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. 王子の気持ち 23
~Cside~
「は?アルバイト?あんたがかい?」
「はい!!募集中なんですよね!!」
「ち、ちょっとチャンミン様!!」
「キュヒョンは黙ってて!!だって店長さん困ってるんでしょう?」
「いや、まあ………そりゃあ」
顎に手を置いてマジマジと僕を見つめる店長さん、そう、僕はラーメン屋で思い切ってアルバイトのことを聞いてみたんだ
年齢は18歳以上だし、一応学生だし、家は目の前な訳だし
言うことないよね、うん!!
留学したら絶対やりたいことの一つがアルバイトだったから、こんなチャンス滅多にないと思うんだ
ここで張り紙を見たことに運命を感じるし、絶対ここで働いてみせる!!
隣でブツブツ言うキュヒョンはさておいて、とりあえずは店長さんと話してみたけど、留学生って事で保護者の了解がないとダメだって言われてしまった
仕方がないから一応連絡先だけ渡しておいて、ユノが帰ってから話すことにしたんだけど……
まあ、当たり前に反対されちゃって…
でも、でもね、少しぐらい話を聞いてくれてもいいと思うのに
ユノったら頭ごなしにダメだダメだって……
ユノの部屋から出て自分の部屋に帰ったけど、悔しくて涙が出ちゃう
僕だって何にも考えてないわけじゃない、アルバイトはほぼ厨房での仕事だって書いてあったし
護られてばっかりじゃなくて自分で何かやってみたかったのに
「……ユノのバカ///」
ちっともわかってくれない頑固なユノなのに、ちょっと離れただけで直ぐに会いたくなってしまう僕だったんだ
. 王子の気持ち 22
~Yside~
「はあ!?アルバイト!?」
「うん、駅前のラーメン屋さん、ちょうど募集中なんだって」
仕事から帰ってくるなり飛びついてきて何を言い出すかと思えば!!
おかえりのキスもそこそこにニコニコとして嬉しそうに俺の手を握って
随分と可愛いけどこれは許してやるわけにはいかないな
アルバイトだなんてとんでもない!!
「ダメだ!!」
「ね、ユノ聞いて?」
「ダメなもんはダメ、お前自分の立場わかってんのか!?」
「で、でも!!」
「でもじゃない、末の王子とはいえ王族、情勢は安定してるとはいえ一般人とは違うんだ」
ぐっと黙り込んでしまう王子、本当にろくなことを思いつかない
ついこの前だって変な輩に絡まれていたのに……
ジャケットを脱ぐと少し乱暴にソファへと投げる、チラチラと俺の様子を伺うけどここで許してしまったら後が大変だ
「とにかく今はダメだ、まだこっちの生活にだって慣れてないし、先々考えていけば…」
俺の言葉に涙を溜めて下唇を噛みしめる王子、ああ、頼むからそんな顔はしないでほしいのに
「ち、ちょっとぐらい聞いてくれたって!!」
「チャンミン」
「ぼ、僕にだってやりたい事があるのにっ……ユノのバカ!!」
「おい」
「も、もういい!!自分の部屋に帰る!!」
そう言って涙をポロポロと零した王子は、部屋を飛び出してしまったんだ
. 王子の気持ち 21
~Cside~
「で、こっちの歩道を渡ってですね」
「へー」
「……チャンミン様聞いてます!?」
「あ、キュヒョンあれ!!」
「ちょっ!!チャンミン様!?そっちじゃないですってば!!」
大学までの道を案内してくれるというキュヒョンに連れられて外へ出たけど
この辺りって既にリサーチ済みなんだよね
ユノのマンションの周りに何があるのか知りたくて、パソコンでずっと見ていたから
勿論大学までの道だって完璧だし、教えてもらうまでもない
地下鉄の乗り方だってわかってきたし、地図のアプリだって使いこなせる
僕だって前に来た時とは違うんだから!!
駅前を歩いていて見つけたのはお目当てのラーメン屋、ネットで見てからずっと気になってたんだ
ユノに聞いたら時々食べに来るって話してたし、この辺りでは美味しいって有名らしい
「ね、キュヒョン、お昼食べよう?」
「……へっ?あ、チャンミン様!!」
まだワタワタとするキュヒョンを置いて店内へと入る、テーブル席はいっぱいだけどカウンターは空いてるし
ふふ、こういうの憧れてたんだよね
慌てて追いかけてきたキュヒョンとカウンターに座ってラーメンを注文した
ここは細麺なんだって話してたっけ…
サイドメニューで頼んだ唐揚げをつまみながらふと目に付いたのは壁に貼ってあるアルバイト募集の紙
『アルバイト急募!!困ってます』
そんな笑っちゃうようなコピーの文字に、思わず釘付けになってしまった僕だったんだ
. 王子の気持ち 20
~Yside~
『チョンさん王子から連絡ありました、まだごててるみたいですが今からマンションまで行ってきます』
仕事先へ向かう車の中、キュヒョンからのメッセージを受け取ると、ホッと溜息をつく
やれやれ、今度は何を言い出すつもりだか(笑)
昨日はその、夢中になりすぎて何度も追い詰めてしまったから……
ま、あれは無意識の小悪魔だから仕方ないけど、俺を煽るのも程々にして欲しい
腕の中で細い体を震わせて、何度もキスを強請る君にどこまでも夢中になってしまうのに
王子のことばかり考えて仕事に集中できないとか、俺もまだまだ未熟だな
さて、週明けからの通学はどうしたものか
シウォンによると莫大な警護代が既に振り込まれているそうだから、俺が専任でもいいようなものの
『お前には指名があるから専任は無理!!』
そんなことを言われてしまって、また家で騒ぐに決まってるのに
ま、あれはあれで楽しんでるけど(笑)
「チョンさん着きますよ」
「ん、ああ」
「お疲れですね(笑)」
「……まあね」
少々同情気味に俺を見る後輩の肩を叩いて、俺はゆっくりと車から降りたんだ
. 王子の気持ち 19
~Cside~
昨日はその……ユノに色々とされちゃって、結局僕は意識を飛ばしてしまった
僕を追い詰めるユノの瞳は、まるで獲物を狩る獣のように鋭くて
見つめられるだけで体が痺れたように熱くなって、声も抑えられなくて
啼かされるままに、その……何度もイかされてしまった///
朝目が覚めたら当然ベッドには僕しかいなくて、テーブルにはまたメッセージが残されていた
『起きたら連絡して、キュヒョンにも忘れずに』
朝ごはん作ろうと思ってたのに、起こして欲しかったな……
力なく椅子に座ると同時にスマホが震える、ちょっと期待しちゃったけど画面に表示されるのはキュヒョンの名前
僕は溜息を一つついてスマホをタップした
「もしもし?」
「チャンミン様!?まだチョンさんの所にいらっしゃるんですか!?いい加減自分の部屋に帰ってください!!」
「ったく、煩いな~わかってるってば!!」
「チョンさんだって忙しいんですよ!!今日そっち行きますから昼には戻ってくださいね!!」
「はいはいは~い」
せっかく昨日の余韻に浸っていたのに、キュヒョンのお陰ですっかり現実に引き戻されちゃったじゃない
まあ、いいや、キュヒョンには頼みたいこともあったし
来週には大学に通うから、それからやりたいことあるんだよね
ふふ、楽しみ!!
これからのことを考えて緩みっぱなしの顔を、どうしても抑えることが出来ない僕だったんだ