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苺な彼とビールな僕

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. 王子の気持ち 17










~Cside~








やっと迎えた甘い時間、僕が求めてたのはこうゆうの、だったんだよね





おかえりのキスから始まって、指にまでキスされちゃって……





絆創膏だらけなのがバレちゃって恥ずかしいけど、甘い声で『ありがとう』なんて言われちゃうと///





僕の作ったご飯を食べてるユノはとっても嬉しそうで、夜はこのまま一緒に、とか思っていたのに






「お前自分の部屋戻らなくていいのか?」






なんてつれないセリフ、そんなこと言われると思ってなくて次の言葉が出てこない







思わず泣きそうになった僕の頬を掠める長い指、見つめるアーモンドの瞳はどこまでも優しくて






「一緒に寝たら襲うぞ?」



「………襲ってもいいもん///」



「チャンミン」



「……ユ、ユノは意地悪だ!!///」



「ふふ、嫌になった?」



「…………い、嫌じゃない///」



「……おいで?」






俯いたままの僕を抱き寄せる優しい腕に、胸がぎゅっと苦しくなる僕だったんだ










































. 熱血!!ユンホ先生 11









~Cside~








この学校に赴任してきて数日が経った……






保健室はっていうと……その、かなり盛況で困っている






「ドヨン、おまっ、なんでここにいんだ!?」


「ええ~怪我の具合が悪くて、そ、そういうキャプテンこそなんなんすか!!」


「お、俺はちょっと先生に相談があって……///」


「はいはーい、シム先生コーヒー持ってきましたよ~」





この前手当をしたドヨン君をはじめ、何故かサッカー部の生徒達が入り乱れて




しまいにはシウォン先生も入ってくるし、これじゃあ保健室の意味がないんだけど(笑)




そして、放課後の保健室に人がワイワイと集まると決まってあの人がやってきて……





「だあーーー!!またお前らっ!!早く出てけっ!!」


「やべ!!ユンホ先生!!」


「シム先生が困ってんだろ!!ったく、シウォンまで!!」



「煩いな~俺はシム先生と話にきたんだよ~」



「保健室は憩いの場所じゃねぇっての!!」


「癒されんだよ~ね、シム先生!!」


「だあっ!!勿体無いから見るなっ!!」


「意味わかんね~自分だってシム先生に会いに来てるくせに!!」


「ばっ!!シウォン!!////」







僕そっちのけでバトルとか始まっちゃって、見てるだけで笑っちゃう




でも、やっぱり気になるのはユンホ先生……////





いっぱい話してみたいのに、人を追い出した後はそそくさと帰ってしまうから





あんまり好かれてないのかな、とか思ったりして、ちょっぴり寂しくなる僕なんだ














































. 王子の気持ち 16










~Yside~








「………んっ、ユノ……///」





俺のために飯を作って待ってくれてたなんて、愛おし過ぎてどうしようもなくて




狭いキッチンカウンターの中、触れるだけのキスのつもりがついつい深くなって止まらなくなる




絡めた指にはいくつもの絆創膏、ああ、そりゃそうか、料理なんて普段しないから




とろりとしたお前を支えながら指の一つ一つにキスを落としていく




潤んだ瞳で俺を見つめるバンビアイ、このままベッドまで連れて行きたいくらいだ





「………ユノ、ねえ」


「ん」


「ご、ご飯……あっ///」


「わかってる」


「……や………ん///」






名残惜しい体を離して大きく溜息をつく、さて、このまま自分を抑えられる、かな





「……せっかく作ったから///」


「ん、お楽しみは後だな」


「……ユ、ユノの変態!!///」






プイと顔を逸らした赤い耳が可愛くて、思わず抱きしめてまた怒られてしまった俺なんだ


























. 熱血!!ユンホ先生 10









~Yside~








『は、はい……あの、ゴールデンな飲み物が特に』






そう言って恥ずかしそうに俯くシム先生、ほんのり染まった耳がやけに艶っぽいとか!!




そっか、ビールが好きなんだ……




シウォンのやつがやたらと積極的にモーションかけてたから、俺も負けじと会話に割り込んだけど




……なんかもう、どうしちゃったんだろ俺




シム先生が他の誰かと話してるの見るだけでドキドキと動悸がして、笑顔にでもなろうものなら今度は胸が苦しくなっちゃって




まさか、まさかこれって!!!!/////




たどり着いた答えにクラクラとしちまうけど、そうなんだよな、きっとそうなんだ!!




