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苺な彼とビールな僕

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. ほろ酔い鈴カステラ 3








~Yside~





「おいドンへ!!花なんてまだ1つも咲いてねーじゃねーか!!」


「何言ってんだよ、今日は下見だ下見!!」


「適当にいってんじゃねぇだろうな、ったく、単なるバーベキューじゃねーか!!」


「バーベキュー……ですか?/////」



大きな瞳をキラキラと輝かせてバーベキューに反応する鈴カステラ、こいつ細い割りに食いしん坊だからな(笑)



「花見弁当でもいいかって思ったんだけどさ、バーベキューのがうちの店の奴らも喜ぶから、な、チャンミン?」


「はい♡ドンへさん、とっても楽しみです/////」




まあ、どうせ花見だって言う名目の飲み会になるんだから別にいいんだけど



そういやこないだのバーベキューはチャンミンが攫われてそれどころじゃなくなったから、こいつとってはバーベキューも初めてみたいなもんだな



ちょこっと目を離した好きにパタパタと駆け回り、ひと睨みしてやったのに無邪気な顔して寄ってくるからつい笑っちまう




「ユンホさん見てみて!!蕾がふくってしてますよ/////」


「ん、ああ、ほんとだな」


「来週にはパカッて開いてくれるかなぁ/////」


「ん、あったかくなったらきっと咲いてくれるよ」


「そっか、蕾さん、よろしくお願いします/////」




蕾に向かってぺこんと頭を下げる鈴カステラ、可愛すぎてつい口元が緩んじゃって、隣で俺を見てニヤニヤするドンへに蹴りを入れてやったんだ






















. 愛の詩をきかせて ~仔鹿君の憂鬱~ 27








~Cside~






あれからどうやって屋敷に戻ったのか……




ユノさんに抱えられて、びしょ濡れだった僕はシャワールームへと押し込まれて



服を着たまま熱いシャワーを浴びせられて、呆然とする僕に愛おしむように甘い口づけが降ってくる



濡れた素肌にバスローブを纏う頃には、僕はもうトロトロに蕩かされてしまっていて



抱えられるようにベッドへ座らされた時には、辺りはもう真っ暗になっていた



「君が心配することなんて1つもない」


「……でも……あの、お見合いって/////」



僕を見下ろす黒目がちな瞳が綺麗すぎて、なんだか泣いてしまいそう


なのに見られたくなくて思わず逸らした顔は、あなたの手に包まれていとも簡単に戻されてしまう



「見合いなんてしないよ」


「……で、でも/////」


「俺には君だけだ」


「………ユノさ……んっ/////」


「好きだよチャンミン、俺が君をどんなに好きか教えてあげる」



バスローブの紐をスルリと解かれ、ユノさんの唇が滑り込んでくる



……こんな所で?パクさんだっているのに、え……?/////



「パクさんなら帰ったよ、俺達の服を持ってね」


「ユノさん/////」


「朝まで離さない、覚悟して?」


「………え……あっ……んんっ/////」





アーモンドの瞳に射るように見つめられて、僕はシーツの海へと奥深く沈められてしまったんだ


















. ほろ酔い鈴カステラ 2







~Yside~





『よし!!花見に行くぞ!!』




大体こういうイベントの言い出しっぺはドンへの奴だけど、それに乗らないわけないうちの鈴カステラ



「……ユンホさん、僕お花見した事ないんです/////」



シュンとした様子で、大きな瞳を潤ませながら上目遣いで見つめられたら……



言う事聞かないわけにはいかないっつーの!!/////



まあ、俺がいい顔しなかったから仕方ないけど、出かける度に攫われ癖のあるこいつが心配なのも否めない事実で



「絶対に俺から離れんじゃねーぞ」


「はい、ユンホさん!!ありがとうございます/////」



きつい口調で言い聞かせたのに、嬉しそうにぺこんと頭を下げるお前が愛おしいとか



……俺ってかなりの重症だと思うよ/////



最近出てきた腹も気持ちいいと擦り寄る体を組み敷いて、キョトンとする唇にキスを落とせば途端に甘い声を上げるから止まらなくなる



「お花見に向けてお酒の練習するんです♡」




なんて甘めのチューハイをペロペロと舐める姿も色っぽい



ほんのり桜色に染まる頬はつやつやと輝いて、とろんとした表情も甘くて堪んないな



「何だよ、もう酔ったのか?」


「ん、ふわふわして気持ちい、です……んっ、ユンホさ……/////」




結局こいつのやることなす事全部が可愛くて、いつだって抑えきれない俺なんだ

























. 愛の詩をきかせて ~仔鹿君の憂鬱~ 26







~Yside~





「……あ?あれは…チャンミンさん?」




見合いだの何だのと言って去っていった父の言葉に呆然としていたが、パクさんの一言で後ろを振り返った



……チャンミン…まさか聞かれていた?



