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. シークレットサービス 3
~Yside~
「キュヒョン、ハンバーガー…………誰?」
きょとんとこちらを見つめる大きな瞳、長い睫毛がくるんと天を仰いで、なんだとんでもない美人じゃないか……ってあれ?王子って男じゃなかったっけ?
「……チャンミン王子、ですか?」
「そうだけど……あなたは?」
「これは失礼しました、チェシークレットサービスから参りましたチョン・ユンホです」
「チョン?あっ!!もしかして……ユノ?」
声は確かに男の子なのに、何故か白いドレスをずるずると引きずってこちらにやってくる
大きく開いた胸元がやけに色っぽいとか!!////
「わあ、待ってたんだよ~実物はもっとカッコいいんだね!!」
何故か俺の腕に細い腕を絡ませて、にっこりと笑うチャンミン王子!!
「ちょ……あの、王子?」
「シウォンから話は聞いてるよ、今日から僕のこと守ってくれるんでしょう?」
「……は、はあ////」
「よかったあ、せっかく母様の国に来たのにずっとここに居なきゃいけないのかと思ってた」
……な、なんだか雲行きが怪しくなってきたような?(汗)
「あ、あの……王子?」
「早速だけどお腹空いちゃった、ね、ユノ、外に連れてって?」
「……はっ?////」
「あと、このドレス脱ぎたいんだよね、ファスナーおろしてくれる?」
くるりと背中を向けてファスナーを指差す無邪気な笑顔、あまりの展開についていけない俺はそのままフリーズしてしまったんだ
. 健全なる同棲 8
~Yside~
『ぼ、僕、緊張して眠れません/////』
そう言ってたくせに俺の横でスヤスヤと寝息を立てる丸い後頭部
ったく、無邪気な顔しちゃって(笑)
せっかくの休日はばあちゃんからのとんだ贈り物に振り回されて、結局夕方までまともに飯も食えてなくて
『腹減った!!』
ベッドの上で照れ隠しに言ったそんなセリフ、チャンミンはひとしきり笑うと店から持って帰って来た美味そうなサラダとパスタで早めの晩飯を用意してくれた
それから…夕食後はまったりと二人でワインなんて飲んじゃっていい雰囲気だったのに
明後日の月曜は早朝の便で出張に行かなきゃなんないから、このまま……ってわけにもいかなくて
二人して緊張の面持ちでベッドに入ったわけだけど……先に寝ちまうとか
ま………働いて来たんだから当然か
そういやスーツケースにはしっかり荷物が詰めてあったな
いつもなら入んなくてぎゅうぎゅうに詰めて持ってくのに、あんなに隙間が出来るほど綺麗に入るもんなんだ
……いい嫁じゃん
じっと寝顔を見つめるとむにゃむにゃと口を動かして……なんか子供みてぇだな(笑)
寝ぼけてるのかごそごそと手を伸ばしたかと思うと俺のシャツを掴んでキュッと握りしめる
あー、こういうのにグッと来ちまうんだって////
「帰ったら覚悟しとけよ?」
「………ん」
返事みたいな寝言に緩む口元をおさえながら、丸くなった体を抱き寄せてそっと目を瞑ったんだ
. シークレットサービス 2
~Yside~
………シム・チャンミン17歳、SM王国第6王子
SM王国は一夫多妻制、王族に限らず何人もの妻を持つのが主流、当然子供も沢山生まれるわけで
……後継問題も多々ある
王位継承者じゃなくとも命を狙われることもあるってことか、ったく、王族とやらの考えることはわかんねーな
車を走らせながらぼんやりと考える、17歳つったらたらまだ高校生じゃねーか!!
……血を分けた兄弟だってのに気の毒な話だ
ま、とりあえず今日は王子様にご挨拶ってとこかな
最新のセキュリティを兼ね備えた高級マンションの最上階、エレベーターの前に立つ同僚に軽く会釈をしてロックを解除すると部屋の中へと足を踏み入れた
「失礼します、チョン・ユンホただいま到着いたしました」
だだっ広いリビングに響くのは俺の声のみで、しんと静まり返った空間には誰の気配もない
………誰もいねーのか?
「チャンミン王子おられませんか?」
声をかけながら奥へと進むと、寝室とみられる部屋から漏れる軽快なゲーム音
少しだけ開いた扉からのぞいて見ると、なにやら白い人影がもぞもぞと動いているのが見える
「………失礼します、王子?」
「あ~キュヒョン遅いよ~クリアできなかったじゃん、それに僕、お腹すいちゃった、ねぇ、ハンバーガー買って来てくれた?」
……ハ、ハンバーガー?////
無邪気な声で振り返ったその人は、何故か白いドレスを身に纏った世にも可愛い王子様だったんだ
. 健全なる同棲 7
~Cside~
『ちょっと寝心地試してみようか?』
そんな言葉が聞こえてきたと思ったら反転する視界!!
