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苺な彼とビールな僕

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. Puppy Love ~モデルな君に恋してる~ 29














~Cside~









ユノヒョンに手を引かれ、なぜかタクシーは僕の家へと向かっていた






繋がれた手の温もりから伝わるあなたの気持ちにじわりと胸が熱くなる







……もしかして、もしかしたら?







やっぱり黙ったままで部屋へと入り、そのままポスンとソファへと座らされる






そしてユノヒョンは僕の前で跪き、ぎゅっと手を握ってこう言った






「……俺の思ってること聞いて」



「………ヒョン?」






切なそうなアーモンドアイ、こんなに至近距離で見られたら目を逸らすこともできなくて、小さく頷くのが精一杯だった








「自分の気持ちがね、理解できなくて…心にもない事を言ってしまった、ごめん!!」



「………え?」



「でもさ、さっきはっきりわかったんだ」



「…ユ、ユノヒョン?」



「チャンミニが好きだ」



「……あ…///」



「幼馴染みとしてじゃない、俺の恋人になってくれないか?」







……これは現実?






僕は夢を見ているのかな、あんなに憧れだったユノヒョンが目の前にいて、僕のことを好き……好きだって言った!!






思わず両手で自分のほっぺを抓ってみる、痛いって事は現実なのかな?






本当に?僕のことを?






じわりと涙が浮かんで視界がどんどん滲んでいく、ユノヒョンは抓ったまんまだった僕の手をふわりと解いた







「こら、跡になるだろ?」



「……うっ…く……ユ、ユノヒョ…ふっく…」



「チャンミニの気持ちも聞かせて?」



「…ぼっ……ぼく…もっ……ふっ……ユノ…ヒョ……うっ、くっ…好き、好きっ……」






精一杯の告白は、全く言葉にならなくて、それでもあなたには伝わったみたい





ぐっと腕を引かれてユノヒョンの腕の中





僕を抱きしめる腕はどこまでも優しくて、嬉しいはずなのに涙がポロポロと溢れてしまうんだ






「ふふ、チャンミニ泣きすぎ」






ユノヒョンは僕の髪をくしゃりと撫でて、そっと顔を覗き込む









恥ずかしさに俯いてしまう僕の頬をふわりと包んで、甘い甘い口付けをくれたんだ






























. Puppy Love ~モデルな君に恋してる~ 28















~Yside~









チャンミニを追って店を飛び出したものの何処に行ったのかさっぱりわからない


 




とりあえずと駅へと向かって走り出す







暫くして目線の先に現れたのは歩道で揺らめく細い影、背中を丸めてフラフラと歩く姿






チャンミニだ、見つけた!!







慌てて駆け寄ったのに角を曲がったところで誰かに路地に引きずり込まれるのが見えた







……やばい!!







反射的に走り出して路地へと滑り込めば腕を掴まれるチャンミニ





咄嗟にそいつから引き離すと自分の腕に閉じ込めた





睨みをきかせるとそいつは舌打ちして去って行ったけど






ああ、何もなくて本当に良かった






ぎゅっと抱き締めるとチャンミニの甘い香りが鼻腔をくすぐる、いつの間にこんなに好きになってしまったんだろう






早く伝えたいのに胸がいっぱいで離してやれそうもないなんて……





路地裏で見つめあう俺たち二人、このままじゃ埒があかないから手を繋いだままタクシーに乗り込んだ





『伝えたい事がある』






そんなことを言っておいて車の中では黙ったまんまで、繋いだ手から伝わる温もりだけが頼りで






俺ってほんと不器用だな、なんて自分に苦笑いしてしまう






同じく横で黙ったまんまのチャンミニは、耳まで真っ赤になってるし








二人を乗せたタクシーは夜のネオン街を通り抜けて、チャンミニのマンションへとたどり着いたんだ





































. Puppy Love ~モデルな君に恋してる~ 27














~Cside~











『恋人なら付き添ってやればよかったんじゃないの』







思いもよらないユノヒョンの言葉






とても、ショックだった、悲しくて悲しくて思わず店を飛び出してしまった






びっくりするくらい冷たい表情






なんで?

どうしてそんなに?






シウォニヒョンとは何でもないって言ってるのに恋人だなんて……





僕が好きなのはユノヒョンなのに!!






後から後から涙が溢れてきて俯いたままトボトボと歩道を歩く





………と、突然腕を引かれて路地へと引き込まれた!!







「何泣いてんの?一人?」







驚いて顔を上げればガタイのいい男が目の前に立っていた






「……は、離してください」




「やだ、君泣いてるんだもん、ね、俺が慰めてやるよ」






顔を覗き込まれ思わず目を逸らす、これってヤバいんじゃないの!?






「君すっげえ綺麗だね、名前は?」






……いやだ!!







