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苺な彼とビールな僕

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. ユノ社長の憂鬱 3














~Cside~











『ほんっとに社長ってえこひいきしてる!!』









膨れっ面のテミンさんに見送られて秘書室を出たのは11時前だっただろうか







皆んなのスケジュールの都合で仕方なく僕を連れて行く事になったと思うのに






……とんだ八つ当たりだと思うよ







そ、そりゃ勿論プライベートでは恋人だから多少なりとは違う気もするけど







まあ、あの部署では一番の下っ端で新人だから雑用も………







「チャンミン、こっちだ」





「あ!!はい!!///」






まだ用意もできてないまま連れ出されて車に乗せられて






車内でもパソコンを弄っていたら着いたのは思っても見なかった場所だった






今日のスケジュールからいえばこの方向は遠回りになる気が………








「ほら、こっち座って」




「う、わ///」








社長に連れてこられたのは川沿いにある小さなカフェのテラス席







時間が早いせいか人もまばらだし、川からの風がふわりと肌をかすめてぶるりと体を震わせる







「今日は天気がいいからこっちで食べようか、ここのハンバーガーが絶品なんだ」





「ハ、ハンバーガー、ですか?」





「ああ、昔この近くの現場に通ってたことがあってね」






「は、はあ///」






「君を連れて来たくてね」






「………///」








そう言って僕を見つめるアーモンドの瞳があまりにも優しくて、慌てて目を逸らす僕だったんだ





































. 僕はバンビじゃない 18













~Cside~











恥ずかしさのあまり部屋を飛び出してしまったものの、何が何やらパニックで





 
だって、僕、キスされて………!?///







慌てて部屋に戻ってベッドへとダイブするとシーツを頭から被ってぐるぐると考える








ちょっと待って!!


お、男同士だし!!


しかもふざけてとかじゃなく結構ガチなヤツ!!







アーモンドの瞳から目が離せなくなったと思ったら、ぷっくりとした赤い唇が近づいてきて







フワッと触れたと思ったらムニムニと押しつけられて、そのうち………







そして僕は気づいてしまった!!


体がジンジンと熱くなって、僕のソレがまさかの反応を…………!!!!///








「うわあっ!!///」








思わずベッドから飛び起きて頭を抱えてみる、恐る恐る自分の股間を覗き込むとやはりソコは………







どうしよう、気づかなかったけど僕ってソッチの気があったのか






そりゃあイケメンだし、ドキドキとかしちゃってたけど!!







このままここにいたら、もしかしたら………









ズクン








うおっ!!!!///










妄想の中でチョンさんに組み敷かれる自分を思い浮かべて、不本意にも更に反応してしまった僕だったんだ


























. ユノ社長の憂鬱 2












~Yside~










「社長今日のスケジュールですが」





「ああ、昼から工場視察だったね、早めに出て昼食を摂るよ」





「あ、はい」





「それから君も来るように」





「えっ?……あ、はい///」









社長室でのいつものやりとり、今日のスケジュールを告げる君は朝の光にキラキラと輝いて






俺の言葉に途端に頬を染めるから堪んない、な








職権濫用とはよく言ったもんだ


社長という立場を利用して君といる時間を増やしているなんて






ほらほら、秘書室ではテミンがまた騒いでいる(笑)







そして動揺する君がまた可愛いとか、俺もかなり君にやられてる









あの夜、コ課長との一件があって、俺達は心も体も結ばれて一つになった







最初はきっと辛いだけの行為だったかもしれないが、最近では少しずつ変わってきた気がする







だって俺を見つめる大きな瞳に熱が篭っているから






俺を欲してくれているんだって実感できるから








お互いに高めることができたらそれが……









「社長、お客様がおみえです!!」




「ああ、すぐ行く」









少し怒ったようなテミンの声に苦笑いしながら、ミーティングルームへと向かう俺だったんだ
































. 僕はバンビじゃない 17














~Yside~











「ちょ!!ちょーーー!!!!な、何するんですか!?///」





「ん?可愛かったから」




「なっ!!お、男同士でキスとか!!///」




「可愛い君が悪い」




「ちょ!!んーー!!!!///」








顔を真っ赤にして怒る君が可愛くて仕方ない、ちょっと揶揄うだけのつもりだったのに






バタバタと暴れる腕を掴んで壁に押し付けると、浅く開いた唇にねっとりと口付ける






ぎゅっと閉じた瞳に光る透明の滴が堪んない







チロチロと唇を舐めて舌を差し込むとピクンと跳ねるから止まらなくなる






「………や、やめ……んっ///」




「バンビ君可愛い」




「……や、やだ………はな……せ…///」




「無理」




「んんんー!!!!///」








いったいいつまでこうしていたんだろう








貪るようにキスを繰り返し、角度を変えて何度も何度も







最初は抵抗していた君も段々と力が抜けて、くったりと俺に身を預けはじめた







やばい、このまま襲いたい気分になっちまう






まさかそこまでは………









チュッと音を立てて離れた唇、ハアハアと肩で息をする君はヘナヘナとそこへ蹲み込んだ








ちょっとやり過ぎたか?

