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. うちの家政婦さん 41
~Yside~
『俺、最初会った時からずっと………』
やっと見つけた大切な人、逃さないようにぎゅっと手を握って……
想いが溢れるってこういう事なんだ、伝えたいことは一つだけなのに、胸がいっぱいで言葉にならないなんて
好きで好きで
ずっと見つめていたくて
「………チョンさん?///」
「チャンミン、ずっと側にいて欲しい」
「………え?///」
「君が好きなんだ、俺の恋人になって下さい!!」
「………え?……わっ!!///」
堪えきれずガバリと抱き着く俺に、身を硬くして瞳をくるくるとさせる君
どうか、俺の想いを受け止めて!!
「……チョンさん///」
「い、いいって言うまで離さない!!///」
「……ぷっ、もう……子供ですか///」
「………わ、笑うな!!」
「ふふ、すいません、でもこのままじゃ返事できませんけど?」
仕方なく体を離すと、目に入るのは煌めくようなバンビアイ
「………僕も、好きです、よ?///」
「チャンミン!!」
そう言って俯いてしまった君をもう一度引き寄せて、力一杯抱きしめたんだ
. しなやかに眠れ 14
~Yside~
『なんだお前まだいたのか』
リビングのドアを開けた途端、少し気まずそうに視線を泳がせるそいつ
………なんとなくいるような気はしていたけど
「………いて悪かったな///」
「はは、まあいい、飯は食ったか?」
「………た、食べた///」
「ならいい、まだ腹減ってるか?」
「………///」
「ラーメンでも食うか?」
「……た、食べる///」
「ん、キッチンの棚にインスタントが入ってる、選んで待ってろ、俺はシャワー浴びてくる」
見ず知らずの奴を家に置いて帰れとも言わないなんて、俺ってこんなにお人よしだったっけ
部屋の中にいるそいつを見た瞬間、ホッとした自分に驚いてしまった
……要するにまだこいつのこと知りたいってこと、か
なんだ、自分の方がガキみたいじゃねーか(笑)
軽くシャワーを浴びてバスルームを出ると、キッチンでお湯を沸かすそいつの姿が見えた
そういや部屋も綺麗になってるし、もしかして掃除してくれたのか
「チャンミン?」
「………あ、あの、お湯」
「ああ、掃除もありがとう」
「!!………な、何にもお礼出来ないから///」
言い方はぶっきらぼうだがすぐに真っ赤になって俯いてしまうそいつに、思わず笑ってしまった俺だったんだ
. うちの家政婦さん 40
~Cside~
……これからどうしよう
街灯の下、ベンチの上で膝を抱えて丸くなる僕は途方にくれていた
膝の間に顔を埋めて込み上げてくる涙を必死に堪えて下唇を噛む
辺りは真っ暗闇で車すら通らなくて、さわさわと草の揺れる音だけが寂しげに聞こえていて…
と、その時、パタパタと足音がして誰かがこちらへと近づいて来た
「や、やっと見つけた!!」
優しい声にハッとして顔を上げると、そこには肩で息をするチョンさんの顔があって
「……チョンさん///」
「急にいなくなるからすげー心配した」
「……す、すいません…僕………」
「とにかく無事でよかった、さ、帰ろう?」
「………いえあの、僕、あの………お、お邪魔なら帰りますから」
「なに言ってんの、邪魔なわけないじゃん」
「………でも///」
「少しここで話そうか」
そう言ってチョンさんは僕の隣へと腰掛けた、改めて見つめる横顔はいつも通りかっこよくて直視できない
ああ、やっぱり僕はこの人が好きだ///
そんなことを考えていると、だんだんと顔に熱が集まってくるのがわかる
……よ、夜でよかった///
黙り込んでしまった僕に、チョンさんは優しく微笑んでぎゅっと手を握った
「チャンミン聞いて欲しいんだ」
「………はい///」
「俺、最初会った時からずっと………」
そう言いかけて黙ってしまったアーモンドの瞳は蕩けるように甘くて、僕は息を詰めてその唇を見つめたんだ
. しなやかに眠れ 13
~Cside~
「ふう、これでよし、と」
泊めてもらったお礼にと部屋の掃除を済ませて、キッチンに残っていた洗い物を片付けた
洗濯まではどうかと思って手をつけなかったけど
…当たり前に男の一人暮らしって感じ、だな(笑)
