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. もう一つのバレンタイン 1
~Cside~
「それでね、バレンタインの材料が余っちゃってね、おばあちゃまとチョコのパウンドケーキ作ったの」
「そうなんだ、ソラちゃんお料理上手だもんね」
「うふふ、ありがと、それリウに渡しておいてね!!」
そう言ってパタパタと駆けていくお隣のソラちゃん
この前リウ君にバレンタインのチョコレートをくれたのに、今日はパウンドケーキを持ってきてくれたんだよね
自分で包装したんだろう、かわいいハートの包み紙に包まれたパウンドケーキ
……愛情がたっぷりこもってるって凄くわかる
残念なことに今日リウ君はユノさんの実家に呼ばれて行ってしまったから
帰ってきたらすぐに教えてあげないと…
バレンタインや誕生日もあったりしてケーキばかり食べてる気もするけど
家族みんなででお祝いできるのはとても嬉しいことだし、割とこういうイベント好きだったりする
だって好きな人に愛を伝えるって大切なことだもの
今日はユノさんから早く帰れると連絡があったし、大好きなカルボナーラでも作ってあげようか
この前買った苺のワインもまだ開けてないし
僕はいそいそとエプロンを身につけると、腕まくりをして晩御飯の準備に取り掛かったんだ
. 奥様は18才 35
~Yside~
『ユンホさんそれ変装ですか?(笑)』
そう言ってクスクスと笑うキュヒョンを軽く睨んでやった
ったく、全然バレちゃってんじゃねーか!!
「チャンミンが居ないってどういうことだ?」
「あ、えっと今厨房に何か取りに行ったみたいなんです、僕さっきコレ買ってたから」
キュヒョンの手に握られているのはホカホカと湯気を立てるホットコーヒーのカップ
それもチャンミンが入れたのかと思うとなんだか胸にジンとくる
ま、機械のボタンを押すだけなんだが……
とりあえずはとテラスのテーブルについて中の様子を伺ってみる
すると奥から大きな袋を運ぶエプロン姿のチャンミンが目に入って
甘いマスクにスラリとした長い手足、黒のカフェエプロンがとても良く似合ってる
うん、やっぱりウチの奥さんが世界一かわいい!!
あんなに内気だったチャンミンがバイトまでするようになって………
感慨深げに店内を見る俺をマジマジと見つめるキュヒョン
なんだよ、なんか文句あるのかよ……
「ユンホさん、顔が緩んでます(笑)」
「うっ///」
「本当にラブラブですね、チャンミンのとこ行かなくていいんですか?」
「ん、暫く見てから行くよ」
「じゃ僕は行くんで、しっかり見てやって下さい」
「ああ、またなキュヒョン」
軽く会釈してキュヒョンが去ると同時に、カウンターの前に大きな男が現れてチャンミンに話しかけるのが見えたんだ
. 君の夢を叶えたい 21
~Yside~
「うん、いい出来じゃない」
「だろ?さすが俺の嫁!!」
「別にあんたは褒めてないわよ」
「はいはい、わかってます」
「これならお祖母様も気に入ってくださるわ」
「ああ、だな(笑)」
この前撮影した写真を仕事終わりにチェックしていたら、思いのほかチャンミンとハルの写真が多くて
……思わず姉貴と見入ってしまった
なんだかんだ言いながら姉貴もハルのことが可愛くて仕方がないらしい
……今のところたった一人の甥っ子だから、な
俺の為にモデルになる事を承諾してくれたチャンミン、シルエットモデルだけだった筈なのに普通に撮影した写真も混じっていたから驚いた
ま、これは姉貴の差し金だったらしいけど
おまけにハルとチャンミンだけでフォトブックを作るとか
本当に抜け目ないっていうか、なんていうか(笑)
展示会ではうちのブランドブースに加えて、俺のオリジナルブランドブースも作る予定で
これならあの頑固なばあちゃんも納得してくれる気がする
何より最強の嫁がついてるから向かうところ敵なしってところかな
「兄さん、チャンミンさんの写真できたんだって?」
「なんだよミノ、わざわざ見にきたのか?」
「当たり前でしょう?姉さん、これはパネル展でも開けるレベルですよ」
「それもいいわね~考えみようかしら」
「ちょ!!おいっ///」
ったく、うちの身内はチャンミンを好き過ぎる!!
