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. 愛の詩をきかせて ~仔鹿君の憂鬱~ 42
~Cside~
『こちらは恋人のシム・チャンミン』
出迎えてくれたお母さんに向かってハッキリと言ってくれたユノさん、凄く…凄く嬉しいけど/////
驚いたままのお母さんに挨拶もそこそこに次はリビングへと連れて行かれて、僕の手はユノさんに繋がれたまま
その後は………緊張し過ぎてて記憶が曖昧なんだけど
ソファで寛ぐユノさんのお相手、イ家のご令嬢は長い髪に白のワンピースで絵に描いたようなお嬢様で
…確か名前はイ・スンヨンさん?
僕ら二人の登場に目を丸くしていたけど、取り乱すこともなく
「御機嫌ようユンホさん、お久しぶりです」
なんて、平然としていて……そういうのってやっぱりセレブのプライドってやつなのかな
ユノさんのお父さんにも紹介されたけど、その…多分僕なんて目に入っていないようで
怒っている眼差しの奥に、少し悲しげな影が見えた気がして胸がチクリと痛くなったんだ
『俺には愛してる人がいます、申し訳ないが結婚は出来ない』
そう言いきったユノさんの瞳はどこまでも真っ直ぐで、誰もが反論なんてできなかったけど
そのまま帰ろうとする僕達を止めたのはユノさんのお母さんだった
「とりあえず待ちなさい、ジヘ、ユンホさん達を二階へ、スンヨンさんはこちらへどうぞ、パクさん、紅茶を入れ直してちょうだい」
「……は、はい、奥様!!」
ずっと離してもらえなかった手はじっとりと汗をかいていて、僕は不安で仕方なかったけど
「大丈夫だよ、俺が君を守る」
そう言って僕を抱きしめるあなたの腕は温かくて、やっぱり離すことなんて出来ないって思ったんだ
. 愛の詩をきかせて ~仔鹿君の憂鬱~ 41
~Yside~
『安心してください、僕もユノさんを養えますから!!/////』
今日はいよいよ見合いの当日、朝から緊張気味だった筈なのに、思いがけない君の言葉に大爆笑してしまった
……いつだって君は俺を癒してくれる
ひとしきり笑った後ふくれっ面にキスをして、そっとシャツの隙間から手を忍ばせた
「!!ユ、ユノさ……んっ/////」
「少しだけ触れたい」
「……や……あっ……/////」
慌てる君を言葉ごと飲み込み、胸の突起を撫でながら浅く開いた唇を何度も啄んだ
君の肌に触れる事がこんなにも勇気を貰えるなんて…
朝から随分怒らせてしまったけど、これで今日を乗り切れるだろう
高速を走らせて1時間と少し、車の中でスヤスヤと眠ってしまった君は俺の手を握ったままで
実家へと車を乗り入れるとそこには見かけない車が一台、既にあちらのご令嬢は到着されているようだ
「おかえりなさいませ!!」
「まあ、チャンミンさん、いらっしゃいませ」
「……こ、こんにちはパクさん/////」
「まあ、ユンホさん遅かったわね、先方様がお待ちかねよ、あらそちらは?」
「母さんお久ぶりです、お待たせしてすいません」
「ほらほら急いでらして、あら…そちらは?」
「こちらは恋人のシム・チャンミン、母さん、今日は親不孝をします」
「……えっ?ちょ、ちょっとユンホさん!?/////」
俺は母さんに軽く会釈すると、まだ戸惑ったままの君の手を引いて、リビングへの扉を開けたんだ
. 愛の詩をきかせて ~仔鹿君の憂鬱~ 40
~Cside~
『…あ、あのっ……つ、つけて帰ります/////』
ユノさんがプレゼントしてくれたペアリング、せっかくヒチョルさんが綺麗に包装してくれるって言ったのに思わずそう叫んでしまった
……だって外してしまったら夢のような気がして
これが本当に起きていることなんだってわかるように、このままつけていたかったんだ/////
あの後家まで送ってくれたユノさんは甘いキスを何度も残して帰って行った
この先のことが不安な訳じゃない、でも、不思議とあなたと一緒なら乗り越えて行ける気がするんだ
指輪を眺めてはニヤニヤとしてしまうけど、そういえば大変なことOKしちゃったんだよね/////
だってプロポーズ、とか!!/////
ユノさんはお見合いをぶち壊すって言ってたけど、社長の座まで降りる気なんだろうか……
ぼ、僕だって今は大学生だけど、バイトだってもっと増やしてもいいし、それに就職したらキチンと生活費だって!!
