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. 家政婦さんは恋人 15
~Cside~
やっぱり我慢できなかった………
いってらっしゃいと見送ってから掃除を済ませて、洗濯をしながら作り置きのおかずを作ったりしたけど
気になって仕事なんて手につくはずもない!!
だってサイン会だよ?
ユノさんのファンがいっぱい来て好きだって伝えるんだよ?
片付けもそこそこにユノさんの家を飛び出して向かった先はサイン会が行われるショッピングモール
途中でエプロンも外してないことに気付いて慌てて鞄に押し込んだ
初めての場所に戸惑ってウロウロと彷徨っていると、見覚えのある女性が歩いていくのが見えた
あれって編集のボアさん、だよね?
これはチャンスとこっそりと後を追ってみる、ああ、僕ってば本当に何やってるんだろう
こんなことなら最初からついていけばよかったのに
見学に来てもいいって言われていたのに
グルグルと考えながらボアさんの後ろをついていくと、視界が開けて大きな広場が現れた
広場自体は一階にある、サイン会のスペースは小さいけれど吹き抜けの二階三階からは全てが見渡せる感じ?
それならとエスカレーターを駆け上がり、なんとか見える位置へと向かってみる
するとそこにはにこやかな笑顔でサインをするユノさんの姿があった!!
「ねえねえ、あの人かっこいいよね、アイドル?」
「ううん、小説家だって」
「ええー?サイン欲しい、もっと近くで見たい」
「さっき見たけどスタイルも抜群だったよ」
そんな女の子達の声が響く中、僕はキュッと下唇を噛み締める
そうだよ、ユノさんって本当にかっこいいんだ
カッコいいだけじゃなくて、子供みたいに純粋で可愛くて、苺が大好きで………
「きゃーーあの子握手してもらってる!!」
「距離近い!!」
そんな女の子達の声にハッとして見下ろした先には、ユノさんと握手をするテミン君の姿があったんだ
. 家政婦さんは恋人 14
~Yside~
昨日のチャンミンはめちゃめちゃ可愛かった
普段なら誘ってもなかなか泊まったりしてくれないのに、素直に頷いてくれたから本当に驚いた
しかも自分からキスを強請ったりだとか、ぴったりくっついて離れなかったりだとか
部屋で待っててくれたのもすげー嬉しかったし!!
次の日の予定も考えてその夜は濃厚なキス止まりになっちまったけど
これはかなりの進展、近々そうなるって期待してもいいんじゃないか!!
「ちょっとユノ、その顔なんとかなんないの?」
「ふへ?」
「ふへ、じゃないわよ!!もうすぐサイン会が始まんのよ、しっかりしてよ先生!!」
つい昨日のチャンミンを思い出してニヤニヤとしてしまう俺
………そうだった、今日は嫌々ながらもやってきたサイン会当日
ま、思い出し笑いは今に始まったことじゃない、妄想の中では既にこんな事やあんな事も………
控室から会場へ向かう間に咳払いをして顔を整える
今日はクールな小説家先生って事でそれなりにスタイリングも決めてみた
勿論スーツはチャンミンに選んでもらった!!
