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. デザートな君 8
~Sside~
これはいったいどうしたことだ、僕は今ユノヒョンと向かい合って軽くツマミを食べながら呑んでいる
ユノヒョンは確かに笑っていて、僕達はなんのたわいもないバカ話をしているハズなのに
なんでこんなに冷や汗がでるんだ!?(泣)
視線の端にはキュヒョニヒョンとチャンミニヒョンがゲームに夢中になっている
そこは問題じゃないんだ、うん
も、問題なのは、コントローラーを上に下に動かしながら必死になっているチャンミニヒョンに絡みつくように抱きついているミノの所為なんじゃないか!?
僕より早くに来ていたミノは、寝不足も手伝ってかいつもより酒の回りが早かったらしく、ここぞとばかりに大好きなチャンミニヒョンに纏わりついている
この部屋の空気が殺気を帯びてきているのは気のせいだろうか
否!!
恐らく限界を超えたであろうユノヒョンの笑顔が消える、スックと立ち上がると僕は小さな声を漏らした
「…神様!!」
~Kside~
さっきから背中に痛いほど刺さる視線、いや、刺さってる本人は全くわかってないんだけど(笑)
恐ろしくて視線の主を振り返ることは出来ない
確かにスホと話をして笑い声も聞こえるというのに、このダイヤモンドブリザード級の極寒な空気はなんなんだ!?
チャンミナに後ろからバックハグと呼ばれる手法でユノヒョンを刺激しまくる酔っ払い星人ミノ!!
頼む、空気読んでくれ(泣)
チャンミナはゲームに夢中でそこまでは気づいてないようだ、早い時間から呑んでるわけだし、多少なりとも酔っているだろうし
気の毒なのはユノヒョンと面と向かってる呑んでるスホだな
ある意味面白いかも(笑)
一人でニヤニヤと考えていると後ろに殺気!!人と思われるものがひらりとソファに投げ飛ばされたんだ
. 空色の調べにのせて 26
~Yside~
ちゅっ…ちゅっ…
深夜の静寂に響く水音、角度を変えて何度も口付けると息苦しさに開く唇、その隙間に舌を差し込むとチャンミンの体がピクンと強張った
…いや、まだ離したくない
綺麗な歯列をなぞり、ゆっくりと舌を探し出し絡め取るように口付けた
「…んっ…はっ…ちゅっ…んっ///…」
苦しそう漏れる声に余計煽られる、俺は止まらない衝動を必死で抑え込んだ
…ちゅっ
音を立てて離れると蕩けた瞳、チャンミンはそっと俺の唇を指でなぞった
「…なんで?///」
「宿題だって言ったよね」
「……///」
溢れそうな瞳はまだ影を落としたまま不安げな表情を浮かべる
「…ほんとはね、ちゃんと自分のことが片付いてから言おうと思ってた」
「…チョンさん?」
「チャンミン、好きだ」
「…え///…あ…んんっ///」
俺はもう一度チャンミンに口付けた、今度は啄むように優しく優しく
「ちゃんと申し込むからもう少し待っててくれる?」
「…あ、あの、チョンさ….//////」
「ユノって呼んで?」
「…ユ…ノ…さん///」
「とりあえず今日はもう寝て、返事は今度でいい」
髪を撫でて額にキスを落とす、そのまま瞼を閉じると程なくすうすうと寝息を立てた
俺のシャツの裾はきゅっと握ったまま
また夢のように思うだろうか…
もうすぐユナとの離婚が成立する、そして大事な話し合いもある、それが終わってからちゃんと告白しようと思ってた
「宿題」だなんて、自分に対する単なる言い訳じゃないのか、そもそも受け入れて貰えるのかもわからないのに?
いや、振り向かせてみせる…!!
「チャンミン逃さないよ」
俺はチャンミンの首筋に強めに口付けて跡を残した
. 恋人はサンタクロース
軽~く読んでください(笑)
ちょいエロです!!
~Cside~
日本でのツアーの合間、打ち合わせを兼ねて都内のレストランでヒョンとマネージャーとで食事を済ませた
『これ、よかったらどうぞ、お店からお二人にクリスマスプレゼントです』
お菓子が入ったサンタクロースの帽子、今日はクリスマスか…
店長と思しき人の粋な計らい、お礼を言って僕らは宿舎へと戻った
帰ってシャワーを浴びると部屋にひょんの姿がなかった、またベランダでアイス?
