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苺な彼とビールな僕

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. ユノ社長は新人秘書がお好き 45










~Cside~







昨日は本当に飲みすぎてしまって、仕事なのに社長に連れて帰って貰うとか




本当に情けない……




それに、それにだ!!////




記憶はところどころしか残ってないけど、朝、目を覚ましたら僕は社長の腕の中でしっかりと抱きしめられていて




朝からドアップで『おはよう』なんて言われちゃって、思わずベッドから落っこちてしまった





そして僕は何故か下着姿で!!!!/////





ベッドの下で呆然とする僕の腕を引いて





『覚えてないの?』




なんていい笑顔で言われて見惚れていたら、また腕の中に戻されちゃって




朝からとんでもなく甘いキスをされてしまったんだ///







二日酔いのまま午前の予定をこなして、軽く昼食を摂ってからまた昨日のハン社長の元へ向かうけど





……やっぱり気分が重くなる





だって、社長の娘さんが会いに来るとか来ないとか言っていたし、ハン社長はノリノリだったし




やっぱり………お見合い的な感じ、とか?





そんなぐるぐるとする僕の気持ちを察してか、優しく僕の髪を撫でてくれるあなたに






やっぱり胸が苦しくなる僕なんだ







































. チョン家の日常 1










~Cside~







「待ってユノ、スマホ忘れてる!!」


「おっ、サンキュー」


「ほら、リュックもまた捻れてるし(笑)」


「あーもういい、このまま行くよ、遅れちまうし!!あ、お前今日は病院だよな?連絡しろよ!!」


「ん、わかってる」


「じゃ行ってくる、あ!!」


「……な、何?…………んん///」






ほんの一瞬ふわりと近づくアーモンドアイ、軽く啄ばむようにキスをしてバタバタと出て行く足音




ふふ、あんなに慌てちゃって、途中でコケてなきゃいいけど




ユノを送り出すとダイニングテーブルに座ってホッと一息をつく




ほんと毎朝この調子なんだよね(笑)





ハルが産まれてから1ヶ月、産休に入った僕は当然のことながら家にいるわけで




退院してから1週間ほどは母さんに手伝って貰ったけど、それからは一人でなんとか育児をこなせている、かな///




小さく産まれたハルもたっぷりとミルクを飲んで大きくなっちゃって




最近は沐浴もユノに任せっきり





いや、ユノがやりたいって言うんだよね、仕事で疲れてる筈なのに





『俺だってハルに触りたい!!』





なんて駄々っ子みたいに訴えてきて、あの時はほんとおかしくて笑ってしまった





育児に協力的なのはいいけど、最初はハルを抱っこするのも恐々として、見てるこっちがヒヤヒヤしちゃって




二人ともやっと慣れてきた、かな




追われるような毎日を過ごしてきたけど、今日はもう1ヶ月検診だなんて




夜もよく眠ってくれるし、あまりぐずる事のない子でほんと助かってる





……さて、用意するか





まだすやすやと眠るハルをどうやって起こそうか、今日も悩んでしまう僕なんだ




































. ユノ社長は新人秘書がお好き 44










~Yside~






『ぼ、僕、女の子みたいに柔らかくないし……あの……』






そう言って言葉を詰まらせる君が愛おしくて……





こんなにも触れたいと思っているのに、まだ信じてもらえてない?




絡める指から、触れる唇から君に伝えたいと思うのに





「………んっ……ふっ……んん///」





息もつかせぬほどの口づけに苦しげに眉をひそめて、ああ、そんな表情にだって煽られてしまうよ




はだけたシャツから覗く白い肌に、カケラほどの理性も吹っ飛んでしまいそうだ




自分を落ち着かせようと離した唇、俺を見上げる溢れそうな瞳はゆらゆらと揺らめいて…







「チャンミン」


「……やだ///」


「ん?」


「………やめないで///」


「!!!!」




服の裾をキュッと掴んでそんな殺文句とか




君って人はどこまで俺を夢中にさせる気なんだろう




「もっと君に触れたい」


「………あ///」





俺の言葉に途端に赤く染まる肌に見惚れながら、浅く開いた唇に甘く口づけたんだ






















. クリスマスに願いを込めて 6








~Yside~









『ユンホさん、僕を見つけてくれてありがとうございます/////』






……そう言って突然真剣な表情で涙ぐむお前





なんでそんなに感傷的になっちまったんだかよくわかんないけど




キスで涙を拭ってやると真っ赤になって俯いて、胸にしがみついてくるとか




……愛おしさしかない




その後は2人で手を繋いでいろんな店を回って、これでもかってくらい食べ歩いて




『君達はこのホットチョコレートより甘いね』




なんて、ドイツ人のおじさんにも冷やかされるくらいのラブラブぶりで




お土産のアイシングクッキーも、家に飾るリースやオーナメントも沢山買って




家に帰ってからもはしゃぐお前をしっかりと逃げないように掴まえて(笑)






