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苺な彼とビールな僕

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. 君に会うまで 21










~Cside~







………どうやってユノに話そうか





カン先生から伝えたられたのはあくまで予測で、本当の事はまだわからないから





よ、喜んでくれるかな///




まさか僕の身にこんなに早く奇跡が起きるなんて、確かに最近体調が良くないとは思っていたけど




食欲がないとか、少し気持ち悪いとか、確かに症状としてはその……あってるんだよね///





でも、もし違ったら………






「チャンミン?」


「……あ///」


「ほら、あったかいお茶、コーヒーよりはいいだろ?」


「……ありがと///」





家に帰ってもすぐには話す気になれなくて、リビングでゆったりと座っていたけど



やはり気になるのかチラチラとこちらを覗いてくるユノ、子供みたいで笑っちゃうけどそんなとこもやっぱり好きなんだよね





「……で?」


「え?///」


「なんだよ話って、焦らすなよ」




別に焦らしてるつもりはないけど、そんなに面と向かって見つめられたら余計に緊張しちゃうのに///




「あ……うん、あのね///」


「うん?」


「………僕、その……出来た…かも///」



「………はっ!?///」






僕の言葉にフリーズするユノの視線に耐えられなくて、思いっきり俯いてしまった僕だったんだ

























. ユノ社長は新人秘書がお好き 13










~Cside~








とにかく朝から緊張しまくりの僕、テミンさんに身だしなみや持ち物チェックまでされちゃって




扉の向こうにチラリと見えるイトゥクさんは苦笑いしてるし、社長だって笑いを堪えてるのが見えちゃって




恥ずかしいけど仕事のスキルアップのチャンスだし、そんなこと気にしてなんていられない!!





でも、いざ社長の隣に座って距離が縮まると、かっこよすぎるっていうかオーラが凄いっていうか……




これは緊張するに決まってる!!/////




ガチガチに固まった僕に優しい言葉なんてかけてくれる社長は本当にカッコよくて




『カッコいいです!!』




なんて面と向かって言う僕に、ありがとうって照れ笑いするあなたに胸がキュッと音を立てる





………わ、そんな顔もするんだ、とか///





とりあえず向かったのは一つ目の取引先、そこは社長の後ろで控えてるだけでよかったからどうにか乗り切ったけど




次はお昼も一緒に食べる予定になってるから……







「新人君」


「……は、はいっ!!///」


「次の取引先は俺の友人だからそんなに緊張しなくていい」


「……へ?///」


「眉間にシワがよってるぞ?ほら」



「……わ///」







チョンとおデコを小突かれたって気が付いたのは、アーモンドの瞳がふわりと笑った後だったんだ




































. 君に会うまで 20









~Yside~







「チャンミン!!」




実家から車を飛ばして店まで戻ると、裏口から飛び込むようにして中へと入った




あまりの俺の剣幕に驚いてキョトンとするお前は、ソファでゆったりとブランケットを畳んでいて





「あ………ユノ!!あの、ごめんね、何度も行ったり来たりさせちゃって」


「そんなのいいんだよ!!ばあちゃんも大丈夫だったし、それよりお前は平気なのか!?」


「……あ、うん///お祖母様が無事でよかった」


「ああ、姉貴も動転してたらしくてさ、勘弁してほしいよ(笑)」


「ふふ///」





ふわりと笑うチャンミン、具合はもう良さそうだけどなんだか少し様子がおかしい?




顔も赤いし熱でもあんじゃねーか!?





「チャンミン?」


「…あの、あのね、ユノ///」


「ん?どした?」





隣に座って顔を覗き込むとますます赤くなる頬、ったく、何でそんな可愛いんだよ!!




細い腰を抱き寄せてキスをすれば遠慮がちに背中に手を回して




「……やっぱり家で話す」


「何?気になる」


「ん、早く連れて帰って?///」


「……わかった」





ぴったりと寄り添う体を離して手を取ると、イェソンさんに挨拶をして俺達は家へと向かったんだ

























. ユノ社長は新人秘書がお好き 12









~Yside~







これは笑いそうになるのを堪えるのが大変だ……







『スケジュールはOK?』


『はいいっ!!』


『アイパッドと手帳!!それにペン!!』


『も、持ってます!!』


『身だしなみっ!!』


『ティッシュとハンカチと除菌ティッシュも持ちました!!』


『よし!!元気に行ってこい!!』


『はっ、はいいっ!!///』




休憩室から響くテミンの声、教育係だから仕方ないがこれじゃあまるで修学旅行じゃないか(笑)



ガチガチに緊張した新人君も真剣そのもので、そばで見ているイトゥクも苦笑いだな



一緒にエレベーターに乗り込むとカチコチと音が出そうなほどぎこちない動きで、車に乗り込む時なんて一度ドアにぶつかったりして




……全く面白い子だよ(笑)





「新人君緊張し過ぎだ」


「……あ……す、すいません///」


「そんなに俺が怖い?」


「………いっ、いえ!!あの、カッコいいです!!///」




………カッコいい?





