後編
~Cside~
「チャンスニったら暴力はダメよ、仮にもお客様なんですもの、いくらふざけてたって、ね、ほら、力だって普通の女の子よりはあるんだから~」
チョン・ユンホにアッパーカットを食らわして、僕はトゥギママにたっぷりとお説教を食らった
当の本人は顎を赤く腫らしていたが、たまたま当たったんだとママに言ってくれて、その……僕を庇ってくれたみたいで/////
…ちょっと悪かったなって思ってしまった
そしてチョン・ユンホはその日を境に度々店を訪れるようになった、しかもいつも薔薇の花束をかかえて…/////
そういやこいつんち金持ちだったな…
いや、いま思えばあの幼稚園はこいつだけじゃなくて、各界の著名人や、どこぞの金持ちの子息が通うところだったっけ
転勤族だったうちの親が仕方なく僕を通わせていただけで、小学校に上がる前には引っ越してしまったけど
「なあ、チャンスニ…いや、チャンミン、今日こそは連絡先を教えてくれよ~」
「…やだ」
「チャンミン~」
なんでこいつが僕にこんなに構うのか全く意味がわからない、幼稚園の頃から凄いモテぶりだったし、今だって超絶にイケメンなのに
チョン・ユンホの周りにはいつだって男の子も女の子も蟻のように群がっていて、人気者だったし僕も……ち、ちょっとは憧れていたんだ
でも、いつもちょっかいかけてきては意地悪をされていたから、僕はてっきり嫌われているんだって思ってた
……なのに何なんだよ!!/////
水割りをグルグルと作りながら睨みつけてやると、にっこりと笑って側へとにじり寄ってくる
「何が目的なんだ?」
「…へっ?」
「ここに通う理由だよ!!」
「好きだから」
「…はっ!?/////」
「シム・チャンミン、君が好きだからだよ」
「はああああああああっ!?/////」
「なんだよ今更~気付いてなかったの?マジで!?」
大袈裟に手振りまでつけてがっくりと肩を落とすチョン・ユンホ、ううっと泣く振りまでしちゃって、全く勘弁してくれよ
「だ、だって!!/////」
俯いたままチラリと見える頬には涙……じゃなくて水割りでペタペタと濡らしてる!?
……っておい!!!!
「……あんたの目からは水割りが出んのか」
「へへ♡ま、そういう訳で俺と付き合って?ね、チャンミン♡……フゴッ!!」
またもや頭に血が上った僕は、迫り来るチョン・ユンホのお腹にパンチをお見舞いしてしまったのだった
. 好きになってもいいですか? 41
~Yside~
ボアのことを気にして店を飛び出してしまった君、こんなことを考えるって知ったらきっと怒るかもしれないけど
俺を思っての涙とか、心の声とか…君の気持ちを痛いほどに感じてしまって幸せだ、なんて
「……んっ……あ…んん…/////」
キスの合間、やっぱり息継ぎがうまく出来ないのか苦しげに声を漏らし、絡めた指に力が篭る
シャツから覗く桜色の肌とか、長い睫毛に浮かぶ涙の雫とか、自分を抑えられるかちょっと自信ないな
ゆっくりと唇を離すと、不安げに瞳を揺らすから顔中にキスの雨を降らせてやった
「…っ!!ユ、ユノさんっ……/////」
擽ったそうに身を捩る君が愛おしい
ねえ、気付いてない?少し触れただけで跳ねる体が、全身で俺を好きって言ってること
大きな耳の淵をペロリと舐めて、一気に舌を挿し入れると、君は体を震わせて甘い声を上げた
「………や……耳ダメ/////」
「ん、ダメなの?」
「…なんか……おかしくなっ……あっ……」
「そのまま感じて?」
「…あっ……あぁん/////」
耳から首筋へと舌を這わせ、シャツのボタンを片手で外し肌を露わにしていく
艶やかな素肌へと指を滑らせて、控えめに主張する突起をつるりと撫でた
「……あ!!ま、待って……/////」
「ん?嫌だった?」
「…い、嫌じゃない……けど、その/////」
「言ってごらん?」
「…シ、シャワーも浴びてないし……あの……それに…お…/////」
「…お?」
「……お、お腹が鳴っちゃいそう/////」
「…へっ?」
真っ赤になって目をぎゅっと瞑る君の言葉がすぐに理解出来ずフリーズした瞬間
ぐうきゅるるるるるるる
目の前にあるペッタンコのお腹が、盛大に音を鳴らして空腹を告げたんだ
. チャンスニの憂鬱 中編
~Cside~
『シム・チャンミン、やっと見つけたよ』
手をぎゅっと握られて、熱い眼差しで僕を見つめるこの男!!こいつは一体……!?