…寒いのにベランダでアイスとか、ほんと物好きだな
ダイニングテーブルの上にはさっき貰ったお菓子も出しっぱなしだし
まったく何回言っても無駄だな(笑)僕は仕方なくそれを棚にしまった
冷蔵庫からビールを出して一気に飲み干す
「くう~♡」
風呂上がりのこの一杯がたまらない!!
テーブルにビールを置くとベランダから冷たい風が入ってくる
「うう~さぶっ、恋人はサンタクロース♪本当はサンタクロース♪」
サンタクロースの帽子を被ったユノひょんがクリスマスソングを歌いながら入ってきた、なんでそんな格好なの?
「ひょん、風邪引きますよ!!つーかなんでサンタの帽子?」
両手をはあ~っと温めながらこっちにやってくる、嫌な予感!!!
「チャンミナ~♪あっためて♡」
僕は逃げようと背中を向けたところをガッシリと捕まれられてしまった!!
~Yside~
「…ちょっ!!やめろって!!///つめたいっ!!離れろって!!///」
逃げようとするチャンミナを後ろからしっかりと掴まえて脇腹から手を滑り込ませる
「…あっ!!やだっ!!///」
さわさわと体を撫でながら胸の突起をきゅっと摘むと、体をピクピクさせて反応する
冷え切った体を押し付けて、ホカホカと湯気の出そうにあったかいチャンミンの首筋に舌を這わす
「…やっ!!舌まで冷たいって!!このバカひょんっ!!///…あっ…」
ズボンの中に手を忍ばせて、チャンミナの中心をやわやわと揉んだ、それは既に芯を持ちはじめてるじゃないか♡
「ね、手が冷たいと感じる?」
「…なっ!!///…バカか!!…あっ…やっ」
下着ごといっきに脱がせてチャンミナの中心をゆっくりとスライドさせる、自分のスウェットも脱ぎ捨てると形のいい尻に俺自身をあてがった
「ほら、テーブルに手ついて」
「…えっ、ちょっ…!!ひょん!?///」
チャンミナから溢れた蜜と、俺の唾液をソコに塗りつけると一気に進入する、昨日俺を受け入れたソコはまだ柔らかくて、ズブズブと奥へと入っていく
「…やっ…あああっ…///」
ゆっくりと腰を揺らしながら胸の突起をグリグリと弄び、背中に舌を這わせる
「…やっ…ひょん!!///」
「…チャンミナ、メリークリスマス!!」
「…バカ、何…言って…あっ///」
「恋人はサンタクロースだろ?」
どうにか逃れようとする細い腰をガッシリと掴んでパンパンと打ち付ける
「…んあっ///…サ、サンタクロースは恋人を後ろから襲ったりしねーです!!…あ…あっ…////」
わざとゆっくりと腰を動かすと悩ましげに体をくねらせる、明日は休みだ、慌てる必要もない
「今夜は一晩中だな!!」
「はあ!?何….言って…ああっ/////…も…早くその帽子…脱げって」
「やーだ!!恋人はサンタクロースって言ってんだろ?」
呆れた顔で振り返る、ゆっくりと深く腰を揺らしながら耳元で囁いた
「エロいサンタもいいだろ?」
「…ほんと意味わか…な…/////…ああっ…///」
こうして俺たちのクリスマスは更けていく、憎まれ口たたいてもチャンミナはかわいいんだ
「チャンミナ愛してるよ」
「…ひょんのバカ////」
ふふ、俺の勝ち♡今年も一緒にメリークリスマス!!
I pray that is you guys what a great Christmas
. 空色の調べにのせて 25
~Cside~
あ…れ…僕どうしたんだろ、抱きしめられて背中を撫でられて…この腕知ってる、この胸も///
なんだろ、すごく安心する
誰……?
「チャンミン」
「……ん?」
「気が付いたね、気分は?」
…目を開ければ見慣れた天井、ここは僕の部屋?そして僕を覗き込むチョンさん?
…えっ!?//////
「ええええええええっ!?/////////」
ガバッと起き上がると頭がぐらりとする、痛っ…なんだこれ?
