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. やっぱり君が好き 7
~Cside~
『今日の撮影は長くなりそうだ』
早朝に届いたユンホさんからのメッセージには、ウサギが困った顔をしてるスタンプが貼られていて
今日も朝からスタジオ、なんだ
こうして時々は休憩時間にメッセージをくれたりするけど、基本仕事中に連絡はないから
何度も見返しては溜息をついてしまう
だって今日はいよいよ例のシーンを撮るはずなんだ、そう!!僕の苦手なラブシーン……
ユンホさんのドラマはちょい役でも全部見てるから、過去には当然そういうのも多々あって
いつも早送りして見るか、つい見ちゃった時は瞬時に薄目にしたりして誤魔化すけど
正直つらくて仕方ないんだよね……
僕に出会う前にはともかくとして、恋人になってからのそういうシーンとか複雑すぎる
でも、俳優さんなら全然意識とかしないんだろうな
仕事なんだから当たり前か、ああ、でもやっぱり嫌だって思う僕はユンホさんの恋人失格かも……
クッションに顔を埋めてユンホさんの顔を思い浮かべる
そうだ!!
明日はデートなんだからもっとウキウキしていいんだって!!
どうにかテンションを上げようとクッションを抱えて部屋の中を歩き回る
何でこんな日に限ってバイト入れてなかったんだろう……僕って本当にバカだ
忘れろ!!忘れるんだシム・チャンミン!!
一旦は座って深呼吸をしたものの、どうにも落ち着いてなんていられない
ダメだ!!やっぱり気になる!!
僕はスマホと財布を手に取ると、転がるようにして部屋を飛び出したんだ
. あなたの胸で眠りたい 13
~Cside~
「……ちょ!!ユノ///」
「ん、何?」
「は、離せっ……んんっ///」
玄関に入るなり壁に押し付けられて、息もできないほどの口づけが降ってくる
荷物だってだって持ったまま、靴だってまだ脱いでもないのに
繰り返される口づけに抗うことなんて出来る筈もなくて
口の中を這い回るユノの舌に頭がクラクラとしてしまう
そっと離れた体、立っていられずに僕はその場にヘナヘナと座り込んだ、帰っていきなりこんなのとか酷すぎる///
「立てるか?」
「………///」
「抱いて連れてってやろうか?」
「だ、誰が!!///」
不敵に笑うユノをひと睨みすると、僕は早足でキッチンへと逃げ込んだ
ご飯作れって言ったくせに……きっとタッパの中身もぐちゃぐちゃになってるよ
「チャンミン?」
「………ぐ、ぐちゃぐちゃだ」
「飯か、何作ってくれたんだ?」
「…………ナシゴレン」
「ん、美味そうだ、このまま二人で食うか?」
「………美味しくないかも」
「お前の飯が不味かったことなんてない」
「………///」
甘い視線に耐えきれず思わず背中を向けたのに、後ろから回された腕があまりにも優しくて
とても逃げ出すことなんて出来ない僕だったんだ
. やっぱり君が好き 6
~Yside~
「ユノさん休憩入ります、30分でーす」
スタジオに響くスタッフの声にホッと一息をつく、時刻はもうとっくに夜を迎え、早朝から続く撮影に疲労もピークを迎えていた
明日はやっと君に会えるから、それを楽しみに頑張るしかない、かな
今日はキスシーンの撮影もあり、まだまだ気を抜いてはいられない
思い出すのは家で台本を見てフリーズするチャンミンの姿
あまりに蒼白になっていたから、嫌がって怒り出すかと思いきや
『あ、あのっ!!がががんばってください!!///』
手をグーにしてそう言われた時は、思わず吹き出してしまった
……それって妬いてくれてるってこと、だよな?