なんて後悔は後に立つはずもなく







バンビ君は息を深く吸って俺を睨み返すと、そのまま部屋を出て行ってしまった!!








「やばい、やり過ぎたか」





「……ふふん、そうみたいだね」








背後から突然聞こえた声に驚いて、咄嗟に身構える俺だったんだ









































. ユノ社長の憂鬱 1












~Cside~












「ほらチャンミン、お客さん帰っちゃうよ!!上着上着!!」





「あ、はいっ」





「ああもう書類も忘れてるって!!」





「わわ、テミンさん押さないで下さいって!!///」









秘書室に響き渡るテミンさんの怒号と僕の悲痛な叫び






そして社長室から覗くユノさんはクスクスと肩を揺らしているし






ああ、今年も通常営業って感じ、だよね(笑)







あれから僕は社長………いや、ユノさんの恋人になった






初めて結ばれた夜は色々ありすぎて、パニックになってあんまり実感はなかったけど







最近やっと自覚が出てきたっていうか、なんていうか///







週末は社長の家で過ごすことも多くなった……








もちろん会社では内緒にしてるつもり!!



でも、ま、あんな甘い目で見られたら気づかれちゃうよね







あのアーモンドの瞳から逃れられるわけがないもの///







で、アッチの方もやっと慣れてきて、僕もユノさんを気持ちよくしたり出来る様になってきた






ま、まだまだ修行中の身だけど………





アッチの修行とか!!


な、何考えてんだぼく!!///







『チャンミンはそのままでいいよ』








なんてサラッと言われちゃうから、ついつい甘えてしまうけど







やっぱり僕だって常に努力したいから……









「チャンミンてば!!」




「うあっ、はい!!///」








テミンさんにどやされながらも、ユノさんの事ばかり考えて、ついニヤニヤとしてしまう僕だったんだ





























. 僕はバンビじゃない 16













~Cside~












「ごめん、大丈夫?俺が急に声かけたから」




「あ、いえ、ちょっとお湯がかかっただけで///」




「どれ見せて?赤くなってるとこ?」




「え?……あ!!///」









そう言ってチョンさんは僕の手をペロリと舐めた!!







な、何今の!!


ど、どういう………!?///






チョンさんの思わぬ行動に暫くフリーズしちゃったけど、今確かに………!!









「ちょっ!!///」




「あれ?ダメだった?」




「ダ、ダメとかそういう問題じゃなくて!!」




「ん、じゃあどういう問題?」








狭いスペースにじりじりと詰め寄られ、つう、と首筋に汗が伝う






こ、これって!!この状況って!!///








「ぷっ、あーはーはーはーは!!バンビ君の顔!!」





「なっ!!///」







豪快に笑うチョンさんに呆然とする僕、これってひょっとして揶揄われた感じ…?







「いや、本当可愛いね」




「か、揶揄わないで下さい!!///」




「からかってなんかないよ」




「へっ?///」




「わりとマジ」





「!!!!///」









そう言って僕の頬を両手で包んだチョンさんは、チュッと音を立てて僕の唇にキスをしたんだ









































. 最上級のチャラい奴 22












~Yside~









「チャンドラ~行ってくるよ」




「あれ?今日は早くに行くんだ?」




「ああ、ちょっと寄るとこあるからさ、チャンドラは夜には帰ってるだろ?」




「うん、買い出しに出るだけだし、夕方には戻ってる」




「そっか、じゃ早めに帰るよ」




「うん、いってらっしゃ……ん///」







玄関先で見送ってくれるチャンドラに甘いキスを残してマンションを後にする







こんな何気ない朝のやりとりにも幸せを感じずにはいられないとか







まったくどんだけチャンドラに夢中なんだか…







うちの親に紹介してから将来が定まったっていうか、先の事がはっきりしたっていうか






お互いにこの先一緒にいるんだろうとは思っていても、まだぼんやりとしていたから







やっぱりアレだよな、ちゃんと申し込まないと!!








今日早くに家を出たのは行きたいところがあったから







だってほら、男のけじめとして必要じゃね?