あ……でも、うちの両親にはなんて言えばいいんだろう、きっと心配する、よね……
そのうちちゃんと紹介しなきゃ……最初はわかってもらえないかもしれないけど
こ、こんな弱気でどうするんだ!!とりあえずは週末を乗り切ってから、だよね!!
家でクッションを抱き締めてあれこれと考えてしまって、結局寝不足で迎えた週末
「安心してください、僕もユノさんを養えますから!!/////」
迎えに来てくれたユノさんに決意の程を伝えたのに、何故だか大爆笑されてしまった僕だったんだ
. 愛の詩をきかせて ~仔鹿君の憂鬱~ 39
~Yside~
車の中でプロポーズだなんて、ちょっとカッコ悪い気もするけど、このまま訳もわからず連れまわすよりはいい気がして
この先の二人のことも性急に決めてしまったから、君の気持ちも確かめておきたかった
……ほんと、俺って君に関しては随分と貪欲だ
プロポーズの返事の代わりにキスをくれるなんて、そんな事どこで覚えたんだか……全く仔鹿君にはいつも驚かされるよ
お返しにたっぷりとエロいキスをしてやったら、今度は蹴りが入りそうになって慌てて離れたけど
今度二人きりになれるのは少し先になる、かな…
次に訪れたのはボアの店から車で10分ほどのヒチョルの店、オリジナルジュエリーを扱うこの店は、この辺りでカップルに人気があるそうだ
「なんだユノ、こんな可愛い子どこに隠してたんだ?」
ヒチョルに上から下まで舐めるように見つめられて、仔鹿君は真っ赤になって俯いてしまって
悪友達はよっぽど俺の恋人が珍しいらしい(笑)
俺達が選んだのは小さなダイヤの埋め込まれたプラチナのペアリング
君の長い指ににとてもよく似合う
「幸せにする、絶対だ」
「……ユノさん/////」
「はあ~お熱いことで、全く外でやってくれよ(笑)」
見つめ合う俺達に少々呆れ顔のヒチョル、思わず三人で笑ってしまったけど
その場でつけて帰るという君の目尻に、透明な雫が溢れそうになっていたのを見て、幸せを感じずにはいられなかったんだ
. 愛の詩をきかせて ~仔鹿君の憂鬱~ 38
~Cside~
何が何だかわからないままボアさんに着せ替え人形のように色々と着せられて
そして、今、また僕は言われるがままに別の場所に移動中で
車に乗ってからユノさんは黙ってしまって、そういえばこんな高そうなスーツをプレゼントしてもらったのに、僕ってばまともにお礼も言ってない
……怒っちゃった、かな?/////
チラチラと盗み見ていると遂には吹き出してしまったユノさん、ちょっとムッとしたけど口元に手をやる仕草もかっこいいとか/////
「……ごめん、ちょっと考え事してた」
「…ユノさん?/////」
「実は君を週末に家に連れて行くのに必死でね、ワクワクしすぎてて大切な事を言うのを忘れてた」
……大切なこと?
ユノさんは車を路肩に止めると、僕の方に向き直ってそっと頬を撫でる
そんなに真正面から見つめられるとどうしていいかわからないのに/////
「この先ずっと俺といて欲しい、そのつもりで両親に紹介する」
「……えっ?/////」
「ただね、社長ではなくなってしまうかもしれない、けど、君を養っていくぐらいの甲斐性はある」
……そ、それってまさか、プ…プロポー……?/////
フリーズする僕に柔らかく微笑むあなたが眩しすぎて息もできないほど
「返事は?仔鹿君」
「……で、でもっ、あの/////」
「ノーは受け付けないけど」
「……なっ!!/////」
「チャンミン愛してる」
「!!!!/////」
ユノさんの言葉に胸の奥が熱くなる、なんてずるい人なんだろう/////
じわりと浮かぶ涙はすぐさま伸びてきた指に掬われて……
何も言えなくなった僕は、返事の代わりにそっとあなたにキスをしたんだ