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. 愛の詩をきかせて ~仔鹿君の憂鬱~ 47
~Yside~
目の前で倒れる父さんを見て不思議な気持ちになった
実の父親とはいえ愛情なんてないと思っていたのに、すぐさま体が動いて大きな体を受け止めていた
オロオロとする母さんをパクさんへと託し、父さんを担ぐようにして寝室へと運んだ
……痩せたな
初めて会った時は圧倒的な威厳と傲慢さで、こんな奴の血が流れているのかと自分が嫌になったけど
年とともにそんな感情も麻痺してしまったのか…
一度倒れてからは体調を崩しがちで、会長となった今は主に家で仕事をすることが多くなった父
薄れる意識の中握られた手は冷たくて、やはり俺に似ていると思ってしまった
あわや入院かと思ったが、そこまで酷くはなかったようで、ホッとしている自分に驚いてしまうよ
こんな感情を抱くようになったのはやはり仔鹿君の影響かな……
愛することは容易いようで、俺にとっては難しいことだったから
部屋に戻るとやっと二人きりになれたのに、君は父が倒れたのは自分のせいだと思い込んでいて
まったく、君はどこまでも俺を夢中にさせる
沈み込む君は撫で肩を一層落として、まるで小さな子供のようにポロポロと涙をこぼすから
堪らずその雫を唇で拭うと、濡れた瞳がやけに色っぽい
「チャンミン愛してる」
「……僕も、あの…愛してます/////」
「ん、聞こえない」
「!!/////も、もう言いません!!」
「ふふ、仔鹿君は気が短い(笑)」
頬を膨らませ抗議する可愛い人、細い腰に手を回すと、隙間なんてないぐらい強く強く抱き締めたんだ
. 愛の詩をきかせて ~仔鹿君の憂鬱~ 46
~Cside~
あの後、ユノさんのお父さんが倒れてしまい、お医者様を呼んだりして大変なことになっちゃって
僕は電車で帰りますって言ったのに、そんなの許してもらえるはずもなくて……
……何も出来ないのに、側にいてくれるだけでいいって言われてしまったら/////
色々と事が落ち着いたのはもう夜の9時を回っていて、心配するお母さんに泊まって行くように言われて、断りきれず僕はゲストルームへと案内されてしまった
家の中がバタバタしてる間は、ずっとパクさんが相手をしてくれていたけど、かえって迷惑をかけてしまったようで申し訳ない
食事は夜遅くにお母さん達と頂いたけど、正直喉なんて通らなかった
……僕が来たせいで倒れてしまったんじゃないかって
そう考えると沈み込んでしまうのに、ユノさんの手は容赦なく僕の頬を包み込む
「君のせいじゃない、さあ食べなさい」
「そうよ、チャンミンさんのせいじゃないわ」
そんな風に言われたら胸が詰まりそうになるのに…
ユノさんのお母さんは、僕に対するユノさんの態度にしきりに感心していて、ニコニコと対応してくださって
…やっぱり胸がチクリと痛くなる
ユノさんが席を外した隙に、お母さんは僕の手をぎゅっと握りこう言ったんだ
「私達はね、ユンホさんの幸せを一番に考えているのよ」
お母さんの言葉に涙がポロリと溢れる、僕なんかがユノさんを幸せに出来るのかわからないけど
この不器用な家族の蟠りが、少しでもなくなればいいのにって、そう思ったんだ
. 愛の詩をきかせて ~仔鹿君の憂鬱~ 45
~Yside~
父に呼ばれてリビングへと戻ると、スンヨンは既に帰った後だった
母がどう宥めたのかはわからないが、とにかく今日は退散してくれたようだ
「父さん」
「……ユンホ、どういうつもりだ?」
「申し訳ありません、俺はスンヨンと結婚するつもりはない、それを伝えに来ただけです」
「それに他人まで巻き込んで、いらぬ演技はお前らしくない」
やはりチャンミンのことはまともにはとってもらえていないのか、まあ、当たり前か……今までこんな事は一度もなかったのだから
「父さん、チャンミンとの事は本当のことです」
「ユンホ!!」
「この先彼と生きていくつもりです、例え社長の座を降りても」
