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苺な彼とビールな僕

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. Puppy Love ~モデルな君に恋してる~ 24
















~Cside~









「ミニィ~チャンミン~なんで振り向いてくんないんだよっ…ひくっ」






酔っ払ってしなだれ掛かるシウォニヒョン






なんとか押しのけながら立ち上がり、店員に声をかけようと個室のドアを開けた






「チャンミン~ひっく」



「シウォニヒョン飲み過ぎです!!」



「……お前が冷たいからじゃん」



「……ぼ、僕には好きな人が居るんです///」



「……わかってる、わかってるよ~ひくっ」






モデル仲間と飲みに行くといつもこんな感じで、シウォニヒョンは特に僕に絡んでくる






冗談なのか本気なのか、僕のことを想ってくれているみたいなんだけど……僕には…






どうにか重たい体を支えてながら店員にタクシーを呼んでもらった





と、とりあえずは店の出口まで行かないと






「んしょっと」



「手伝うよ」



「……へっ?……え!!ユノヒョン!?///」






ドサッ!!






「……いててててて、酷いよチャンミン~」



「ああ、大丈夫ですか?ほらつかまって、チャンミニはそっち」



「……あ、はい/////」






シウォニヒョンの肩を二人で担ぐようにしてなんとかタクシーに乗せることができた






ふう、まったく







……それにしてもどうしてユノヒョンがここに?







さっきまで息切れして動悸がしてたのに、今度は別の意味でドキドキしてきちゃったよ






偶然、だよね?






「……ユ、ユノヒョン、どうして…?」



「あの人ってさ、チャンミニのこと好きなんだな」



「……え」



「随分と親しげだったけどもしかして恋人?」









何故か怒ったようなユノヒョンに射るように見つめられて、僕はそのまま動けなくなってしまったんだ
























. Puppy Love ~モデルな君に恋してる~ 23















~Yside~












『いい店見つけたんですよ、会社からもすぐだし後から来てくださいね』







残業中の俺に届いたテミンからのメッセージ、ご丁寧に店の紹介ページまで貼り付けてある







……腹も減ったし行ってみるか







そんな軽い気持ちで覗いた居酒屋『キムさん』







名前からは想像もできない随分とオシャレな店内で、俺は店員に案内されて奥のボックス席へと向かった








「課長!!待ってましたよ~♪」







テミンとミノを中心に男女合わせて七人ほどが楽しそうに呑んでいた……しかしこれは?







「テミンこれって……」



「いいからいいから、ほら座ってくださいよ!!」







コレってどっからどう見てもコンパじゃねぇのか!!







男を挟むように座る女の子達はウチの会社の子達じゃないし






そういや先週からやけに週末の予定を聞かれていた気がする






……どうやらテミンに嵌められた、か?








「やだ、凄いイケメン!!やばい」



「ずるいわよアイリン、私も隣がいい~」



「ちょっとジョイったら割り込まないでよ~」






ワアワアと騒ぐ女の子達にタジタジになっているとミノが助け船を出してくれる






「うちの課長はシャイなんスよ、あんまり積極的なのは好みじゃないらしいっス」



「「「ええ~!?」」」」



「ほらほら大人しく席に戻って、とりあえずは乾杯しましょう」






にっこりと爽やかな笑顔で女の子達をあしらうミノ、なんだよ、会社にいるときとはまるで別人じゃないか(笑) 







乾杯と同時に運ばれてきた料理はなかなかのもので、味も美味いし盛り付けも今時だし







ここ『キムさん』はとても流行りの店らしく、いつも予約でいっぱいなんだとか





なんでもイケメンのオーナーが人気なんだとか、奥の個室には芸能人も来るらしい、なんて







「テミンなに企んでる?」



「べっつに~♪」






鼻歌交じりにビールを流し込むテミンを睨んで別の個室の方へふと目をやった






………あ…れ?







不意にスラリと背の高い男が個室から現れた





くるんとした睫毛はここからでも見えるほどの存在感、誰かを支えて店員に何か伝えている






ぐったりとしたその人を気遣うように声をかけて…






あ、あれは…!!

 






個室から酔っ払いを介抱しながら出てきたのは、まさかのチャンミニだったんだ




























. Puppy Love ~モデルな君に恋してる~ 22
















~Cside~








……実は最近気になってることがある






ユノヒョンとは良い雰囲気っていうか、最近は家にも来るようになって






一緒に食べる晩御飯とか、そういうのがとっても幸せで…






僕の通う事務所の向かい側、休憩室の窓を見上げればにっこりと笑うユノヒョンの姿






……す、少しは期待していいのかな、なんて///







でも………



いつもユノヒョンの隣には同じ人がいて、そういや最初に遭遇したラーメン屋さんでも一緒だったっけ







確か『テミン』って人……







なんだか意味ありげには僕のことを見つめてくるし、まさかあの人もユノヒョンのことを……?







