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. 僕はバンビじゃない 9
~Yside~
『は?人を雇った?』
「ああ、雑用が片付かないからな」
『片付かないのはお前のせいじゃないのか、ったく、あんまり部外者入れんなよ』
「まあそう言うなよ、害のない学生だし」
電話の向こうで盛大に溜息をつくイェソンに苦笑いする
ま、あんまりこういう募集の仕方はしないのが通常だから仕方ない
ものは試しと求人を出してみたらこんないい子が来てくれるとか、こういうのを運命っていうのかもしれない、な
『それで、例の件はどうなってる?』
「ああ、それはそろそろカタがつきそうだ」
『ならいい、じゃあくれぐれも漏れないようにしてくれよ』
「わかってるって」
何度も念押しするイェソンとの通話を終えるとスマホをタップする
仕事仲間であり親友でもあるイェソンはこの辺りの情報屋の親玉のようなもので
かといってガラが悪いでもなく、ニコニコとして人当たりもいいから人望も厚い
だからこそチンピラみたいな奴らを纏められるのかもしれないな
俺はといえば表向きは探偵業、裏では……
「チョンさん、すいません///」
「ああ、何?」
「あの、一応一通り作ったので食べてみてくれませんか?気にいるかわかんないし、その///」
事務所と続きになってる俺の部屋からひょっこりと顔を出すバンビ君
用意しておいた水色のエプロンが堪んない
「………あの?///」
「ああ、すぐ行くよ」
俺はノートパソコンを静かに閉じると、緩む口元を隠しながら自分の部屋へと向かったんだ
. 最上級のチャラい奴 15
~Cside~
「チャンミン君、食事も終わったし一緒にサウナでもどうかな?」
「へ?サ、サウナ、ですか?///」
「ああ、うちの自慢のサウナなんだ、まあ、広くはないんだがね、どうだい?裸の付き合いって事で」
テラスから戻ってデザートを頂いてまったりとしているところだった
やっぱり僕の隣を陣取るユノのお父さん、相変わらず距離を詰めてくるからソファの端で縮こまる僕
そう、なぜか僕はここに泊まることになったらしい!!
なんだか色々悪い予感がするのに///
………正直早く家に帰りたいよ
「んなのダメに決まってんだろ?何考えてんだエロオヤジ!!」
お母さんの手伝いをしていたユノがキッチンから戻ると、呆れたようにこちらを睨みつけてくる
お父さんは我知らぬ顔で僕の肩に手を回し、ニコニコとしながらサウナへと誘ってくる!!
ああ、なんだかぐったりとしてきちゃう
「とにかくチャンドラの裸は俺以外は見ちゃダメなの!!行くぞチャンドラ」
「ちょ……ユノ?///」
「二階の客間だろ?少し休もう、な?」
ちょっぴり不機嫌な顔のユノに腕を引かれて、有無を言わさず二階へと連れていかれてしまった僕だったんだ
. 僕はバンビじゃない 8
~Yside~
「さあどうぞ」
「あ、ありがとうございます///」
「家具とか家電とか一揃え揃ってるし、大丈夫とは思うけど、何かあれば言ってくれたら」
「あ、はい………あの、それで仕事の内容なんですけど」
そう言って大きな瞳をくるくるとさせるシム・チャンミン
うん、やっぱり美人だな
目の保養になる
あまりの可愛さについ見惚れてじっと見つめていると、キョトンとして首を傾げるから堪んない
なんだよ、破壊級じゃないか
「………あの?///」
「ああ、悪い、仕事の内容だけど、うちの部屋と事務所の掃除、あとは飯……そうだな、主に晩御飯かな」
「えっと、ビル全体ですか?」
「いや、ビルの清掃は定期的に頼んであるから、君は主に俺の家の世話を頼むよ」
「あ、はい///」
「ま、家政婦みたいなもんだな、大学の合間に作って置いておいてくれたら助かる、なんせ夜も昼もないからさ」
部屋を案内しながら話していると、真面目にメモを取り始めるから思わず笑ってしまった
「な、何かおかしいですか?」
「いや、真面目だなって思ってさ」
「そ、それだけが取り柄なんです!!///」
クスクスと肩を揺らす俺を軽く睨むバンビアイが可愛くて、やっぱり笑ってしまう俺だったんだ
. 最上級のチャラい奴 14
~Yside~
「ほら、早く入って、デザートもあるのにユンホさんたら!!」
「そうだぞユンホ、チャンミン君を独り占めはダメだ、さあこっちへ」
「あ、はい///」
大げさに顔を顰めてチャンミンの手を引く父さん
せっかく庭でチャンドラといい感じになっていたのに呼び戻されて、結局またチャンドラは父さんの隣に連れていかれてしまった
だから!!
