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苺な彼とビールな僕

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. 二人の天使 21
















~Cside~












「うふふ、シウかわいいね、おててぎゅってしてるね~」





「ハルもこんなに小さかったんだよ?大きくなったね」





「うん!!ぼくおおきくなったの!!おにいちゃんだしね!!」











術後の回復を待って、やっと今日我が子をこの手に抱くことができた








ハルがもう一人の天使につけた名前は『シウ』だった



 



どうしてその名前にしようと思ったのかはわからない








ハル曰く彼はお腹にいるときから『シウ』なんだそう(笑)







最初は戸惑っていたユノも、ハルの意見を尊重してその名前にしたんだそう







シウ、漢字では『時宇』と書く







今を生きる人という意味


かけがえのない人生、今を大切に生きて欲しいから



 




とってもいい名前だと思うんだ、うん///








枕の横に寝かせてもらったりしたけど、こうして起き上がって抱っこするのは初めてになる






ふふ、本当に可愛い






ハルとはまた違ったふわふわの髪に、大きな耳は僕に似てる?







眠っているのに顔を胸に摺り寄せてくるのは甘えん坊だからかな








今日もユノに連れられてやってきたハルは、新しい家族をニコニコと眺めてる








手を握りたいみたいでソワソワしてて、我慢してるのが可笑しくて仕方ない








弟のこと、大好きなんだよね!!










「チャンミン、退院の日が決まったぞ、おっ、シウは寝てんのか?」





「うん、さっきまで起きてたんだけどね」





「なんだよ、残念だな~」





「パパ、ハルはおきてるよ~」









しきりに残念だと項垂れるユノの足の間からハルが登場して、大爆笑してしまった僕達だったんだ























. 恋しいのは君の手 9














~Yside~










「で?ここをこうして?」





「そう、あんまり痛かったら動かさない方がいいよ?」





「うーん、難しいなぁ」





「ふふ、じゃあお手本ね、そこに横になって?」









チャンミンの作ってくれた飯を食って、休憩してからのストレッチ






スタジオでシャワーも浴びてきたし、どこを出しても恥ずかしくないから大丈夫!!






チャンミンは容赦なく俺の体を揉み解すから、すぐに気持ち良くなっちゃってそのまま寝てしまうこともしばしば







そうなんだよ、この手がいいんだ!!







俺より随分小さな手な筈なのに、ツボを心得てるっていうか、良いとこばかりを狙ってくる







せめて家でも自分でできれば、なんてレクチャーして貰ったのに






自分の手じゃこんなにも違うものかと変なとこで感心してしまった!!









「ん、良い感じに解れてきた」




「やっぱりチャンミンうまいよな」




「あ、ありがと///」




「そうだ!!俺もチャンミンにやってやるよ、ほら、練習にもなるしさ!!」





「えっ?ちょ……ユノ!?///」









俺の横で油断してるチャンミンの腕を引いてソファへと寝かせてみる







途端に焦って暴れるから背中から覆いかぶさるように抱きしめた







「ユ、ユノ!?///」




「いいから俺に任せろって!!」




「………う、うん///」









不安げに振り返る潤んだ瞳にドキドキとして、思わず視線を逸らす俺だったんだ












































. 二人の天使 20













~Yside~











「あかちゃんかわいいねー」




「ああ、ぐっすり眠ってる」




「まつげながいねーママみたい!!ね!!」








新生児室ですやすやと寝息を立てる俺達の天使、元気で産まれてくれて本当によかった






産まれた時はクシャクシャでわかんなかったが、どうやらうちの次男はチャンミンに似ているらしい







ハルが産まれた時も母子ともに弱っていて、最初のうちは誰に似てるんだかわかんなかった







そういやチャンミンだけは『アーモンドの瞳がユノそっくり』って言っていたっけ







母親ってのは正に神秘、だよな!!








さっき目を覚ましたチャンミンは、息子の顔を見ると安心したのか今はぐっすり眠ってる







ハルがはしゃぎまくって困るから病院内を散策したり、アイスを食べたり






お義母さんは一旦家に帰って行ったし、海外にいたばあちゃんも明日には戻ってくるらしい






また、余計なものを大量に持ってきそうで不安しかない(笑)







「ねえパパ、もうおなまえでよんでいいの?」





「うん?そうだな」





「うふふ~ぼくがはじめてよぶんだね」





「そうだな、ハルがつけたもんな」





「うんっ!!」





「じゃあせいのでパパと一緒に呼んでみるか!!」




「はーい!!」











満面の笑みで片手をあげるハルを抱っこして、新しい家族に改めて挨拶をしたんだ



























. 恋しいのは君の手 8













~Cside~









「チャンミン痛いよ~」




「ユ、ユノが悪いんでしょ?///」




「ちぇっ」




「ほら、冷めちゃうから食べて、ね?」








ホカホカと湯気を立てるテンジャンチゲを目の前にして、プウと膨れる君が可愛くて仕方ない







さっきは急に抱き締められて、その、どうなることかと思ったけど






だって耳まで舐められちゃうし!!



