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苺な彼とビールな僕

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. 空色の調べにのせて ~ピアノの行方~ 34






~Sside~





シム先生をご実家にお送りする日が来るなんて、これってやっぱりそういうことだったんだよな


シム先生はファラン様の所に行くと聞いておられたみたいだけど、ご実家と同じ敷地内にあるとはご存知なかったみたいだ


着くなり動揺して固まるシム先生だったけど、その…恐らくはチョン家に迎え入れられるとこになったんだろう



ファラン様が認めたら幾ら会長が反対しても敵わないもんな(笑)



テラスから見える部屋にはピアノの横に長身の二人が重なり合っていて



…良かったなぁ、って…グスッ



「スーホ?ないてるの?」


「リ、リウ様!!どうしてここに!?ななななな泣いてませんよ!!!/////」


「ふうん?ぼくねーおへやにいれてもらえないんだよ」



がっくりと肩を落とすリウ様、恐らくは今まさに社長はプロポーズの真っ最中、流石にリウ様には席を外していただきたいんだろう


「チャンミンはパパとぎゅってしてるし、ぼくはなかなかおいつけないんだよ」


…ふふ、未来のチョングループの社長もシム先生に夢中なんだった



「ではやはり牛乳を沢山飲まないといけませんね?」


「そうなんだよね、でものみすぎはダメってヨンさんにおこられちゃうんだよね」


はあ、と盛大に溜息をつくリウ様、あなたの恋は前途多難ですね(笑)



「スホ!!何してるの!?手伝って頂戴!!」


「はっ、はいいっ!!リウ様、参りましょう!!」



ファラン様の大きな声に我に帰る、今日は祝宴ということだろうか、あのお二人のイチャイチャをまたしても見せつけられるってことかな(笑)


「リウ様ごちそうですよ、きっと!!」


「うんっ!!おてつだいしなきゃ!!」



初夏の匂いのする空はどこまでも青くて澄んでいて、うん、まだまだ忙しくなりそうだ



僕はリウ様と手を繋いで屋敷の中へと駆け出したんだ!!


































. 夜咲く華は蝶のように 15







~Yside~




ちょっと泣かれたくらいで途中で止めるとか、今までの俺なら考えられない…しかも男相手に!!


瞳を潤ませて鼻をすする小鹿ちゃんは、申し訳なさそうに眉を下げて、イキナリなこの状況に怒ってもいいはずなのに、まるで自分が悪いみたいにシュンとしちゃって



…可愛い奴



そんな風に思ってしまう俺は既に君の手中に収められてるのかもしれないね


目の端に涙を溜めたままチキンを頬張る君があんまり幸せそうだから…俺も自然と笑ってしまうよ


一緒にシャワー浴びようか、なんて言えばきっとまた怒って拗ねてしまうかな?ここはぐっと我慢して交代でシャワーを浴びて、髪を乾かすとベッドルームから声をかけた



「チャンミンおいで」



俺の言葉に真っ赤になって俯いて、それでもチラチラこちらを伺いながらベッドへと滑り込む、借金のカタに拘束されてる奴にそんな表情見せるなよ、俺って単純だからすぐに勘違いしてしまうよ?