「……あ、あの?」
「誰だかわからない?」
「…い、以前にお会いした事が?」
2人の距離はググッと縮まり、僕はジリジリとソファのコーナーへと追いやられる
だって名前もまだ聞いてないのに誰だかわかるわけないじゃんか!!
いつまでも思い出せない僕を見て、その人は悲しそうにアーモンドの瞳を曇らせる
……なんだか僕が悪いみたい
あれ……?でも、このアーモンドの瞳、どこかで?
『おまえほんとおんなみたいだな、ちんちんついてんのか?』
幼い頃の忌まわしい記憶がチラリと蘇る、まさか、こいつって!!
「……ま、まさかお前っ……チョン・ユンホ!?」
「思い出してくれたのか!?嬉しいよチャンミン~どれだけ会いたかったか!!」
「…なっ!!離せっ!!/////」
握った手をグッと引かれてぎゅうぎゅうと抱きしめられる、なんて馬鹿力なんだ!!
幼稚園でいつもちょっかいかけてくるこいつが大の苦手で、僕は毎日こいつから逃げ回っていた
そして僕の幼い記憶から消し去りたい出来事ナンバーワン、あれは確か水遊びをしていた時だった
『ほんとうにおとこか、おれがかくにんしてやる』
『『キャーーいやーー!!/////』』
園内に響き渡る女の子達の悲鳴、僕は皆んなの前で盛大にパンツをずらされて、醜態を晒すハメになったんだ!!
……あの時の屈辱を忘れるはずがない!!/////
どうにか体を引き剥がし、目を合わせるとにっこりと満面の笑みで僕を見つめるチョン・ユンホ
「元気そうで安心したよ……で、今はちんちん付いてんのか?」
「!!!!/////」
バコンと鈍い音を立てて音を立ててチョンユンホが裏返る、僕は頭に血が上り、綺麗にアッパーカットをお見舞いしてしまったんだ
. 好きになってもいいですか? 40
~Cside~
『キスしたくて堪らない』
そんなこと言われたらまた胸がキュウッてなってしまうのに…
外で突然キスされたのはびっくりしたけど、きっと僕が嬉しかったのは直ぐにバレてしまって
……やっぱり悔しい/////
慌てて体を離すと鞄を探って鍵を見つけ出し、ドキドキと高鳴る胸を抑えてユノさんを部屋へと案内した
昨日掃除しておいて良かった、まさか急にユノさんがうちに来ることになるなんて
「すいません、お茶しかなくて」
「君の入れてくれたものなら何でも美味しいよ」
にっこり笑ってそんなキザなセリフとか……この人ってもう/////
店に来たボアさんはミノさんのお姉さんで、外国を渡り歩いて気ままに暮らす自由な人らしい
ユノさんとミノさんの家は隣同士で、幼い頃から兄妹のように育ってきて、幼馴染で同級生の2人をご両親が微笑ましく思って婚約者だ、なんて言っていたんだって
そういえばミノさんの弟さんにはまだちゃんと会ったことなかったっけ…
従兄弟同士だし、実際にそんな風に思った事はないってユノさんはハッキリ言ってくれたけど
…あのボアさんて人ってもしかして?
「もしかして何?」
「……っ!!ま、また!!/////」
「ん、ごめん、心の声が大きいからつい聞こえてしまうんだ」
……お、大きい!?/////心の声にそんなのあるの!?
