苺な彼とビールな僕

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～Cside～





『チャンミンお兄ちゃん！！』



部活終わりの帰り道、家の近くまで帰ると息を切らせて君がこちらへ駆けてくる


母の再婚で思いがけず出来た弟はとても良く懐いてくれて、僕が帰る時間には必ず家の前の公園で待っていてくれた



「ただいまユノ、こんな時間に公園にいちゃダメだよ？」


「……だって、いちばんさいしょにチャンミンお兄ちゃんにおかえりなさいいうんだもん////」



そんなことを言いながら頬をプクッと膨らませるユノが、僕には可愛くて仕方なかった


ユノの父もとても温厚な人で、僕のこと大変可愛がってくれた



あの頃はとても……穏やかな時間で…



一緒にご飯を食べて、一緒にお風呂に入って、夜中には勉強している僕のベッドへと潜り込んでくる君がとても愛おしくて


いつの頃からだろう『お兄ちゃん』と言わなくなってしまったのは


子供から少年へと成長していく眩しすぎる君が、嬉しくもあり、寂しくもあり、複雑な気持ちだった


避けられているように思えるのに、切れ長の瞳は何処までも黒く、少し切なそうに僕を見つめていて胸がキュッと音を立てる



……どうして僕をそんな風に見るの？



ユノが高校に入って間もない頃、大学生だった僕は、彼に対する自分の気持ちに気づくこととなる


偶然目にしてしまったユノと女の子のキスシーン……


チクリと胸を刺すような痛み、戸惑いを隠せず慌ててその場から立ち去った



この気持ちは……何？



僕は家族としてではなく、いつの間にかユノを好きになってしまっていたんだ

2016-11-07 17:00 ｜カテゴリ : あの空の向こうに ｜コメント(6) ｜トラックバック(0)