変な声だって出ちゃったし!!///







そりゃ好きだって言って貰えるのは嬉しい、でも、やっぱり素直に喜ぶことは……








「ん、美味い!!」








僕が一人でぐるぐるとしてる間に、観念したのかご飯を食べ始めるユノ






あんなにハフハフしちゃってまるで子供みたい(笑)






「……チャンミン笑ってる」




「えっ?///」




「俺に会えてそんなに嬉しい?」




「なっ!!///」




「俺は嬉しい」









ニコニコと満面の笑みを向けられて慌てて目を逸らす







こ、こういうところ、ちょっぴり苦手だったりする///







そんな赤面しちゃうようなセリフをスラスラと言えるとか……









「な、チャンミン、後で足首見てくんない?」





「へっ?ああ、勿論///」










僕の顔を見て嬉しそうに笑うユノの笑顔に、ドキドキとして目も合わせられない僕だったんだ





















. 二人の天使 19












~Cside~








「あ!!ママおめめあけた!!パパーー!!」








遠くで聞こえるハルの声にゆっくりと目を開く





目に飛び込んでくるのは見慣れぬ天井、いや、ここは僕の入院している部屋





無事に産まれた……の?





「チャンミン!!」




「……ユノ、ね、僕の赤ちゃん」




「ああ、無事に産まれたよ、元気な男の子だ」




「……そっか、良かった///」







僕を愛おしそうに見つめるアーモンドアイ、目尻が赤いのはもしかして泣いてた、とか?






ユノの後ろで母さんも涙ぐんでるし、心配かけちゃったんだ









「ほんとに良かったわ、産声の後手術室が騒然としちゃってハラハラしちゃった」




「そうなんだ、母さん、ありがとう」




「やあね、私何にもしてないわよ~あ!!赤ちゃん連れてきて貰うわね!!」




「あかちゃん、あかちゃん、ハルもいく~」








目頭を押さえながら出て行く母さん、ハルはスキップなんてしちゃって、ここは病院なのに(笑)


 







「さっきまで寝てたから元気いっぱいだよ」




「そっか、長くかかったんだね」




「ああ、まったく気が気じゃなかったよ」




「……ユノ」




「本当にありがとな、俺達の宝物がまた増えた」




「うん///」






僕の手を握るユノの手はひんやりと冷たくて、ああ、きっと緊張していたから







僕の髪を撫でる大きな手に擦り寄ると、愛おしそうに見つめるからドキドキしちゃう///









「チャンミン愛してる」





「ユノ、僕も///」









ゆっくりと近づいてくるユノの頬に手を添えて、僕らは今日一番の甘いキスを交わしたんだ











































. 恋しいのは君の手 7














~Yside~












チャンミンの家に着いてからお互い緊張しちまって







かなり強引にここに来た筈なのに、今更怯んでしまうとか、俺って意外と小心者だったのか








いや、これは多分チャンミン限定








今すぐ抱き締めてキスをして、それからって思うけど、やっぱり恋人になってからじゃないと意味がない







無理強いはしたくない


その笑顔を曇らせたくない


できればずっと笑顔でいて欲しい








そう思うのに赤くなった耳が堪らず可愛くて、背中からそっと腕の中に閉じ込めた








なんだよ、逃げないのかよ、とか、心の中でツッコミを入れながらも首筋の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ







ああ、甘い……








「ユ、ユノ、離し……て?」



「やだ」



「もうすぐ出来るから、ね?」




「チャンミンチャージ中」




「な、何言ってんの……あっ///」








慌てて体を離そうとするから耳をペロリとなめてやった







途端に睨み返すバンビアイ、ああ、好きが溢れて止まんない








「いてっ!!」



「ユ、ユノのバカ!!///」







慌てるあなたが可愛くてそのまま背中に顔を埋めたら、遂には足を踏まれてしまった俺だったんだ







































. 二人の天使 18












~Yside~











忙しなく手術室に出入りする看護師達、予定の時間はとっくに過ぎてるってのにまだ産声は聞こえない






前みたいに緊急な感じはしないものの、いても立ってもいられなくて廊下をウロウロと歩く






イライラしても仕方がないのはわかってる、でも、ただ祈る事しかできない自分が悔しくて






どうか、どうか無事で……!!






……と、お義母さんの膝の上からハルがむくりと起き上がった






ぼうっとしたままあたりをキョロキョロと見回して、なんだまだ寝ぼけてるのか?