考える隙もなくどさりとベッドに倒れこみ、気付けば僕はユノに組み敷かれていた
………こ、この状況って!?/////
見下ろすアーモンドの瞳はどこまでも澄んでいて、ゆらゆらと揺れながら僕の上に落ちてくる
とても目を合わせてなんていられなくて慌てて視線を逸らすのに、いとも簡単に戻されてしまって
「……お前動揺しすぎ(笑)」
「………////」
「…震えてる、俺が怖い?」
ユノの言葉に胸がチクリと痛くなる、怖い……とかじゃない、不安で仕方ないんだ
こんな僕でユノが満足してくれるのかって……
伝えたいけど言葉にならなくて、じわりと涙が溢れてしまう
「バカ、泣くな」
「……ご、ごめんなさ……////」
「いきなり襲ったりしない、でもさ、もうこんなになってる」
「!!!!////////」
これ以上ないくらいにぴったりと重なった体にユノの熱を押し付けられて頭が沸騰してしまいそう
………僕でこんなにしてくれてるの?////
「…俺、結構我慢してんだぜ?////」
「………ユノ////」
むくりと起き上がったユノは頭をぽりぽりと掻いてバツが悪そうに背中を向ける
……耳、赤くなってる////
「出張から帰ったら、その……連休取れよ」
「………え?////」
「多分離してやれないから、休み1日くらいじゃ足んないからさ////」
そう言って振り向いたユノは悔しいくらい不敵に笑うから、僕は思いっきり枕を投げつけてやったんだ
. シークレットサービス 1
~Yside~
「……と、言うわけでSM王国の王子の警護の件はお前に決まった」
「はっ!!」
「我がチェシークレットサービスの名において完全なる警護をお願いしたい」
「はっ!!」
「ちなみに24時間体制だから、君には王子と同じマンションで過ごしてもらう、あちらの政権の体制が落ち着くまでだ、その辺りは了承してもらえるな?」
ニヤリと笑うチェ社長、ったく、こっちは雇われの身なんだから文句なんて言えねーっつーの!!
俺の名はチョン・ユンホ、チェシークレットサービスに勤務するしがない平社員
ま、警備の腕は一流だけど、どうも揉め事に巻き込まれやすいらしく、あちこち転々としてるところにチェ社長に拾われたってワケ
「今度は女絡みじゃないから大丈夫だろ、なあユノ?(笑)」
「るせっ!!」
「まあまあごてるな、今回は報酬が破格なんだぜ、喜べよ~いい飯食えんぞ?」
「……ったく、四六時中男と一緒なんて」
「終わったらいい女が抱けるぞ、まあ、お前にゃ掃いて捨てるほどいい女が寄ってくんだろーがな」
カラカラと笑って部屋を出て行くチェ・シウォン、社長っていってもおんなじ歳だし、おんなじ学校だったし
ま、くされ縁ってやつだよな(笑)
あいつがひらってくれなきゃ路頭に迷うとこだったし、ここはひとつ真面目に働いとくか
……それにしても今回は珍しい警護になりそうだ
国王が亡くなって後継問題に巻き込まれないように母親の母国に避難とか
第6夫人とかいってたっけ、中東に嫁ぐなんて珍しいパターンだよな
……ま、俺には関係のないことだけど
これから警護をする王子がとんでもなく破天荒なやつだなんて、この時の俺は知る由もなかったんだ
. 健全なる同棲 6
~Yside~
『その………デカイベッドが送られてきた////』
そう伝えた途端フリーズしてしまったチャンミン、見る見る染まる赤い肌に俺まで顔が熱くなっちまうよ!!
「ダ、ダブルベッド、ですか/////」
「……そ、そうだな/////」
「………////」
「………////」
お互い気まずくなって言葉も出てこない、俯いちまったあいつは見たこともない程真っ赤になってるし
「……俺、ソファで寝るわ」
「………えっ!?」
「お前のベッドも持っていかれちまったんだ、だからその……////」
「……////」
「だ、だっていきなりこんなの困るだろ?ったくばあちゃんの奴!!」
ほ、ほんとはちょっと嬉しいプレゼントだったりするけど、こんな急な展開どうかと思うし、絶対こいつも困ってるはずだし!!////
「………こ、困ってないです////」
ぼそりと呟いた奴の言葉に動けなくなる、今なんつった?困ってないとか、それって………もしかして……
「……いいの?////」
一瞬だけ俺の目を見て視線を逸らしてしまったけど、小さく頷いたのは見逃さなかった!!
