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苺な彼とビールな僕

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. 聖なる夜に願いを込めて 後編











~Cside~










「で?結局なんだったの?」




「ん?」




「ほら、クリスマスのプレゼント!!朝ハルに聞いてたのに言わずに行っちゃって」




「ああ」







暴れまわるハルを寝かしつけてやっとのことでリビングへ戻ったのに






さっき帰ってきたユノはシャワーを浴びたのか、濡れた髪のまま僕に抱きつこうとするから思い切り跳ね除けてやった!!






もう!!今日1日気になって仕方がなかったっていうのに!!







「チャンミーン」




「やだ!!髪濡れてるし、教えてくんないし!!」



「そう怒るなって、ちゃんと教えるから」



「………///」




「サンタさんにお願いがあるんだけど、ママに太って欲しくないんだって」




「………はっ?////」







そう言って満面の笑みで僕を見つめるアーモンドアイ、それっていったいどういう……?






わけがわからなくてフリーズする僕、ユノは僕の顔を見てクスクスと笑ってるし!!







「だからその、あれだ!!兄弟が欲しいんだってさ」



「……へっ?///」



「赤ちゃんできたら腹が出てくんだろ?だからお願いしたいけどスリムなママがいいんだって」




「あ………!!///」




「ふふん、ハルの複雑な男心ってヤツだ」








なんだ、そういうことだったんだ………






スリムなママがいいだなんて、ハルったら///









「ってことで子作り開始だな!!」




「……はっ?///」




「ほら、さっさとベッド行くぞ!!」




「ちょっ……ユノ!?///」








呆然とする僕は軽々とユノに抱え上げられて、ベッドルームへ連れて行かれると早速有言実行されてしまったんだ


















































. 恋する君は花の香り 8












~Yside~










息が止まるかと思った………!!









先に行ってしまったドンへを追いかけて店に入ったものの全く姿が見えず







仕方なく外に出て周りをキョロキョロと探していたら、店の裏で話すドンへとチャンミンの姿が目に飛び込んできて










「おいドンへ!!おまっ、勝手なこと、あ……!!」




「おーユノ!!」




「おまっ、なんの話しして!!」




「………誰?」




「………へっ?///」




「僕を知ってる?」




「……チャンミン」









そう言って俺を見つめる宝石みたいなバンビアイ、ああ昔とちっとも変わってない






そしてふわりと香るのは甘い花のような香り







………でも、俺の事忘れちまってる?









「何だろ、懐かしい」




「……え?」




「僕はあなたを知ってるみたいだ」




「わ///」








真っ直ぐに見つめる綺麗な瞳から目が離せなくて、そのままフリーズしてしまった俺だったんだ




































. 君といたいから 2











~Yside~










こんなにも人を愛しいと思える日が来るとは思わなかった








しかも同じ会社で隣の部屋で仕事をしているとか、口元が緩んで仕方ないよ








恋人になったとはいえまだまだ始まったばかりの俺達、数回食事をしただけでまだキスもしていないとか







友人が知ったらなんて言うだろう







思い切って家に誘ってみようと思うけど、なかなかにガードの固い君のことだから







ここはやはり強引にいくべきか







いや、やはりこういうことは慌ててはいけない、ゆっくり大切に、怖がらせないように







この前別れ際に隙を見て抱きしめたら、まるで茹で蛸のように真っ赤になって俯いてしまったから







流石の俺も手出しはできなかった………







だってね、大切で堪らない、デスクに座っている君を見ているだけでこんなにも幸せな気持ちになれる









でも、やはり早く触れたいと思うのは、君を好きだからこそ仕方のない事だと思うんだ

























. 聖なる夜に願いを込めて 中編













~Yside~










「え?ハルが?」




「うん、欲しいものを聞いただけなのにね、何か困ってた」




「へえ、何でまた?」





「それがわかれば苦労はしないって」





「確かに(笑)」






最近はずっと仕事が立て込んでいて、ハルが起きてる時間にはとても帰れないから







なかなか構ってやれないのが悩みのタネ







このまま忘れられてしまうんじゃないかって心配してしまうほどで







もうすぐクリスマスだし、やっぱりサンタさんからのプレゼントを心待ちにしてるだろうから







チャンミンと何がいいか毎晩話し合っているんだが







困ってるって一体どういうことなんだ!!