後ろから抱きしめて髪にキスをすると、キュッと身体を強張らせるから耳元で優しく囁いた



「俺のこと嫌い?こうされるの嫌?」



ハッと振り返り、真っ直ぐ見つめる君の瞳は、やっぱり嫌がってるようには見えなくて、答えを聞く前にキスで塞いでしまうんだ















. 空色の調べにのせて ~ピアノの行方~ 33







~Cside~





『俺と結婚してください』



ユノさんからの突然のプロポーズ、あまりのことに頭が真っ白になってしまって、返事をしてしまったものの…ほんとにいいんだろうか


「…あ、あの、ユノさん…僕、男です…」


「ふふ、知ってるよ」


「け、結婚って…/////」


「法律的にはまだ認められていないけどね、俺の心は変わらないから予約、かな?」


「…で、でも/////」


「ノーは無しだよ?君の選択肢は一つだ」



僕の話なんてまるで聞いてないみたいにニコニコするこの人、ほんと強引なんだから…こんな大事なことなのに/////



「…やっぱりワンマン社長ですね」


「ん?嫌になった?」


「…………好き過ぎて困ってます/////」


「チャンミン!!」


「…わっ!!/////」



突然腕を引かれてあなたの腕の中、ぎゅうぎゅうと苦しいほどに抱き締められて、僕は幸せの嵐の中にいる



「幸せにするよ、約束だ」


「…はい/////」



そっと体を離すと、ユノさんはポケットから取り出した指輪を僕の左手の薬指に嵌めた



「うん、サイズもぴったりだ」


「……あの…いつの間に…?/////」


「ずっと企んできたってわけ、ふふ、サプライズ大成功だね」


「……しょうがない社長さんですね/////」


「呆れるほど君に夢中なんだ、ね、誓いのキスさせて?」



おでこをコツンと合わせて、二人で顔を見合わせる、なんだか照れくさくて笑ってしまう僕に、あなたは今までにないくらい…優しい優しいキスをくれたんだ












































. 夜咲く華は蝶のように 14






~Cside~




寝込みを襲われるのってこれで二回目じゃないか!?ほんと止めてほしいのにこの人ってばキスが上手すぎる…!!/////



「……んっ…あ…はな…せっ…/////」


「んー?やだ、このまま頂いてもいい?」


「…いっ、頂くなっ!!/////なにいって…あっ…どこ触って…やっ!!」



その人の手はまるで魔法でも使っているかのように僕の服へ滑りこんでくる!!いつの間にか下半身は下着だけになってるし!!!/////



「チャンミンのココ、きゅって閉まってるよ?」



人には触られたことの無いところをつるりと撫でられ一気に身体が強張った、それって…やっぱりそうゆうこと?やだ…どうしたらいい?



はなの奥がツンとして堪えようとしても涙が滲んでくる、うっ….こんな事で泣くなんて、女の子じゃあるまいしっ…!!



「……うっ…グスッ…やめ…て…」


「…チャンミン泣いてる?」


「…な、泣いてない…グスッ…」


「ごめん、やり過ぎた、君があんまり可愛かったから、ね、許して?」



体を這い回っていた手は僕の背中をゆっくり撫でて、安心させるように優しく抱きしめられる


子供を宥めるように涙を拭うと、ユノヒョンは軽くキスをして僕を起こした


「チキン買ってきたから一緒に食べよう、ね」


さっきまで体を抑えつけて僕を襲おうとしてたくせに


優しいのか、騙されているのか…


でも、そんなユノヒョンにドキドキしてしまう自分に一番戸惑っているんだ






















. 空色の調べにのせて ~ピアノの行方~ 32







~Yside~




口付けた唇はほんのりと桜色に染まり、睨みつける瞳すら愛おしくて


「見せたいものがあるんだ」


「…え?/////」


俺はチャンミンの手を引いてリビングの隣の部屋へと向かった


ガチャリ、と扉を開けると日当たりのいいテラスに繋がるそこは小さな広間のようになっていて、お祖母様がよく皆を集めてはピアノを披露した場所…


「…あっ!!あれは!?/////」


「ふふ、さあ、こっちにおいで」


「…ど、どうしてあれがここに…!?」


お祖母様のピアノの横に並ぶもう一つのピアノ


「実はこの間ね、ソンさんのお宅に伺ったあと彼にピアノを譲って貰えるようにお願いしたんだよ」


「…ユノさん!!」


「ふふ、最後まで聞いて?でも買い手が決まった所だからお譲りできないって言われたんだ、そこで俺は食い下がったわけだけど…すぐにお祖母様から連絡があってね」


「……/////」


「ピアノを買い取った主はお祖母様だったってわけ、俺も驚いたよ」


「…ファランさんが…/////」


「いつでも来ていいってさ、君をチョン家に迎えるって」


大きな瞳はさらに見開かれ透明な膜に覆われる、溢れそうな瞳はゆらゆらと揺れて所在無げに視線を彷徨わせた


「…ユノさ…」


「チャンミン、俺と結婚してください」


「…あ…だって…」


ついにポロポロと零れ落ちる雫はまるで宝石のように輝いて、勿体無くて指で触れるけどとめどなくて、答えはイエスしか許さないよ?