「チャンミン!!」
「……ユノ?ちょっ……んっ!!////」
堪らず抱き寄せて唇を塞いだ、こういうの愛しさが溢れるって言うんだろうな
「ちょっと寝心地試してみようか?」
「………へっ、へっ?……わわっ!!////」
驚いて瞳をくるくるとさせるお前を縦抱きにして、二人してふわふわのベッドへと飛び込んだんだ
. あなたがいれば 13
~Cside~
……そんなわけで僕はユノさんのその、恋人になった////
だってあんな風に告白されたら誰だって断れるはずないもの
ふわりと抱きしめられて、耳元で甘く囁かれて、胸の奥がジンと熱くなって////
キュヒョンに事の経緯を報告したら
『僕のお陰なんじゃない?感謝しろよ』
なんてちょっと悪い顔で笑われてしまって、まあ、あながち間違いでもないかな(笑)
とはいえこんなに年の離れた人と、しかも相手は男だなんて、ちょっと前途多難な気がするけど
好きって気持ちは本物だから……大丈夫だよね?
イトゥクさんには全部ばれてるみたいで、ちょっと恥ずかしいけど、ユノさんはそんな事は御構い無しに僕に触れてくる
……やっぱり年上だから積極的、とか?
でも、恋愛経験の少ない僕からなんてとても触れられそうもないから丁度いいかな
男同士ってどうするのかわかんないけど、ユノさんに任せておけばいい、よね?////
そんな都合のいいことを考えながら、毎日あなたの帰ってくるのをドキドキとしながら待っている僕なんだ
. 健全なる同棲 5
~Cside~
『ちょっと色々あって、おまえ何時頃帰れる?』
そんなユノからのメッセージを見たのはランチのラストオーダーが終わった頃だった
……仕事中にメッセージとか珍しい、何かあったのかな?気にはなるけど……
「チャンミンどうした?」
「あ、イェソンさん」
「急ぎならもう上がっていいぞ、後は夜の準備だけだし」
こういうときのイェソンさんって本当に気を利かせてくれる、申し訳ないとは思ったけど早めに仕事を上がらせてもらい、帰りぎわ慌ててユノにメッセージを送った
『今から帰ります』
スマホを眺めるけど返信はないし、とりあえず僕はタクシーに飛び乗ってマンションへと急いだ
「……ユノ?」
リビングのソファにぐったりと座るユノ、僕の顔を見ると申し訳なさそうに頭を下げた
「なんか……ごめん!!」
「ど、どうしたんです?」
「……ばあちゃんが、その……/////」
……お祖母様がどうしたんだろう?そういえば何か届くって言ってたっけ
「何か送られてきたんですか?」
「その………そこにある桃とだな」
「……桃?」
確かにテーブルには箱に入った綺麗な桃が並んでいてとっても美味しそうだけど……
ゴホンと咳払いするユノ、なんだか耳も赤くなってる?
「その………デカイベッドが送られてきた////」
「………へ?////」
「ふ、二人で使えってさ!!////」
ユノはおもむろに立ち上がると一つ息を吐いて自分の部屋のドアを開けた
すると中には見たこともないぐらい大きなベッドが、どっかりと部屋の真ん中に置かれていたんだ
. あなたがいれば 12
~Yside~
腕の中に閉じ込めて何度となく口付けると、熱に浮かされたような瞳で見上げるから離せなくなる
「す、好きって…?////」
夢の中にいるような表情で、所在無げに瞳を泳がせる君が可愛くて仕方ない
まだ伝わらない?
何度でも言ってあげる
「ん、好きだよ」
「……でもあの、僕男だし////」
「知ってる」
「と、歳だって全然違うしっ……////」
「関係ない」
「………で、でもっ…あっ////」
一度口にしてしまうと溢れ出てしまうのは仕方のないこと
「バンビ君、恋人になってくれる?」
「………////」
「チャンミン返事は?」
「……はい////」
そう言って俺の胸に顔を埋める君を抱き締めて、二度と離さないと誓ったことは、まだ言わずにおくよ
. 健全なる同棲 4
~Yside~
なんだかんだ仕事をこなしてようやく迎えた週末の朝、ゆっくり寝ていたいけどやっぱり見たくなるのはあいつの笑顔で
そっとキッチンを覗けばカチャカチャと忙しなく動く細いシルエット
土曜も仕事なんだよな………
「あれ?もう起きちゃったんですか?////」.
「ん、また寝る、ちょっとだけ」
「……ちょっ……ユンホさ……/////」
洗い物をする無防備な背中を抱きしめる、そっと首筋に顔を埋めれば耳まで赤く染めてピクンと跳ねるから堪らない
「ユノ!!」
「あ………////」
「ったく、早く慣れろよ?」
「………はい////」
「ちゃんと呼んで?」
「……ユノ////」
「ん、おはよ」
「……お、おはよございます////」
朝からこんな調子でいちゃいちゃしてたら案の定時間がギリギリになっちまって、それでも玄関先で送る時にはいってらっしゃいのキスは欠かせない
「いってきます///」
「ん、気をつけてな」
「…はい、ユノ///」
はにかみながら小さく手を振って出て行く奴の姿を見送って、俺はもう一度ベッドへと戻った
まさかこの1時間後、とんでもない電話で起こされることになるなんて思いもしなかった俺だったんだ