……か、考えすぎだよね






モヤモヤとした思考を掻き消すように首を横に振る






今日は事務所の飲み会があっていつもの店にモデル仲間と集まっていた






『キムさん』という名の創作居酒屋、名前的にどうなの?と思うけど、オーナーのヒチョルヒョンはモデル並みに綺麗な人で






おまけにオタクってこともあってこの辺りじゃ人気の店なんだ







「チャンミン久しぶりだな!!」



「こんばんはヒチョルヒョン」







カウンター越しに顔をみせるヒチョルヒョン、とっても気さくな人で、いつも僕のこと気にかけてくれるんだ






最近どう?なんて暫く世間話をしているとシウォニヒョンがふらふらと僕を探しにやってきた







「Mini、ほらこっちだって、ヒチョルヒョン、うちの後輩誘惑しないでくださいよ!!」




「何言ってんだ、狙ってんのはお前だろ?チャンミン気をつけろよ、優しげな先輩が豹変するのは時間の問題だぞ?」




「……ばっ!!何言ってんスか!!///」







ぎゃあぎゃあとじゃれ合う二人はとっても仲がいい、こういうのってなんかイイな






シャラン♪






『いらっしゃいませ!!』







店の入口からガヤガヤと賑やかにスーツ姿のサラリーマンが数人入ってくる







……あ、あの人は!!






その中にはいつもユノヒョンの隣にいる、テミンって人の姿があったんだ























. Puppy Love ~モデルな君に恋してる~ 21












~Tside~










「なあテミン、恋愛に性別って関係ないと思うか?」






突然のチョン課長の言葉に思わずコーヒーを吹きそうになる!!






い、一体何を言い出すんだっての!!






まあ残業終わりの休憩室、社内に残ってるのはほんの数人で、ここには僕ら二人しかいないけど







「課長!!いきなりなんなんですか、びっくりするじゃないですか!!」



「…あ?ああ、すまん」



「好きになったら性別とか関係ないんじゃないですかね、大切なのは自分の気持ちですし、まあ、僕は女の子の方がいいですけどね」



「そう……だよな、普通はそうなんだよ」







課長はブツブツと呟きながら窓の外に目を向ける





きっとMiniを探してるんだ





物憂げな横顔は男の僕でもドキッとしてしまうほど色気が漂っていて






……恋って人をこんなにも変えるもんなんだ






何かの役に立つかと思い会社の女の子達の情報を集めていたけど、最近あのモデル事務所行きつけの店があるって話を聞いたんだ





なんでもオーナーと知り合いだとかなんとか、まったく彼女達の情報網には頭が下がるよ





しかし、これは使えるんじゃないのか?

 




なんでもタイミングって大切なんだよ、うん




今がまさにその時だと思うんだ、この調子じゃいつまでたっても平行線な気がするし、ここは僕が一肌脱いであげれば……





どうせやるならガツンと決めなきゃ、これは楽しくなってきた






ふふっ






「テミン、顔がおかしいぞ?」





怪訝な顔で僕の顔を覗き込むチョン課長、いやいや、待っていてください、僕がなんとかしてあげますから!!






「任せてください!!」



「はあ?何言ってんだ、帰るぞ」



「飯奢ってくれんですか?」



「餃子はナシだ」



「ええええええ!?」







さっきまでぼんやりしてたくせに動く時は誰よりも早い、さっさと席を立ってもう部屋から出ようとしているし(笑)






課長ファイティン!!






僕は課長の広い背中を見つめながら、小さくガッツポーズをキメる僕だったんだ
























. Puppy Love ~モデルな君に恋してる~ 20















~Yside~








「ここに来るのは二回目だな」






キッチンで料理の準備をしていたチャンミニは、ハッとしてすまなさそうに眉を下げた






「……あ、あの時はほんとに、あの…」



「ふふ、謝らなくていいよ」



「はい…///」






野菜を洗いながらのカウンター越しの会話、なんだかまるで恋人みたいじゃないか






キッチンに立つチャンミニはブルーのエプロンをして恥ずかしそうに微笑む






『お手伝いはいいですからユノヒョンは座っててください』だなんて






……まあ、雑なのバレてるか(笑)






今日のメニューは俺の大好きなカルボナーラ





イタリアンサラダとバケットも添えて、もちろんワインも一緒に





チャンミニは随分遠慮してたけど、また作ってくれるなら、と色々と俺が買い足した





本当は俺がここに来たいだけだなんて、とても口に出しては言えない、な







手際良く料理も出来上がり2人で乾杯する





 
チャンミニのカルボナーラは本当に美味くて、あっと言う間に平らげてしまった





「ふふ、そんなに急がなくても誰もとりませんよ?」





なんて、呆れたように笑う顔も眩しいと思ってしまうんだ





実は、この前来た時に見た写真とフィギュアのことをなんとなく聞きそびれていた





あれから何度か会っているのに………





今日は少しお酒も入ってるし聞いてみようか






「チャンミニ、あのさ……あの写真と恐竜のフィギュアなんだけど」



「…えっ!?ああ!!ご、ごめんなさい、ひきましたよね……その…///」






俺の言葉に途端に瞳を潤ませて俯いてしまう君、ああ、責めてるわけじゃないのに






「いや、ひくだなんてとんでもない、すごくさ、懐かしくて嬉しかったんだ」



「……ユノヒョン///」



「大切にしてくれてありがとう」





ポロリと涙を零して泣き笑いする君、思わず指を伸ばして頬を伝う雫をすくい取った





「……っ!!!///」





ピクンと跳ねてみるみる赤くなるチャンミニ、そんな姿を見ていると堪らなく抱きしめたくなる






……おい、しっかりしろよチョン・ユンホ!!








こんな風に思ってしまう俺は、やっぱりどうかしてると思うんだ





















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