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. そばにいて、愛しい人 3
~Cside~
「チーフ、あの、すいません、さっき電話があったのに僕、名前を聞くのを忘れてしまって……」
「え?電話?あーうん、心当たりあるから心配ないよ」
「す、すいません///」
「いやいや、どうせあいつが名前を名乗らなかったんだろうし
「………///」
申し訳ない気持ちでいっぱいでチーフに頭を下げる
電話に出るとか基本中の基本なのに、今度から気をつけなきゃ、ね
一つ息を吐いて深呼吸をすると、僕はまたパソコンへと向き直る
午前中に任された書類の整理がまだ終わってないから、3時くらいまでには片付けてしまわなきゃ
それにしても会社にかかってくる電話にしては非常識過ぎる
あんな物の言い方、まるでプライベートでかけてきてるみたいだったし
ま、チーフの知り合いみたいだから今度から気をつければいいよね
「チャンミン、ちょっと頼まれてくれないか?」
「あ、はい///」
「このカフェまで書類を届けて欲しいんだ」
「カフェ、ですか?」
「ああ、そこにさっきの声の主がいるからね」
「は、はあ///」
そう言って満面の笑みで微笑むチーフに、なんだか複雑な気持ちになる僕だったんだ
. チャラい奴には敵わない 6
~Yside~
「こ、このバカ!!離せって!!///」
「ええ~?なんで?俺の艶々のほっぺ」
「なっ!!///」
「そんなことより早く行こう、腹減ったろ?」
「ちょっ!!///」
でっかい目をくるくるとさせてキッと俺を睨みつけるバンビアイ
そんな風に睨んでも可愛いだけなのに、君って本当にわかってない
腕を引いてタクシーに飛び乗ると、プイとそっぽを向いてしまうからまた堪んない
さて、今日はどこまで許してもらえるやら……
「……で、どこ行くつもりなの?」
「ん?夜景の綺麗なとこ」
「や、夜景?///」
「そ!!夜景の綺麗なとこでチャンドラとまったり、ね?」
「ふ、ふうん?///」
俺の言葉に途端にふわりと笑って瞳をキラキラとさせるとか!!
なんだよそれ、可愛すぎんだろ!!
触れたくて拳をぎゅっと握るけど、俺にも我慢の限界ってもんがある
ちょっとぐらい、ね?
「ちょ!!ユノ!?///」
「大丈夫、見えないから、ね?」
シートの影でそっと握った君の手が冷たくて、柄にもなく緊張してしまう俺だったんだ
. そばにいて、愛しい人 2
~Cside~
「チャンミンそれとって」
「あ、はい!!」
「チャンミン、この資料整理しといて」
「はい!!」
「チャンミーン」
「はいはい!!」
この会社に入ってもう一週間、最初はデザイン室の雑用とかどんな事するのかとビクビクしていたものの
内容は普通の会社と変わんないっていうか、どこの仕事も基本は一緒なんだって安心した
指示書って呼ばれる書類に基づいて仕事を進めていくわけだけど
デザイン室から製作へ回す前のデータ修正とか、先方からの校正とか
主にメールをチェックして担当者に振り分けていくって感じ、かな
パソコン関連はお手の物だし、まあ、何かデザインしろって言われたら困るけど
これなら僕でもやって行けそうな気がする、よね
本社の仕事は工業向け銘板、単発の仕事は商業施設のサイン工事までとか
印刷会社って聞いてるのに結構幅広くて驚いてしまうよ……
お昼の休憩時間は皆食堂に行くか、各自ランチに行ったりしている
ま、当然のことながら暫く無職だった僕にはお金がないわけで
節約のため手作り弁当で食費を浮かせている
最近は料理の腕も上がった気がするし、今夜は何にしようか、なんてぼんやりと考え込んでいた
と、不意に電話が鳴り始める
お昼休みに電話だなんて、ちょっと考えてくれればいいのに
恐る恐る受話器に手を伸ばしゴクリと唾を飲み込む
「も、もしもし?」
「ああ、俺、シウォンいる?」
「へっ?あ、あの、ただ今休憩中でして」
「ふうん、じゃあ後で電話かけるよう伝えてくれる?」
「あ、はい!!」
受話器の向こうでそう言い放った低い声に、なんだかドキドキとしてしまった僕だったんだ
. チャラい奴には敵わない 5
~Cside~
「ね、チャンドラ、ヤキモチ?」
「なっ!!///」
そう言ってニヤニヤと僕の顔を覗き込むユノを思い切り睨み返す
まったく!!外で待でって言ったのに!!