「!!ユンホさん!!」
「スンヨンには俺からも詫びを入れておきます、貴方に迷惑はかけない」
「……本気、なんだな?」
「ええ、神に誓って彼を愛してます」
「まさかお前の口からそんな言葉がでようとは」
「あなた……?」
「もういい、今日は帰れ!!……ぐっ……」
「父さん!!」
父さんはぐらりと体を大きく傾けると、胸を押さえたままスローモーションのように前のめりに倒れてしまった
. 愛の詩をきかせて ~仔鹿君の憂鬱~ 44
~Cside~
「……んっ…ユノさ……はぁっ/////」
啄ばむようなキスじゃない、絡まる舌は次第に熱を帯びて
誰が入ってくるかもわからないのにこんな風にされてしまったら…!!/////
さっきは緊張でどうにかなるかと思ったのに、今度は妹さんの前でキスとかされちゃって、恥ずかしくてどうにかなってしまいそうだよ/////
「続きは帰ってからにしよう」
なんてサラリと言って、意地悪そうに微笑むあなたに腹は立つけど体の奥がジンと熱くなる
キスの後すぐにユノさんはお父さんに呼ばれて下へ降りてしまったから、僕はお茶を運んできてくれたジヘさんと2人きりになってしまった
……き、気まずいんだけど/////
目の前でニコニコと微笑むジヘさん、何を聞かれるのかとビクビクしてしまうよ
でも……ユノさんに似てる/////
黒目がちのアーモンドの瞳、顔の形まで……お母さんが違うって言ってたけど……そういえばお父さんも同じ瞳をしていたっけ
「ふふ、どうしてそんな見つめるんです?」
「……へっ?いや、あの……似てるなって、すいません/////」
「ふふ、チャンミンさんって本当にお兄様がお好きなのね」
そんな風に面と向かって言われてしまったら、次の言葉なんて見つかるはずもなくて、フリーズした僕を見てコロコロと笑うジヘさん
ちょっと意地悪な所も似てる、かな/////
「ごめんなさい、あなたがとても可愛くて(笑)」
「……/////」
「お兄様のことよろしくお願いします、お兄様ったらすぐに私達と距離を置こうとなさるのよね、とてもお兄様のこと大切に思っているのに…」
ジヘさんはカップをソーサーに置きながら、ふっと寂しそうに微笑んだんだ
. 愛の詩をきかせて ~仔鹿君の憂鬱~ 43
~Yside~
見合いの席で恋人がいると告げてそのまま帰るつもりだったのに、とりあえずは二階へという母の言葉に小さく溜息をついた
……まあ、仕方ないか
二階のゲストルームへ入ると、終始黙っていたジヘが途端に楽しそうにチャンミンに話しかけた
「初めましてチャンミンさん!!私妹のジヘと申しますの」
ニコニコと屈託のない笑顔を向けるジヘに少々戸惑い気味な仔鹿君、この2人の対峙というのも滅多に見れないかもしれない
「単刀直入に聞きますけど、本当にお兄様の恋人?まさか……演技とか?」
「!!ち、違います!!演技だなんてっ…!!/////」
「ジヘ!!」
「あらあら、お兄様のそんなお顔初めて見ましたわ、ふふっ、でもあのスンヨンさんの引き攣った顔ったら、ふふふっ」
そういえばジヘはスンヨンを嫌っていたっけ、まあ、こちらが何度断ってもしつこくされているのを知っているから無理もないか
俺達の会話に不安げに瞳を揺らす仔鹿君、安心させるように頬に口付けると真っ赤になって俯いてしまった
「まあ、お熱いことね、こちらにも何かお持ちしますわ、チャンミンさん、私はあなたの味方ですからね」
「……は、はあ/////」
味方……か、コロコロと笑って出て行くジヘ、面白がってるようにしか見えないが心強いことだ
扉が閉まると途端にフニャフニャとその場に座り込む仔鹿君、どうやら力が抜けてしまったらしい(笑)
「大丈夫か?」
「……心臓が止まるかと思いました/////」
「ふふ、それは困るな、どれ、診てやろう」
「!!け、結構です/////」
腕を引いて起こしてやったのに可愛く睨みつける君、堪らず細い腰を抱き寄せて抗議の言葉ごと唇を塞いでやったんだ