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苺な彼とビールな僕

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. 家政婦さんは恋人 4















~Yside~











「じゃあ仕事の時間は終わり」





「あ、ち、ちょっと、ユノさん///」





「ええー?まだダメなの?早く抱き締めたい」





「エ、エプロンぐらいとらせて下さい!!///」





「そのエプロンがいいんじゃん」






「なっ!!///」










俺の言葉に真っ赤になって逃げてしまううちの家政婦さん








待ちに待ったプライベートな時間だっていうのに、まったくつれないことこの上ない








俺としては一日中でもイチャイチャとしていたいのに、まあ、そうなれば仕事も進まないから良くはない、か









仕事が進まないとボアのやつが乗り込んできそうだし、ドンヘのやつにも裏で手を回してそうだし








………そ、想像するだけで恐ろしい(泣)








キッチンで背中に手を回してエプロンを外す後ろ姿をうっとりと眺める







それにしてもこんなモデル級の家政婦だなんて、よくぞ普通に勤めてこれたもんだ







そういや以前勤めていた所にもう一度呼ばれているって言ってたっけ







いやいや、俺の専属の家政婦なんだからそれは断乎として阻止しないと!!









「ユ、ユノ、さん?///」





「へ?」







顔を真っ赤にしてモジモジと俯く俺の恋人!!


チラリと見えたバンビアイはしっとりと潤んでいるし!!







「じ、準備できました、よ?///」





「じ、準備?」





「あの、えっと、エプロンとったし、その……ハグ、とか///」






「!!!!チャンミン!!」






「う、うわっ!!///」









無意識の殺し文句で落としにかかってくる恋人をぎゅうぎゅうに抱きしめて、息もできないほどのキスをたっぷりとしてやったんだ




























. 俺の最強様 ~あなたに触れたくて~ 18














~Yside~












「え?出張?」




「そ、そうなんです、急に叔母から言われてしまって」




「そっか、残念だ」




「はい、せっかくゆっくりできると思ったのに」








この前の案件が終わってやっと休みが取れたのに、今週末はチャンミンが出張になってしまうとか  








まったくタイミングが悪いったらない








今日はこの前のお礼にとランチに誘って、ついでに週末の予定を決めようと思っていたから








期待していた分残念でしかない、よな



 




「そっか、仕方ないよな、で、どこに出張なの?」




「あ、えっと、大邱なんです、親戚がいて」




「へえ、大邱か、いいな」




「はい、古い街ですし、子供の頃はよく父に連れて行ってもらいました」




「そうなんだ、俺も行ってみたいな」








そんな話をしながらハンバーグを頬張っていると、じっと見つめるから思わず喉に詰めそうになってしまう







な、なんで急にそんな真剣な顔で見つめてくるんだろう








そんな潤んだ目で見つめられたら、こっちだって抑えが効かないっていうか、その///








「い、一緒に、来ます、か?その///」





「えっ?///」





「し、出張って言っても殆どは配達みたいなもんだし、あ!!でもその、無理にとかじゃなくて///」





「チャンミン!!」





「ご、ごめんなさい!!お休みなのにこんな事言っちゃって、その///」





「行くよ!!行こう!!」





「へっ、へっ?///」









あまりの俺の剣幕にキョトンとする君が可愛くて、今すぐに抱き締めたくなる俺だったんだ



































. 家政婦さんは恋人 3

















~Cside~











「え?サイン会、ですか?」




「ああ、そうなんだ、新刊を記念してね、出版社のイベントの一つらしい」




「そ、そうなんですね///」









さっきまでニコニコとしてアイスティーを飲んでいたユノさんは、編集さんからの電話で一気にしかめっ面になってしまった







なんでも出版社でサイン会が決まったらしく、どうやらそれが気に入らないみたい








そういや『U.K.』のサイン会って聞いた事ない気がする








新進気鋭の小説家で、その正体は謎に包まれている、なんて触れ込みで売られていたような………








「あ~あ、ずっと断ってきたのにさ」




「そ、そうなんですか?」




「そう、小説家はミステリアスな方がいいんだよ」




「た、確かに///」








予想以上に真剣に語り始めるから思わずうんうんと頷いてしまった







そりゃ僕だって『U.K.』、いや、ユノさんがこんなにかっこいいってこと知られたくない






でも、それでユノさんの小説を読むきっかけになる事もあるかもしれないし







でも、物凄く綺麗な人がユノさんを誘惑してきたりだとか






そうしたら男の僕なんて簡単にポイって捨てられて………







「うわ、ダメダメッ!!」




「チ、チャンミン?」




「あ///」








妄想が爆走しちゃって思わず頭を抱え込む







突然の僕の行動に驚いたユノさんは目を丸くしてこちらを見つめているし!!







は、恥ずかしすぎる!!///








「えっと、チャンミン?」





「あ、あの、なんでも、ない、です///」





「そ、そうか?」





「は、はい///」











熱くなった顔をパタパタと扇ぎながら、愛想笑いでその場を誤魔化す僕だったんだ












































. 俺の最強様 ~あなたに触れたくて~ 17













~Cside~









『すげー嬉しかった、チャンミンありがとう』









そう言ってふわりと微笑むアーモンドの瞳が忘れられない






うん、思い切って差し入れに行って良かった!!