お、俺ってば男に………!!!!/////






「ユンホ先生?」


「ぬあっ!!はいっ!!」


「どうしたんです?アップ終わりましたけど」


「ん、ああ、じゃあ今度はスクワットで」


「だからそれも終わりましたって、もうしっかりしてくださいよ~」


「す、すまん」





呆れたように肩をすくめるキャプテンのテイル、ああ、俺今部活中だったっけ(泣)





こんな風に思い悩む事なんて久しぶりすぎて全くどうしていいかわからない





これは今夜にでもドンへを呼び出して相談しなきゃいけないな




あとシウォンにも釘を刺しておかなきゃ、負けられない戦いが始まる!!





俺は決意を胸にスックと立ち上がると、拳を握って一人ガッツポーズを決めたんだ


























. 王子の気持ち 15










~Cside~







ユノが帰って来る前に悪戦苦闘してなんとか料理に挑んだ僕





慣れてないせいで指を切っちゃったけど、そんなの全然痛くない!!





でも……あんまり材料が揃ってなくて大したものはできなかったんだよね




それでも家政婦さんが来てくれてるから野菜が少しでも残ってて助かった





うん、見かけはイマイチだけど愛情だけは保証付!!





母様直伝のチゲとキャベツのサラダ、ご飯だって炊いたんだから







「………本当にお前が作ったのか?」






電話の向こうでもフリーズしてたユノは、帰ってきたらもっとフリーズしちゃったけど





……気に入ってもらえなかったのかな?





固まるユノをそろりと覗き込む、アーモンドの瞳に見据えられて今度は僕が動けない




あっという間に引き寄せられて腕の中に閉じ込められて




そんなにきつく抱きしめたら色々苦しくなっちゃうのに////





「………ユノ?」


「すげー嬉しい」


「……////」


「ありがとう、チャンミン」


「………うん////」






狭いカウンターの中ぎゅっと抱きしめ合って微笑みあって、僕達はやっとおかえりなさいのキスをしたんだ


























. 熱血!!ユンホ先生 9









~Cside~







「へえ~じゃあシム先生は一人暮らしなんですね」


「あ、はい///」


「いやぁ、家庭的に見えますし、料理なんかも得意なんでしょうね」


「か、簡単なものしか作らないですよ?」






赴任した早々話しかけてくれたのは数学教師のシウォン先生、イケメンで溌剌としていていい方なんだけど




ちょっと距離が近いような……





元々人見知りな方だし、あまりグイグイ来られるとちょっと引いてしまう




それに……話してみたいのはこの人じゃなくて、黒目がちな瞳をクルクルとさせるあの人……////




……チョン・ユンホ先生







「おいこらシウォン!!」


「なんだユノ、邪魔すんな!!」


「シム先生が嫌がってんだろ?」


「嫌がってなんてねーよ!!ね、シム先生!!」


「あ……はい(笑)」


「それよりシム先生、今週の金曜は歓迎会ですからね、一緒に飲みましょうね!!」


「か、歓迎会、ですか?」


「あ!!シム先生お酒は好きですか?」


「は、はい……あの、ゴールデンな飲み物が特に」


「ゴ、ゴールデン?ああ!!あーはーはーはー!!」


「お、いける口ですね~」


「煩い!!お前はあっち行け!!」





わあわあと騒ぐ二人に呆然とする僕、この二人とっても仲がいいんだ(笑)





でも、キュッと目を細めて笑うあなたに既に恋していたことを、この時の僕はまだ気づいていなかったんだ


































. 王子の気持ち 14








~Yside~






『今起きたよ、昨日はごめんなさい、お仕事頑張って♡』








そんなメッセージが届いたのはもう昼をとっくに過ぎた頃のこと





我が眠り姫はかなりの爆睡だったらしい(笑)





随分と素直なメッセージだなんて思っていたら、つい口元が緩んでしまいシウォンに突っ込まれてしまった




……全くバツが悪い


流石に今日は大人しくしてくれそう、かな





いくら末の王子とはいえ一応王族な訳だし、もう少し自覚が欲しいところだが





ま、そんな所も………





食事は掃除を頼んでいるおばさんに頼もうかと考えていたけど、今日は何か買って帰ってやるか





食いしん坊の我が恋人に(笑)