だが、そこには既に仔鹿君の姿はなく、屋敷の裏へと駆けて行く人影だけが見て取れた



慌てて後を追いかけると、山道を抜けた小川のほとりで一人佇む君



「チャンミン何してる、びしょ濡れじゃないか!?」



どうしてそんなことになったのか、チャンミンは上半身から水を被ったように濡れていて



近づいて俯いてしまった顔をあげると、涙に濡れたバンビアイ、ああ、やはり聞かれていた……?



「……ユノさん/////」


「馬鹿、こんなに濡れて、風邪を引いたらどうする」


「は、離して……!!/////」



そっと抱き寄せると腕を突っ張って逃げようとする君、知ってるだろう?俺が逃すはずがない事を


「離さないよ、絶対に」


「……あ、遊びなら……もう放っておいて下さい/////」


「俺はいつだって本気だ」


「……ユノさ/////」


「おいで、教えてあげる」




俺はびしょ濡れの君を抱えあげると、来た道を戻り屋敷へと急いだんだ































. ほろ酔い鈴カステラ 1







~Cside~






ユンホさんのところに僕が来てから、もう一年が過ぎようとしていた



最初は素っ気ない態度だったユンホさんも、段々と優しくなって



恋人になってからは、蕩けてしまうんじゃないかって思うくらい甘々で



幸せの鈴カステラは毎日ポコポコ生まれていて、あ、最近は苺味もちゃんと出来るようになって



ユンホさんは食べ過ぎてお腹の肉が増えたって嘆いていたけど、触りごごちが良いって褒めたらなんだか真剣な顔して襲われてしまった/////



『お前が悪い』



って言われちゃったけど、何が悪いのかさっぱりわからない



ドンへさんに相談したら、呆れた顔で溜息をついて何も答えてはくれなかったし



僕、悪いとこがあるなら直さなきゃなのに、ユンホさんもドンへさんも意地悪だ/////



お酒を飲みながら鈴カステラを頬張るユンホさん、とっても美味しそうに飲んでるから、僕も少しずつだけどお酒を飲む練習をしてる




だってね、来週はお花見にいくんだから/////




ちびちびとコップを舐めるようにして練習してるのに、さっさとコップを取り上げられて、また襲われてしまった僕なんだ/////





















. 愛の詩をきかせて ~仔鹿君の憂鬱~ 25







~Cside~






乱された服を整えて庭に出ると門の前でユノさんは誰かと話をしていた



……誰?背格好がユノさんに似てる



さっき出て言ったはずのパクさんも隣にいて、なんだかあまり良くない雰囲気?



ユノさんもなんだか険しい表情だし、どうしたんだろう…



気づかれないように近づいてそっと聞き耳をたてると、信じられないような話が耳に飛び込む



お見……合い……?



お見合いってユノさんが……?あの人はユノさんのお父さんで、え……?



頭が真っ白になって僕は思わず庭を駆け出していた



ユノさんがこっちを見た気がしたけど、そんなこと気にしてなんていられなかった



屋敷の裏は鬱蒼と木々が生い茂り、その向こうには小さな小川が流れていて



僕は夢中で山道を走り小川のほとりにしゃがみこんだ、透き通る水に映る僕はとても惨めな顔をしていて




……考えてみたら普通のことだよね、ユノさんは会社の社長さんで、将来は奥さんを貰って、子供を持って跡を継がせなきゃいけない



僕じゃ子供は産めないもの……



ユノさんは僕のこと好きって言ってくれるけど、いっときだけのことなのかもしれない



好きって言われて一人で舞い上がって、僕って馬鹿みたいだ/////



「………ふっ…く……」



止めようとしても涙がポロポロと溢れてきて、誤魔化すように小川の水で顔を洗った




刺すように冷たい水が涙を流してくれる気がして




僕は夕暮れに染まる空を見上げて、この気持ちをどすればいいのか、わからなくなってしまったんだ




















. 夢で逢えたら 24







~Yside~





「……ユノッ…ダメだって……んっ/////」



俺達はふわふわの雲の上、隣に座って話しているだけだった筈なのに



最初はふざけて啄ばむように、だんだんと甘く深くなる口付けに、お互いが熱を持ち始めて……



そう、ここは夢の中、チャンミンは未だ術後の帰国許可は下りていなくて、俺は少々欲求不満ぎみ



だから夢で逢えたらつい触れたくなってしまうんだ



「チャンミン好きだよ」


「……ぽ、僕も好きだけどっ……夢の中が先とか……嫌/////」



ついには怒って体を離してしまうから、これは観念するしかないよな(笑)



「ほんとユノって強引だ/////」


「ん?チャンミンにだけだよ」


「………口も上手いし/////」


「だからチャンミンにだけだって、だから早く帰ってきて?」


「……ん、もうちょっと待ってて/////」



小首を傾げてそんな可愛い顔で見つめられたら、誰だって言うこと聞かないわけにはいかないよ



アメリカにね、渡ろうかって思ったときもあったけど、こうして夢で逢えてるし



何よりチャンミンが一人で頑張っているのに…



俺は俺の出来ることをして、待っていようって思ったんだ



だって俺達は確実に繋がっているから……!!