「あーはーはーはーは!!」



「……あ、すいません……あの///」



「そうかありがとう、嬉しいよ」



「………/////」






これはなかなか笑いが止まらない、申し訳なさそうに俯いてしまった君が可愛くて…




「そんなに落ち込まなくても大丈夫、今日はついて回るだけでいい、とにかく肩の力を抜きなさい」


「!!は、はいっ///」





俺の言葉に途端に大きな瞳をキラキラとさせて満面の笑みを向けるとか






そんな君につい口元が緩んでしまうのを止められない俺だったんだ



















. 君に会うまで 19









~Cside~







「チャンミン!!と、とりあえず奥へ」


「………すいません」


「私も行こう、立てるかな?」


「先生……」





カン先生に挨拶してからユノの実家へ行くつもりだったのに、気分が悪くてその場に座り込んでしまった僕




イェソンさんと先生に抱えられるようにして奥の休憩室へと移動して、椅子に座らせてもらうと少しだけ意識がはっきりとしてきた




なんだろ、まだ貧血が良くなっていないのかな……




カン先生は僕の向かいに座ると脈をとって診てくれたけど、終始無言でなんだか緊張してしまう




「………先生?」


「いや、確かなことは言えないが」


「週明けにでも診察においで?」


「あ、あの………僕どこか悪いんでしょうか?」


「いやいや、そんな事はないよ、ただ無理はしない方がいいだろう、今日はゆっくり休むことだ」


「………はい///」





カン先生に言われて素直に頷いたものの、お祖母様のことも気になる……




ユノにも連絡を入れないと





「心配すんな、連絡なら入れといたからな」


「……え?」




席を外していたイェソンさんがにっこりと笑ってスマホを軽く掲げる




ユノに連絡してくれたんだ、でも……





「チョン夫人は転んだだけらしい、大丈夫だよ」



「……え?///」



「あいつはすぐに戻ってくるってさ、いいからお前は休んでろ?」



「イェソンさん……」





休憩室のソファで横になる僕にブランケットをかけてくれるイェソンさん





優しい人達に見守られて思わず目の奥が熱くなる僕だったんだ

















. ユノ社長は新人秘書がお好き 11










~Cside~









イトゥクさんから社長との外出を伝えられたのは朝のミーティングを終えてからすぐのことで





『……へぇっ!?は、はいいっ!!』





理解するのに数秒かかってしまって、おまけに変な声が出ちゃって部署のみんなに笑われてしまったけど




そりゃあびっくりする、よね///




だってまだ入社して少ししか経ってないのに社長について取引先を回るとか




テミンさんだってそんなにないって言っていたのに




まあ、テミンさんは接客の評判がいいから内勤が多いんだって話だけど





「チャンミンってさ、社長に絶対気に入られてるよね?」


「……へっ?///」


「またまたとぼけちゃって!!僕の知らないトコで何かあったんでしょ!!」





………な、何か!?何それ!!/////





テミンさんの言葉にフリーズしてしまう僕!!顔に熱が集まるのがわかる!!




「とにかくそういうのは報告してくれなくちゃ、ね?」



「………は、はあ///」





大きな瞳をキュルキュルとさせて休憩室で問い詰められて、どうやらテミンさんはミーハーというか噂話が好きらしい(笑)




それにしても社長と二人で車に乗るとか、もしかしたら食事も一緒だったりするのかも




いや、お客様と一緒だったら別で食べるのかもしれないし、僕みたいなペーペーが同じ席に座ることはない、よね




それにしてもそんなにいいスーツだって持ってないのに、せめてネクタイだけでも母さんからもらった一番いいヤツをして行こう






ああ、気が重い………






そう思いながらもドキドキと胸は高鳴って、緊張を抑えきれない僕だったんだ





























. 君に会うまで 18









~Yside~









「はあ!?階段で転んだ!?」



「ちょっと大きな声出さないでちょうだいユンホさん!!足に響くでしょう!!」







ちょっと大袈裟なほど足に包帯を巻いてベッドに横になるばあちゃん




なんだよ!!倒れたっていうから慌てて飛んできたのに!!





「ああもう、私が悪いんだってば!!」


「姉貴!!」


「だから~私が見たときは床に倒れてたんだってば!!」





バツが悪そうに謝るわりには随分と偉そうな姉貴に大きく溜息をつく




聞けばばあちゃんは階段で足を滑らせて転んで、それを見た姉貴が動転して俺に連絡をしてきたってワケか




同じく慌てて帰ってきたミノも呆れ顔で、兄貴なんて空港で連絡をうけて一旦戻ってきたらしい




さっきかかりつけの医者が見にきてくれたけど、骨に異常はなさそうだから今夜は湿布で様子を見るんだそう




ま、大したことなくてよかったけど(笑)




あ、チャンミンにも連絡してやらないと、きっと心配してこっちに向かってるはず




スマホをとって画面を見るとイェソンさんからの着信が数件、なんでチャンミンじゃねーんだ?




