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苺な彼とビールな僕

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. キスまであと少し 3










~Cside~









仕事帰りのスーパー、今日は家にユンホ先生がご飯を食べに来ることになっている





こんな風に一緒にご飯を食べるのは久しぶりだし、今日は張り切って定時ダッシュしたんだよね





明日は休みだし、本当ならお家飲みしたいとこだけど、サッカーの朝練があるらしくて





今日はお酒はお預け、かな……





何を作ろうかなんて考えながら色々見ていたら、目移りしちゃって全然決まらないとか





だってあれもこれもあの人に食べさせてあげたいから…





顔が変形するくらい口一杯に頬張って、満面の笑みで美味しいって言ってくれるのが嬉しくて





いつも作りすぎちゃうんだ///





結局はチゲに大根のサラダ、チキンと野菜炒めって取り留めのないメニューになっちゃって





まあ、余っても次の日のおかずになるしいいか、とか、一人でブツブツ言って店の人に不審がられたり






最近の僕はふわふわとして宙に浮いてるみたい///






そして、今日こそは次のステップに進めたらなんて、やっぱり期待してしまう僕だったんだ

























. Begin Again 28










~Yside~









『あのさ、思い出したんだ』







そう言って隣の君を覗き込めば、不安げに瞳を揺らして




「……お、思い出し、た?」


「ああ」


「じ、じゃあ……あの……」



「ん、メガネかけてたよな、で、スゲー大人しくて」



「………」



「チャンミン?」





何をどう話せばいいのか、こういう時にうまく伝えられる言葉なんて1つも思いつかなくて




じっと見つめれば視線を泳がせて震えるほどに両手を握りしめて





「………あ、あの……き、気持ち悪いですよね」



「……え?」



「ごめんなさい、あの……僕、もう帰ります!!」



「ちょ!!待てって!!」





慌てて立ち上がる君の腕を掴んで引き寄せる、待って、まだちゃんと伝えてないから!!





「は、離してください///」


「ダメ、逃げるだろ?」


「に、逃げません、から///」


「それでもダメ、ちゃんと俺を見て?」


「………ユノさん///」






困ったように俺を見上げるバンビアイ、ああ、そんな顔をさせたいわけじゃないのに





「チャンミン聞いて」


「………」


「好きだ」


「………え?///」


「好きなんだ」






驚いたように瞳を揺らす君が逃げてしまわないように、思わずぎゅっと腕の中に閉じ込めたんだ

































. キスまであと少し 2










~Yside~








思い切って誘ってみてよかった!!






今度うちであるサッカー部の練習試合、相手はいつも決勝であたるライバル校で




部員達の気合いもめちゃめちゃ入ってんだけど、俺としてもやっぱ恋人の応援が欲しいなんて思っちゃって




そ、そうだよ、恋人なんだよ、うん///





思い切って告白して、シウォンのこともあったけど無事に付き合うことになって




でも、お互い忙しくてデートなんかも出来てなくて





俺って気の利いた店とかも知らないし、それこそシウォンに聞いてみたりもしたんだけど




『俺も連れてくなら教えてやる』




なんて言われちまって、そんなの絶対するわけねーし!!ったく、あきらめ悪いんだっての!!





一緒に抱きしめて寝たことはあるのに、まだキスも出来てなくてスゲー焦ってる





シウォンとかそういうのスマートに出来ちまうんだろうな、とか考えちゃったりして





でも、いざそういう雰囲気になったらじぶんが止められなくなりそうで





だって毎晩のように夢に出てくるんだ!!






一糸纏わぬチャンミンがゆっくりとベッドに横たわる姿とか!!




俺の下で喘いでいる姿とか!!///






隣で幸せそうに微笑む恋人を見つめながら、邪なことばかり考えてしまう僕だったんだ
































. Begin Again 27










~Cside~








目の前で微笑むアーモンドの瞳を見つめながら美味しい料理を食べるとか





夢じゃないんだよ、ね?///





係長らお酒も飲んでいいって言ってくれたけど、今日は車だし、どうせなら二人で飲みたいって言ったら照れ臭そうに笑って





ああ、僕の心臓は持ちそうにないよ





食事の後は河川敷にある公園まで散歩とか、これって本当にデートみたいじゃない?




