苺な彼とビールな僕

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～Cside～




カフェの隅で僕を睨みつける女の人、この人ってもしかしてこの前ユンホさんの部屋を訪ねてきた人？


肩までかかる長い髪とか

抱きしめればすっぽりと隠れてしまう身体とか

柔らかそうな肌とか


僕にはないものばっかりで、ユンホさんはこういう人が好みなの？やっぱり彼女さんなのかな？


「ちょっと！！なんで黙ってんの？なんか言いなさいよ！！」


「…あ、あの……」


『おい！！何やってんだ、うちのバイトイジメてんじゃねーぞ！！』



ドンへさんが気付いて助けてくれたけど、僕の心はモヤモヤとして悲しかった


やっぱり僕なんかがいたらユンホさんは迷惑なのかな？彼女さん呼べないから困るのかな？



…そばにいろよって言ってくれたけどあれは嘘だった？



涙が溢れそうになるけどまだバイトの時間だし、ぐっと堪えて仕事に戻る、うまく笑えないから声も小さくなっちゃって、お客さんにいっぱい心配されてしまった


「チャンミン、気にするな、あいつユノにフラれて八つ当たりしてんだよ」


それって僕のせいなのかな？僕のせいで彼女さんと喧嘩しちゃったのかな、ぐるぐる考えていると
ドンへさんがポンポンと僕の肩を叩く、今優しくされると泣いてしまいそうなのに…


夕方になってバイトの時間は終わったけど、僕はユンホさんを待たずに家に帰った


「ユノのこと待たなくていいのか？」

「…き、気分が悪いから先に帰ってます」


心配そうなドンへさんには申し訳ないけど、ちょっぴり嘘をついてしまった



……これ以上迷惑になりたくない



僕はピンクの缶詰を手に取ると、まだ帰らないユンホさんにぺこんと頭を下げて、あてもないまま部屋を飛び出したんだ

2016-06-02 23:00 ｜カテゴリ : 鈴カステラの缶詰 ｜コメント(4) ｜トラックバック(0)