「……いや、俺が君に集中し過ぎてるのかもしれないな」
「……ユノさん…/////」
目を細めて笑うあなたの顔が段々と近づいてきて、僕は思わず目を見張ってしまったけど、キスされるんだって分かって、ゆっくりと目を閉じた
最初は何度か啄むように、次はペロリと唇を舐められて、驚いてシャツを掴むとくるりと視界が反転した
……わっ!!な、何!?/////
気付けば真上にユノさんの顔があって、見たこともないほど色っぽいアーモンドアイが僕を見下ろしていて
「ちゃんと息継ぎして?」
愛おしそうに見つめるあなたの視線が眩しくて、合わさった手の温もりを感じながら……僕は二度目の大人のキスをしたんだ
. チャンスニの憂鬱 前編
~Cside~
店の開店前、真っ赤なドレスを翻しカウンターに座ると僕はゆっくりと目を閉じた
すう、と息を吸って今日の接客のシュミレーションを脳内で行う
……よし!!
目を開けた瞬間僕は別人へと生まれ変わるんだ
「チャンスニ?もう時間よ」
「はい、ママ」
カツンとヒールの音を立てて歩き出す、さあ、今から僕の1日が始まるんだ
「いらっしゃいませ!!」
そう、ここはオカマバー『MIROTIC』、僕はここで働く所謂職業オカマってやつで、職を失って街を彷徨っていたとき、ここのママに拾ってもらったんだ
「トゥギママ、シャンパン1本入ります♡」
「あら、チャンスニ、今日も絶好調じゃない?」
「そんな…ママのお陰です」
「まあ、上手になったこと、さあ、そっちもいいけど新規のお客様があなたをご指名なの」
……新規の方が?僕みたいな新米を…珍しい
ボトルを持って移動するときチラリと見えた真っ黒なスーツ、僕に負けないくらいの長身のその人はVIPシートへと案内されていった
「やだ、凄いイケメンだったわよ、チャンスニったらやるわね~」
この店のトップであるヒチョルさんがうっとりとしてほう、と溜息をつく、案内役のテミンが戻ってくるとバックヤードは更に騒然となった
「あの人かっこいいだけじゃなくてとても紳士で優しいの、チップまでほら!!」
「やだ、そんな平らな胸じゃ下まで落ちちゃうでしょ?」
「ヒチョルさんたら!!もう!!/////」
「ほらほら、みんなちゃんとして、お客様がお待ちかねよ!!じゃ、チャンスニ頼むわね?」
「は、はい」
僕はゴクリと唾を呑むと、1つ息を吐いてからVIPルームの扉をノックした
「お待たせしました、チャンスニです」
「ああ、待っていたよ、さあ入って?」
「はい、失礼します/////」
真っ赤なソファにゆったりと座る紳士は思ったよりもずっと若くて、そう、まるで僕と変わらないくらい?
アーモンドの瞳が印象的で、皆んなが騒いでいたのも頷ける…/////
「さあ、こっちへ」
満面の笑みで迎えられ、彼は慣れた手つきで僕を自分の横へと座らせた
席に着いてからも手はぎゅっと握ったまま水割りも作らせてもらえない、ど、どうしてそんなに見つめるんだろう
「……あの?/////」
「ずっと探してた」
「……は?」
「シム・チャンミン、やっと見つけたよ」
「へっ?/////」
店のなかで突然本名で呼ばれ、僕はそのまま固まってしまったんだ
. 好きになってもいいですか? 39
~Cside~
「……は、離してください/////」
後ろから抱き締めて、首筋に顔を埋めれば香る甘い匂い、身を固くして必死に逃げようとするクセに、君の切ない気持ちは切ないほど俺の心に流れ込んでくる
【……離れたくない、もっと抱き締めてほしい…好き……】
「チャンミン、婚約者だなんてデタラメだよ」
「……で、でもっ!!/////」
「親同士が決めた、子供の頃の話だ」
「……え…/////」
「別れるとか考えないで?」
「……/////」
俺の腕をキュッと掴んで、濡れた頬を摺り寄せる君は、まだ不安そうで…
「チャンミン部屋に入れてくれる?」
「……え?/////」
「キスしたくて堪らないから」
「ユ、ユノさん!!/////」
慌てて離れる君は暗闇でも分かるほど顔を真っ赤に染めていて、困ったように眉を下げて俯いてしまう
【……ほんとに婚約者さんじゃなかったの?暇つぶしじゃなかった?】
……ああ、そんなことまで考えさせてしまったんだ
「そんなわけないだろ?こんなに好きなのに」
「……っ!!ま、また!!ズルい……んっ/////」
拗ねたような幼い顔が堪らなく愛おしくて、頬を挟んで少し尖った唇にキスをしたんだ
. 愛をもっと!! ~ペナルティ再び~ 13
~Yside~
やばい、これは堪らない……!!!!
