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苺な彼とビールな僕

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. うちの秘書が真面目で困ってます 26










~Cside~








長い指に頬を包まれて、何度も重なる唇にうっとりと瞳を閉じた





………今僕はユノにキス、されてるんだよね///





離れてはまた触れる柔らかな感触に、身も心も蕩けてしまいそう





どれくらいそうしていただろう……





お互いに黙ったまま暫く抱き合っていたけど、何か言葉が欲しくてユノの胸をそっと離した






「………ユノ?///」



「俺は狡い男です、何も言わずにあなたへと触れてしまった」



「………そ、それは///」



「いや、触れずにはいられなかった」



「………///」




「でも、想いを告げることはできない」



「え?」



「それは、この屋敷を去ると言うことです」






ユノの言葉に愕然と立ち尽くす、それって何?ユノが僕の側からいなく……なる?





「嫌!!絶対に嫌だ!!」



「チャンミン様!!」



「ユノはずっと僕の側にいてくれるって言った!!ずっと護ってくれるって!!」



「ずっとお側にいるためには、この想いは遂げられないのです」




「……そんな」



「どうか分かってください、名実ともにあなたがこの家をお継ぎになる時まで」



「嫌!!ユノの馬鹿!!石頭!!」







ドンと突き飛ばすように勢い良く離れた体、パタパタと頬を伝う涙は止め処なく流れて






「チャンミン様」


「ユ、ユノは何もわかってない!!僕が欲しいのはそんな言葉じゃないのに!!」







僕の言葉に傷ついたように立ち尽くすユノに背を向けて、僕はそのまま外へと飛び出してしまったんだ













































. うちの秘書が真面目で困ってます 25









~Yside~









『好き、ユノが好き』








そう言って触れたあなたの唇、見つめる瞳はゆらゆらと揺らめいて





………好き?好きって………





そんな殺文句を言ったくせに、俯いたまま逃げていこうとするから慌てて腕の中に閉じ込める





……ああ、これは夢?






「………ユノ、苦し///」


「あ、申し訳ありません」





そっと離れた体、見つめ合う先には首まで真っ赤に染めて視線を泳がせるあなたがいて





「……ユノは?」


「………え?」


「ユノは僕のことどう思ってる?///」


「……え?」


「ずっと仕えてきた主人?それとも弟?」


「………」


「僕はユノが好き」


「……チャンミン様」


「……好き、大好き」







ぎゅっと抱きついてくるあなたの柔らかな髪が頬を擽る






………俺、俺もあなたが






頬をなぞる手を重ねるように握りしめると、想いを確かめるように何度もキスをしたんだ






























. うちの秘書が真面目で困ってます 24










~Cside~








『ユノの跡消えちゃった』







見つめる先にはキラリと光るアーモンドアイ、ああ、早く僕を抱き寄せて欲しいのに




焦ったさを感じての精一杯の言葉に、応えるように手首に唇を寄せて




命令だから………キスするの?感じる熱い視線は僕の思い違い?





今はただあなたの気持ちが知りたい!!









「……ユノ、抱き締めて?」



「チャンミン様……?」



「……ダメ?///」



「…………」






逞しい腕がスローモーションのように僕を包み込み、僕はただ為すがままにユノの胸に身を委ねて





ああ、溢れ出す想いは止められない








「……ずっとこうしたかった」


「 チャンミン様、俺は……」


「好き、ユノが好き」









僕の言葉に瞳を揺らすユノの頬に手を伸ばして、想いが伝わるようにそっとキスをしたんだ






















. うちの秘書が真面目で困ってます 23










~Cside~








「チャンミン様お召し換えを」


「ん、そこに置いといて」


「……ですが」


「やだな、大丈夫だって」





出先から一旦戻りパーティに向かうためにドレスシャツに黒のロングジャケットのスーツへと着替えるチャンミン様




……そのリボンタイのシャツは一人では留めにいのに





俺に背中を向けて必死に頑張る後ろ姿、耳が少し赤いのは照れているから?





………ああ、出来ることなら抱きしめてしまいたい






「ほら、こっち向いてください」



「いいって!!///」



「たまには言う事を聞いてください」



「ぼ、僕だっていつまでも子供じゃないんだ!!///」



「子供だなんて思ってませんよ」



「嘘だ!!」



「これっぽっちも思ってません、あなたは大人になった」





俺の手から逃れようとする細い手首を掴んで引き寄せる




シャツに包まれた跡は消えてしまっただろうか




俯いてしまった丸い後頭部、ああ、昔はずいぶん下に見えていたのに






「……ユノの跡消えちゃった」


「チャンミン様」


「もう一度つけて?」


「……それは命令ですか?」


「そう、絶対逆らえない命令」







そう言って俺を見つめるあなたは眩しいほどに綺麗で、俺は誓うように細い手首へと唇を寄せたんだ



























. うちの秘書が真面目で困ってます 22










~Yside~








「ふう、疲れた、お爺様とは会場で合流?」



「はい、会長は少し休まれてから向かわれるそうです」



「わかった、僕は……家に帰ってたら休む時間なさそうだね」



「はい、車の中でお休みになられますか?」



「ん、着いたら起こして」







大学からそのまま取引先との会食、長々と重役方の話に付き合わされ夜はパーティに参加とか





全く、息の詰まりそうなスケジュールだ





いつもなら車内でも仕事の書類に目を通しておられるチャンミン様も、流石に疲れたのかじっと目を瞑って休んでおられる




……睫毛が長い、な




バックミラー越しに見える綺麗な寝顔、昂まる気持ちを抑えてハンドルを握りなおすとつい溜息が漏れてしまう





今朝、イさんに言われたこと……






『真面目だけが取り柄じゃないってことですよ!!』





いったいどういうことだろう、俺の取り柄といえば真面目、ではあると思うが





やっと気付いた、とか……





チャンミン様は大学を出られたら社長として独り立ちされる、今は会長の補佐といった感じだが





それを支えていくのは自分だと信じていたのに





こんな気持ちのままこの方のそばにいてもいいのだろうか





最近になって自分の気持ちを抑えきれなくなってしまうとか、俺らしくもない






一生この方をお護りすると決めたのに






今すぐにでもその細い体を腕の中に閉じ込めてしまいたくなる







胸の中でどんどん溢れそうになる想いを、抑えきれず戸惑ってしまう俺だったんだ






























. プロフィール

紫苑☆

Author:紫苑☆
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