所々に彼女らしき人の化粧品とか持ち物とか気になるものもあったけど、ま、あの人イケメンだったし、いない方がおかしいよね
帰んなきゃ………
他人の家で散々お世話になってまだ居座ってるとか
こんな自分に呆れてしまうけど、どうにも去りがたいっていうか
………本当はもう一度会いたいだけ///
用意して貰ったパンは全部食べてしまったし、冷蔵庫にあった牛乳も1パック飲んでしまった
やることもないからテレビをつけたけど、面白くないから本棚にある本を借りて読んでみたりもした
あの店のマスターだとしたら帰ってくるの遅い、よね
落ち着かなくて大きめのソファをゴロゴロと転がる
寮も出てきてしまったし施設にだって戻れない、僕はこれからどうしたら………
そんなことを考えていると、ガタンと音がしているリビングの扉が開いた
「なんだお前まだいたのか」
そう言って呆れたように笑うアーモンドの瞳が眩しくて、思わず視線を逸らしてしまう僕だったんだ
. うちの家政婦さん 39
~Yside~
とりあえずはコテージの中を隅から隅まで探して、それから外へと飛び出した俺
電話をかけたらダイニングの上で鳴ってたし、きっとそのまま出て行ったんだ
エプロンだってつけたまんまで
夕方こっちに戻ってからは自分のことでいっぱいいっぱいで
ほんの少しのことでぐるぐるする君のこと、もっとちゃんと見てやってればよかったのに……
この辺りはコテージが何件かあるだけで街からは少し離れていて、人気もないし夜は真っ暗で物騒なのに
「チャンミン!!」
暗闇に向かって君の名を呼ぶけど、当然返事なんて帰ってくるはずもない
……いや、まだ近くにいるはずだ!!
湖へと降りる坂を下って大きな道路へと出る、車の通りはほとんどなくて、街灯だけが寂しげに明かりを灯している
どこに行ったんだよ…
考えていても仕方ない、とりあえず今は君を見つけるのが先決だ
だってきっと泣いている気がするから……
街灯を頼りに道路沿いを進むと、道端に置かれたベンチで丸くなる君の姿を見つけたんだ
. しなやかに眠れ 12
~Yside~
「マスターなんだかご機嫌ですね」
「……別に」
「あ、否定しないんだ、珍し~」
「バカなこと言ってないで早く用意しろよ」
「はいは~い」
ニヤニヤとするテミンを軽く小突くと俺は大きく溜息をついた
ったく、何がご機嫌だよ……
昨日ゴミ箱の側で拾った奴を朝まで抱き締めて寝ていたとか、とてもこいつには言えねえな
猫のように丸くなるそいつはチャンミンと言ったっけ
あまりに擦り寄るから起きた時には離れ難くて困ってしまった
とりあえず食い物だけは大量に置いてきたから、目が覚めて適当に食ったら出て行くだろう
見た目は美麗だがこの辺りをうろつく輩には見えなかったし
…….もう、会うこともないだろう
そう考えると思った以上にがっかりしてる自分がいて驚いてしまう
なんだ、随分気に入っちまったらしいな
「………らしくねぇ」
「は?なんか言いました?」
「いや、何もねぇよ、さ、店でも開けるか」
「はいは~い」
能天気なテミンの返事に苦笑いして、看板を外に出す俺だったんだ
. うちの家政婦さん 38
~Cside~
………僕って本当にバカだと思う
キッチンでぐるぐると考えて思わずコテージを飛び出してしまったけど
お財布は持ってないし、スマホだって忘れたし、エプロンも付けたままだし
それに……人気のない道は怖くてとても進めそうになくて、僕は仕方なく街灯の下にあるベンチへと腰掛けた
この辺りは森林ばかりで民家すらないばかりか、夜はあまり車も通らない
こうやって出てきてしまったけど、チョンさんは気付いてくれないかもしれない
飛び出しておいて本当は探しにきて欲しいなんて、なんてわがままなんだろう
「………グスッ」
思わず涙が溢れてきて目をゴシゴシと擦る、これからどうしたらいいんだろう
せっかくここまで連れてきて貰ったのに……
僕は迷惑でしかなかったんだろうか
こんなにも好きが溢れて仕方がないのに、やっぱりちゃんと伝えれば良かった
何も伝えられないままクビになってしまったら……
ポロポロと溢れる涙は頬を伝い、エプロンに点々と染みを作る
寂しさに耐えきれず抱えた膝に顔を埋めて、猫のように丸くなるしかない僕だったんだ
. しなやかに眠れ 11
~Cside~
ぼんやりと目を覚ますと見知らぬ天井が目に入る
あ……れ……?ここは……僕?