悩し気に髪を振り乱し、俺の上で腰を揺らすドレス姿のシム先輩
コスを脱ぐのはペナルティにならない、なんて、俺の言葉をまともに受けちゃって、大きな瞳を潤ませて顔を歪ませる
背中のファスナーは肌蹴たままに、スリットから細い脚を露わにして、とろとろに俺を溶かしているくせに声だけは必死に抑えちゃって
「……く……はあっ……あっ…/////」
「ほら、ちゃんと掴まって?」
「……ユノ……も…ダメ……/////」
口で言うより興奮してるシム先輩♡やっぱこのペナルティも大成功!!
「朝まで寝かさないよ?」
「……え……ユノ?…ひっ……ああっ!!/////」
それからの俺は止まらなくて、まさに朝までノンストップに先輩を啼かせまくった
もちろん、たっぷり優しく可愛がってあげたから、朦朧としながらも幸せそうな顔しちゃって
これからもずっと俺でいっぱいにしてあげる♡
まだいい返事は貰ってないけど、絶対一緒に暮らしたい、あなたの笑顔や怒った顔が、毎日そばで見られたなら
それが俺の1番の幸せかな、なんて
まだペナルティは残ってるけど、暫くは大人しくしておくか
「チャンミン愛してる」
「……ん…」
俺の腕の中で丸くなる愛しさの塊、つるつるのほっぺにキスをして、そっと眠りについたんだ
. 好きになってもいいですか? 38
~Cside~
『私、ユノの婚約者ボア』
彼女は確かにそう言った、暫くは理解できなくて、『婚約者』ってなんだろうってぐるぐると考えてしまったけど
僕よりずっと華奢な体とか
風に揺れる長い髪とか
堪らず店を飛び出して、エプロンだってつけたまんまで、自転車だって忘れてきちゃって、持ってるのはポケットに入ってたスマホだけ
…しかも電源切れちゃってるし
頬が濡れているのは涙せい?こんなに苦しいのは失恋しちゃったから……?
失恋……
「……ふっ……く…」
そうなんだ、婚約者さんがいたんだ、きっとあの人が帰ってくるまでの恋人とかで、スーツケース持ってたし、きっと海外とか遠くにいて、それまでの暇つぶしにきっと…僕と………
こんなに辛いのに浮かんでくるのはあなたの笑顔ばかりで、胸がぎゅっと締め付けられるのにやっぱり好きで堪らなくて
…やっぱりこんな僕に恋愛とか無理だったんだ
俯いたまま川沿いの道をとぼとぼと歩いて、アパートの前に辿り着くと、鍵がないことに気がついた
…あ、そうだ鞄の中
鞄も持たずに店を飛び出してきたから、家の鍵も当然鞄に入ったままだった、ほんとに僕って何もかもイケてない
…店に戻るのは…いや、だな…
どうしようもなくてその場に立ち尽くしていると、アパートの階段のあたり、ゆらりと揺れる長い影が見えた、誰か……?
