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. 二人の天使 19
~Cside~
「あ!!ママおめめあけた!!パパーー!!」
遠くで聞こえるハルの声にゆっくりと目を開く
目に飛び込んでくるのは見慣れぬ天井、いや、ここは僕の入院している部屋
無事に産まれた……の?
「チャンミン!!」
「……ユノ、ね、僕の赤ちゃん」
「ああ、無事に産まれたよ、元気な男の子だ」
「……そっか、良かった///」
僕を愛おしそうに見つめるアーモンドアイ、目尻が赤いのはもしかして泣いてた、とか?
ユノの後ろで母さんも涙ぐんでるし、心配かけちゃったんだ
「ほんとに良かったわ、産声の後手術室が騒然としちゃってハラハラしちゃった」
「そうなんだ、母さん、ありがとう」
「やあね、私何にもしてないわよ~あ!!赤ちゃん連れてきて貰うわね!!」
「あかちゃん、あかちゃん、ハルもいく~」
目頭を押さえながら出て行く母さん、ハルはスキップなんてしちゃって、ここは病院なのに(笑)
「さっきまで寝てたから元気いっぱいだよ」
「そっか、長くかかったんだね」
「ああ、まったく気が気じゃなかったよ」
「……ユノ」
「本当にありがとな、俺達の宝物がまた増えた」
「うん///」
僕の手を握るユノの手はひんやりと冷たくて、ああ、きっと緊張していたから
僕の髪を撫でる大きな手に擦り寄ると、愛おしそうに見つめるからドキドキしちゃう///
「チャンミン愛してる」
「ユノ、僕も///」
ゆっくりと近づいてくるユノの頬に手を添えて、僕らは今日一番の甘いキスを交わしたんだ
. 二人の天使 18
~Yside~
忙しなく手術室に出入りする看護師達、予定の時間はとっくに過ぎてるってのにまだ産声は聞こえない
前みたいに緊急な感じはしないものの、いても立ってもいられなくて廊下をウロウロと歩く
イライラしても仕方がないのはわかってる、でも、ただ祈る事しかできない自分が悔しくて
どうか、どうか無事で……!!
……と、お義母さんの膝の上からハルがむくりと起き上がった
ぼうっとしたままあたりをキョロキョロと見回して、なんだまだ寝ぼけてるのか?
「ハル、起きたのか?」
「あ、パパ、あのね、おやくそくがね」
……何?約束がなんだって?
オギャー
ハルが何か言いかけた途端に聞こえたのは元気な産声
う、産まれた、のか?
「ユ、ユンホさん、聞こえたわね」
「は、はい!!」
お義母さんと2人顔を見合わせてホッと胸を撫で下ろす
いや、まだだ!!
チャンミンは、チャンミンは無事なのか!?
「ねぇ、パパってば!!」
「ん、ああ」
膝にじゃれつくハルをぎゅっと抱きしめて、固唾を呑んで手術室の扉が開くのを待っていたんだ
. 二人の天使 17
~Cside~
「あ……れ……ここは?」
ふと目を覚ましたのは草原にある丘のようなところ
そして遠くには湖が見えている……?
ここって?
そうだ、僕はさっき手術室に入ったばかり、なんでこんなところに?
まさか………
以前と同じくペタンとしたお腹にゾッと背筋が寒くなる
僕の赤ちゃん!!
「ママーー!!」
「え?ハ、ハル?」
「まだこんなとこにいたの?はやくはやく!!」
突然現れたハルにグイグイと腕を引かれて歩き出す
草原をわたる風が優しく頬を撫でて、どこからか花の香りが漂ってくる
待って、これって……夢?
「ね、ハル、そんなに急いでどこに行くの?」
「やだなぁ、ママってば忘れちゃったの?おやくそくしてたでしょう?」
………約束?
「もう!!おそくなっちゃったからきっとおこってるよ?」
「おこる?誰が?ね、ハルってば!!」
「あ、いたいたーーー!!」
あ…………!!!!
ハルと一緒に駆け下りた湖のほとりには、白い服を着た小さな子供が嬉しそうに手を振っていたんだ
. 二人の天使 16
~Yside~
「なんだ、ハルは眠っちまったのか」
「ええ、さっきまでずっと起きてるんだって言ってたのにね、疲れちゃったのね」
「お義母さんすいません、変わりましょうか?」
「あら、大丈夫よ、ふふ、汗いっぱいかいてるわね」
お義母さんに抱っこされて気持ちよさそうに寝息を立てるハル
ったく、さっきまでは一番に赤ちゃんを見るんだって騒いでいたのに
チャンミンが手術室に入ってからもうどれくらい経っただろう
麻酔の加減からか少し遅れて始まったから、予定時間よりはおしてる気がする
持病だった貧血も最近では改善されてたし、大丈夫だとは思うけど
やっぱり心配なのは変わらない
相変わらずなんの力にもなれない自分が嫌になっちまう
悶々としていても仕方ないのはわかってるのに……
「ねえ、ユンホさん、そんなに心配しなくてもきっと大丈夫よ?」
「あ、いや///」
「そんなに眉間にシワなんて寄せちゃって、チャンミンが見たら笑われてしまうわよ」
クスクスと肩を揺らすお義母さん、ああ、本当にチャンミンに良く似ている
「カン先生を信じましょう、ね?」
「……はい!!」
にっこりと笑うお義母さんに諭されて、どうにか落ち着こうとする俺だったんだ
. 二人の天使 15
~Cside~
「ママ、しゅじゅつがんばってね」
「ありがとうハル」
「あかちゃんもがんばってね、あ!!せんせいにもいわなきゃだ!!」
「こらハル、あばれるなって」
病室できゃあきゃあとはしゃぐハルに癒される
今日はいよいよ手術日当日……
昨日からずっと点滴で縛られていたし、あんまり動けないからユノや母さんにも迷惑かけちゃって本当に申し訳ない
でも、入院はいつでも出来る様に準備しておいてよかった……
今朝もお腹の子はポコポコと暴れているし、きっと大丈夫だって信じてる
「チャンミン、平気か?」
「あ、うん///」
「そりゃ不安に決まってるよな、ごめんな、代わってやれなくてさ」
「ううん、そんな!!」
そう言って寂しそうに笑うユノにそろそろと手を伸ばす
ちょっと抱きしめて欲しいって思ったけど、部屋には看護師さんも出入りしているし、そんなわけには………
「ずっとついてるからさ、心配すんな」
「……うん、ね、ユノ、僕にもしものことがあったら……」
「バカ!!もしものことなんてあるわけねぇだろ」
「………///」
「お前は俺のことだけ考えてりゃいいんだよ、な?」
「ユノ///」
伸ばした手をギュッと握られて優しいキスが落ちてくる
ああ、やっぱり僕にはユノが1番の薬……
「パパー!!ねぇ!!ぼくのことは?」
すっかり2人の世界に入ってしまった僕達の横で、必死にアピールするハルに笑ってしまう僕達だったんだ