「一生一緒にいて欲しい、返事は?」


「………あ…/////」


「はい、でしょう?」


「…はい/////」


消え入るようなプロポーズの返事を確認して、俺は涙でぐしゃぐしゃになった君に優しくキスをしたんだ


















. 夜咲く華は蝶のように 13








~Yside~





自分でも驚くほどスムーズに仕事をこなして、近くの店でチキンをテイクアウトして部屋へと向かった


カトクは読んでないみたいだったけど、まさか家に居ないとか?恐る恐るドアを開けると玄関にはきっちりと揃えられたスニーカー



……いるいる(笑)



大きめのソファに長い体を曲げて丸くなる塊、子供みたいに口元に手を置いてすやすやと眠るのは可愛い小鹿ちゃんだ


サラサラの前髪、その隙間から長い睫毛がチラチラ見えて、少しよれたTシャツから覗く綺麗な首筋


…エロいな/////


触れたい衝動を抑えきれず、耳から首筋までを指でなぞる、ピクンと反応するからそのまま耳の中をペロリと舐めた


「……んっ…」


ぴちゃぴちゃと音を立てながら中に侵入すると、大きな瞳がパチンと開くのがわかった


「…っなっ!!…ちょっ…!!!/////」


「おはよ、チャンミン」


「…っ!!!おっ、おはよ、じゃねー!!…んっ…/////」


寝起きの緩慢な動きを征するのはいとも簡単で、唇を重ねると胸をトントンと叩いて小さな抵抗をみせた


構わず舌を挿し入れて、クチュクチュと音を立て口内を舐め回す、息もつかせぬ口付けにチャンミンの吐息も次第に熱を帯びてくる



ちゅっ、と音を立てて離れると蕩けたような表情、そのくせギロリと睨むそのバンビアイに煽られるんだ



「い、いきなり寝込みを襲うとか!!」


「ふふ、だって家性婦でしょ?」


「…あれって冗談じゃ/////」


「ん?ガチだよ?」


「…あんたゲイか!?」


「違うよ、チャンミン限定」


「…!!!/////」



フリーズするバンビアイ、頬をふわりと撫でると俺はもう一度チャンミンの唇を塞いだ

















. 空色の調べにのせて ~ピアノの行方~ 31







~Cside~






「……ユノさん、ここって?」




車で一時間ほどかけて着いた場所、重厚な門をくぐり広い庭を抜けると豪勢な邸宅が二つ並んでいた


「チャンミン、こっちがおおきいおばぁちゃまのおうちで、こっちがおじいちゃんとおばあちゃんおうちなんだよ~」


…えっ!?/////


「ユ、ユノさん、あの…?」


「そう、お祖母様の家の隣は俺の実家なんだ、驚いた?」


そ、そんな話聞いてない…どうしよう/////


「…驚いたって、そんな…」


「まあまあ、チャンミンさんいらっしゃい!!そんなところでどうしたの!早く中にお入りなさいな!!」


「おおきいおばぁちゃま~♪」


エントランスから現れたのはファランさん、ユノさんに背中を押されるように中へ入った


案内されたのはリビングとは言えないような広くて豪華な部屋で、何が何だかわからなくて、ファランさんはただオロオロする僕の手をぎゅっと握って


「すぐにお茶を用意しますわね、ああ、コンさんはどこかしら?リウ、コンさんを一緒に探してくれない?」


「はーい♡」



そう言ってファランさんとリウ君は部屋から出て行ってしまった、クスクスと笑いながら僕を見るユノさん、どういうことか説明してほしいよ/////


「そんなに大きな瞳で睨まないで?穴が開いてしまうよ」


「…ユノさん酷いです」


「ん?」


「こ、こんな大事なこと…/////」


「大事だって思ってくれてるんだ、嬉しいよ」


「な、何言って…んっ…/////」



必死に詰め寄る僕の手を取っていきなり口を塞がれる、こんなところで誰かに見られたら!!/////


「君に、聞いてほしいことがあるんだ」



ゆっくりと離れる唇、僕を見つめる黒眼がちな瞳はどこまでも綺麗で…



僕は何も言えなくなってしまったんだ



















. 夜咲く華は蝶のように 12






~Cside~






『今日は記念すべき家性婦一日目なんだから早く帰るよ、うちで待っててくれる?』


そんな新婚夫婦みたいなセリフを残してユノヒョンは僕に合鍵を渡した


すごく強引な人で、人のこと勝手に家性婦なんて決めて…確かに壺を割ったのは僕だけど


…実はそんなに嫌じゃないっていうか/////


ちゃんと僕の部屋は用意してくれるっていうし、家性婦も学生だから出来る限りでいい、なんて…


出会いからその…裸にされてエロいことされちゃったけど、その後会ってもまったく触れてこないし



…家婦なんて冗談だったのかな



き、期待してるわけじゃないよ!!うん!!だって僕は男だし、ノーマルなわけだし!!