「ハル、起きたのか?」




「あ、パパ、あのね、おやくそくがね」






……何?約束がなんだって?






オギャー







ハルが何か言いかけた途端に聞こえたのは元気な産声






う、産まれた、のか?







「ユ、ユンホさん、聞こえたわね」




「は、はい!!」






お義母さんと2人顔を見合わせてホッと胸を撫で下ろす






いや、まだだ!!


チャンミンは、チャンミンは無事なのか!?






「ねぇ、パパってば!!」




「ん、ああ」







膝にじゃれつくハルをぎゅっと抱きしめて、固唾を呑んで手術室の扉が開くのを待っていたんだ





















. 恋しいのは君の手 6














~Cside~









「ユノ、いらっしゃい///」




「ああ、もしかしてチャンミン寝てた?」




「え?……うん、ちょっとうたた寝してた」





「そっか、起こしちまってごめんな?」









そう言って申し訳なさそうに僕を見つめるアーモンドの瞳  







………今日も本当にかっこいい///








いつまでも部屋に入ろうとしないユノの背中を押してソファへと座らせる


 



ふふ、自分から来るって言ったくせに……







それにしてもこんな時間に部屋で2人きりとか、なんだか緊張してしまう








そう思っているのはユノも同じなようで、ソワソワとして所在なさげに視線を泳がせる







「ユノ、お腹空いてない?」




「へっ?///」




「テンジャンチゲ 作ったんだ、食べる?」




「食べる!!」




「ふふ、じゃあ待っててね、すぐあっためる」








落ち着かないのは僕も同じで、いそいそとキッチンへ駆け込むとお鍋に火をかけた







夜は冷えるからこういうのがいいよね







そういや母さんが受験の時に作ってくれたっけ……







「チャンミン」







ぐつぐつと煮立つ鍋を眺めていると不意に耳元で声が響く






あまりの近さに驚いて振り返ると、いつの間にかユノが僕の後ろに立っていて……







「ユノ?///」




「すげ、いい匂い」




「わ///」








不意に抱き締められてユノの腕の中、首筋にかかる吐息に高鳴る胸を抑えきれない僕だったんだ

























































. 二人の天使 17















~Cside~












「あ……れ……ここは?」









ふと目を覚ましたのは草原にある丘のようなところ







そして遠くには湖が見えている……?


ここって?







そうだ、僕はさっき手術室に入ったばかり、なんでこんなところに?



まさか………








以前と同じくペタンとしたお腹にゾッと背筋が寒くなる






僕の赤ちゃん!!








「ママーー!!」




「え?ハ、ハル?」




「まだこんなとこにいたの?はやくはやく!!」








突然現れたハルにグイグイと腕を引かれて歩き出す





草原をわたる風が優しく頬を撫でて、どこからか花の香りが漂ってくる






待って、これって……夢?








「ね、ハル、そんなに急いでどこに行くの?」




「やだなぁ、ママってば忘れちゃったの?おやくそくしてたでしょう?」






………約束?







「もう!!おそくなっちゃったからきっとおこってるよ?」




「おこる?誰が?ね、ハルってば!!」




「あ、いたいたーーー!!」







あ…………!!!!








ハルと一緒に駆け下りた湖のほとりには、白い服を着た小さな子供が嬉しそうに手を振っていたんだ

































. 恋しいのは君の手 5
















~Yside~











『今からそっちに向かうから』









そんなメッセージを送ったのはもう30分も前のこと






まだ帰ってない?


いや、寝てる、のか?




 

 
まあまあな時間になっちまったし、もしかしたからシャワーでも浴びてんのかもしれない
   





シ、シャワーとか!!///






俺は早々にドンヘに別れを告げるとタクシーへと飛び乗った







ネオンの街を通り抜けて向かうのは愛しい人の家!!








いくら会う場所がないからって、こんな時間に家に行くとかちょっと期待してもいいんじゃない?







だって2人きりになれるのに


この腕に抱き締めてキスをして、それ以上の事だって!!








そんなことばかり考えてるうちに、メッセージに既読のつかないままマンションへと到着してしまった!!







流石に合鍵は持ってないから、起きてくんないと困るんだけど………






ゴクリと唾を飲んでインターホンを押してみる






静かなマンションのエントランスに響く音にやけに緊張してしまう







『………はい?』





「チャンミン来たよ、開けて?」





『ユノ?ん、ちょっと待って///』









なんだ今の………寝起きってこと?


すげえ色っぽい!!








エレベーターのボタンを押す手がちょっぴり震えていて、思わず苦笑いする俺だったんだ
























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紫苑☆

Author:紫苑☆
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