「こらこら、熱が下がったところなんだからそんなに急に起きちゃダメだ」
両肩を押されてそっと寝かされる、なんで僕の部屋にチョンさん?え…熱?状況が把握できないんだけど(泣)
そんな僕の様子をじっと見つめる黒目がちな瞳、頭をふわりと撫でられて心臓がドキドキと早鐘を打つ
「道端で具合悪くなってしゃがみこんでたろ?たまたま俺の友達が見つけて店に連れてきたんだよ、で、そこで飲んでた俺が君を家に連れて帰ってきたってわけ」
…あっ、そういえば…わわ!!チョンさんに抱きしめられてたのは夢じゃなかったんだ////
「でも、家…///」
「こないだミノが送ったろ?だからナビの履歴に残ってた、悪いとは思ったけど入らせて貰ったよ、あと…」
チョンさんは頭をポリポリと掻いて視線を逸らす、え?///
「汗をかいてたから着替えさせた、ごめん!」
「えっ!?ええええええええっ!?///」
思わず布団を捲って中を確認する、ほんとだ…!!/////
は、恥ずかしい//////
かああっと顔が赤くなるのがわかった、思わず布団を頭までかぶるとクスクスと笑うチョンさんの声が聞こえる
「とりあえず水飲んで、薬で熱は下がったけど水分摂らなきゃ」
…薬?それも飲ませて貰ったの?全く覚えてないんだけど(泣)
「あ、あのっ…迷惑かけてすいません///」
布団から目だけを出してチョンさんを見つめる、目を丸くしたチョンさんは目を細めて
「迷惑じゃないよ、寧ろ役得」
そっと布団を捲られて、ミネラルウォーターを口に含んでそのまま僕の口へと運んだ
「…んっ///…ゴクッ」
思わず目を瞑った、だって口移しとか/////
「…そんな顔するなよ、止まらなくなるだろ?」
ゆっくりとチョンさんの唇が近づいたかと思うと、言葉を発する前に僕の口は塞がれてしまった
. チャンミナのクリスマス after
~Cside~
ユノ様と家に帰ってすぐにチキンの丸焼きの準備をした、ほんとは室温に戻してからのほうがいいんだけど、大丈夫かな…
ユノ様がお風呂を入れてくれる、ここ二日は特に色々手伝ってくれるんだ♡
…ほんと優しいんだよね///
「ユノ様?先にお風呂に入ります?」
「ん、そうしようかな、一緒がいいけど二人で入っちゃったら晩飯食えなくなりそうだしな(笑)」
…た、確かにそうかも///
急におデコをコツンと小突かれて目を瞑った瞬間にキスをされた、不意打ちのキスとか///
軽く睨むとユノ様はニヤリと笑ってバスルームに消えていった
…さっき言ってた渡したいものってなんだろう///
プ、プレゼントかな?気になる♡
僕は一人でニヤニヤしながら食事の用意をしたんだ
~Yside~
チャンミナと一緒に過ごす初めてのイブ、出会ってからそんなに経ってないのにずっと一緒にいるみたいなんだ、もうチャンミナなしの生活なんて考えられない
…まだ早い気もするけど、一生側にいて欲しいって思うんだ
交代でお風呂に入ってから、二人で食卓を囲んだ
チャンミナの手料理、ピザもスープもアレンジされていてとっても手が込んでいた
チキンの中のピラフはちょっと冷たかったんだけど(笑)
バイト先で貰ったケーキに苺をプラスしてチャンミナスペシャルにパワーアップしたクリスマスケーキ、二人でシャンパンで乾杯しながら食べると最高に美味かった
アルコールが入るとほわんと頬をピンクに染めて俺を見つめるバンビアイ
「….ゆのしゃま、あの…アルバイトさせてくれてありがとごじゃいました///」
「ん、こちらこそ、チャンミナからのプレゼント嬉しかったよ♡」
「…あの、たいしたものじゃなくてごめんらさい///…んっ///」
顎を掬ってちゅっとキスをすると、チャンミナは顔を赤く染めて俯いたまま俺の肩に顔を埋める
「…ね、チャンミナ、俺もプレゼントがあるんだ」
「…///」
「チャンミナ?」
顔を覗き込むとチャンミナはすうすうと寝息をたてて眠っていた
「…寝ちゃったか」
二日間の慣れないアルバイト、さぞかし神経を使ったことだろう、パン屋のおばさんに頼んでお昼に給料をもらってネックウォーマーを買いに行ってくれたらしい
俺はポケットから小さな箱を取り出してシルバーのリングを取り出した、チャンミナの細い指にそれを嵌めてぎゅっと手を握った
俺の指にもお揃いのリング、裏側には二人の名前が彫ってある
朝起きたら気付いてくれるかな?