なんだか胸騒ぎがしてスマホをタップする、何かあったのか?





「もしもし!?」


「ああユノ君!!そっちはどう?実はチャンミンの具合が悪くてね」


「………えっ!?」


「とりあえず店で休ませてるから、落ち着いたら連絡してくれるかな」


「す、直ぐに戻ります!!!!」







俺はスマホを持ったまま姉貴とばあちゃんに軽く手を挙げると、急いで店へと車を走らせたんだ



















. ユノ社長は新人秘書がお好き 10








~Yside~







新人君が入社してから1週間、隣の秘書室からはテミンの叫び声が増えたようだ(笑)






『チャンミンお客様にお茶出して!!』


『……へ?はいっ!!』


『ちがっ!!それじゃなくて!!こっち!!』


『はっ、はいいっ!!///』





どうも彼は少々鈍臭いらしい、見かけはあんなに美人でスタイルもいいのに




くるくると変わる表情やすぐに赤くなる耳とか、見ているだけで口元が緩んでしまう




俺の視線に気づいてオロオロと視線を逸らして、でも気になるのか上目遣いでチラリと見上げるとか





………無視意識の小悪魔ってやつか(笑)






「社長、随分とご機嫌ですね」


「ん、そうか?」


「はい、とてもいい顔をしておられます」





ニコニコとしながら今日のスケジュールを告げるイトゥクには、どうやらバレてしまってるようだが




まあ、それはそれで(笑)





「……で?明日のスケジュールは本当にシム君を連れて?」


「そうだな、一度取引先に連れていくのも勉強になる」


「大丈夫でしょうか?(笑)」


「ああ」





吹き出しそうになるイトゥクを少し睨んでやったが、澄ました顔で早々に部屋から出て行ってしまった




本来なら新人を外に連れ出すのは少し早い気もするが、これは職権濫用というところかな





『……へぇっ!?は、はいいっ!!』





イトゥクが新人君に明日のスケジュールを告げたのか、秘書室から聞こえた一段と大きな声に、思わず笑ってしまった俺だったんだ






















. 君に会うまで 17









~Cside~







『ばあちゃんが倒れたらしい、とりあえず実家に行ってくる』





酷く深刻な顔で店の裏に引っ張って行かれたと思ったら、まさかのお祖母様のことで





………倒れた?





この前の検査結果は大丈夫だって話してたのに、やっぱり良くなかったってことなの?




連絡はボアさんからで、かなり動転していて詳しいことはあまりわからないらしい




気にはなるけどまだ家にいるってことだし、危篤ということではないみたい




僕もユノについて行きたかったけど一応仕事中だし、イェソンさんに頼んで後からタクシーで向かうことにした




せっかくのパーティを邪魔しちゃいけないから、カン先生に一言挨拶だけして帰ろう




でも、動揺してるせいか少し気分が悪くて……






「すいませんカン先生、急用が出来て先に失礼します」



「おお、そうなんだね、おや…チャンミンさん顔色が…」



「……え?あ……れ……」







ぐらりと視界が揺れたと思うと、立っていられなくなった僕はふらふらとその場に座り込んでしまったんだ







































. ユノ社長は新人秘書がお好き 9









~Cside~







「チャンミンお客様にお茶出して!!」


「……へ?はいっ!!」


「ちがっ!!それじゃなくて!!こっち!!」


「はっ、はいいっ!!///」





僕がこの会社に入社してから1週間、まだまだ慣れない仕事ばかりで




テミンさんに怒られながらもなんとか毎日をこなして、社長とは……その、あれから話せてはいないけど




……なんだかずっと見られてるような気が(汗)





倉庫で声をかけられたその日の夕方、社長室に呼ばれて、イトゥクさんがせっかく紹介してくれたのに




僕の顔を見るなり社長は吹き出してしまって……




ま、後で鏡を見たら鼻の下が盛大に汚れていて、だいぶん面白い顔になっていたから仕方ないかもだけど




人の顔を見て爆笑とか失礼だと思う、うん///




でも……目を細めて豪快に笑う姿とかほんとに男らしくて、男の僕だってついつい見惚れちゃうほどで





仕事の時は切れ長の瞳を光らせて一転して厳しい顔で、なんだかドキドキしてしまう///





この前なんて通りすがりざまに髪をふわりと撫でられて、心臓が飛び出るほどびっくりしちゃって





ぼ、僕のことあんまりからかうのやめてほしい///





まだまだ接客なんかは慣れないから、あまりお客様の相手はさせてもらえないけど




唯一得意なパソコンだけは少しは認めてもらえたかな




とにかく研修期間を無事に終えてきちんと雇って貰わなきゃ、こんなチャンス滅多に無いはず





……頑張んなきゃ!!






テミンさんに頼まれた書類を打ち込みながら、パソコン越しにチラリと見えた社長は、やっぱり僕の方を見て笑ってるみたいなんだよね///




































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紫苑☆

Author:紫苑☆
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