一方下がってあなたの後を歩けば、早く来いよ、なんてまた肩を抱かれて





心臓がバクバクと早鐘を打つ……






まだ歩くには肌寒い川沿いの道は、灯こそあるけど人気は少なくて





高校の時、係長……ユノさん達がよく河川敷に集まっていたのを思い出す





あの頃は本当に何も話せなかった






「チャンミン?」


「………あ、はい///」


「話、あんだ」


「………はい」





公園のベンチに二人腰掛けると、見上げる空にはぼんやりと三日月が浮かんでいる




黙ってしまったユノさんは、1つ息を吸い込むと真剣な表情で僕を見つめた






「あのさ、思い出したんだ」



「………え?///」






不意に言われた思いもかけない言葉を、理解するのに数秒かかってしまった僕だったんだ





































. キスまであと少し 1









~Cside~







「………え?試合、ですか?///」



「あ、うん、応援とか来てくれるかなって///」









毎日のお昼休み、食事の後の習慣になった二人だけの休憩時間





……校舎の裏の木陰のベンチでひっそりと///





時々シウォン先生が邪魔しに入ってくるけど、今日はどうやら大丈夫のようで




不意に切り出されたサッカー試合の話、次の日曜日に応援に来て欲しいなんて




………どうしよう、凄く嬉しい///






「い、行ってもいいんですか?///」



「勿論だよ、チャンミンなら大歓迎!!ちょうどうちでやるんだ」



「じ、じゃあ///」



「本当に!?やった!!」



「……ふふ///」





大袈裟にガッツポーズを決めるユンホ先生、満面の笑みで立ち上がると踊り始めちゃって




こういう素直なとこ、好き、なんだよね///





付き合い始めたといっても二人とも忙しくてなかなか時間が合わなくて





デ、デートとかもしてみたいけど、今のところ仕事帰りにご飯に行くくらいだから





それに………まだその………何もされてないし///





いい雰囲気になった事は何度かあるけど、いざとなるとユンホ先生の方が躊躇してしまうみたいで




なんだか………






僕を好きっていう気持ちに嘘はないと思うけど、いつまでもそんな風にされると、ちょっぴり不安になってしまう僕なんだ























. Begin Again 26










~Yside~










『……うっ…………ユ、ユノさん///』








そう言って真っ赤になったチャンミンはつむじが見えるくらい俯いてしまって




名前で呼べ、なんて自分で言っておいてこっちが照れてしまうとか





大の男が向かい合って何やってんだか///





暫く二人で黙り込んで、でもお互い目を合わせると吹き出しちまって






……なんかこういうのって、いいな







「ここのパスタ上手いんだ、チキンも食うか?」



「あ、はい!!///」



「ワインもあるけど」



「そ、それは一緒に飲める時に、その……ユノさん、と///」



「ん、ああ、そうだな///」







話す度に照れくさくてお互い視線をおよがせるとか、これじゃあまともに顔も見れないじゃないか!!





たくさんの料理を前に大きな瞳をキラキラとさせる君に、なんで昔気付いてやれなかったんだろうって後悔しかないけど





………大切なのは今ここに二人でいること






「少し歩こうか」


「……は、はい///」






腹一杯飯食っていっぱい話して、昨日とは違う穏やかな時間を過ごした後







俺達は店を出ると川沿いの道を歩いて、橋の下にある公園へと向かったんだ































. うちの秘書が真面目で困ってます 36










~Cside~








ユノに想いを告げてから色々あったけど、どうにかユノも応えてくれて僕らは恋人同士になった




カン選手の元から連れ出された時は、顔中どころか首や耳にまでキスされちゃって





……変な声出ちゃったんだよね///





この先どうなるとかまだ考えられないけど、大切なのは今で、二人の気持ちだから





……お互い求め合うのは仕方のないこと






ちなみに僕に遊べって言っていたお爺様には一言言ってやった





『僕は政略結婚はしません、好きな人と好きな時に結婚します』





あんまり突拍子も無いから、お爺様は目を丸くしていたけど





『儂が死んだ後は好きにすればいい』





なんて弱気なことを言われてちょっぴり意外だった、かな





ユノはといえば相変わらずの真面目さで、毎日のように僕がアピールしても





『チャンミン様仕事中です』





とか冷たく言われちゃって、どうやってこれから誘惑してやろうかって考えてるとこ





だってわかっちゃったんだ、ユノがとってもヤキモチ焼きだってことをね





ユノもだけど僕も結構モテるんだ!!






