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. バンビな君にくびったけ ~キスまでの距離~ 11
~Yside~
せっかくのクリスマスの待ち合わせなのに、珍しく少し遅れて現れたバンビ先生はなんだか様子がおかしくて
この前のデートの後からあんまり話せてなかったのに、俺ってば意識し過ぎて手も繋げなくなっちゃってたから
少し後ろを歩く先生は俯いたまんまで話してもくれないし、心配になって振り返ればポタポタと透明な雫が落ちるのがわかった
「……わ、別れたくないです/////」
「せ、先生?何言って」
「……も、もう触るのも嫌になっ……た…?」
大きな瞳を涙で濡らして、そんな顔も超絶に可愛いけどなんでそんなに泣いてるの!?
触るのが嫌だとか、そんな事会ってから一回も思った事ないのに!!(汗)
……何か誤解させてしまった、とか?
「チャンミン、俺、触るのが嫌とかあり得ないし、別れるつもりも全くないから!!」
俺の言葉にハッとするバンビアイ、そんな顔されたらどうにも止まらなくなっちまうのに
「ユンホさん……/////」
「好きすぎて困ってる」
「……ふっ……く/////」
俺はポロポロと涙を流す先生を抱き寄せると、どこにも逃げられないよう腕の中へと閉じ込めたんだ
. 愛の詩をきかせて 1
あなたに出逢えたことは
奇跡でも偶然でもなく
必然であったと信じたい……
~Cside~
ここは大学の近くにある市立図書館、市内でも有数の蔵書を誇り、公園にもなっている庭園は市民の憩いの場所となっている
僕はシム・チャンミン、市内の大学に通う大学2年生だ
今は親元を離れての仕送り生活、反対を押し切ってこの大学を決めたもんだから、生活は毎月ギリギリで、バイトを掛け持ちしながらどうにか生活している感じ
『芸大なんて行ってどうするんだ!!』
父さんに耳が痛くなるほど言われたけど、どうしてもこの大学に通いたくて
もともとデザインに興味があって、色々と探すうちにここの大学を知った
僕の選んだ学科は色々な講義を選択できて斬新だったんだ、きっと新しい大学だから余計なんだろうけど
「……よっ、と」
そして僕は課題に挑むべく本を探しに来たんだけど、今日はちょっと借りすぎてしまったかも……!!
ここの図書館で借りられる本の数は15冊まで、今日は10冊の本を借りたわけだけど、受付の人に心配されるほどの大荷物になってしまった(汗)
なんせ一冊一冊が重くて大きい本ばかり、殆どが写真集のようなものだったから
持って来た紙袋にどうにか入ったものの、両手で抱えなきゃいけないほどいっぱいになってしまった
……えっと、バスの時間は
スマホを出そうにも片手を離すと本が落ちそうで、無理やり短い持ち手を持ちつつ片足に荷物を乗せて、どうにかポケットに手を入れようとした瞬間!!
バリッ、ドサドサドサッ!!!!
限界を迎えた僕の紙袋は、無残にも持ち手だけを残して芝生の上へと落ちてしまったんだ!!
. バンビな君にくびったけ ~キスまでの距離~ 10
~Cside~
デートの日からユンホさんは、なんだか意識し過ぎてるみたいで、動きもおかしいし僕がちょっと触れるだけでも飛び跳ねちゃって
それってどういう意味なんだろう……
この前別れ際に伝えたこと伝わってなかったのかな、一体何でこうなっちゃったの?
手だって普通に繋げるようになっていたのに、僕が嫌がってるって思っちゃったのかな、僕の事をもう嫌いになったとか?
もしかしてお付き合いして、やっぱり女の子の方がいいって思ったのかもしれない
ぐるぐると頭に浮かぶのは悪いことばかり、付き合ったばかりなのにもうフラれてしまうとか
イブは保育園のクリスマス会があって会えないから、クリスマスの夜に約束してこの前渡せなかったキーホルダーも渡したかったけど
もしかしたら終わりになってしまうのかも……
そう思うと自然と足も重くなってしまって、いつもの噴水前に着くのも少し遅くなってしまった
「チャンミン!!/////」
やっぱり鼻を赤くしたユンホさん、にっこり笑って僕の事を迎えてくれるけどやっぱり手は繋いではくれないし
こんなに好きになってしまったのに、別れたくないって思うのは自分勝手なのかな?