笑いすぎてその後ひとしきり怒られてしまったが、あまりの可愛さにぎゅうぎゅうと抱き締めてたっぷりとキスをしてやった
全く君には予想もつかないよ
俳優という職業柄こういうシーンがあるのは仕方のないこと
俺が逆の立場であっても複雑だとは思うけど……
ヤキモチを妬いてくれるのも嬉しいとか、俺も相当なもんだ(笑)
デッキチェアで台本をパラパラと捲りながら、君のことばかりを考えてしまう俺だったんだ
. あなたの胸で眠りたい 12
~Yside~
『久しぶりに会ったのにほんと釣れないわね!!』
そう言って怒っていたリナだったが、テミンがうまく相手をしてくれて
新しい彼氏とやらの自慢を散々して帰っていったらしい
『アレは負け惜しみですね、プライド高そうだったもの、美人なのに惜しいな~』
腕を組んで一人でウンウンと頷くテミンに笑ってしまったが、とりあえずは一難去ったということか
しかしここはテミンに感謝しなきゃいけないな
店をテミンとバイト達にに任せると、俺はチャンミンを連れてタクシーへと乗り込んだ
大事そうに膝に抱えたでかいタッパが気になるが、きっと今夜の飯が入っているのだろう
「今日のメシ何?」
「………内緒」
「ふふ、教えてくれないのか、でも………」
「………?」
「先にこっちを食べていい?」
「!!!!エ、エロオヤジ!!///」
首筋をそっと指でなぞると途端に跳ねる体が愛おしい
……全く、俺としたことが煽られっぱなしだ
間違いなくメシは後、だな(笑)
そっぽを向いてしまった君の手をぎゅっと握って、つい緩んでしまう口元を抑えることができない俺だったんだ
. やっぱり君が好き 5
~Cside~
「やっとデートできるんだ?」
「うん、全然会えてなかったからさ~」
「でもスタジオの入り待ちとかは行ってたんだろ?」
「そ、それはまた別なんだって!!///」
さっき届いたダンボールから本を出しながらニヤニヤとするキュヒョンを睨み返す
今日は久々にシフトも被ったから親友に近況報告って感じかな
ま、キュヒョンは面白がってるだけな気もするけど……
「それにしてもチョン・ユンホって売れてるよなぁ、最近CMにも出てるだろ?」
「あ……うん///」
「あのシャワーシーンってセクシーだよな、ガタイいいもんな~チャンミンはアレを間近で見てるわけだ」
「そ、そんなに見てはない、けど///」
「ふうん?じゃあまだお尻は無事なわけだ(笑)」
「キ、キュヒョン!!///」
全く、ケラケラと笑うキュヒョンに溜息しか出てこない、何かっていうと僕のお尻の心配ばかり
そりゃあ僕だって先に進みたい気持ちはあるけど、どうしても躊躇してしまうのは仕方のないこと
だって毎日あんなに綺麗な女優さん達に囲まれてるのに、僕なんかでいいのかって思っちゃうし
……自信ないんだよね
当たり前に男だから薄っぺらい体だし、手足だって無駄に長くて可愛げのかけらもないし
あ、やばい、落ち込んできた(泣)
「そんな顔すんなって、チャンミンなら大丈夫だよ!!痔の薬買っといてやるから!!」
そう言って爆笑する親友に、やっぱり溜息しか出ない僕だったんだ
. あなたの胸で眠りたい 11
~Cside~
「んん……はな…せっ///」
狭い厨房で追い詰められて、蕩けるようなキスが降ってくる
どうにか逃れようと体を捩るのに、ユノの力になんて叶うはずも無くて……
こんなキス、狡い……!!
「……ふっ……う……」
「バカ、泣くな」
「……な、泣いてない!!く、苦しかっただけ!!」
「ふふ、そうか、悪かったな」
「………///」
ニヤリと笑ってやっと離れた体、その距離がやけに寂しく感じるとか
………僕ってどれだけユノのことが好きなんだろう///
とても目を合わせていられなくてくるりと後ろを向けば、逞しい腕が伸びてきて僕をすっぽりと包んでしまう
首筋に感じる吐息に思わず体が跳ねてしまうのに!!
「飯作っといてくれ」
「………え?///」
「店閉めたら速攻帰る」
「で、でも!!」
「早く2人になりたい」
「………///」
そう言って首筋に顔を埋めるユノに、頷くことしか出来ない僕だったんだ
. やっぱり君が好き 4
~Yside~
『うちに泊まりにくればいい』なんて、こんな下心見え見えのセリフ
全くどんだけ必死なんだか……
焦っているわけじゃない、でもふわふわとしてどこかへ行ってしまいそうな君を繋ぎとめておきたいのは隠しようのない事実
俺に夢中なんだってわかってる筈なのに、俺って君に対してはとことん強欲らしい
電話の向こうでワタワタと動揺してる姿が容易に浮かんで思わず笑ってしまうけど
俺の気持ち、少しは伝わったかな?