ユンホさん………いや、ユノに抱き締められて甘いキスをたっぷりされちゃって、一時はどうなることかと思ったけど







ちょうど良いところにドンヘさんが帰ってきて中断したっていうか、ホッとしたっていうか///







結局あの後引き止められて、ちょっぴりお仕事を手伝ったりもして散々長居をしてしまった







帰りはユノが車で送ってくれて、その、また別れ際にたっぷりキスされちゃって







体の熱が冷めなくてどうしようもなかった///








次に会った時はきっとそうなるんだろうって予感がしてならないのは、もしかしたら自分の願望なのかもしれない







ぼ、僕ってひょっとして溜まってる、とか?///









いや、そうじゃなくてユノに飢えてるっていうか、求めてるっていうか










肌と肌で感じる事で伝わる事もあるわけで、それは男同士でも変わんないんだって///










「チャンミン、チャンミンったら!!」





「へっ?///ああ、叔母さん」





「どうしたのよボーッとしちゃって」





「あ、いや///」







仕事中についぼんやりとして、隣で作業をしていた叔母さんが心配そうに僕の顔を覗き込む







別に具合が悪いわけじゃないから、そんなに見つめるのはやめて欲しい///








「で?どう?行けそうなの?」




「な、何が?」




「やあね、聞いてなかったの?出張よ出張!!」




「へっ?///」








そんな突然の叔母さんの言葉に、思わずフリーズしてしまう僕だったんだ









































. 家政婦さんは恋人 2















~Yside~












「うん、美味い!!」




「ふふ、この濃縮アイスティー絶品なんです、ティーソーダにしてもいいし、中にシャーベットとか入れても最高なんです///」




「そっか、チャンミンの作るものはなんでも美味しいね」




「つ、作ってませんよ?」




「チャンミンが手を加えたらなんでも最高ってこと!!」




「ふふ、ありがとうございます///」








そう言ってにっこりと笑ううちの家政婦さん







朝から働き詰めだったからまともに顔を見れたのは午後になってからだった気がする







まったく働き者にも程がある、よな








チャンミンがうちに来るようになってからというもの、部屋の中はすっかり片付いているし、隅々までピカピカになって







以前の生活が考えられないくらいに食生活も豪華になった!!







臨時ボーナスも出すって話をしたのに『特に何も変わった事はしてませんから』なんて強く言われちまって








家政婦としての確固たる信念とか、意外と頑固だったりするところもまた………









「……….あの、ユノさん?」





「んあ?」





「で、電話鳴ってます」





「へ?ああ!!」








チャンミンに見惚れてテーブルに置いたスマホの事なんてすっかり忘れていたのに







誰だよ、ったく二人の時間を邪魔するんじゃないっての!!








「はい、もしもし?」





『あ、ユノ?なに?寝起きなの?ちょっと悪いけど今からうちに来てくれない?』




「は?」





『詳しくは会社で話すわ、あ、挿絵にする原稿も上がってるからついでに確認して?あとコラムの校正も!!じゃあよろしく』





「ちょ、ボア!!おい!!」









電話口で次々と捲し立てるボアに言い返すこともできず、スマホを持ったまま呆然としてしまう俺だったんだ
























































. 俺の最強様 ~あなたに触れたくて~ 16















~Yside~












「ちょ……ユノ……ん///」




「ん、少しだけ」




「ダ、ダメです……あっ///」









ほんの少しの悪戯心、ここに来てくれたことが嬉しくて、つい抱き締めてしまった






そして、軽いキスだけのつもりがあまりの気持ちよさに離れられそうもない



 




だって袖口を摘むとか反則じゃない?







でも、流石にこのままここでってわけにはいかないし、チャンミンも真っ赤になって首を横に振ってるし







ちょっと調子に乗りすぎちまったかも……







息苦しさにハアハアと乱れる息を抑えつつ、睨み返す仕草にすら煽られるとか






まったく、俺ってどんだけ我慢してるんだか








「サ、サンドイッチ!!///」




「うん?」




「た、食べて、ください!!///」




「うん、ごめん」




「ぼ、僕そろそろ……」




「えっ?もう帰るの?」




「………ダメ、ですか?///」





「うん、もう少しここにいて?」





「……何もしない?///」





「それはどうかな」




「も、もう!!///」





「あーやってらんね!!」





「ドンヘ!!」









そうこうしてるうちにいつの間にか戻ってきたドンヘが呆れ顔で俺達を見つめていた







チャンミンは真っ赤になって俯いちまうし、これは流石にバツが悪い







「はいはい、いちゃつくのはそれくらいで頼むよ!!じゃあせっかくだから頂くか!!俺の分もあるんだろ?」




「も、勿論です!!///」




「いただきまーす」




「おまっ!!独り占めすんなって!!」




「ぐずぐずしてる方が悪い!!」









サンドイッチを取り合う俺達を見つめるバンビアイが眩しくて、つい口元が緩んでしまう俺だったんだ











































. 家政婦さんは恋人 1













~Cside~











「うん、これでよし」





「チャンミン終わったのー?」





「ふふ、まだですよ、もう少し待っててくださいね」





「ちぇっ、もう待ちきれないよ~」










リビングのソファに座って足をバタバタとさせるユノさん、ああ、せっかく綺麗に並べたクッションも落ちちゃってるし






ほんと、世話が焼ける、よね(笑)