「先生?」
少し後ろを歩く僕を訝しげに見るユンホさん、涙が溢れそうで下を向いたらポタポタと雫が落ちてしまった
「な、泣いて……!?ど、どうしたんです!?どっか具合でも!?」
「………たくないです」
「……へっ?/////」
「……わ、別れたくないです/////」
どうにか声を振り絞って見上げたユンホさんの顔は、すぐに滲んで見えなくなってしまったんだ
. 雪を待つ君へ 後編
~Yside~
……ユノ会いたい
チャンミンの声が心に響く、幼いだけの君から少しずつ大人へとなっていき、俺に想いを寄せてくれているのもわかっていた
初めて会った日から十数年が経とうとしていた、あまり人とは関わらないようにしていたのに、君とだけはそうもいかなくて
いつの間にか目線は同じになり、真っ直ぐに俺を見つめる瞳は宝石みたいに輝いていて…
もう、終わりにしなければ……
そう思って君に会いに行ったのに……俺の姿を見て嬉しそうに手を振る君が愛おしすぎて
「……ユノは何者?」
「チャンミン……俺は」
「ううん、何者でもいいの、ユノはユノでしょう?」
「………」
「ずっと側にいられる?」
「……それは」
「ダメって言わないで」
「チャンミン……」
「好き、ユノが好き、ずっと側にいさせて」
「……気の遠くなるような、長い時を過ごすことになるのに?」
「二人でいれば寂しくないよ、ね?」
細い腕を絡ませて俺の胸に顔を埋める君、この温もりを受け止めてしまってもいいだろうか
君の幸せを奪うことになってしまわないだろうか
今すぐに記憶を消してこの場から立ち去れば、君の為になるのかもしれないけど
「今悪いこと考えてたでしょ?」
そっと体を離して俺を睨む瞳はどこまでも澄んでいて、どうやら離してやれそうもない
「チャンミン、側にいてくれ」
「ユノ……」
「好きだ、ずっと愛してる」
「はい………/////あ、雪…!!」
空からは今年初めての雪が舞い降りる、遠くに聞こえるのは教会の鐘の音
俺達はまだ始まったばかり
伝えたいことが沢山ありすぎて
長い、長い時を2人で生きていこう
愛してる
愛してる………
We pray for Christmas to be happy for both of us
. 天使かもしれない ~取材旅行~ 10
~Yside~
今回の取材旅行のメインは早朝、寝過ごすわけにはいかないから、アラームもしっかりセットして眠りについた
5時起きだって言ったらチャンミナは不思議がっていたけど、黙ってる方が見たときの感動が大きいから、見てのお楽しみってことで!!
ちょっとがっついちゃったからチャンミナの体力が心配だったけど、まあ、動いてるのはほぼ俺の方だったし(笑)
なんせチャンミナ不足だったから♡
アラームが鳴ると、まだ布団から出ようとしないチャンミナを抱えるようにしてテラスへと向かう
陽はまだ登らないけど、薄っすらと空が白み始めると、暗闇でしかなかった山々が徐々に姿を現わす
「……う、わぁ/////」
「な、凄いだろ?」
天候とか気温差もあるけれど、この辺りは霧が多く発生する、山々の間を霧が包み、海のような景色が広がっていく
「霧の海……ですね/////」
「ああ」
思わず立ち上がったチャンミナを後ろから抱き締めて、二人で眺める景色は壮観だった
辺りが明るくなるとますます幻想的な世界が露わになって、チャンミナは大きな瞳をくるくるとさせていつまでも外を眺めていた
「綺麗だろ、気に入った?」
「……こ、これが見せたかったの?/////」
「そう、チャンミナと二人で見たかった」
「……ありがとうございます/////」
「チャンミナ」
「せ、先生って時々ロマンチストだ/////」
「ん、チャンミナ限定♡」
「………当たってますけど/////」
「えっ!?/////いやぁ、これもチャンミナ限定!!」
「……あっ、どこ触って……あっ/////」
「んふ、このまま……な?」
「……はなせっ!!……仕事しろっ!!……あ…やぁ……!!/////」
「あとであとで~♡」
俺は寝起きで力の入らないチャンミナの浴衣をはだけると、そのまま後ろからいただいてしまった
霧の海を見ながらね♡
うん、いい話が書けそう!!