反射的に逃げようと身を捩ると別の腕が伸びてきて僕をそいつから引き剥がした






顔を上げるとそこにいたのは……!!







「…ユ、ユノヒョン?」



「悪いな、俺のツレなんだ」



「ふうん?相手がいたんだ、残念」







ユノヒョンは僕を腕の中に閉じ込めたままそいつに睨みを利かせる







スーツからはユノヒョンの匂いがして、また泣いてしまいそうになる







そいつが行ってしまってからもユノヒョンは僕を離してはくれなくて、このまま時間が止まってしまえばいい、なんて思ってしまうんだ







「チャンミニ、さっきはごめん」



「……ユノヒョン?」



「…伝えたい事がある、顔見せて?」



「……え?/////」









おずおずと顔を上げると優しいユノヒョンの顔があって、僕はそのまま動けなくなってしまったんだ






























. Puppy Love ~モデルな君に恋してる~ 26















~Tside~








僕の秘策はこうだった……








『キムさん』でのモデル達の飲み会情報を掴んだ僕






すかさず知り合いの女の子達を誘って同じ日に予約を入れたんだ







店の予約状況は前からリサーチ済みだったし、その辺のところはミノが協力してくれたから








そう!!

題して『ヤキモチ妬かせちゃおう大作戦』







Miniがチョン課長を好きなことは歴然としているし、僕と課長を見つめる瞳には少し敵意がある






あれはきっとヤキモチだと思う






飲み会で偶然に鉢合わせ、女の子達とコンパをする課長にヤキモチを妬かせて起爆剤にする






あとのフォローは僕がやってもいいし、お友達関係のままのあの二人には刺激になってちょうどいいはず!!






……がっ!!







そんな僕の思惑は見事に外れて、今はなんだか険悪ムードなお二人さん







壁に隠れて様子を伺う僕、よくは聞こえないけどどうやらMiniが介抱していたモデルに課長がヤキモチを焼いているみたい?






『ユノヒョンのバカ!!』






大きな瞳に涙を溜めて店を出て行ってしまったMini






呆然と立ち尽くす課長は悲しそうな顔でフリーズしたまんまだし









「はあ、課長って本当にバカですね」



「テ、テミン!?お、お前いつからそこに!?」



「最初からですよ、ったく、せっかく僕が……ってか何してんです!?早く追いかけなきゃ!!」



「……もう遅いよ」



「ふーん?勝手にヤキモチ焼いて」



「……!!」



「傷つけたんだ?」



「……っ!!!!」



「後悔してんなら追いかける!!ほらほら!!」



「テ、テミン///」



「好きなんでしょ?Miniのこと」



「……ああ、そうだな、俺行くわ、サンキュ!!」







悪い、と一言声をかけ荷物をとると、チョン課長は颯爽と店を出て行った






……ったく世話が焼けるったら(笑)







走り去る課長の後ろ姿を見つめながら、不器用なあの人が上手くやれるように願わずにはいられない僕だったんだ



























. Puppy Love ~モデルな君に恋してる~ 25















~Yside~








……あんなこと言うつもりじゃなかった







思いがけず見かけたチャンミニの姿、ただ嬉しくて声をかけようと思った







『ミニ~チャンミン~♡』







酔っ払ったその男は甘えた声を出してチャンミニの肩にしなだれかかり、ベタベタと体を触りまくっていた







……すっげぇイライラした






酔ってるとはいえどう考えても下心アリアリじゃないか?






なんで拒否らないんだ、まさかそいつのこと好きなのか?






チャンミニは店員にタクシーを呼ぶように伝えて、どうにか店の出口へと向かおうとしていた






ガタイの良い男はなかなかチャンミニから離れない、俺は思わずそいつの腕を掴んだ






とにかく早く離れて欲しかった……!!






突然の俺の登場に動揺した様子だったが、そいつをタクシーに押し込んで、やっとチャンミニと話が出来たのに…






「随分と親しげだったけどもしかして恋人?」







突然の俺の言葉に眉を下げ、悲しげな瞳はゆらゆらと揺れて俺を真っ直ぐに見つめた







「……ち、違います、シウォニヒョンは事務所の先輩で、今日は飲みすぎちゃって…その…」



「ま、俺には関係ないけどな、恋人なら付き添ってやればよかったんじゃないのか?」







持っていきようのない憤りが俺を苛立たせる、こんなことは言いたくないのに






「ち、違うっ!!こ、恋人じゃありませんっ!!ぼ、僕が好きなのはっ……好きな人はっ……!!」




「チャンミニ」




「ユ、ユノヒョンのばかっ!!」







チャンミニの宝石みたいな瞳からは透明な雫がポタポタと零れ落ちた






………あ、痛い






俺の胸に何かがチクリと刃を立てた








そして、チャンミニは俺に背を向けると、そのまま店から出て行ってしまったんだ




























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紫苑☆

Author:紫苑☆
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