. スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
. うちの秘書が真面目で困ってます 31
~Yside~
ホテルを出ると人通りの多い大通りから狭い路地まで回ってチャンミン様の姿を探した
週末ということもあり繁華街は人混みでごった返していて、何処をどう探していいのか分からず途方にくれていた時だった
「………え?カン選手が?」
突然のヒチョル様からの着信、たまたま飲み出たカン選手がふらふらと歩いているチャンミン様を保護したとのことだった
様子がおかしいので一応ヒチョル様に連絡をくれたらしいが、あの方はどうにも油断がならないのに!!
「店の場所はわかりますか?すぐにお迎えにあがります」
『あ……ああ、わかるけど……てか、なんでお前一緒にいないの?』
訝しがるヒチョル様をなんとか説得し、聞き出した店へと早足に向かう
そこはスポーツ選手や有名人の通う有名なクラブ、会員制ということもあり中に入るのに少々手間取ってしまった
ああ、気持ちは焦るばかりなのに!!
やっとの事で店内に入り、爆音と共に騒ぐ人々の間を縫って二階のVIPルームへと
一番の奥の部屋へと辿り着き、ごくんと唾を飲み込んでノックしようとした時だった
『や、やだ!!離してっ///』
突然聞こえたチャンミン様の声に、俺は思わずドアを蹴るように開けて中へと入って行ったんた
. うちの秘書が真面目で困ってます 30
~Cside~
これからどう、しようか………
お爺様に帰るように言われて、あてもなくホテルを出てきてしまったけど
そういや運転手にも何も伝えずに来てしまった
あれからユノはどうしただろう、あんな別れた方をしてしまったら、もう普通には話せないかもしれない……な
この先どうとかより、ユノの気持ちを知りたかっただけなのに
好きって言って欲しかっただけなのに……
僕と同じ気持ちだと思ったのは思い違い、なの?
トボトボと俯きがちに歩道を歩いていると、不意に目の前に誰かが立ちはだかった
顔を上げるとそこにはこの前ヒチョルさんのパーティで会ったカン選手の姿があって
「やっぱりチャンミン!!こんなところでどうした!?」
「……あ///」
「なんかあったのか?美人が台無しだぞ!!」
ぐしゃぐしゃと髪を撫でられて堪らない気持ちになる、ああ、今は1人になりたいだけなのに
「何でもないんです、あの……」
「少し付き合えよ、な?」
「え?///」
「襲ったりしないから、ほら!!」
「ちょ、カン選手!!」
カン選手は呆然とする僕の肩を掴んで、半ば強引に脇にある細い路地へと歩き出したんだ
. うちの秘書が真面目で困ってます 29
~Yside~
「………え?居ない?」
「そ、そうなんです、あの、会長の運転手の話では外に出行かれるのを見た、と……」
チャンミン様の後を追って急いで向かったパーティ会場、ホテルのロビーは多くの人でごった返していて
人混みの中、やっと見つけた会長の側にチャンミン様の姿はなく
会長の秘書によると、チャンミン様は酷く具合が悪そう見えて、見かねた会長が家に帰るように伝えたのだとか
……確かにあの状態では無理、だな
普段から忙しくしておられるから行くあてなど無いはずだが、もしかしたら友人の家に向かわれたのかもしれない
会長の秘書には俺が責任を持って探すと伝えて、とりあえずはホテルを後にした
何しろあのスタイルにあの容姿、運のいいことにドアボーイが出て行く姿を見たと話してくれた
どうやら向かったのはネオン煌めく繁華街
そんなところに行ったらまるでオオカミの巣に仔鹿が迷いこむようなものだ
早く探さなくては!!
俺は真っ暗な空を見上げて小さく祈ると、愛しい人を探しに夜の街へと駆け出したんだ
. うちの秘書が真面目で困ってます 28
~Cside~
『ずっとお側にいるためには、この想いは遂げられないのです』
そう言って苦しげに僕を見つめるユノ、それって完全否定されたって、こと?
さっきまで僕を抱きしめて甘いキスをくれたのに、まさかそんな言葉が返ってくるなんて
ううん、ユノならきっとそう言うと思ってた
そんな事わかってたはずなのに、言わずにはいられなかった
毎日好きで、好き過ぎて……
辛すぎる状況に耐えれなくて部屋を飛び出すと、下で待たせていた車に飛び込んだ
運転手が目を丸くしていたけど、もうそんな事にも構っていられないほど悲しくて
とりあえず向かったのは約束のパーティ会場、どうにか平静を装って行ったものの様子のおかしい僕に
『体調が悪いなら無理しなくていい』
と、お爺様に追いかえされてしまった
でも、家には帰りたくない……な
仕方なく車に向かうけど足取りは重く、こんな時は仕事でもしてる方が楽なのに
いや、こんな酷い顔じゃ……
僕は大きく溜息をつくと、車には向かわずにあてもなく夜の街へと歩き出したんだ
. うちの秘書が真面目で困ってます 27
~Yside~
『ユ、ユノは何もわかってない!!僕が欲しいのはそんな言葉じゃないのに!!』
そう言って部屋を飛び出してしまったチャンミン様、慌てて後を追ったが既にその姿はなく
探しに出ようかと考えていると、運転手からパーティ会場に向かっている、と連絡があった
……ああ、そういえば下に車を待たせていたんだった
置いてけぼりを食らった自分が受け入れられなくてドサリとソファへと座り込む
チャンミン様に拒まれた事など一度もなかったから
さっきまで腕の中で身を任せていたのに、あれは夢だったのかと思えるほど
現実とはこんなにも辛いものなのか
……初めて触れた唇の柔らかさが忘れられないのに
なんて勝手なんだろうと思いながら、ああ言わなければ自分を止めることなんて出来なかった
あなたへの想いを必死に抑えようと………
「全く、お馬鹿さんだねぇ」
「…イさん」
「一番しちゃいけないことだよ」
「……え?」
「大切な人を悲しませるってことだよ!!」
「きっと泣いてるよ?」
「………」
「行っておやりよ、その後のことは2人で考えればいいじゃないの!!大切なのは今よ、今!!」
「でも……俺は」
「身分違いとか野暮なこと考えてるんじゃないわよ!!そんな捨て犬みたいな顔してさ、ほら!!」
バシバシと背中を叩くイさんの言葉が胸の奥に響く、ああ、俺はなんて浅はかなんだろう
ニッコリと微笑むイさんに小さく頷くと、俺は転がるように屋敷を飛び出したんだ