『ユノさん、カッコイイです///』
玄関で鞄を持って見送ってくれた可愛い恋人!!ああ、帰ったら直ぐにキスをして押し倒して………
「先生入られます」
「お願いします」
スタッフの合図と共に暗幕をくぐって、緊張と共に会場へと足を踏み入れる俺だったんだ
. 家政婦さんは恋人 13
~Cside~
「それでさ、リハの後高校生に囲まれちゃってさ~」
「ええ、大丈夫だったんですか?」
「ああ、スタッフが来て助けてくれたけどびっくりしたよ、いきなり『U.Kさんですよね』なんて言うもんだから」
夕方から出て行ったユノさんが帰ってきたのはもう夜の9時を回ってからだった
晩御飯は食べたみたいだけど、おにぎりが食べたいっていうから小さめのやつを二つ、お味噌汁もつけて
家に帰っても良かったのにここにいたのはちょっぴり不安だったから
高校生か、やっぱり若い子に人気があるんだ……
僕の通ってるお屋敷のお孫さんもかなりのファンなようでU.Kの小説は全巻集めてるって言ってたし
サイン会にも行くって言ってたし
確かそんなに大勢が当たるイベントではなかった筈、なのに当たってるとかよっぽど好きなんだろう
通ってる家のことだからあまり話せないし、話したところで呆れられてしまうかもしれない
だって、僕にはどう考えてもユノさんを留めておく魅力が無いもの………
「なんか元気ないな、どうかした?」
「あ、いえ///」
「俺に話せないようなこと?」
そう言ってじっと見つめるアーモンド瞳から目が離せない
ああ、好きすぎて何もかもに妬けてしまうとか、そんな事言える筈……
どうしようかと考えていると、不意に腕を引かれて僕はユノさんの膝の上に乗せられていた
どうしよう、嬉しいけど泣いてしまいそうなのに
「なんで泣きそうなの?」
「な、なんでも、ない、です///」
「ふうん?まあいい、今夜は泊まっていって?明日起こして欲しいから」
「えっ?ユノ、さ………んっ///」
畳み掛けるように話すユノさんに反論できないまま、僕の唇はしっかりと塞がれてしまったんだ
. 家政婦さんは恋人 12
~Yside~
「それで、進行の挨拶が終わったらこちらの席に移動して……って、ちょっとユノ!!聞いてんの?」
「へ?ああ」
「もう!!誰のイベントだと思ってんのよ!!」
そう言って声を荒げるボアに軽く手をあげて誤魔化す俺
いよいよ明日に迫ったサイン会のリハの為、わざわざ会場にやってきたわけだけど
やっぱり辞めて帰りたいのが本音、かな
会場と言っても元々はショッピングモールの広場のような所で、二階からも見渡せる造りになっている
ったく、こんなの見せ物じゃねえかよ……
小説家なんて姿が見えないからいいんじゃないか、何が悲しくてこんなことを
往生際悪くぐるぐると考え込んでいると、ふと視線を感じて顔を上げた
するとそこには数人の学生らしきグループが柱の影からこちらを伺っていた
見たところ高校生、か?
『え、絶対そうだよ』
『うそー本人が来るとか凄くない?』
『思ったより若いね、カッコいい』
閉店間際の時間を利用しての短時間のリハーサル、なんだよ、これってバレちゃってるんじゃね?
一応サングラスをしておいてよかった、あんまり顔バレすんのは………
「あの、もしかして明日ここでイベントされるU.Kさんですか?」
「あ、いや///」
突然駆け寄ってきたと思ったら声をかけられて、思わずドギマギとしてしまう俺だったんだ
. 家政婦さんは恋人 11
~Yside~
「ユノさん、今日のお昼はパスタでいいですか?カルボナーラにします?」
「ん?ああ、チャンミンのパスタはなんでも美味いからな~迷っちゃうな」
「ふふ、決めておいてくださいね、もう少ししたら買い出しに行きますから」
今日も水色のエプロンをひらつかせてせっせと家事に勤しむうちの家政婦さん
週に三回ほどヘルプで抜ける事になったから朝から忙しそうだ
うちの専属になってから早数ヶ月、家政婦の仕事にポリシーがあるらしく、公私混同は許さない頑固さがたまに傷、かな(笑)
ちょっとは手を抜いてもいいと思うのに、いや、そんなところもまた…………
「サイン会、今週末になりましたね」
「ん?あーそうだな、あんまり乗り気じゃないんだけど」
「か、可愛いファンが来るかもしれませんよ?」
「ええ?チャンミンより可愛い子なんてこの世に居ないよ」
「………」
俺の言葉にふっと笑って後ろを向いてしまうチャンミン 、なんだか様子がおかしいのは気のせい?
いつもなら顔を真っ赤にして俯いてしまうのに
「チャンミン ?」
「も、もし!!僕より可愛い子がいたら、その……」
「何言って……」
「あの、言ってくれたら、僕……」
「バカだな、そんな事あるわけないだろ?」
「………///」
「ほら、おいで?」
何故か悲しそうに瞳を潤ませる浮かべる君を抱き締めて、落ち着かせるように優しくキスをしたんだ