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苺な彼とビールな僕

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. 恋人の条件 8







~Yside~





何とか今日のレコーディングを済ませて、スタジオからチャミに何度かメッセージを送ってみたけど全く返事は無くて




……スマホ見てないのかな




マネージャーの車に乗ってマンションへと辿り着いたけど、チャミの居ない部屋は真っ暗で寂しくて



最近はずっと一緒に過ごして居たから、隣にいることが当たり前のようになって居たけど



これから、こんな風に離れる時間も増えていくんだろうか





さっき……突然スタジオに訪ねてきた女優のキム・ジオンさん、新しいドラマへ俺を誘ってくれた人だった



聞けば俺のデビューのきっかけになったサバイバル番組を見て興味を持ってくれたらしい



国民的女優でありながら、とても気さくで話しやすくて、最後には人生相談のようになってしまった



『……どうしてそんな切なそうな顔をしてるの?』




そう言ったジオンさんには何もかも見透かされているようで、俺は何も言えなくなってしまう




『芸能人ってね、普段は仮面を被っているのよ、あなたにはその仮面が見えなったから……大切な人がいるなら、あなたは自分を貫くべきね、でないと2人の関係は壊れてしまうわ』




………ブレるなってこと、だよな?




いつだって俺はチャミに甘えるばかりで、チャミの気持ちなんて考えてもみなくて、チャミは俺のことばかりを考えてくれているのに




最近まともに話もできていなかった………




ふとスマホに視線を落とせば愛しい人からのメッセージ




ごめん見てなかった、今から飛んで帰るから





チャミからのメッセージに胸がぎゅっと苦しくなる




俺は溢れてくる涙を誤魔化すように上を向いて、暫くスマホを握りしめていたんだ



































. 恋人の条件 7








~Cside~






「だからぁ、恋人の条件だよ~、ね?聞いてるキュヒョン!!」


「聞いてるって、だから考えすぎ!!」


「考えるに決まってんじゃん、相手は芸能人なのに/////」



「ったく!!飲みすぎだって!!」




キュヒョンはテーブルにダラリと腕を伸ばした僕を見て大きく溜息をついた



……ほんと、今日は飲み過ぎちゃったかもしんない



ずっとユノの側で忙しくしていたから、こういう風に自分を晒け出せるのがとても心地よくて


自分では気づかないほど溜め込んでいたんだ……




「そろそろ帰んなきゃ、だろ?」


「ええ?もう帰るの~?キュヒョン冷たい!!」


「だってほら、さっきからお前のスマホなりっぱなしだよ?」


「………へっ?/////」




そういえばカバンの上に置いたままのスマホは、店に入ってから一度も開いてなかったっけ



手にとって画面を見ればユノからのメッセージが大量に入っていて




チャミ終わったよ

まだ帰ってないの?

潰れたりしてない?迎えに行こうか?

チャミ返事して

早く逢いたいんだ







今朝別れたばかりなのにまるで何日もあってないような内容ばかりで、呆れるのと笑っちゃうので複雑な顔になってしまった



「早く帰ってやれよ」


「キュヒョン……」


「正直に伝えればいいんだよ、お前の気持ちをさ」


「……うん/////」



「考えるより行動!!さあ、行った行った!!」






………キュヒョンの言葉が痛いほど胸に突き刺さる





僕は親友に別れを告げて急いで店を飛び出すと、ユノの待つマンションへとタクシーを走らせたんだ

















. 恋人の条件 6








~Yside~






あの夜チャミと2人で過ごして、やっと先に進めたと思ったのに、また仕事が忙しくなってしまって、俺達は2人の時間を過ごせないまま




マネージャーからチラリと聞いていたドラマの話も本格的に決まりそうだし、しかも出演女優から直々にオファーがあったとか




……このタイミングで喜ぶべきなのはわかってるけど




スタジオの隅で膝を抱えて集中しようとするけど、頭に思い浮かぶのはチャミのことばかり……




今日は遅くからの音入れになるからと伝えたら、それじゃあ、とチャミは友達と飲み行ってしまった



いつも話に聞く親友のキュヒョンさん、僕の事も唯一話してるって言ってたっけ






レコーディングにはスタイリストは関係ないもんね……




何も無いときは付き合ってくれるけど、最近は極力外では漏らさないように気をつけてるって言ってた



……俺の為なのはわかってるけど





「……ハァ」



「随分な溜息ね」



「……へっ?/////」





不意に声がして顔を上げると、テレビでしか見たことのない女の人が、腕を組んで俺の目の前に立っていたんだ


























. 恋人の条件 5








~Cside~






「………あっ、やっ……////」


「チャミ好き、好きで堪んない」


「あっ……ん……ああっ!!////」




ベッドで組み敷かれて、身体中にキスをされた後にいつの間にか僕のソレはユノの手の中にあって



なんとか逃れようとするのに、ユノの力に敵うわけなんてなくて



僕は結局ユノの手の中に、その……熱を放ってしまった////



くったりとする僕の手を掴んで、ユノ自身を握らされてそのままスライドさせて……////



こんな恥ずかしい行為に目眩がしそうだったけど、僕を見つめるユノのアーモンドアイが痛いほどに熱く濡れていて




苦しげに放った熱と汗でぐちゃぐちゃなのに、何故か幸せな気持ちになっちゃって




本当は僕も求めていたんだって、実感した////




芸能界に身を置く限りプライベートでは色々なリスクが伴っていくから、なるべく遠ざけるようにしていたけど



………やっぱり自分の気持ちに嘘はつけない






「チャンミン聞いてる?」


「……え?あ////」


「あ、じゃないよ~呼び出しといて一人物思いに耽っちゃうとか(笑)」


「ご、ごめん////」


「謝ることでもないけど」




ユノがレコーディングで夜遅くなるから、久しぶりにと思って親友のキュヒョンを誘って飲みに来たのに



一人でぼんやりしちゃうなんて……





「浮かない顔だね」


「……」


「チャンミンは考えすぎなんだよ」



「キュヒョン、僕は…!!」



「わかってるって、ユノ君が大切なんだよな」



「………////」





呆れたように笑いながらも、背中をポンポンと叩いてくれる親友の温もりが、やけに温かく感じられる、そんな夜だったんだ




















. 恋人の条件 4








~Yside~





「……んっ…ユノ……やっ////」




帰ってからもずっとキスしたりハグしたり、いっぱい触れてあなたを感じたいのに、やっぱり心はどこか遠くにあるようで



……もっとチャミを感じたいのに



ベッドに組み敷いて甘い匂いを吸い込むと、ピクンと体を強張らせて身を固くする



「……ドラマの話、ほんとなの?////」



首筋に顔を埋めたまま動かない俺をふわりと包む綺麗な指



そっと顔を上げると不安げに揺れる瞳がゆらゆらと揺れていて




「ん、まだわかんない、スケジュール次第だって」


「……そう////」


「………ラブコメディだって言ってた」


「……うん」


「……キスシーンもあるって」


「!!!!……そ、そうなんだ////」



そう言って逸らしてしまった横顔、伏せた睫毛が濡れているのを見逃すはずないのに



「やきもち妬き(笑)」


「……だっ、誰がっ!!////」


「チャミ可愛すぎ、やっぱり触れたい」


「バカ!!離せって////」


「無理、止まんない」


「…ユノ……んっ////」




腕の中から逃れようとする愛しい人を抱きしめて、二度と離れないようぴったりと体を重ねたんだ




























. プロフィール

紫苑☆

Author:紫苑☆
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