それがダメなんだって!!
困っているくせに頬を染めて可愛い顔をするから!!
まったく、無自覚にも程がある、よな
チャンドラ曰く、父さんは俺にそっくりだから見つめられたらドキドキするとか
ほんと気に食わないったら
「まあユンホさん、なんて顔してるの?あなたの大好きなチーズケーキも焼いたわよ」
「ん、ああ」
「久しぶりに会ったのにつれないこと、今夜は泊まって行くでしょう?」
「んーーー」
実はこのまま帰ろうと思っていたのに、痛いところを突かれて思わず言葉に詰まってしまった
早く二人きりになりたいのに……
「久しぶりなんだから、ね!!」
「そう、だな」
にっこりと笑う母さんの圧力に、首を縦に振ることしかできない俺だったんだ
. 僕はバンビじゃない 7
~Cside~
『UKNOW探偵事務所』
貰った名刺をじっとりと見つめて溜息をつく、あれからネットで調べてみたけど出てこなかったんだよね……
怪しげなビルに超絶イケメンの探偵とか、ドラマじゃないのかって思えるほど現実味がない
かといって契約はもう交わしてしまったわけだし、前に住んでたところも引き払ってしまったし
スーツケース片手にまたここへとやってきた!!
『俺の名前はチョン・ユンホ、宜しくな』
そう言って極上の笑顔で微笑むアーモンドの瞳、立ち上がった時はあまりのスタイルの良さにゴクリと唾を飲んでしまった!!
同性を見てドキドキしちゃうとか、ちょっとおかしいかもしれないけど
あまりにミステリアスで興味をそそられちゃって………
この前預かったカードキーでオートロックを解除すると緊張の面持ちでエントランスをくぐった
えっと確か僕の部屋は………
「バンビ君、こっち」
「あ!!こ、こんにちは///」
「何?荷物それだけ?」
「は、はい///」
「じゃあ部屋に案内するよ、着いてきて?」
にっこりと笑う黒スーツのイケメンに、ドキドキしてまともに目も合わせられない僕だったんだ
. 最上級のチャラい奴 13
~Cside~
「………んっ……ユ…ノ……////」
「こら、動くな」
「だ、だって……あっ……ん///」
「ん、もう少し」
キスの合間に離れようとするのに全然離して貰えなくて必死に背中をタップする
だって木に押し付けられて、蕩けるようなキスをたっぷりとされちゃって
どんどん体は熱くなってきちゃうし、このままじゃどうしようもなく流されてしまう
こんな所で誰に見られるかもわかんないのに……
なのにユノの手は容赦なく僕の体を撫で始めていて!!
「ちょっ!!ほんとやめて!!///」
「ええ~?」
「ワイン味のチャンドラ美味いのに」
「なっ!!離せって///」
「イテッ!!チャンドラ痛い~」
遂には僕のお尻を撫で始めた手を思い切り抓ってやる
ほんと何考えてんだか!!///
「やっと普通に戻ったな」
「へっ?///」
「緊張も体も解れて良かったろ?」
そう言ってにっこりと笑うユノに、胸がじんわりと暖かくなる僕だったんだ
. 僕はバンビじゃない 6
~Yside~
……ふふん、シム・チャンミンね
斡旋先からの書類をパラパラと捲ると小さく貼られた写真に目を奪われる
証明写真のくせにこれだけ可憐だとか、実物はどれほどだろうと思っていたが
思った以上に可愛くて驚いた
住み込みのバイトを探していたのは事実だし、もちろん下調べだってさせて貰った
金に困っての宿探し兼バイト探しとか、うちにはうってつけじゃないか!!