それにあれはどう考えてもヤラれるほ…/////



わあああああああっ!!!/////


ちがうちがうちがうちがうちがうー!!/////



ぼ、僕は男なんだし、がっつりヤるほうなんだし、うん/////



ああ、なんかいらない妄想で疲れた(泣)



ふらふらとソファに倒れこむと、僕はそのまま眠ってしまったんだ


















. 空色の調べにのせて ~ピアノの行方~ 30







~Yside~





次の週末、俺はチャンミンとリウを連れてお祖母様の家へと向かった、お祖母様の家はここから一時間ほど、今日はスホが運転手を務めてくれる


「こ、こんな格好で大丈夫でしょうか?」


「もちろん、君は何を着ても似合うよ」


「……/////」


「チャンミンおかおまっかっかだよ?」


「リ、リウ君、なんでだろ?き、今日はあったかいからかな?////」


慌ててリウに言い訳する君が堪らなく可愛いよ、向こうに着いたらもっと驚いてしまうだろう


……実は、お祖母様の家はうちの実家と同じ敷地内にある、だから、今日は俺の実家に行くのも同然なんだ


またしてもお祖母様の小さな企み、お誘いを受けたときは驚いたけど、彼女はチャンミンをとても気に入ってくれたらしい



『ユンホさん、私チャンミンさんにお会いしたことあるのよ、シム・リーのお葬式でね、二人の妹達と手をつないで悲しみに耐えていたの、とても意志の強い瞳が印象的だったわ』



二人の妹と父を支えてきた君は、儚げなのにとても強くて、色々と苦労をして…今度は俺が幸せにしてやりたいと思うんだ


窓の外を眺める横顔、両手を膝の上で握り、唇は固く結ばれている


「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」


「……ユノさん/////」


「ピアノのリクエストはあるかもだけどね」


「…え?…そ、それなら大丈夫です/////」



俺の膝で眠ってしまったリウ、君はふわりと頭を撫でて微笑むと、また窓の外に視線を移したんだ
















. 夜咲く華は蝶のように 11






~Yside~





「オーナー随分ご機嫌ですね、なんか良いことありました?」


「ん?ああ!!あったかもな~♪」



リョウギがカウンターでグラスを拭きながら目を丸くする、やべ、ちょっと顔緩みすぎだな



…だってこれが喜ばずにいられるか、にやける口元を手で隠しつつパソコンへと目を向ける


今日からチャンスニ….じゃなかった、チャンミンがうちに来ることになってるんだ


今夜から楽しめる?なんてな、ふふ♡


今日は珍しく昼間からびっちり働いたし、後はあっちの店に顔だして帰るだけ、俺もやればできんじゃん(笑)


「ああ、リョウギ、明日から新入りはいるからシゴいてやって?」


「はいはい、いつも急ですね?」


「スッゲェ美人だからな、手ェ出すなよ!!」


「え!?まさかの女の子ですか!?」


「ちげーよ!!男!!でも美人なの!!」


「へぇ…オーナーってソッチもイケたんですね?」


「いらねーこと言うな!!とにかくよろしくな!!」


「へーい、そいじゃオーナーも帰って扱いてあげてくださいね、ふふっ♡」


……ったく!!口の減らないやつだ/////


パソコンをパタンと畳むとキーを持って車へと向かう、チャンミンは早くに帰ってるはず…


一応カトク入れとくか、なんて、ほんと俺らしくないって(笑)



一気に襲いたいとこだけど、がっついて嫌われるのは勘弁だしな



…結構ガチじゃね?



俺はハンドルを握りながら、やっぱり口元が緩むのを止められなかったんだ














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紫苑☆

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