まだ起きない頭を必死に絞って昨日のことを思い出す
そっか………昨日飲屋街で絡まれて倒れていたのを助けてもらったんだ
『今夜は一緒に寝てやる、感謝しろよ?』
昨日のことを思い出して思わず頭から毛布を被った、なんだあれ!!今考えたらすげー恥ずかしいセリフじゃん!!///
でも………とても良く眠れた、な
暫くまともに寝ていなかったから、人の温もりに包まれて安心して眠れた
………ユノって言った、な///
ベッドからから起き上がるとキョロキョロと辺りを見渡した、あの人はどこへ言ったんだろう
見ず知らずの他人を泊めておいて放置するとか、どんだけお人好しなんだよ///
時間もよくわからないままリビングを覗くと、辺りはすっかり夕暮れ時だった
……そんなに寝てたんだ、僕
と、目につくのはテーブルに置かれた大量のパンと置き手紙
『起きたら食え、飲み物は冷蔵庫から適当に、帰るなら鍵はポストに』
ぶっきらぼうな文に思わず笑ってしまうのに、なんだか胸が締め付けられるように苦しくなる僕だったんだ
. うちの家政婦さん 37
~Yside~
………とにかく緊張しまくっていた
乾杯してからというもの、ほんのり赤く染まった頬がやけに艶っぽくて直視できない
いつもはパッチリと開いている大きな瞳だって、なんだかとろんとしちゃってるし
酔ったら余計に可愛くなるんだ、ただでさえ可愛いのにそんなの反則だろ!!////
『暑くなってきちゃいました』
なんてシャツのボタンを外して顔をパタパタと扇いで
ボタンの隙間から見える素肌までほんのり染まっているとか!!
手を伸ばせば届く距離にいるのに、触れられないことがもどかしくて
ああ、このままじゃ襲っちまいそうだ……
そんなこんなで飯も終わって、軽く片付けると言ったチャンミンを残して頭を冷やしに外へ出た
はあ、可愛すぎる///
顔も動きも所作も何もかもが魅力的過ぎて、俺の理性なんて全く持ちそうもない
夜のひんやりした空気を胸いっぱいに吸って、とにかく落ち着けと自分に言い聞かせてから部屋へともどった
……あ………れ?
キッチンで洗い物をしていたはずのチャンミンの姿はそこにはなく
誰もいない部屋にテレビの音だけが響いていた
洗いかけの皿はまだ拭かれてはいなくて、今の今までここにいたことがわかる
「チャンミン!!」
なんだか嫌な予感がして辺りを見回すと、俺はチャンミンの姿を探して部屋を飛び出したんだ
. しなやかに眠れ 10
~Yside~
ドアの前に転がるそいつをベッドへと運び、強制的に腕の中に閉じ込めた
もっと抵抗されるかと思ったが、程なく彼はスウスウと寝息を立て始めて
………やっぱり一人じゃ寝らんなかったのか
どういう事情が知らないが、この様子じゃよっぽどのことがあったんだろう
詮索する気は無いがこのまま放っても置けないし
……さて、どうしたもんか
肩肘をついて彼を見下ろすと、無防備な寝顔になんとも言えない感情が湧いてくる
………綺麗、だな
意志の強い大きな瞳は鳴りを潜め、影の出来るほど長い睫毛が瞼を縁取っている
「……なあ、お前どっからきたんだ?」
「………ん、な……に?」
思いがけず返ってきた返事に笑ってしまう、なんだ起きてんのかよと突っ込みを入れたくなるがそういうわけでもなさそうだ
まるで猫だ、な(笑)
「おやすみチャンミン」
「………ん、おや、すみ……ユノ」
「!!……ったく///」
無意識に擦り寄る肩を抱き寄せて、俺も静かに目を閉じたんだ