溜まっていた事務処理だけを済ませて早めに会社を出るとスマホをタップする





なんせワガママな王子のこと、何を買って帰るかちゃんと聞いてやらないと大騒ぎになりそうだし




5度目のコールでやっと出た君、ずっと家にいるはずなのにやけに出るのが遅いじゃないか





『ユノ!!終わった?』


「ああ、今から帰る、晩飯どうする?何か……」


『……あ、あのねっ……僕!!』


「うん?」


『ご、ご飯作ったからっ……あの///』


「………え?」






その言葉が直ぐには理解できなくて、暫くフリーズしてしまった僕だったんだ































































. 熱血!!ユンホ先生 8









~Yside~








『本日よりこちらに赴任しましたシム・チャンミンです、よろしくお願いします』






そう言って長い体をペコンと折り曲げるシム先生、やっぱすっげー綺麗な人だ




背だって高いし普通ならキャーキャーと騒がれるほどのイケメンなのに




どこか儚げでついつい見惚れてしまうとか!!




同僚のシウォンはもちろん、他の先生方もポカンとする程の驚きぶりで




ま、そりゃそうか、あんなに綺麗な養護教諭とか今までいなかったし




こりゃ保健室が騒がしくなりそうだ(笑)





一通りの挨拶が終わるとにっこりと笑って俺の方へ近づくシム先生




なんだよ、なんなんだよその笑顔反則じゃん!!




実はあれからシム先生の笑顔が頭から離れなくて困っていたのに!!




男にドキドキするなんておかしいと思うけど、そんなでっかい瞳で見つめられたらなんかもう堪んなくて!!





この胸のときめきっていったい……!?////






「……あの、保健室でお会いしましたよね?」


「うへっ?は、はいっ!!」


「あの生徒さんの怪我は大丈夫でしたか?また保健室を覗くように伝えて下さいね」


「は、はいっ!!///」





テンパってでかい声で返事をした俺に、目を丸くしたあなたはクスクスと笑って口元をおさえたんだ













































. 王子の気持ち 13









~Cside~








「………ん、ユ…ノ?」





ふと目を覚ませば隣で眠っていたはずのユノはいなくて、僕は一人でシーツに包まっていた





……あ、そっか、今日は昼から仕事だっていってたっけ





外を見れば時刻はすっかり夕暮れ時、僕ってばそんなに眠っていたんだ




結局ユノは眠れたのかわかんないけど、僕のせいで寝不足にさせちゃったんだよね






謝らないと……






いつも素直に甘えられなくて、つい憎まれ口をきいてしまうから





僕って本当にバカだよね……





テーブルには大量の食料と飲み物、置き手紙も置かれていて




……きっと仕事に行く前に用意してくれてたんだ





『起きたら連絡して』





そんなユノからの一言がジンと胸に響く、僕はスマホを手に取るとユノへとメッセージを送った






『今起きたよ、昨日はごめんなさい、お仕事頑張って♡』






きっと仕事中だからメッセージは短めに、でも精一杯の気持ちを込めて最後にハートもつけてみた





ご、ご飯とか作ったら食べてくれるかな?///






冷蔵庫を覗いてじっと考える、大したことは出来ないけど母様に教わったチゲならなんとかなりそうじゃない?




ユノのために僕が出来ること、これから考えてかなきゃ///





僕は腕まくりをするとほっぺたをパチンと叩いて、晩御飯の用意にとりかかったんだ













































. 熱血!!ユンホ先生 7









~Cside~








『あ、ありがとうございました!!』





怪我の治療が終わると慌てて駆けて行ってしまったイケメンな先生




生徒はサッカー部だったよね?




じゃあ顧問の先生なのかな、それとも別できてるコーチ、とか?





間違えて椅子に座っちゃって可愛かったな(笑)





アーモンドの瞳が印象的で……/////





窓から校庭を覗くとさっきの生徒が足をひょこひょこしながら走っていくのが見えた




あ、後ろからあの先生も追いかけてる(笑)





『ユンホ先生ーーー!!』


『お前らサボってんじゃねー!!』


『先生が遅すぎなんです!!』


『グダグダ言うなー!!』






あっという間に生徒達に囲まれて、きっと人気な先生なんだ





一人だけやけにガタイが良くて目立つからすぐわかっちゃう





わ……僕、なんでこんな気にしてるんだろう////






一人で熱くなった顔をパタパタと扇いでいると、くるりとその先生が振り向く





あ………////






僕に気付いたであろうその人は、遠目からでもわかる最上の笑顔で長い腕をブンブンと振ってくれたんだ















































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紫苑☆

Author:紫苑☆
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