「あ!!ユンホさん!!これどこに飾りましょうか?」


「んなもん後だ後!!」


「……へ?……あっ、やん////」



「とりあえずベッド行くぞ!!」


「……ちょ……ユンホさ……ふ、服脱がさないでくださ…あ!!」



「ん、もう全部脱いじまえよ」



「……あ、や………ああっ!!////」







腹一杯になった鈴カステラをベッドにコロコロと転がして、結局は美味しく頂いてしまった俺なんだ
























. ユノ社長は新人秘書がお好き 43









~Cside~







ちょっと飲み過ぎたとは思う




取引先のしかも重役の人達に囲まれて、勧められるままに飲まされちゃって




でも、飲みすぎたのはそれだけのせいじゃないよね






ベッドに組み敷かれて甘いキスをたっぷりとされて、熱くなる体とは裏腹に涙がポロポロと溢れてくる




こんな風に話も聞かずにいきなりとか嫌なのに、離れたくないのも事実で



僕ってなんて素直じゃないんだろう////






「なんで泣いてる?」



僕の髪を撫でながら切なそうに光るアーモンドアイがやっぱり好きで、好きすぎて……





「……や、です///」


「ん?」


「………ぼ、僕、女の子みたいに柔らかくないし、その……胸だって……あ///」





シャツの隙間から触れる指に自分でも驚くほどの甘い声が漏れてしまう





どうにか逃れようともがくけど、また口を塞がれて言葉ごと飲み込まれて




ああ、あなたって本当にずるい……!!