それでなくても目立つビジュアルで、派手ではないけどビジネスマンとは違うスーツを着こなすイケメンとか
この前も受付の女の子達から詰め寄られて誤魔化すのに必死だった
なんだよ!!女の子に囲まれて満更でもない顔しちゃって!!
「チャンドラ~そんな怒んなって」
「煩い!!怒ってない!!」
「まあまあ落ち着いて、ほら、ちゃんと顔見せて?」
「なっ!!///」
歩道を並んで歩いてるってのにイキナリ立ち止まって両手で頬を包まれて!!
こ、公衆の面前で何考えてんだ!!///
「ちょ!!ユノ!!///」
「ん~本物だ」
「はっ!?///」
「すげー会いたかったよ、チャンドラ」
ニッコリと笑って僕の頬をスリスリと撫でるユノに、溜息しか出てこない僕だったんだ
. そばにいて、愛しい人 1
~Cside~
「き、今日からお世話になります!!シム・チャンミンです!!」
「ああ、上から話は聞いてるよ、俺はチーフのチェ・シウォンです」
「よ、よろしくお願いします!!」
「ぷっ、そんなに緊張しなくていいから、とりあえずそこ、君のデスクね」
「あ、はい!!///」
ガチガチに緊張した僕に遂に吹き出してしまったチェチーフ
何もそんなに笑わなくても///
先日勤めていた会社を退職して、ま、経緯は色々あったもののどうにかここで働かせてもらうことになって
研修期間の3ヶ月はバイトからって事だけど、それはそれで僕にとっても都合のいいことで
人のコミュニケーションが苦手な僕にはピッタリ、なんだよね
前の勤め先の上司はとても良くしてくれたけど、どうやら下心があったらしく
まさか男の身でセクハラを受けることになるなんて……
「で、シム君はパソコンが得意なんだっけ?」
「あ、そう、です///」
「うちは見ての通りのデザイン室なんだけどね、最初は雑用から始まって、データ支給ばかりなんだけど大丈夫かな?」
「あ、全然問題ないです!!///」
「そっか、じゃあバリバリ働いて貰うね」
「は、はいっ///うわっ!!」
チーフの言葉に思わず立ち上がって返事をした僕は、慌てて椅子を後ろに倒してしまったんだ
. チャラい奴には敵わない 4
~Yside~
「へえ、で?いくつなの?」
「ええ?女の子に年なんて聞くもんじゃないですよ~」
「ふふ、だって明らか俺より若いじゃん?それとも意外と年上とか?美魔女なの?」
「やだあ、シムさんのお友達面白い!!」
チャンドラを迎えに来たものの、早く着きすぎてチラチラと会社のエントランスを覗き込んでいたら
ま、この前話した受付の女の子達に見つかっちまったってワケ
女ってよく人の顔覚えてんな、なんて思いながら話していたけど
あ、そういや外で待てってチャンドラに言われてたような…………
「ちょ!!ユノ!?」
「お、チャンドラ!!お疲れ!!」
「………あんたここで何やってんの?」
「へっ?チャンドラを待ってたんだけど」
ギロリと睨む大きな瞳は迫力満点で、ああ、そんな表情も俺を煽って仕方ないのに
ふふん、それってひょっとして……
「ね、チャンドラ、ヤキモチ?」
「なっ!!///」
腕を引き寄せて囁く俺の言葉に真っ赤になって怒る君が可愛いくて、つい吹き出してしまう俺だったんだ
. 鈴カステラの花火大会 35
~Cside~
「ユ、ユンホさん、そんなこと僕がしますから……あ、いたた///」
「バカ、今日は無理すんな、ちゃんと飯ぐらい作れるよ」
「……ユンホさん///」
昨日の花火大会で色々あって、ヘトヘトになって帰ってきたのにいっぱい愛されて
流石に今朝は起きれなくなっちゃって///
ユンホさんも僕も今日はお休みだから朝はゆっくりとしていたけれど
お腹だって空いてきたし、お洗濯だって残っているし
動けない僕に変わってこまごまと世話を焼いてくれるユンホさんに感謝しかない、よね///
不器用ながらに家事をこなす逞しい後姿にうっとりと見惚れてしまう
だって僕の為に動いてくれてるんだもの///
お陰で今日もピンクの缶詰からは鈴カステラがポコポコと生まれて
時々形の違うのが混じっていたり、少し歪だけどひょっとしてハートの形、なのかも///
ふふ、僕のユンホさんへの愛の証なんだ、きっと
「ん?何笑ってんだ?」
「あ、ユンホさん見てください!!これハートの形に見えませんか?」
「ああ、確かに、なんだ、勝手に出てくんのか?」
「はい!!きっと僕の想いが形になっちゃったんです!!///」
うんうんとうなずく僕に怪訝そうな表情のユンホさん
……僕、何かおかしいこといったっけ?