大きな瞳に涙を溜めて、俺にありがとうって言うだろうか
神様お願いします、来年も再来年も…この先ずっとチャンミナと一緒に過ごせますように!!
「愛してるよ」
俺はチャンミナの手をとってリングにキスをしたんだ
. 空色の調べにのせて 24
~Dside~
店をリョウクに任せて買い出しに出た帰り、前を歩いていた男性がフラフラと街灯のそばに行ったと思ったらしゃがみこんでしまった
…酔っ払いか?
気になって通りすがりに横目でチラリと様子を伺う、その人はぐったりとして見るからに具合が悪そうだった
声をかけると返事はあるがとても歩けそうもない、家は近くだと言うがタクシーを呼んでほしいと言った
『そこに俺の店があるんだ、そこまでなんとか歩こう?こんなところじゃ余計具合が悪くなるよ』
コクコクと頷いて何度も謝りながら立ち上がり、どうにか抱えるようにして店に連れて行った
背は俺より高いけど小さい顔に細い体、苦しげに閉じた瞼を覆う長い睫毛
…すっげえ美形じゃないか、モデルとか?//////
悪いとは思ったがジロジロと見てしまった
店に入るとリョウクが目を丸くする、そりゃそーか、人を抱えて帰ってきたんだからな
カウンターには久しぶりに見る親友の顔があった、片手を上げて挨拶するとグラスを傾けたがこちらを見るなり一瞬で顔色が変わった
『チャンミン!!』
奴には珍しく慌てた様子で具合の悪い彼に駆け寄る、なんだ知り合いなのか?
ユノは彼の横に座ると肩を抱いて顔を覗き込む、そっと額に手を当てて心配そうな表情で話しかけた
…つーか、近くねぇか//////
スマホを取り出したと思うと誰かに連絡した、多分秘書のスホあたりだろう、電話を切ると俺に向かってこう言った
『ドンへ、チャンミンを助けてくれてありがとう、すまないがしばらくここで待たせてくれないか』
それは構わねーけどいったいどういう関係なんだ//////
自分の上着を脱いでチャンミンって奴にかけてやってるし、まるで宝物でも抱えるように抱き寄せて背中を撫でてるし
チャンミンと呼ばれたその人もユノの顔をみて安心したのかすっかり体を預けている、まるでその…恋人同士みたいなんだけど//////
なんだか声をかけ辛くなってリョウクを見ると同じように思ったのか苦笑いしていた
クールなユノがこういうの珍しい、学生時代からの親友だが彼女にすらこんな風にしているのを見たことがなかった
『すまん、また寄るから』
そう言ってユノはチャンミンを大事そうに抱えて迎えの車に乗り込んだんだ
. チャンミナのクリスマス 後編
~Cside~
朝起きてチキンの丸焼きの下ごしらえをする、紐でチキンをしばって中にピラフを詰めておく、ピラフは冷凍なんだ♡あとは油を塗って焼くだけ、帰ってからでも大丈夫だよね
二日目のバイトは少し慣れて手際も良くなってきたかな////
パン屋のおばさんは僕のおかげでケーキの売れ行きがいいって褒めてくれた♡
『チャンミナがんばってるな!!』
途中でドンへ様が来たときには驚いたけど、ケーキを三つも買ってくれてとっても嬉しかった////
あんなに買ってどうするんだろ(笑)
僕も今日はお店のケーキを分けて貰うんだ、後で苺だけ増やそうかと思ってる、なんたってユノ様と食べるクリスマスケーキなんだから////
おばさんにお願いしてお昼の休憩を抜けさせてもらう、ちょっと行きたいところがあるんだ、あと、もうひとつのお願いも聞いてもらった
「おばさんありがとうございます////」
「いいのよ、気をつけてね」
晴れてるけど空気が冷たい、僕は走って目的地へと向かった
~Yside~
今日も仕事終わりにチャンミナを迎えに行く、昨日は心配でそんなに余裕もなかったけど、こういうのもいいな
…だって外で待ち合わせとかしないから
店の前で白い息を吐くチャンミナを見つけた、今日は片付けも終わってる?