早く、早く戻っておいで

俺の腕の中に飛び込んでくれたら

二度と離れないように強く抱きしめるから




夢の中の君より数倍も愛おしい、現実の君を……























. 愛の詩をきかせて ~仔鹿君の憂鬱~ 24







~Yside~






……本に夢中な君が悔しくて、ちょっとした意地悪のつもりだったのに



瞳を潤ませて可愛い声を上げるから、止まらなくなってしまった



俺の口の中で熱を放った君は、ちゃんと俺の事も気にしてくれているようで



『俺は夜にたっぷりして貰うよ』



そう伝えると途端に薔薇色に染まる肌、出来ることならこのまま抱いてしまいたいけど



まさかここでは……ね(笑)




君が服を直している間、自分を落ち着かせようと庭に出ると一台の車が門の前に停まった




あれは……?




門をくぐって入ってきたのは申し訳なさそうな顔のパクさんと父さんだった



「ユンホ、久しぶりだな」


「父さん……」


「そんな顔するな、電話に出なかったお前が悪い」


「…何の用です?」


「他でもない、見合いの話だ、ジヘから聞いているだろう?」



そういえばジへがそんな事を言っていたっけ、まさか本当に……?いったい何故急に?



「先方からのたっての願いなんだ、あちらのご令嬢はお前も知っているだろう?」


「いや、その話は…」


「会わずに事を片付けようと思うな、来週は実家に帰ってきなさい、それだけだ」




父さんは溜息まじりにそう告げると、さっさと車に乗り込んで帰って行ったんだ


























. 夢で逢えたら 23







~Cside~





手術の当日はちゃんとユノと電話で話して、頑張ってくるって言ったけど、本当は不安でいっぱいだったんだ



手術室に向かうまでは、ずっと付き添ってくれた母さんと、わざわざ駆けつけてくれた父さんもいて



ガチガチに緊張した僕をずっと励ましていてくれていた



麻酔が効いてしまえば後は先生方に任せるしかないから、僕は深い眠りの底でじっと時が過ぎるのを待っているしかなかった




ふと気付くと、僕はまた白い世界で人の流れに沿って歩き出していて



行きたくないって思うのに、体は言うことをきいてくれなくて



……そっちには行きたくないのに!!



そんな時に聞こえたのはやっぱりユノの声…



『チャンミン!!行くな!!』



あの時と違うのは、ユノの腕が伸びて僕をしっかりと引き止めてくれたこと




……ほら、やっぱりね




いつだってユノは僕を助けてくれる、夢の中の出来事は現実と繋がっていて、きっとこの事も……




ふわふわとした感覚から目覚めたのは丸一日経った後のことで、術中に自分が危ない状況だったことは後から知った



母さんがユノに連絡をしてくれて、電話の向こうで泣いてたって聞いた時には僕も涙ぐんでしまったけど




『泣いてる場合じゃないわよ、これからが大変なのよ』




なんて言う母さんに、涙の跡があった事は、僕の胸の中にしまっておいたんだ
































. 愛の詩をきかせて ~仔鹿君の憂鬱~ 23






*ちょっとR18です♡

~Cside~






ユノさんのお祖父さんの書斎で、本に囲まれてこんな状況どうかと思うのに、ユノさんってほんと強引だと思う



重なる唇は次第に熱を増して、絡められる舌についていくのに必死なのに、そんな優しい顔で見つめないで欲しい/////



「……んっ……や……/////」


「こら隠すな、ちゃんと見せて?」



大きめのソファの上で、僕は服をはだけた状態で、あられもない格好を晒していて



ユノさんの唇が僕の体を這い回って、胸の突起をペロリと舐めるから、女の子みたいな声がでてしまうよ



……こんなに明るい所で恥ずかしくて堪らないのに/////



折角顔を覆っていた腕も、いとも簡単に振りほどかれてしまって



見つめる先には熱を持ったアーモンドアイ…



どんどん下へ降りていく唇に、驚いて起き上がろうとしたけれど、僕のソレは既にユノさんの口の中に捉えられていて/////



「……ダ、ダメ……汚いのにっ……や/////」


「君に汚いところなんてないよ」


「……あぁっ、離し……や!!/////」


「いいよ、イッて?」


「……やっ……ああっ!!/////」




逃げようとする腰をがっしりと掴まれて、僕はそのままユノさんの口に熱を放ってしまった



















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紫苑☆

Author:紫苑☆
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