. バンビな君にくびったけ ~キスまでの距離~ 9
~Yside~
バンビ先生とのデートはあっという間に終わってしまって、俺はぼんやりとしながら来た道を戻っていた
色々なことがありすぎて、いや……原因を作ったのは俺だけど、寝てる姿が可愛すぎて、つい出来心でキスしようとしちゃって!!/////
ああああああ!!!!
俺ってこんなに節操のない奴だったんだ(泣)
確かに女の子とか見て可愛いなって思ったりしたことはあったけど、自分の行動が抑えられないなんて……!!
あの時先生が目を覚まさなかったら……あの柔らかそうな唇に俺の唇が……/////
やばい、何か反応しちまいそうだ!!早く、とにかく早く家に帰ろう!!
俺は拳握りしめて気合いを入れると、家までの道のりを全速力で駆けて帰った
家に帰るなり姉貴からのメッセージが届いていたけど、色々と説明するのも難しくて適当に返事をしておいた
だって流石に言えないだろ/////
シャワーを浴びて頭をスッキリさせて、イチゴ牛乳を飲みながら帰り際のバンビ先生の言葉を思い出す
『ユンホさん……僕、嫌じゃないです……から/////』
あれってひょっとしてひょっとしたら……キスが嫌じゃなかったってことなのかな?
それとも何か別のこととか……
いやいや、流石に鈍感な俺もあの流れじゃそうだと思うんだけど……//////
キ、キスを待ってたって事でいいんだよな?
うおおおおおおお!!!!/////
俺は1人部屋で悶えつつ、次のデートに向けてのミッションを決意したんだ
. 雪を待つ君へ 中編
~Cside~
その人はとても不思議な人だった………
初めて出会ったのは近くの公園だった、ベンチに座り空を見上げるその人がとても寂しそうで
『雪を待っている』
そう言ってまた空を見上げる黒目がちな瞳がとても綺麗で、僕は一目で心を奪われてしまった
それから彼は、時々僕の前に現れるようになった
名前はユノと言った、年齢は笑って誤魔化すだけで分からなかった
僕は両親を事故で亡くしていて、幼い頃から教会に隣接されている施設で育った
牧師様も施設の職員達もとてもいい方ばかりで、僕は寂しさなんて感じずに暮らしてきたけど
年に数回しか会わない寂しげな人が、ずっと心の片隅にあって
『会いたい』と強く思えば、不思議と数日後には現れてくれる人……
強い陽射しが苦手で
教会も得意ではなくて
抜けるような白い肌に赤い唇
年を重ねていくはずなのに、ユノの見た目は初めて会った時から変わらずに綺麗なままで、得体の知れないものを感じずにはいられなかったけど
それ以上に僕はユノを求めていて……
ねえユノ
もっとあなたのことを教えて欲しいんだ
きっと僕の心の声は聞こえているんでしょう?
僕は部屋の窓から空を見上げて、ユノの心へ届くように強く願ったんだ
. 天使かもしれない ~取材旅行~ 9
~Cside~
せっかく高級旅館に来たっていうのに、来た早々先生に襲われまくりの1日目だったわけだけど
4日の禁欲期間はかなり辛かったらしくて(笑)
それに一緒に住み始めてからは、そんなにその…ソッチが空くことが空くことがなかったから、反動が凄いっていうのもわかったし……/////
先生に仕事の話をしても、お話のことは教えてくれたけど、取材のことは『明日になればわかるよ』なんて誤魔化されちゃって
それに天使だなんて……/////
それって多分僕のこと、だよね……前に話してた気がするもの/////
食事の後にもう一度襲われて、嫌だっていうのに上に乗せられて、下からガツガツと攻められてしまって
先生の体力って本当に無尽蔵っていうか、果てしなさすぎて、いつか僕は壊れちゃうんじゃないかって思ってしまうよ
それにどんどん開発されてる自分も……/////
隣でぽかんと口を開けて眠るクマ先生に、すっかり絆されてしまってる
……結局好きなら許せてしまうんだ/////
何故だか明日は5時起きだ、なんて言ってスマホのアラームをセットしていたけど、まったく何を考えてんだろ(笑)
いいお話が書けたらいいな…
気持ち良さそうに眠る先生の胸に擦り寄って、僕はもう一度目を閉じたんだ
. バンビな君にくびったけ ~キスまでの距離~ 8
~Cside~
僕もいつの間にか眠ってしまったようで、ふと気配を感じて瞼を開けると、目の前にはユンホさんの顔が………!!!!