「あ、ユノ様♡」
「チャンミナ、今日はずいぶん早いな」
「ケーキが早くに完売したのよ~♪ほんとに助かったわ、ありがとう」
店の中からおばさんが出て来て俺はまたぺこりと頭をさげた、お土産にケーキを手渡されて二人で家まで歩く
「ケーキ貰ったんだ?」
「はい♡帰ったら苺いっぱい載せますから////」
きゅっと寄り添うチャンミナは頬を染めて、上目遣いにチラチラと俺を見る
「ん、どした?」
「…あの////…ユノ様、メリークリスマス♡」
リボンの付いた包みを渡されて…え?プレゼント用意してくれたのか?
「あの…バイト代で買ってきました♡使ってください////」
ガサガサと包みを開けると中にはネックウォーマーが入っていた、フリースとモコモコのあったかそうなやつだ、俺はなんだか泣きそうになった
「初めてのバイト代なのに…」
「…あの////僕も色違いの買ったんです、ユノ様とお揃いです♡」
恥ずかしそうにチラリとそれを見せて俯くチャンミナ、俺は思わず抱き寄せた
二人でネックウォーマーをつけておでこをコツンと合わせる
「…ありがとうチャンミナ、愛してるよ」
「…僕もです////」
大の男二人が道端でなにやってんだか、俺はチャンミナの手をひいて走り出した
「…あ、雪////」
空からは白い雪がひらひらと舞い降りて、俺はチャンミナの手をぎゅっと握った
「帰ったら渡したいものがある」
「…え?////」
…きっと喜んでくれる
俺のチャンミナ、メリークリスマス!!
. 空色の調べにのせて 23
~Yside~
『Magic』
親友のドンへがオーナーを務めるこの店、ここに来るのも久しぶりだな、特に妻が出ていってからは全くこれていなかった
「いらっしゃいませ、あ、ユノさんじゃないですか!!」
グラスを拭く手をとめてリョウクが俺を案内してくれる、ドンへはちょっと出ているがすぐに戻るらしい
「お久しぶりです、リウくんは元気ですか?」
「ああ、こっちが困るほど元気だよ」
カウンターへと座りビールを注文した、軽く食事も頼んでゆっくりと飲み干す
リョウクが俺の相手をしてくれる、さりげなく気を使ってくれるのが心地よかった
しばらくするとドンへが戻ってきたようで、店の入り口から慌てた声が聞こえた
「リョウク、急いでタクシー呼んでやってくれ!!」
「マスター、どうしたんですかその人!!」
「道端でしゃがみこんでたんだよ、具合が悪いらしい、おっユノじゃないか!!久しぶり!!」
ドンへは俺に気がつくと片手を上げた、俺もグラスを軽く上げて挨拶をする
具合の悪そうな男性をゆっくりと抱えるように店の入り口にある長椅子に座らせた
…え!?
「チャンミン!!」
俺は思わず駆け寄った、どうしてここに!?
「なんだ、ユノの知り合いか?」
「ああ、リウのピアノの先生だ」
俺はチャンミンの肩を抱いて顔を覗き込む、頬が赤くなってる、額に手を当てると熱があるようだった
「…え?チョン….さん?///なんで」
朦朧としながらも意識はあるようだ、少し安心した
「君は俺の親友に助けられたみたいだよ、家はこの近く?」
「…あ、はい//////….途中で気分悪くなっちゃって」
「送って行く、少し待って」
チャンミンを腕の中に抱き寄せたままスマホをタップする、スホに迎えに来るように言って、必要なものも持って来るように頼んだ
「15分で着きます」
スホはそう言って電話を切った
腕の中のチャンミンはハアハアと浅い息をしながら俺に体を預けている
そんな俺の様子をドンへはポカンと口を開けて見ていた
. チャンミナのクリスマス 中編
~Cside~
今日はアルバイト初日、時間は朝10時から夜の7時までなんだ
…き、緊張する////
店頭販売だから当然外での仕事になる、ユノ様は寒いからって沢山カイロをくれた////
『これで足りるかな?』
『ユノ様多すぎです////』
『だって風邪ひいたらどうすんだ!!』
『大丈夫ですって(笑)…でもあの////心配してくれて嬉しいです♡』
『チャンミナ////』
朝のことを思い出して思わず口元が緩んじゃう♡