「お前、ちょっと可愛すぎだな」
「へっ?あ///」
「飯は後だな」
「ちょ!?ユンホさん……ああっ!!///」
ニヤリと笑ったユンホさんに担ぎ上げらた僕は、そのままベッドへとコロコロ転がされてしまったんだ
. チャラい奴には敵わない 3
~Cside~
『今から迎えに行くよ、美味いもんでも食おう』
仕事終わり届いたユノからのメッセージ、今日は朝からそわそわしちゃってずっと落ち着かなかった
だって恋人になってからの初のデートとか!!
服だって何着ていけばいいのかわかんなくて、昨日の夜は遅くまでずっと悩んでて寝不足だし
か、顔だってまともに見れる自信とかないし///
一応パックしてみたりとか、持ってるので一番いいシャツを選んでみたりとか
ま、色気のないビジネススーツだったりするわけだけど
『チャンドラは何着ても可愛いよ』
……きっと、いい顔でそう言うんだろう///
ユノは職業柄お洒落なスーツ着てたりとかするし、こんな僕が隣にいて浮いちゃわないかな、とか!!
もう考えるだけでヘトヘトになっちゃって、いい歳して何やってんだろうって(笑)
ま、こんなのも恋愛の醍醐味ってやつ?
恋愛とか!!
何言っちゃってるんだ僕!!///
「おいシム、下にお客さん来てるらしいぞ」
「……へっ?///」
バタバタと悶える僕に声をかけてきた上司の顔があまりにも不審そうで、逃げるように部屋を出た僕だったんだ
. 鈴カステラの花火大会 34
~Yside~
「ユ、ユンホさんっ……も、ダメです///」
「ん、もう少し我慢して?」
「……や、無理……ああっ///」
そう言って俺の背中に爪を立てる鈴カステラ、もう何度目の熱を放ったんだろうか
艶めかしく揺れるバンビアイ、薄っすらと汗ばんだ額にキスを落とす
行方が分からなくなった時は本当に不安だった
いつだってトラブルに巻き込まれるから目が離せないったらありゃしない
ま、そういう所も好きなんだから仕方ない、か
くったりとした体に更に腰を打ち付けて最後の熱を放つと、反り上がる体を逃さないように強く抱きしめた
「………ユンホ、さん、あの……///」
「ん?良くなかった?」
「……あ、いえ……とっても気持ち良かった、です///あの……」
「そっか、で?」
「あの……いつも迷惑ばっかかけて……その///」
「バカ、もういいって、な?」
「………うっ……ユンホさ……」
艶々の頬を伝う涙はさながら宝石のようで、ポロポロと溢れるからそっと唇で拭い取ってやったんだ
. チャラい奴には敵わない 2
~Yside~
「ようユノ、ご機嫌だな」
「ああ、今日は可愛い恋人に会えるからな!!」
「おーおーお熱いことで!!で、いつ紹介してくれるんだ?」
「まあ、そのうちな!!」
「ちぇっ、勿体振りやがってコイツ(笑)」
開店前のカウンターで準備をしながらゲラゲラと笑うドンヘ
近々ここにも連れてこなきゃいけねぇな
あれから俺とチャンドラは付き合う事になった!!
前途多難にも思えた俺の想いは通じたようで、ま、それがどういう心境の変化なのかは謎のままだが……
とりあえずは第一関門クリアってわけ!!
これからどう付き合うかは俺次第だし、ここまで誠実に愛を訴えかけたのも初めてだし
今日は小さな花束なんて買っちゃって、俺ってこんなにいじらしい奴だったんだ、なんて
「そういや新店の方はどうなってんだ?」
「ああ、今週洗いが入るから来週には最終調整できる筈だよ」
「そうか、やっとだな」
「ああ、全くだ」
来月にオープンを控えた新店の準備も着々と進んでいて、忙しい中今日はやっとこさチャンドラとの初デート!!
改めて恋人として会うのはなんだか照れ臭いけど
チャンドラの顔を思い浮かべるとニヤニヤしちまって、慌てて咳払いで誤魔化す俺だったんだ