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. ユノ社長の憂鬱 20
~Yside~
『ユノさんお疲れ様です、返事遅くなってすいません。ミノと飲んでて今から帰る所です』
そんなメッセージが来たのはコ課長が二杯目のカクテルを頼んだ後だった
暫くはホテルのバーでコ課長と飲んでいたものの、どうにも落ち着かなくてすぐに部屋に戻ってきた
シャワーでも浴びて寝るとするか、明日は朝一に打ち合わせがあってやっと解放される
君からの返信には気づいていたけど、なんだか悔しくて返事はしないままにしておいた
だってね、俺ばかりが君を好きみたいで
いい歳をしてチャンミンの友人にまでヤキモチを妬いてしまうとか
まったく、かっこ悪いったらないな
そう思いながらも結局放ってはおけなくて、スマホを手に取ると君の名前をタップする
ワンコールでたのは待っていたから?
俺のこと、少しは考えてくれたのか?
『ユノさん!!あの!!///』
「ん、お疲れ様」
『お、お疲れ様です、あの僕、メッセージに気付かなくて、その……ごめんなさい///』
「いや、いいんだ、もう帰ってきたの?」
『あ、はい!!今、シャワー浴びようかって思ってて』
電話の向こうで慌てる君の姿が目に浮かぶようで思わず口元が緩む
やっぱり君の声を聞くと安心するよ……
『ユ、ユノさん?あの………コ課長は?』
「ああ、さっきバーで別れたよ、だから今は1人だ」
『そ、ですか……///』
そんな、ほっとしたような君の声に、くだらない事で腹を立てている自分が嫌になる
ああ、お互いに考えてることは一緒、だな
「早く会いたい」
『ぼ、僕も……です///』
それからお互いに今日あったことを話して、やっと落ち着いて眠ることができた俺だったんだ
. ユノ社長の憂鬱 19
~Cside~
「で、ズバリ、付き合ってるんでしょ?」
「えっ?///」
突然のミノの言葉にフリーズしてしまう僕
つ、付き合ってるって……なんで知って……!?
「ぼ、僕は別に社長とは……!!///」
「ぷっ、先輩ってばわかりやすすぎ」
「………へっ?あ!!///」
やばい!!まんまとミノにのせられてつい口を滑らせてしまった!!
僕ってば余計な事を………!!///
動揺する僕を眺めてクスクスと笑うミノ、ああ、もう万事休すじゃないか………
「別に責めてるわけじゃありませんよ」
「あ、あの///」
「ただ、出遅れたなって思っただけなんです」
「……ミノ?」
「で、さっきからスマホの通知凄いですよ?(笑)」
「えっ?あ!!///」
ミノに言われてスマホに目をやると、画面いっぱいに広がる何件ものメッセージ
ユノさん?いや、別の人からも………?
『お互いに素敵な夜を過ごしましょう』
そんなコ課長からのメッセージに、思わずフリーズしてしまう僕だったんだ
. ユノ社長の憂鬱 18
~Yside~
『仕事が終わってホテルに戻ったよ』
そんなメッセージを送ったのはもう1時間ほど前になるだろうか
取引先との会食を終えてホテルへと戻ったものの、なんだか落ち着かなくて1人最上階のバーへとやってきた
落ち着いた雰囲気の店内には心地の良いジャズが流れていて、疲れた体を癒してくれる
一向に返事がないのはやはり出かけているから?
久しぶりに後輩と飲みに行くという君にまだヤキモキとしているとか
………俺ってこんなにも小さな男だったのか
恋愛をしてこなかったわけじゃない
だが、仕事にかまけてばかりだったからこういうのは不慣れなのかもしれない、な
つれない恋人のことばかり考えて沈んでいるとか、この歳になってこんな風になるとは……
「社長、ここにいらしたのね?」
「コ課長」
「ご一緒しても?」
「ああ、勿論だよ」
にっこりと笑って俺の隣に座るコ課長、まさか断るわけにもいかない、よな
「連絡がないんですか?」
「え?」
「ふふ、顔に書いてますよ」
「いや……」
クスクスと笑う彼女に思わず苦笑いする、なんともバツの悪い状況じゃないか
「ご心配なく、起爆剤を投下しておきましたから」
「え?」
そう言って何故か楽しそうに笑う彼女を見つめながら、小さく溜息をつく俺だったんだ
. ユノ社長の憂鬱 17
~Cside~
「いやぁ、ほんと久しぶりですよね!!」
「うん、まさかあんな所でミノに会うなんて思いもよらなかったよ」
「これぞ運命って感じですよ~さ、今日は夜通し語りましょう!!」
「う、うん」
ユノさんのいない週末、ちょうどミノに声をかけられて飲みに行くことになった
もちろんユノさんには後輩と会うことは伝えてあるし、今日は夜通しゲームとかする予定はないけど
『日付が変わるまでには家に帰るように』
なんて念押しされちゃって、ユノさんてばほんとこの前からおかしいんだよね
………嬉しい束縛、かな///
そういうユノさんだってコ課長と一緒なわけだし、僕だってモヤモヤしない事はない
でも、なんだろ、前よりは自信が持てた気がするからそこまでは気にならない、筈………
「で?どうなんです?秘書の仕事って」
「へっ?///」
「やだなぁ、聞いてなかったんですか?チョン社長は厳しくて有名だって聞いてたのに、なんだか随分優しそうに見えたから」
「や、優しいよ!!それに、カッコイイし///」
「ですよねぇ、あれでモテないわけがないですよね!!まだ独身でしたっけ?」
「あ……うん///」
ベラベラと喋るミノに頷きながらグイとビールを飲み干した
そりゃ、ユノさんはモテるに決まってるけど、今は………
「で、ズバリ、付き合ってるんでしょ?」
「えっ?///」
そう言って得意げに僕の顔を見つめるミノに、思わずフリーズしてしまう僕だったんだ
. ユノ社長の憂鬱 16
~Yside~
「社長、随分と渋い顔ですわね」
「コ課長?」
「そんなにシム君がいないとダメですか?」
「はは、いや」
出張先のホテルに向かう車の中、俺の顔を見てクスクスと笑うコ課長に溜息をつく
なんだ、うちの部下は俺を揶揄うのが通常になっているのか
金曜の夜、仕事を早めに終えての前乗りのフライトは、週末の疲れも相まって憂鬱でもある
つい二日ほど前に一緒の夜を過ごしたばかりなのに……
「随分と変わられたんですのね」
「え?」
「いえ、もっと……余裕のあるお付き合いかと思っていました」
そう言って物憂げに窓に目を向けるコ課長、まさかそんな風に見られているとは
カッコ悪くて仕方ない、な…
バツが悪くて咳払いをしたら、遂には吹き出してしまったコ課長
可笑しそうに口元に手をやる仕草はやはり綺麗で、そんなところに惹かれていたはずなのに
頭に浮かぶのはつれない我が恋人のことばかりで
「心配ならなくてももう困らせたりしませんよ、ああ、社長を困らせるにはシム君を誘うほうがいいかしら?」
「!!コ課長、それは」
「まあ、ほんの冗談ですのよ」
そう言って、さも楽しそうに俺の顔を見つめる彼女にやっぱり溜息しか出ない俺だったんだ