俺のジャケットをクローゼットに直しながら小さく溜息をつくチャンミン







そんな憂鬱な顔にも煽られる、なんて言ったらきっと怒るんだろうな








「俺が明日聞いてみるよ」



「……うん///」



「そんな心配すんなって、な!!」



「……はい///」







そんな約束をした次の日の朝、起きたてのハルを捕まえてこっそり問い詰めたら










思ってもみなかった返事が返ってきて、思わず笑ってしまった俺だったんだ

































. 恋する君は花の香り 7












~Cside~









「君ってもしかしてチャンミン君?」




「……え?」








店の裏口で片付けをしていた僕に、話しかけてきたサラリーマン風の男






ちょっとロン毛だし、見かけはチャラそうだけど








誰………?








「店長さん聞いたらこっちにいるって言ってたから、あ!!俺はドンへ、怪しいもんじゃないから!!」




「………十分怪しいけど」




「ははっ、正直な奴だな、ところでチョン・ユンホって覚えてるかな?すげー前の話なんだけど」








チョン・ユンホ……?







どこかで聞いたことがあるような、でも、ぼんやりとした記憶を辿っても誰だかわからない








「あーその様子じゃ覚えてないな」




「……その人が僕に何の用?」




「ん?君にずっと会いたがっててさ」




「僕に?」




「おいドンへ!!おまっ、勝手なこと、あ……!!」




「おーユノ!!」








店の角から飛び出してきた長身のシルエット、走ってきたのか薄っすらと額に汗が滲んでいる







この人………








どこか懐かしいのに思い出せなくて、でも胸の奥が苦しくなるような









そんな……複雑な気持ちに陥ってしまう僕だったんだ
























. 聖なる夜に願いを込めて 前編












~Cside~










「ねえママ?サンタさんはどこからくるの?」




「ん、お空を飛んでくるんだよ」




「おそら?トナカイさんといっしょに?」




「そうだね、橇に乗ってビューンってね」




「びゅうん?すごおおおい!!」








僕の言葉に両手を広げて走り回るハル、最近は言葉もよく覚えて会話も出来るようになった





見かけはユノにそっくりだから、1日見てても飽きない程なのに





うちの旦那様は僕がハルにかかりっきりなのは気に入らないらしい(笑)