ドラマの撮影も佳境に入り、やっとやっとの休日だから、恋人と過ごすくらいのわがままは許して欲しいんだ
さて、どんな風に君を追い詰めようか……
いっそ酔わせて襲ってしまおうかと思うほど、雰囲気をぶち壊しにしてくれる君だから(笑)
俺の気苦労も絶えない、な
とりあえずはデートの約束を取り付けたから、やはり後は流れに任せるしかない、か
心の奥で大きくなる想いを、どうやって君に伝えようか戸惑ってしまう俺なんだ
. あなたの胸で眠りたい 10
~Yside~
『まあユノ、遅かったわね』
そう言ってグラスを傾けながらニッコリと微笑むリナ、全く何があったのかと思ったら
………女王さまのお出ましか
昔つるんでいた仲間の一人、恋人だった時もあったかもしれない
それを忘れるほどの前の話だが………
カウンターの中のテミンはホッとしたような顔でグラスを拭き始める
まあ、確かにこれはピンチ、かな(笑)
「何笑ってるの?」
「いや……」
「久しぶりに私に会えて嬉しい?」
「別に」
「相変わらず釣れないのね、今日はお付き合いしてくれるの?」
「カウンター越しならね、ちょっと失礼、テミン」
「はいはい、奥に」
「ちょ!!ユノ!!」
少々お怒り気味な客を笑顔でスルーすると、店の奥へと早足で向かう
さっきからチラチラと感じる視線の主はきっとまた一人で考え込んでいるのだろう
ほら、厨房の隅で小さくなる可愛い俺の恋人
「チャンミンただいま」
「……お、おかえりなさい」
「何を拗ねてる?」
「!!す、拗ねてなんか………んっ///」
抗議の言葉ごと抱きしめて唇を塞いだ、涙をいっぱいに溜めて睨みつける瞳が堪らない
……まったく、勘だけはいい
狭い厨房の隅で細い体を抱き締めて、息もできないほどのキスをしてやったんだ
. やっぱり君が好き 3
~Cside~
『もしもしチャンミン?』
「はいっ!!ユンホさんおかえりなさい!!」
『ふふ、ただいま、良かったよ起きてて、遅くなってごめん』
「い、いえっ!!遅くまでお疲れ様です///」
電話の向こうで聞こえるユンホさんの声に胸が熱くなる、今日はもう聞けないと思っていたから
今か今かと待ち望んだ電話、待ちくたびれて気付けば日付も変わっていて
いつまで待ってても仕方がないし、きっと仕事が長引いてるんだって自分に言い聞かせて……
諦めてベッドに転がったところ、だったんだよね
パソコンやスマホにはステキなユンホさんの画像が山盛り保存されているけど
やっぱり本物の威力に敵うはずもない!!
『撮影もやっと山が超えてね、週末には休みが貰えそうなんだ』
「ほ、ほんとですか?良かった!!」
『お預けになってた焼肉も行かなきゃだしね』
「は、はいっ!!///」
焼肉………そういやユンホさんが撮影に入る前に約束したっけ、あれから全然まともに会えてなかったから
お、覚えててくれたんだ!!///
大好きな人と大好きなお肉とか!!幸せしかない!!
『何?もうよだれ垂らしてるの?』
「!!ユ、ユンホさん!!///」
『ふふ、冗談だよ、その日はうちに泊まるといい、そうしたらゆっくりできるし、ね?』
「ふぇ?///」
『ふふ、返事は?』
「はっ、はいいっ!!///」
思わず立ち上がって叫んでしまった僕に、ユンホさんが電話の向こうで大爆笑したのはいうまでもない、よね
. あなたの胸で眠りたい 9
~Cside~
「あ、新しい子が入ったのね?」
「ああ、この子は違うんですよ、チャンミン奥お願い」
「………あ、はい」
「あら残念ね、お相手をして貰えると思ったのに」
「申し訳ありません、今日のところは僕で我慢してください」
「仕方ないわね、で、ユノは?」
「今出てるんですよ、戻るのは少し遅くなります」
そう言ってニッコリと笑うテミンさんは、後ろ手に僕を店の奥へと促した
……誰、だろう
ユノ目当てでくるお客さんは確かに多いけど、その人達とは違う雰囲気がする気がする
「チャンミンこれ頼むよ」
「はい」
「店の奥から出ちゃダメだよ」
「あ、はい」
オーダーを受けたテミンさんが顔を覗かせて僕に念押しする
カウンターには出ちゃいけない事になってるんだよね、なんせまだ未成年だし……
気にはなるけど他のお客さんもパラパラとやってきてなんだか一気に忙しくなってしまった
ユノが軽めの食事もメニューに増やしてくれたから、僕の仕事も増えたんだ
……こんな僕でも少しでもユノの役に立てたら
と、店の前にタクシーが止まると、現れたのは見覚えのある長身のシルエット
………帰ってきた!!
「リナ?」
「まあユノ、遅かったわね」
「こっちに戻ったのか?」
「ふふ、だから来たのよ、ね?一杯やらない?」
店に入ってくるなり他には目もくれずその人の元へ向かうユノに、モヤモヤとした気持ちを抑えられない僕だったんだ