これから先もずっと一緒にいるって決めたんだから、ユノも覚悟してくんなきゃね





さて、あのカタブツをどうやって堕としてやろうかな(笑)






「チャンミン様、お車が着きました」


「ん、今行く」







颯爽と現れたユノに駆け寄ると一瞬のうちにキスをして、怒られる前に車に逃げ込む僕だったんだ
























. Begin Again 25










~Cside~








『例えばユノ先輩、とかさ?』







そう言って微笑むアーモンドの瞳、確かに後輩には違いないけどそれって何か思い出した、とか?





とても目なんて合わせていられなくて視線を泳がせる僕に、そっと伸びてくる長い指





ねぇ、どうしてそんなに優しく髪を撫でるの?





なんて言ったらいいんだろ、いつもとは違う………何か、甘い……?///





僕のことを思い出したならきっとまたひいてしまうと思うのに








待ち合わせ場所から車に乗せられて、連れてこられたのは川沿いにあるレストラン




思わず寒さに震える僕に優しく肩を抱いてエスコートしてくれるとか!!




一体僕をどうするつもり、なの?///






「か、係長///」


「だから名前で呼べって」


「……うっ…………ユ、ユノさん///」


「ん、まあそれでもいいよ、こっちの窓辺の席が綺麗なんだ、ほら」


「う、わあ///」






高台にあるレストランの窓からは、キラキラと輝く橋の欄干が水面と相まってまるで宝石のよう




思わず座るの忘れて見入っていたら、クスクスとと肩を揺らすから軽く睨み返した





「とりあえずは飯食ってさ、ちょっと寒いけど外歩いてみようか」


「……あ、はい///」






いつになく熱っぽい視線にドキドキとしながらも、ドラマみたいなシチュエーションに戸惑ってしまう僕だったんだ

































. うちの秘書が真面目で困ってます 35










~Yside~








『チャンミン好きだ』







一旦口にしてしまえば、溢れる想いはとどまるところを知らず





車のなかで腕に閉じ込めたあなたの温もりを、1つでも逃がさないようぎゅっと抱きしめる





今だけは苦しいって怒らないで


黙って俺の腕の中にいて欲しいんだ


だってことずっと焦がれていたのに





ずっと抑えていたのに……







「……ユノ?」


「はい」


「……上書き、して?///」



「……え?」



「だってさっき……///」





そう言ってシュンと俯いてしまうあなたがどうしようもなく愛おしい




ああ、そうだった、さっきあいつにキスされて…





思い出すだけではらわたが煮えくりかえりそうだが、いまはそんなことより………







「他には何もされていませんか?」


「……うん///」


「よく見せて?」


「……ユ、ユノ……んっ///」





柔らかな頬を両手で包むと薄く開いた唇にそっと口付ける




うっとりとするくせに両手で俺の胸を押し返してキッと睨むからおでこをコツンと合わせた





「……そこじゃない、よ?///」


「わかってますよ」


「………ん///」





拗ねたようにで口を尖らせるあなたをそっと抱き寄せて、顔中にキスの雨を降らせてやったんだ


































. Begin Again 24











~Yside~









「あの……どこ、行くんですか?」



「ん、そんな遠くないとこ」



「そ、ですか///」



「寒くないか?ったく、早く来すぎなんだよ!!」






なんだか落ち着かなくて早めに出て正解だった、あんな寒いとこに1時間も前から待ってたなんて




マフラーからぴょこんと飛び出す耳が真っ赤に染まって、思わず手を伸ばして温めてやりたくなる





いや、それは流石に気が早い、よな





車を飛ばして30分ほど、本当なら駅の近くで軽く飯でもって思ってたけど




色々な事が話したくて、それに……家の近くだと逃げられちまいそうだから




………こうして車で攫ってしまった





突然の俺の行動に戸惑ってるのか、大きな瞳をくるくるとさせて




それでもなんだか嬉しそうなのは気のせいじゃないよな





「昨日は送ってくれて助かったよ」



「あ……いえ!!///」



「美人の隣で飲みすぎた」



「何ですかそれ、係長まで!!やだなぁ///」



「あのさ、係長じゃなくて名前で呼べよ」



「……え?///」



「例えばユノ先輩、とかさ?」






信号待ちでハンドルに手をかけて顔を覗き込めば、真っ赤になってフリーズする可愛さの塊





「……な、何で先輩とか///」



「ん、だってチャンミンは後輩だろ?」



「………///」





不安げに視線を泳がせる君の髪をそっと指を伸ばして、抱き締めたい衝動を抑えるのに必死だったんだ





























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紫苑☆

Author:紫苑☆
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