ちょうど助手が辞めて困ってたとこだし
何、ほんの雑用をこなしてくれればいいんだ
しかもしっかりと秘密は守れること
真面目で金に困ってること
そして容姿まで俺の好みだとか、即OKに決まってる
仕事仲間にも早々に了承を得て、満を持してのお迎えとか
バンビ君は気づいてないだろうな……
「楽しくなりそうだ」
開かれたページに貼り付けられた生真面目な写真を眺めながら、冷めたコーヒーを飲み干す俺だったんだ
. 最上級のチャラい奴 12
~Yside~
「ちょっとユノ!!痛いってば!!」
「……あ、悪い」
「もう、ほんと力強いんだから///」
そう言ってキッと睨むバンビアイにキュッと胸が音を立てる
そんな、可愛い顔して睨まれてもちっとも怖くないのに
あまりに近すぎるうちの親との距離にイライラしちまって、つい連れ出してしまったけど
他の誰にも抱かない感情が浮かぶのはチャンドラならではのこそ
ったく、どんだけコイツに夢中なんだか……
広めの庭にしっかりと手入れされた木々が揺れて、ああ、昔はここでよくジヘと遊んだな、なんて
「……ユノ?」
「ほんと悪かったな、痛かったか?」
「ん、赤くなってる」
「どれ?見せてみろ」
「ほらここ………んっ///」
細すぎる腕を差し出して手首を指差すからそのまま抱き寄せる
見上げるバンビアイはしっとりと濡れて今にも溢れてしまいそうだ
ああ、このままずっと腕の中に閉じ込めておけたら……
「…………んっ、離して///」
「無理」
「……バカ///」
腕から逃れようとするチャンドラの顎を掬って、浅く開いた唇にねっとりと舌を差し込んだんだ
. 僕はバンビじゃない 5
~Cside~
「は、初めまして、あの……」
「シム・チャンミン、秘密は守れるか?」
「……へっ?///」
「ふふ、これが一番重要事項だ、どう?」
「あ!!だ、大丈夫、です///」
「よし、じゃあ決まりだな」
う……わ///
最初はわかんなかったけど、この人凄いイケメンじゃないか!!
そして反射的に大丈夫って答えてしまった僕、こ、これで本当に良かったんだろうか……
立ち尽くしてしまった僕に優しく微笑むアーモンドアイ、うわわ、顔に熱が集まるのがわかる!!///
「……チャンミンっていうより」
「へっ?///」
「バンビ」
「はっ?///」
「うん、しっくりくるね、今日から君はバンビだ」
「ええ!?///」
「部屋は後日案内する、いつ引っ越してくる?」
両ひじをついて首を傾げたその人は、かっこいいんだけどなんだか可愛くも見えてきて……
「バンビ君?」
「はっ?あ!!い、いつでもっ///」
「そう、じゃあまたここに連絡して、はい、連絡先」
「あ、どうも///」
『UKNOW探偵事務所』
そう言って渡された名刺には、ちょっと胡散臭い会社の名前が書いてあったんだ
. 最上級のチャラい奴 11
~Cside~
にぎにぎにぎにぎにぎにぎにぎにぎ
にっこりと僕を見つめて微笑むユノのお父さん
………ユノにそっくりなアーモンドの瞳///
なんだか恥ずかしくて必死に視線を逸らすのにずっと手を握られて離してもらえない
せっかくのご馳走もロクに食べられず、次々に注がれるワインをチビチビと飲むしかないとか!!
これって軽く拷問のような気がしてきた(泣)
向かい側に座ったユノはじっとりと僕を見つめているし、そんな不機嫌そうにするなら助けてくれればいいと思うのに!!
ああ、悪酔いしてしまいそう……
「ちょっとお父さん、そろそろチャンミンさんを離してあげてよ!!」
「何を言うんだジヘ、コミニュケーションをとってるんじゃないか」
「うちの家のコミニュケーションはちょっと過剰なんだってば!!ほんと昔から変わんないんだから!!ほら、チャンミンさんこっちに座って?」
「あ、はあ///」
今度はジヘさんに腕を引かれてユノのとなりに座らされる
助かった……ちょっと申し訳ないけどやっぱり普通じゃない気がする!!
「チャンドラ飲み過ぎ」
「あ、うん///」
「ちょっと外に行こうか、な?」
「え?あ!!ユ、ユノ!?///」
むっつりとした表情のユノに腕を掴まれて、そのままテラスから庭へと連れ出されてしまったんだ