「男とか女とか関係ないよ」


「………///」


「君がいいんだ、シム・チャンミン」


「……し、しゃちょ………んっ////」





髪を撫でながら耳元で囁く甘い声に、結局は何も言えなくなってしまう僕だったんだ

























. クリスマスに願いを込めて 5









~Cside~






「ユンホさん見てください!!メリーゴーランドがありますよ!!あ、ほら、あそこには美味しそうなジャーマンポテト!!ああ、あのお菓子も美味しそう!!」


「バカ、落ち着けって(笑)」





駅で待ち合わせたユンホさんと一緒にやってきたクリスマスマーケット




2人で手を繋いで歩くのも久しぶりだし、人混みを避けるように寄り添って、笑いあって





入り口には綺麗なイルミネーションがキラキラと輝いて、お店の上にはサンタや天使が飾り付けてある




キョロキョロと周りに気を取られながら先を進むと、目に入るのは見上げるほどの大きなツリー




「ユンホさん、すごく綺麗///」


「ん、そうだな、クリスマスツリーを飾るのはドイツが最初だったって聞いたことがある」


「ドイツ?」


「ああ、常緑樹は永遠の命のシンボルなんだと、ま、ここじゃただのイベントになっちまってるけどな(笑)」


「……永遠」




ユンホさんの言葉になんだか胸が苦しくなった





僕はユンホさんの所に来なければ永遠に缶詰の中にいたのかもしれない




永遠に愛することもなく、愛されることもなく、じっと膝を抱えて一人きりで



「チャンミンどした?」




急に黙ってしまった僕を心配そうに覗き込むアーモンドアイ、ああ、あなたがそばにいてくれてよかった




「ユンホさん、僕を見つけてくれてありがとうございます///」


「なんだよ、改めて」


「……ずっと、側にいたいです///」


「当たり前だろ、俺達はずっーーーっと一緒だ!!」


「……はい!!///」





じわりと浮かぶ涙はユンホさんの唇に吸い取られて、僕は恥ずかしくて思わず俯いてしまう




……こ、こんな所でキスとか!!///





「…お、降ってきたな」



「………あ///」




見上げた空からはヒラヒラと雪が舞い降りてくる






僕はユンホさんと一緒に空を眺めながら、空の上の神様にありがとうございますって内緒で呟いたんだ





























. ユノ社長は新人秘書がお好き 42








~Yside~






「ほら、しっかり、立てるか?」


「……あ、大丈夫です///」


「ん、帰るぞ」


「す、すいません///」





フラフラとする新人君を支えながら店を後にしてタクシーへと乗り込んだ



重役達に囲まれて飲まされてしまったのだろう、くったりとして目を閉じてしまった彼は辛そうで



なかなかに酒の強い連中だったしな……



途中で娘の話をふってきたハン社長には少々困ったが、チャンミンの拗ねた顔も見られてそれはそれでもよかったのかも




手を握ると身を固くする彼に愛しさが込み上げる






「スーツは脱いだ方がいい」


「……はい///」




部屋に戻ってもなかなか目を合わせてくれない彼は、服を脱ぐのもおぼつかない様子で



ボタンも外せず苦労をしているようだ




「どれ、貸してごらん?」


「だ、大丈夫です、あの……」


「動くな、じっとして?」


「………///」




プチプチとボタンを外していくと露わになる綺麗な鎖骨に目を奪われる




恥ずかしいのか目をぎゅっと閉じて身をまかせる君に理性も何も吹っ飛んでしまいそうだ




「……も、自分でできます、から///」



近すぎる距離に耐えきれなくなったのかそっと押し返す腕を掴んで抱き寄せる




「ね、キスしていい?」


「……は、離してください///」


「嫌と言ったら?」


「し、社長は!!///」


「好きだよチャンミン///」


「!!!!……や………んっ///」







逃げようとする体を掴んで抱き寄せると、そのまま後ろのベッドへと2人で倒れ込んだんだ

































. クリスマスに願いを込めて 4








~Yside~






本当なら迎えに行ってやるつもりだったけど、仕事が立て込んでてどうにも早くには抜けれそうになくて





『大丈夫!!誰にもついて行きません!!駅の噴水の所で待ってますから///』





そう言ってガッツポーズを決める鈴カステラが堪らなく可愛くて朝から襲っちまった





綺麗に切りそろえられた前髪にくるくるの大きな瞳、長い睫毛に艶々のほっぺで




連れて帰りたくなる気持ちもわからなくはない





ま、本人は無自覚なんだから俺が気をつけてやらないと、な…





とりあえずは仕事をこなして駅へと向かう、クリスマスマーケットなんて行ったこともないけど




ドイツの料理やホットワイン、お菓子やオーナメントの店が沢山出店してるらしい





興味がない事はないが、何より見たいのはあいつの喜ぶ顔で





いっぱい写真も撮るんだって話もしていたから…





急いで会社を出て駅へと向かうと、モコモコのマフラーを巻いた丸い後頭部が噴水の前に立っていた





「チャンミン!!」


「あ、ユンホさん///」




コロコロと転がるように駆けてくる鈴カステラ、よかった、ちゃんと無事に待ってたんだ





「変なやつは来なかったか?ん?」


「あ、はい!!何度か道を聞かれたくらいで///」


「そっか、じゃあ行くか!!」


「はい♡」





すっかり冷えちまった手をぎゅっと繋いで、俺達はクリスマスマーケットへと向かったんだ
















. ユノ社長は新人秘書がお好き 41









~Cside~







相手先のハン社長のお誘いで蟹を食べに行くことになって




当然僕もついて行ったわけだけど、ズラリと並ぶ豪華な蟹にテンション上がっちゃって




他におられた重役の方達に随分お酒を飲まされてしまった





「いやぁ、シム君は美人だねぇ、恋人はいるの?」


「あ、いえ///」


「なんだそうか、こんなに美人を放っておくなんて勿体ない、私が世話をしてあげようか?」


「部長、なんの世話ですか~」


「………///」




おじさん達のよくわからない会話に巻き込まれて、とりあえず相槌を打つしかない僕、ああ、蟹は美味しいけどこの席はどうにかしてほしい




それに……




ちらりと聞こえたのはハン社長とうちの社長が話してる声




『うちにも娘がいるんですがどうです?』




それってもしかしてそういうこと、だよね…

お見合いとか、紹介とか




美人だって言われて笑ってる社長はまんざらでもない様子だし




誰だって美人が好きだし、そんな人紹介されたら嬉しいに決まってるし





あ、落ち込んできた(泣)





ジワリと浮かぶ涙をどうにか堪えて立とうとするけど、やっぱり飲みすぎたみたいでぐらりと視界が揺れて僕は倒れそうになった





あ、やばい!!





そう思った時には僕は誰かの腕に支えられて……






「バカ、飲みすぎだ」


「……社長///」






怒ってるくせにどこか優しいアーモンドアイに、何故だか切なくなってしまう僕だったんだ




















. クリスマスに願いを込めて 3









~Cside~







「で?今日連れて行ってもらえることになったのか?」



「はい!!///」



「よかったな~ユノが忙しいなら俺が連れてってやろうと思ってたんだけどな」



「ええ!?///」



「ま、とにかく良かった、気をつけんだぞ!!人が多いからな!!」



「は、はい!!///」





ユンホさんに仕事を調整してもらって、バイトの帰りに待ち合わせてクリスマスマーケットに行くことになった




年末だから忙しいけど、どうにかするって言ってくれて、嬉しくて飛びついちゃったけど




結局そのまま襲われちゃって///





「チャンミン何一人で赤くなってんだ?」


「……へ?あ!!な、何でもない、です///」


「なんだなんだ~?またエロいこと考えんじゃねーだろうな?(笑)」


「ド、ドンヘさん!!///」


「なんだ図星かよ、全くラブラブだな~」






腕を組んでウンウンと一人で頷くドンヘさん、もう!!すぐにそうやってからかうんだから///





「で?迎えに来てくれんのか?」


「いえ、駅で待ち合わせです///」


「そうか、気をつけて行けよ?」


「はい!!///」






僕はドンヘさんにペコンと頭を下げて、エプロンを外すと店の外へと飛び出したんだ



















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紫苑☆

Author:紫苑☆
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