今日はキッチン周りの大掃除に朝から取り掛かっていて、まとわりついてくるユノさんから逃げるのに必死だった







だって一応仕事で来てるんだからね、うん///








恋人同士になったものの、僕が家政婦ってことには変わりはないから、そういうケジメってちゃんとしておきたい気がするし






一線は引いているつもり………







ただ、あんまり強くいうとユノさんが拗ねちゃうから程々にしないと







この前なんて部屋から出てこなくなっちゃって編集さんが困って説得にきたりだとか







最初会った時はクールなイケメンのイメージだったのに、こんなに甘えるタイプだったなんて







そのギャップにもまた萌えるっていうか、だって、僕だけにそうしてくれるってことだもんね///







は、早く仕事終わらせて構ってあげなきゃ








「なあ、チャンミン!!」





「はいはい、今アイスティー入れますからね」





「おっ!!やった!!チャンミンつきね?」





「な、なんですかそれ?///」





「ん?お茶もチャンミンも頂くってこと!!」









そう言って満面の笑みを浮かべる有名作家に、呆れながらも笑ってしまう僕だったんだ


































. 俺の最強様 ~あなたに触れたくて~ 15












~Cside~













「あ、あの、ごめんなさい、かえって迷惑だったんじゃ……」





「まさか!!すげー嬉しいよ」





「あ、良かった///ユノに喜んで貰おうと思って、その///」





「え、今!!///」












どさくさ紛れにユノって呼んでみたけど、ユンホさんは口に手を当ててフリーズしてしまった






もしかして、ダメだった、とか?






居た堪れなくてどうしようかと俯いていると、突然凄い力で腕を引かれて抱き締められてしまった!!








「あ、えっと?///」




「もう一回呼んで?」




「えっ?///ユ、ユノ?」




「ほんとやばい、すげー嬉しい」




「………///」









そう言ってにっこりと笑ったユノは、僕の肩口に顔を埋めた








よ、喜んでくれたなら良かった、でも……このままの体制だと出て行ったドンヘさんもいつ帰ってくるかわかんないし







それより何より熱い吐息がかかってドキドキしちゃうとか、僕ってどんだけ///








「あーもう、早く仕事終わらせて一緒にいたい」




「………ですね///」





「とりあえずはサンドイッチ、頂こうかな?」




「はい///」









ふわりと離れた温もりが名残惜しくてつい服の裾を掴んだ







………いけない、と手を離した瞬間唇に触れるほのかな温もり







あ、もしかして………キス、された?///







「ユ、ユノ!!///」



「ふふ、ちょっとだけな?」









悪戯っぽく笑って逃げるユノを軽く睨みながら、火照った顔をパタパタと扇ぐ僕だったんだ





        
































. オオカミなんかじゃない 22















~Cside~












あれから僕は至って普通の生活を送っている









あの酷い雨の中出会った彼のことも夢だったのかとおもえるくらいに







首筋に残された赤い跡は、暫くして跡形もなく消えてしまったから余計に







結局マーキングってなんだったんだろう……







犬じゃあるまいし、人間にそんなことして匂いなんて残るものだろうか







いや、犬じゃなくて狼だったっけ(笑)







時々蘇ってくるのは僕を見つめる黒目がちな瞳、切れ長のくせにこっちが恥ずかしくなるくらい甘い視線だった








あんな目で見られたら誰だっておかしな気持ちになってしまう、よね








現に僕も………///








複雑な気持ちを抱えたまま会社を後にすると、暗くなった空からパラパラと冷たい滴が落ちてくる






なんだ、今日はついてないな








「今日は傘、持ってないんだよね」




「………ここにあるよ」




「へ?あ!!!!///」







顔を上げればそこにはにっこりと微笑むユノの姿!!








えっと、これはどういう状況?まさか夢、とかじゃない、よね?








ゴシゴシと目を擦るとグイと腕を掴まれた、そして目の前には優しくて甘いアーモンドの瞳!!








「ユノ!!///」




「良かった、まだ消えてない」




「えっ?///」





「もう俺のもんだ」





「ちょ、ちょ!!///」










ユノの手から離れた傘がスローモーションのように地面に落ちると、僕はユノの腕にしっかりと抱き締められていた







首筋に感じる吐息に体がジンと熱くなる



ああ、きっと離してもらえそうもない……








「チャンミン、会いたかった!!」





「バカ!!こんなとこで!!離せって!!///」





「やだ、離さない」






「ユ、ユノ///」










必死に逃れようとする僕をぎゅうぎゅうに抱き締めるユノに、不覚にも幸せを感じてしまう僕だったんだ




































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紫苑☆

Author:紫苑☆
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