全くどっちが子供なんだか……






パタパタと走り回るハルを捕まえてギュッと抱きしめる、ああ、本当に大きくなった





赤ちゃんの頃はよく熱を出して大変だったのに







「ハルはなにがほしいの?」




「ん?んー?」




「ほら、サンタさんからのプレゼント!!」




「ぷれぜんと……」




「欲しいもの言わないとサンタさんも困っちゃうでしょう?」




「…………ぼく、ぼくもこまっちゃう」








そう言ったきり黙り込んでしまったハル、その後僕にギュッと抱きついたまま眠ってしまった







何で困るんだろう………









すうすうと寝息を立てるハルの髪を撫でて、その寝顔をいつまでも見つめていたんだ












































. 君といたいから 1












~Cside~










「チャンミンそれ取って」



「あ!!はい」



「チャンミンこっちの資料は?」



「はい、出来てます、こっちのフォルダに」




「チャンミーーン」




「ヒチョルさん無駄に呼ばないでください!!」








今日は連休明けでバタバタしてるのに、朝から急な会議の資料作りで目の回る忙しさ







まったく、うちの社長ときたらワンマンなんだから






いや、ワンマンっていうよりは情熱が先に立っちゃって、頭で考えるより先に体が動いてしまうタイプ






周りはそれに付いていくのが大変で、だから古株の重役達とはソリが合わない







でも、その情熱と仕事っぷりを見ていれば、絶対この人に付いて行こうって思う筈なのに








経歴が邪魔になる事ってあるんだな……








「チャンミン冷たい~」




「はいはい、僕は冷たい人間なんです」




「ちえっ、誰かさんには優しいくせに~」




「なっ!!///」







そう、あれから僕は社長と恋人同士になった







勿論室長とヒチョルさんにはバレちゃってるわけで、知らんぷりするのが大変なのに







社内で社長が僕を見つめる視線が甘すぎて、どうにも誤魔化せそうになくて







……毎日困ってしまう僕なんだ///

























































. 恋する君は花の香り 6











~Yside~









「付いてこなくていいよ!!」



「俺はこっちに用事があんの!!お前こそなんで駅の向こう側なんて行くんだよ!!」




「うっ………それは」




「ぷっ、わかりやすいやつ(笑)」




「ったく!!」








何回か訪ねてなしのつぶてだったあのコンビニ、やっぱり気になってもう一度行ってみることにした





だって手掛かりはそこにしかないんだ






チャンミンが居なくなってすぐにチャンミンの祖父母もどこかへ引っ越してしまったし







行き先を訪ねようにも誰も知らなかったから、とにかく探しようがなかった







歩道を歩きながらぐるぐると考えていると、隣のドンへが呆れたように俺の肩をバシバシと叩いた








「っとに一途なんだよな!!」




「ああ、お前とは違うからな」




「言うねぇ、で?今日の作戦は?」




「作戦なんかねぇよ」




「うーん、ちょっと聞いたところじゃお前怪しまれてるからな、うん、俺に任しとけよ」




「……はっ?」




「いいからいいから!!」




「ちょ!!ドンへ!!」








そう言って先に走り出したドンへの背中を、ただ呆然と見送る俺だったんだ































. 情熱の人 31












~Cside~










「じゃあまた」




「……はい、あの、今日はありがとうございました」



「こちらこそ」




「……じゃあ、おやすみなさい///」




「おやすみ、チャンミン」









そう言ってふわりと笑った社長は、一瞬の隙をついて僕の髪にキスを落とした







驚いて顔を上げた時にはあなたは既に車の中で、不敵な笑みを浮かべているとか







………は、なんだろ///







まるで夢のような出来事に、家に帰ってからも呆然としちゃって







………僕、告白されたんだよね?







でも、夜中に届いたあなたからのメッセージが嘘じゃないって教えてくれる







『今日は会えて嬉しかった、次はいつにしよう?我が恋人君』







あまりにストレートな言葉に思わずスマホを落としそうになる






だって恋人君、だなんて……///







週明けに社長と会った時には流石にまともに顔も見れなくて






ヒチョルさんに顔が赤いって随分からかわれてしまったけど






イェソンさんは僕を見て満足気に頷いていたから、きっと気付いているのかも






いや、頷くってどうなんだろ///







ちょっぴり前途多難な気もするけど告白されて、好きを自覚してしまったからには







覚悟をするしかないのかな









「チャンミン新しい取引先の書類、5分以内に持ってきて?」




「あ!!はい!!」




「うわ、5分だって、社長厳し~」




「ヒチョル、お前はこの未処理の書類をどうにかしろ!!」




「ひえっ」









咄嗟に頭を抱えるヒチョルさんの目の前に山ほどの書類が置かれたのは








言うまでもないけどね(笑)


































. 恋する君は花の香り 5












~Cside~










「……え?僕を訪ねて?」





「ああ、何回か見かけたからまた来るかもしれない」




「そう、ですか、誰だろう……」




「一見爽やかそうなイケメンだったけどね、一応居ないとは言っておいた」




「すいません、ありがとうございます」








数日ぶりにバイトに行ったらいきなり店長から呼び出しを食らって






一体何をやらかしたのかと思えば、誰か僕を訪ねてやってきたらしい







この辺りに帰ってきたのは最近なのに、ましてや幼い頃に暮らしていたきりで、知り合いなんて……







僕の名前はシム・チャンミン、今は専門学校に通う学生だ






幼い頃に両親は離婚して、一時期は父方の祖父母の元で育てられた







祖父母はとても良くしてくれたけど、ある時僕は母に引き取られることになり、祖父母の元を去ることになった






それきり父とは会ってはいない






こちらに帰ってきたのは数ヶ月前、なんとか一人で暮らせる目処がたってのこと







いつまでも母さんに負担はかけられないから








看護師として女手一つで僕を育ててくれた母さんに、いつか恩返しがしたいと思っているけど







学生の身ではそれもなかなか……







この辺りの唯一の想い出といえば幼い頃に暮らした祖父母の家、広い庭のある古い洋館だった







そして、近くに住んでいた男の子がよく遊んでくれたっけ








確か名前は………







「チャンミン、お客さん」



「あ、はい」






店長の声に急いでレジに向かう僕に、まさかこの後運命の再会が待っているなんて







この時の僕は思いもしなかったんだ















































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紫苑☆

Author:紫苑☆
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