店頭でニヤニヤしてたら通行人に不審な目で見られてしまった////
…は、恥ずかしい////
ケーキの種類は生クリームケーキとチョコレートケーキ、ブッシュドノエルの三種類、値段も分かりやすくてとっても助かる
…だってお金って慣れてないから////
もう一人お店のお姉さんがいるから僕はお客さんを呼び込んだり、包装したケーキを渡したりする
「いらっしゃいませ~♪美味しいケーキはいかがですか~♪」
僕は精一杯声を張り上げてケーキを売ったんだ
~Yside~
仕事が終わると急いでチャンミナのいるパン屋に向かった、7時過ぎには着けそうだ
はあっと吐く息が白い、今夜は冷えそうだな
駅からすぐのそのパン屋、早足で近づくとサンタの帽子を被ったチャンミナが片付けをしていた
「チャンミナ!!」
「ユノ様♡」
こんなに寒い中で一日中外にいたんだな、頬っぺたが真っ赤になってるじゃないか
「あら、お迎え?チャンミナ上がっていいわよ~♪明日もよろしくね」
「あ、はい♡お先に失礼します//////」
店の奥からおばさんの声がする、俺はぺこりと一礼をした、人の良さそうなおばさんは同じように頭を下げた
二人で寄り添うように歩いて家に帰る、チャンミナの手は冷たくて俺のポケットに一緒に入れて温めた
「疲れた?」
「…少しだけ////帰ったらカレーあっためますね」
朝から晩飯作ってバイトに行ったんだ、明日はどうするのかと聞いてみる、外に食べに行ってもいいと思った、だって一日中立ちっぱなしでしんどいに決まってる
「…あの、明日はチキンの丸焼きをするので、サラダも今晩用意しておきますし、スープとピザは買ってあるんです、手抜きですいません////」
色々考えてくれていることが嬉しくて、思わず抱き締めてしまう、手抜きだなんてとんでもないよ
「…ユノ様?////」
「チャンミナありがとう、明日もがんばれよ」
ベッドで髪を撫でてやると疲れていたのかすぐに意識を手放した、すうすうと寝息を立てる寝顔が堪らなく愛しいよ
「おやすみチャンミナ、明日はイブだよ」
俺は髪にキスをして丸くなった体を抱き締めるように眠りについた
. 空色の調べにのせて 22
~Cside~
今日は朝から体が重かった、週末のクリスマス会に向けての準備のため連日遅くまで教室に残り作業を進めていた
近くのホールで予定されているミニコンサートとは別に小さい子供達には教室でクリスマス会が予定されている
新人の僕にとって初めての大きなイベント、絶対に成功させたいと思っていた
「…先生、顔色悪いわね?」
パク先生が僕をじっと見る、そういえば気分もちょっと悪いかも
「あ、大丈夫です、すいません…」
「あのねシム先生、無理はダメ、子供達も心配するから今日はもう帰って休みなさい」
僕は仕方なく帰ることにした、皆まだ残ってるのに申し訳なくてペコペコと頭を下げた
…風邪ひいたのかな、電車に揺られながらスマホを見る、チョンさんからのメッセージ、今夜こっちに帰ってきたんだ///
『チョンさんおかえりなさい、お仕事お疲れ様です、僕は今帰っているところです』
しばらくチョンさんに会えてない、べっ、別に会いたいとか思って…な…い
…いや、会いたいんだよね///
何をしていてもあなたのことを思い出してしまうんだ、ひまわりみたいな笑顔とか、抱き締められた腕の温もりとか///
…あ、なんか余計に心臓がバクバクしてきたかも//////
電車を降りてフラフラと歩きだした、駅から家までは歩いて15分ほど、今日はこの距離が長く感じる
これ、熱あるんじゃないの?家に薬あったっけ…
通勤には不便な実家をでて今は1人暮らしの僕、パク先生のおかげで音大に通う生徒が多く住むワンルームの一部屋を借りているんだ
少し広めのワンルームにグランドピアノが一つ、ベッドが一つ、これだけで部屋はいっぱいだけど防音だし、寝るだけだし
ああ、ほんとやばいかも、タクシーに乗ればよかった、ちょっとだけ休憩しよう
僕は道端の街灯に凭れかかるとズルズルと座り込んでしまった
「君なにしてんの?大丈夫?」
声をかけられて顔を上げると見知らぬ人が心配そうに覗き込んでいた