苺な彼とビールな僕

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～Yside～




今日も仕事終わりに花束を買ってチャンスニ、いや、チャンミンに会いに行く


そろそろアフターとか誘ってみようか、とか、どうやったら笑ってくれるだろうとか、健気に考えてる自分に苦笑いだけど


ダメで元々、当たって砕けろ！！

いや、砕け散ったらどうしようもないか（笑）



「「「いらっしゃいませ！！」」」



今日もおかまバー『MIROTIC』は大繁盛で、案内役のテミンがスルリと腕を回してそっと耳打ちをした


「今日はシウォンさんがいらしてますよ」


「……えっ？」


「あ、チョンさん！！」


テミンの言葉にいてもたってもいられなくて、俺は奥のVIPルームへと足を急がせた


だってそんな事聞いたらじっとしてなんていられない

シウォンさんはチャンスニのこと気に入ってるし、チャンスニだってシウォンさんは1番のお得意様だって話してた


止めるテミンを振り払い、VIPルームへの扉を手にかけると、中から聞こえるのはシウォンさんとチャンスニの楽しそうな笑い声


目に浮かぶのは片目を細めてはにかむように笑う顔、俺には笑いかけてもくれないのに…


やっぱりトラウマみたいに嫌われてるから無理なのか、こんなに通っても本当は迷惑なだけなのかもしれない…


その場でぐるぐると固まる俺にテミンが心配そうに顔を覗き込む


「チョンさん…」


「……今日は帰るよ、これだけ渡しておいて？」


今日の花束は俺の好きなひまわりの花、いつだって君にはひまわりのように笑っていて欲しいから


店を出てビルのエントランスを出る直前、カツカツと螺旋階段を駆け下りてくる君が見える



「まって！！」



真っ赤なドレスを翻し、ヒールで走る君が危なっかしくて、思わず階段を駆け上がり下りてくる君を抱きとめた


「……チャンスニ？」


「な、なんで……顔も見ないで帰っちゃうなんて」


追いかけてきてくれたことが嬉しくて、不覚にも泣きそうになってしまう


今だけ…ほんの少しだけ、天使が逃げてしまわないように、そっと腕の中に閉じ込めたんだ

2016-10-02 23:00 ｜カテゴリ : チャンスニの憂鬱 ｜コメント(6) ｜トラックバック(0)