「……えっ?/////」
「わっ!!/////ごごごごめんなさいっ!!/////」
ユンホさんは慌てて僕から離れると、勢い余ってシートから落ちてしまって、周りの人達から注意されてしまったけど
……もしかして、キス…しようとしてた?/////
ユンホさんは頭をぽりぽりと掻きながら申し訳なさそうに何度も謝っていて
やっと落ち着いたのはもうエンディングロールが流れる頃で
「あ、あのっ……本当にご、ごめんなさいっ/////」
「……い、いえ/////」
「寝込みを襲うなんて、俺って最低ですよね……」
なんて言ってシュンと俯いてしまって、ちょっと気の毒な程だったけど
どうせキスしてくれるなら起きてる方がいいな、なんて思ってたことは、ユンホさんには内緒にしておこう/////
それからやっとイタリアンのお店でご飯を食べて、トマトソースを口の周りいっぱいにつけて食べるユンホさんに笑っちゃったけど
ちょっぴり寂しそうなのは、気のせいじゃない気がする
食事も終わって、手を繋いで帰る僕達2人は、なんとなくちょっと無言になっちゃって、指から伝わる温もりだけが頼りで
「ユンホさん、今日はありがとうございます/////」
「い、いやっ!!/////こちらこそっ、色々とっ!!/////」
「ユンホさん……僕、嫌じゃないです……から/////」
「へっ?/////」
「じ、じゃあまた!!/////」
別れ際に僕が精一杯の勇気を振り絞って言った一言、ちょっぴり鈍感なあなたに伝わればいいけど
口をぽかんと開けたまんまのユンホさんに手を振って、僕はマンションの階段を駆け上がったんだ
. 雪を待つ君へ 前編
~Yside~
「ユノったらまたお空ばっかり見てるのね」
「だってね、いちばんさいしょにおちてきたゆきをつかまえるの!!」
「まあ、首が痛くなっちゃうわよ」
母さんはクスクスと笑って俺の頬にキスをした、真っ白な空からは今にも雪が落ちてきそうで…
あれは、もう遠い昔……
俺はチョン・ユンホ、俺達チョン一族は代々ヴァンパイアの家系で、昔は山の奥の城にひっそりと暮らしていた、が、森林開発で移住を余儀なくされ、数年前からは街中に紛れるように暮らしている
ヴァンパイア……といっても、人を襲うわけではなく、まあ、一族の中には気の荒い連中もいたけど、その昔に一斉に駆除にあってしまい、そんな野暮を抱くものもいなくなった
中には人間と婚姻を結ぶものもでてきて、所謂純潔と呼ばれるものは、ごく僅かになってしまったけれど……
俺は、純潔なんかに生まれたくなんてなかった
数十年経っても姿の変わらない俺達は、怪しまれる前に家を転々と変えて暮らしているから、あまり深く友人を作ることもなく
神様って本当にいるんだろうか、こんな長い寿命を持っていても、ひたすら孤独を感じながら行きていくなんて……
公園のベンチで空を見上げながら大きく溜息をついた
「おにいちゃんないてるの?」
不意にかけられた可愛い声に、驚いて振り返るとそこには仔鹿のような子供が俺の顔を見上げていた
「ふふ、泣いてないよ、雪を待っていたんだ」
「ゆき?」
「ああ、この冬最初の雪をね」
「ひとりでまってるのさみしいね、ぼくもいっしょにまってあげるね」
その子はちょこんと俺の横に座ると、にっこりと笑って空を見上げた
……どこの子だろう、可愛い子だな
それから俺達は公園のベンチで2人並んで、雪が落ちてくるのを待っていたんだ