「チャンミン!!」
「……ユ、ユノさ……?」
「チャンミン会えてよかった、話を聞いて欲しいんだ」
「い、嫌ですっ…!!」
僕は首を横に振って、来た道を戻ろうとくるりと踵を返した
途端に伸びてくる逞しい腕、僕は背中から包み込まれるように抱き締められてしまう
「……は、離してください/////」
「逃げないって約束してくれたら」
耳元で聞こえるあなたの声は切実で、やっぱり僕の胸はキュウッて音を立ててしまうんだ
. 愛をもっと!! ~ペナルティ再び~ 12
~Yside~
ここの会員制の高級クラブ、都合のいいことに最上階はホテルになっていて、まあ、飲んだ客がそのまま泊まることもあるんだろうけど、俺みたいなペーペーがこれるとこじゃないから
ほんとヒチョルさんに感謝だな…
ここのボーイ達はみんな一様に仮面をつけていて、猫のようにしなやかな動きで俺たちを案内してくれる
大人しくなってしまったシム先輩は、俺の胸に顔を埋めて、真っ赤になった顔を必死で隠しているみたい
ふふ、大きな耳は丸見えなんだけど♡
エレベーターで最上階へと到着すると、まるでスイートルームのような部屋へと案内される
……ペナルティだなんて言いながら、あなたを楽しませることに夢中だなんて、その拗ねた顔が可愛いからやっぱり内緒にしておこう
しがみついたままの身体をそっと剥がしてベッドへと座らせる、少し乱れた髪を耳へとかけて恨めしそうに俺を睨むバンビアイ
ああ、この世で一番綺麗な俺の恋人!!
「……ユノ、もう脱いでもいい?/////」
「ダ~メ♡だってペナルティでしょう?」
「……っ!!////」
「ね、このままシていい?」
「……なっ!!……あっ……/////」
逃げようとする体を引き寄せて、スカートを捲ると素早く下着を剥ぎ取った
呆然とするあなたをそのまま跨らせ、ガチガチになったソレを小さな臀部へとあてがうと、全身に火が灯ったように赤くなる可愛い人
「……欲しくない?」
「……!!/////」
「俺は欲しい、あなたが」
「……ユノ…ズルい……んんっ!!/////」
俺の上で跳ねる体をがっしりと掴んで、逃さないように深くねっとりと口付けたんだ
. 好きになってもいいですか? 37
~Yside~
閉店間際、看板を下げに行ったチャンミンが戻ってこない、不審に思って店の入り口まで見に行くと思いもかけない来客があった
「ボア!?」
「あ、ユノ、久しぶり~」
「久しぶりじゃない、なんでこんなとこにいるんだ?」
「あら、冷たいのね、折角先に会いに来てあげたのに」
ブーブーと文句を垂れるボア、こいつって本当に変わらないな、何時だって勝手な奴なんだ
横にいたチャンミンは俯いたまま看板を中へと入れるところだった
…様子がおかしい?
「チャンミン?」
「……あ、あのっ…僕、今日用事あったんで…ラーメンはまた今度…お、お疲れさまですっ!!」
慌てて帰ろうとするから細い腕を掴んで引き止める、急にどうしたっていうんだ
【……婚約者さんがいたなんて、知らなかった…早くここから逃げ出したい…】
「こ、婚約者!?」
「……やだ、僕の心見ないでっ…!!」
足元にポタポタと涙の雫が溢れる、チャンミンは俺の腕を振りほどくと、エプロンもつけたまま裏口から出て行ってしまった
…早く追いかけないと!!
急いで扉に鍵をかけようと入り口に向かうと、ボアが不機嫌そうに腕を組んで俺を睨みつけていた
「…私は放置なワケ?」
「お前チャンミンに何言った?」
「婚約者って言ったわ」
「……っ!!そんな昔の話、とにかく今は帰ってくれ!!」
「ちょっと!!ユノ!!」
まだ何か言おうとするボアを無視して、俺は店の鍵を閉めるとチャンミンの家へと向かった
鞄だって置きっ放しだし、上着もそのまま
君の悲しい気持ちが心へと流れ込んで、俺の胸を締め付ける、全くボアの奴!!
俺は大通りに出るとタクシーを拾って、チャンミンのアパートへと車を走らせたんだ