やばい、すっげえドキドキしてちゃんと言えるか不安になってきた







今日取りに行くリングもきっと喜んでくれるはず!!






この先俺の隣にいるのはチャンドラしかいないから




もう絶対に離すことはないから








結婚しよう








出会いはかなり衝撃的で、でも結局は俺の一目惚れだった気がする






ずっとそばにいて

ずっと愛し続ける







チャンドラがいないと、どうにも生きていけそうもない!!







「よし!!」








朝のキンとした空気を胸いっぱいに吸い込むと、まだ人もまばらな街へ颯爽と足を踏み出す俺だったんだ

















































. 僕はバンビじゃない 15














~Yside~













「あ、はい///じゃあコーヒーでもいれますね」





「ああ、頼むよ」









様子を伺うフリしてじわじわと距離を縮めてみたのに、慌てて逃げて行くからちょっと笑ってしまった






純情なのか?


それともただの照れ屋?






後ろからぴょこんと飛び出した耳が真っ赤に染まっていて……







触っていたパソコンを見る限り仕事は出来る感じだし、これなら思っていたよりずっと捗る気がするし







決してからかうつもりはないが、少しだけ………








「手伝おうか?」




「えっ?あ、あちっ!!」




「おい!!」






突然声をかけた俺も悪い、いや、下心がなかったといえば嘘になる、かな






ガチャンと音を立てて転がったカップを直すと君へと向き直る







ああ、なんて綺麗なバンビアイ……







「ごめん、大丈夫?俺が急に声かけたから」




「あ、いえ、ちょっとお湯がかかっただけで///」




「どれ見せて?赤くなってるとこ?」




「え?……あ!!///」










オロオロとする君の手を取ってじっと見つめると、赤くなった箇所を舌でペロリと舐めてやったんだ












































. 最上級のチャラい奴 21












~Cside~












『チャンドラがいないと息が出来ない』




『…………ずっと、ユノの側にいるよ?決まってるじゃん///』









なんだろ、やけに感傷的なユノにドキドキとしちゃって、そのまま腕の中に閉じ込められるようにして眠ってしまった







早くに寝たせいかやたらと早く起きちゃって、その……また朝から襲われてしまったけど







僕も求めていたからお互い様っていうか


愛を確かめ合うってこんな感じかな、なんて………








流石にユノのご両親に顔を合わせた時には恥ずかしくて



 

お母さんにまた顔が赤いって心配されてしまった///






ユノの方は至って普通で、お父さんと結婚のこととか話してて、焦ってコーヒーを溢しちゃったりとか






全く、何やってんだか………///







まだゆっくりしていけって言うご両親に丁寧にお礼を言って、ユノの実家を出たのがお昼を過ぎてから






緊張の糸が解けた僕は車の中でぐっすりと眠ってしまって、目が覚めた時には家に着いていた






結婚とか、この先の事は正直まだ考えられない………






でも、隣で僕の手をしっかりと握るユノの手は離したくないと思う







なのに何を勘違いしたのかユノったら……







「チャンドラ~また誘ってんの?」




「ばっ!!ち、違っ!!///」










そんないつものやりとりに口元が緩んでしまうのは、悔しいから内緒にしておこうと思うんだ















 




 
















. 僕はバンビじゃない 14












~Cside~











『僕、明日から休みに入るんで何か他にお手伝いする事があれば、その///』





『ああ、そうなんだね、じゃあ頼もうかな』









確かに僕はそう言った………



でも!!



これは結構な個人情報じゃないのか!!







チョンさんから頼まれたのは主に書類の打ち込みで、なんでも途中で電話がかかってきて中断してしまうんだとか






た、確かによく電話してるイメージはある






一応チョンさんの事務所の片隅で仕事をすることになったものの、チョンさんは奥の部屋に篭ったっきり出てこないことも多々あって






何も考えずに打ち込んでくれとは言われたけど






貰った書類には有名な政治家達が軒を連ねていて


こんなの気になってつい……








「バンビ君?」




「は、はいっ!!///」




「少し休憩しようか」




「あ、はい///じゃあコーヒーでもいれますね」





「ああ、頼むよ」









いきなり隣に現れたチョンさんに動揺してどんどん顔が熱くなる 







だっていつの間にか吐息が感じられるくらいに側に立っていて!!







僕は慌てて席を立つと奥にある給湯室でふうと一つ息を吐いた




 

………距離、近いんだよね///



てか、じっくり読んでるのがバレちゃったかな?










さっき感じたチョンさんの吐息を思い出しながら、何故だかドキドキと胸が高鳴ってしまう僕だったんだ































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紫苑☆

Author:紫苑☆
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