俺を放置してあーだこーだと言い始める二人に、呆れて物も言えなくなっちまう俺だったんだ
. 奥様は18才 34
~Cside~
「悪い、チャンミンコーヒー足しといて?」
「あ、はい」
「こっちのエスプレッソメーカーの調子が悪いから電話してくるわ」
「わかりました」
いそいそとカウンターを出て行くシンドンさんを見送ると、僕はコーヒー豆の袋に手をかけた
最近やっとバイトにも慣れてきたから、機械の操作も任せられたりするんだけど
家のと違って本当に難しいんだよね
こういうのってお手入れが大事なんだって業者さんが話してたっけ
今日は学生達もまばらだからゆっくりとしていて、やけに時間が長く感じてしまうよ
ふう……あともう少しでユンホさんがやって来る
ずっと大学には来ないで欲しいって言ってた僕、実はユンホさんを見られたくないだけだとか
きっとユンホさんが知ったら呆れられてしまうよね
だってユンホさんって本当にかっこよくて、おまけに愛想もいいから
男女を問わずモテすぎてハラハラしちゃうもの///
キュヒョンに言ったら爆笑されちゃったけど、僕は至って真剣だし
ユンホさんを誰にも取られたくないし!!
だからいい奥さんになろうって思ってるのに、なかなかうまくいかなくて
その……アッチの練習もなかなか進まないし///
「はあ」
「チャンミンおまたせ~」
「あ、シンドンさんおかえりなさい」
「いやぁ、電話が繋がらなくてさぁ、参ったよ~」
「ふふ、汗凄いですよ、拭いてくださいね」
「おっ、チャンミン優しいな~」
そう言って僕の頭をわしわしと撫でるシンドンさんに、そっとハンカチを差し出す僕だったんだ
. 君の夢を叶えたい 20
~Cside~
「こらハル、じっとして!!」
「やだ、じっとしない!!」
「んもう、お着替えできないでしょう?」
「うう~」
パタパタと逃げ回るハルをやっとのことで捕まえてホッと一息をつく
今日はユノの展示会に向けての撮影日で、僕らは別スタジオでの撮影を行うワケだけど
ま、当たり前にハルが暴れちゃって(笑)
何度も着替えなきゃいけないし、アレコレ支持されてポーズをとって
モデルさんって本当に大変な仕事だって思う
普段はクールに見えるモデルさんも、カメラの前じゃあんなに笑顔になれるとか
到底僕には出来そうもない、よね
シルエットモデルで本当に良かったと安心したのもつかの間、普通に撮影もするらしくバタバタと着替えやメイクをさせられて……
ハルじゃなくても逃げ出したくなってしまうよ
「チャンミン、撮影はどんな具合?」
「ユノ///」
「あ!!パパ!!パパもいっしょにパシャってしよー」
「うん?後で撮ってもらおうな」
「ほんとに!?やったー!!」
合間を見て様子を見に来てくれたユノの顔を見ると、自然と緊張も解けていく気がして
自分の単純さに思わず笑ってしまった僕だったんだ
. 奥様は18才 33
~Yside~
「えっと、ここだよな」
今日はスケジュールを調整して早めに仕事を終わらせた
ちょうど取引先に行く予定があってよかった
アポの時間を早めにしてもらっていそいそと大学に向かう俺って………
かなりの重症だと思う、うん
流石にスーツ姿で大学ってのも抵抗があるし、一応意識して若く見える服してみたり
変装とまではいかないが眼鏡なんてかけちゃっりして
門に入る前には緊張しちまったけど、入ってしまえば中には色んな人が溢れているから
俺一人くらい紛れていてもなんの違和感もない
俺は早足でカフェのある棟へ向かうと、テラス席にカバンを置いて建物の中をそっと覗いてみる
でもカウンターのどこを探してもチャンミンの姿は無くて
「………どこだ?」
「今はいませんよ」
「……はっ?」
「ユンホさんそれ変装ですか?(笑)」
「キュヒョン!!」
思いがけず声をかけられて振り向いた先には、クスクスと笑うキュヒョンが立っていたんだ
. 君の夢を叶えたい 19
~Yside~
「だからお祖母様、見にいらしてくださいね」
「おばぁちゃまきてね、ぜったいね!!」
「はあ、チャンミンさんとハルにお誘いを受けたら行かないワケにはいかないわね~」
「俺からも頼むよ、な、ばあちゃん!!」
「まったく、本当に調子がいいわねあなたは!!」
「ばあちゃんに似てるからな!!」
「まあ、ユンホさんたら」
あれからチャンミンと話して、あ、勿論ハルにも相談して(笑)
次の展示会でシルエットモデルとして参加する事を承諾してくれたチャンミン
本当にいい奥さんだよな!!
元々プロジェクターで映像を壁一面に映し出してのファッションショーだから
あ、勿論実際にモデルにも出演してもらうけど
チャンミンとハルを出演させる事で俺の中の構想も広がったっていうか、進化したっていうか
今までにないショーになりそうで、今からワクワクが止まらない
ま、でもこれは第1段階で、まだ独立の話が具体的に進んだわけじゃないから
これで結果を残せれば、ばあちゃんに納得してもらえるんじゃないかって思ってる
『あとはあんたの腕次第ね』
なんてドヤ顔の姉貴は、どうやら自分の新しいプロジェクトを手伝って欲しいらしくて
色々と注文をつけてくるから困ったもんだ
後から聞いた話だがばあちゃんが心配してたのはハルに兄弟を作ってやるってことで
それはそれで授かればいいと思ってる
チャンミンには苦労かけちまうかもしれないけど、そばに居てくれるだけでパワーが湧いてくるから
最強の奥さんに違いない、なんて、妙に納得してしまう俺だったんだ
. 奥様は18才 32
~Cside~
「えっ?ユンホさんが?」
「そうなんだよ、急に迎えに来るとか言いだしちゃって」
「ふうん?チャンミン何かしたの?」
「なっ、何もしてないってば!!///」
そう言って訝しげに僕を見るキュヒョンを思い切り睨み返す
大学のカフェでバイトを始めてから、いや、それより少し前からかユンホさんの様子がおかしくて
急に大学に来るとか言い始めちゃって……
バイトのことはやっぱり心配してるみたいだけど、それとは違う何かを感じるっていうか
キュヒョンの言う通り僕、何かしたっけ……?
「まあいいんじゃない?やましい事とかないんなら」
「そ、そんなのあるわけないし!!」
「じゃあなんでそんなユンホさんが来るの嫌がってんの?」
「………そ、それは」
確かに自分の奥さんの様子が気になるのもわかるし、心配してくれることも嬉しいって思う
でも……
「チャンミン?」
「………見られたくないんだ」
「は?」
「ユンホさんかっこいいから誰にも見られたくないの!!///」
「はあ!?」
変な声を出して僕の顔をマジマジと見つめたキュヒョンは、盛大に吹き出してしまったんだ
. 君の夢を叶えたい 18
~Cside~
「機嫌なおしてくれよ、な?」
「………///」
そう言って僕の背中を撫でる優しい手、だいたいユノの頼みなんて僕が断れる筈もないのに
本当に狡いって思う///
抱きしめられたままゆっくりと事情を説明されて、あらかたは理解できたけど
勤めていた店に取材が入った時も緊張しちゃって、その日一日食事も喉を通らないほどだったのに……
とてもじゃないけどモデルなんて……
しかもハルまで一緒とか!!そりゃあお祖母様は喜んでるくださると思うけど
ゆっくりと離れた体、僕の顔を覗き込むアーモンドアイに心臓がトクンと跳ねる
そ、そんなに見つめないで欲しい///
「チャンミン、本当に嫌だったら……」
「ユ、ユノは狡い///」
「え?」
「そ、そんなの断れるわけない///」
「チャンミン……」
僕は両手でユノの頬をそっと包むと、返事の代わりに啄ばむだけのキスをしたんだ
. 奥様は18才 31
~Yside~
『今度大学に見に行ってもいいか?』
そう言った途端に一瞬顔を曇らせるうちの奥さん、その後は素直に頷いてはいたものの
……どうにも腑に落ちない
いつもは仕事もあるし迎えに行ったりはできないから、あまり深くは考えていなかったけど
どうしてそんなに俺が大学に行くのを嫌がる?
理由を聞いてもただ『恥ずかしいから』とだけしか言わないし
まあ、あれだけ恥ずかしがり屋のチャンミンならわからなくもないけど
他に何か理由がある……?
『だ、大学に来るときは連絡して下さいね///』
そう言って俺を見つめるバンビアイに嘘なんて一つも無い筈なのに、こんな風に考えてしまうとか
俺って本当に余裕ない、よな
そして思い立ったらすぐ行動のチョン・ユンホ、早速会社に着いたらスケジュールを調整して
うん、今週末なら行けるかも、とか
ドンへに言ったら呆れられてしまいそうだ(笑)
まずはこっそり覗いてみようか、なんて、仕事中もそのことばかり考えて、一つも集中できない俺だったんだ