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. 愛しのチャンスニ 9
~Yside~
「ごめん、遅くなった」
いらっしゃいませと迎える店の子達をすり抜けて、君の元へと一直線に!!
「いらっしゃいませ、お仕事お疲れ様です////」
真っ赤なドレスに身を包み、栗色の髪を耳にかけながらふわりと微笑む俺の天使
「これ、遅れてきたお詫び」
「わ////ひまわりの花束、ありがとうユノ」
「ん、で、手筈は?」
「うん、どうにかなりそう、ママが助けてくれたの////」
「そっか、急に悪かったね」
「ううん、そんな……」
「まあ、チャンスニったら、お客様と立ち話なんて失礼よ?きちんと席にご案内して?」
「あ……はい、ママ」
ついつい二人の世界を作っちゃって、店の入り口あたりで見つめ合う俺達は、ママの一声でやっと奥のボックス席へと移動した
シャンパンで軽く乾杯すると、チャンスニはグッと距離を縮めて神妙な顔で呟いた
「上手くいくかな?」
「ふふ、意外と大丈夫な気がするよ」
心配そうなチャンスニの頬をそっと撫でて、膝の上で握った手に自分の手を重ねた
本当なら抱き締めてしまいたいけど……
今夜のシウォンさんとの約束が、上手くいくようにってもう一度乾杯したんだ
. 愛しのチャンスニ 8
~Cside~
「やだよ、チョンさんとチャンスニとアフターだなんて、行かない!!」
「キュヒョナ、そんな事言わないで、美味しいワインご馳走してくれるって言うから、ね?」
「僕が行ったって気まずいだけじゃないか!!ふざけてんの?」
店に入る前にユノからの連絡で、キュヒョナとシウォンさんを会わせたいからどうにかアフターに連れ出して欲しいって言われたんだけど
これはなかなかに難しい……
黙ってそっぽを向いてしまったキュヒョナ、横で一部始終を見ていたママがパチンとウインクをすると、僕はカウンターの外へ出るように促されてしまった
ママにはあらかた事情は話しておいたから、うまく説得してくれるといいけど
店の中に色恋沙汰なんて持ち込むのはどうかと思うけど、ユノの話じゃシウォンさんもどうやらキュヒョナのことを……
それにこのままじゃキュヒョナも辞めかねないし、それどころかシウォンさんも来なくなってしまいそう
現に足が遠のいてるのも事実……
これは店の死活問題でもあるのかもしれない、やっぱりここは僕が頑張らなきゃだよね!!
ユノが来るのは恐らく9時半は過ぎるだろうし、早ければ11時半にはアフターに出れるかもしれない
幸い今日は人手も足りてるから、早めに出たって大丈夫だよね
あとはキュヒョナ次第、かな……
カウンターで神妙に話す二人を見つめながら、僕は祈るように胸に手をあてたんだ
. 愛しのチャンスニ 7
~Yside~
「……えええっ、キス!?」
「馬鹿!!ユノ、声が大きい!!」
「………シウォンさん」
バツが悪そうに頭をポリポリと掻くシウォンさん、こんな風にしてるのを見るのは初めてかもしれない
いつだって落ち着いた大人の男で、憧れていたところもあったし
「……可愛いかったんだよ、我慢出来なくてさ、でも怒らせてしまってね、ああ、仕事中にこんな話申し訳ない」
「……いえ、チャンミン、いや、チャンスニも心配してましたし、ママからも相談を受けたようです」
「そう、だよな……」
「今日店に行くつもりなんです、シウォンさんも一緒にどうです?」
「それが今日も接待でね、遅くなりそうなんだ」
「じゃあ店が終わってからでも、どうにかアフターに連れ出しますよ」
「ありがとう、また連絡するよ」
そう言って頭を下げてシウォンさんは帰って行った
俺に相談に来るなんて、よっぽど気になっていたんだろう
キュヒョナにすっかり夢中なんだな……
少し考えてからチャンミンにメッセージを送って、アフターにキュヒョナと出れるように頼んでおいた
シウォンさんは出張で暫く店には行けなくなるって話してたし、今日は絶好のチャンスなのかもしれない
まさか俺が戻るのを待っていた、とか?
そう考えるとシウォンさんの本気が伺えるな、こんな次々にカップルになってしまうとママに怒られてしまいそうだけど
……それにしてもあのシウォンさんが
残りの仕事をこなしながら、口元が緩んでるしまうのを止められない俺だったんだ
. 愛しのチャンスニ 6
~Cside~
「で?何なのさいったい?」
不機嫌そうに僕をジロリと睨み、大きく溜息をつくキュヒョナは目の前のビールをグビリと飲み干した
……昼間っからいい飲みっぷりだな
実は今日はママの用事で二人で出かけていて、こんなこと珍しいんだけど、せっかくだからとキュヒョナをご飯に誘ってみたんだ
断られるかと思ったけど、そっけない返事の割にはすんなりと来てくれてホッとした
話せばいい奴だと思うけど、僕だってあんまり他人に干渉されたくないタイプだし、その、まだ打ち解けてないっていうか……
「チャンミナ聞いてる?」
「……あ、ああ!!ごめん////」
「……ママになんか言われたの?」
「あ…えと……その////」
「シウォンさんのことでしょ?」
自分で言っておきながらなんだかちょっと哀しげな表情で
それってまるで……
「ねえキュヒョナ、もしかしてシウォンさんのこと…」
「!!!!/////」
そっか、やっぱりそうなんだ、ちょっと伝わりにくいけど好きってことなんだよね
「好きなら素直にならなきゃ伝わらないよ?」
「だって!!シ、シウォンさんはチャンミナのこと!!」
「キュヒョナ……」
「シウォンさんはチャンミナが一番だって!!」
悔しそうに視線を逸らすキュヒョナ、僕とシウォンさんに恋愛感情があるわけじゃないのに
「シウォンさんはお客さんだよ?僕にはユノがいるし」
「………」
「自分の感情も大切だけど、お店ではちゃんとしないと、ね?」
「チ、チャンミナには分かんないよ!!」
そう言ってキュヒョナは涙をポロポロと溢すと、そのまま店を飛び出してしまったんだ
. 愛しのチャンスニ 5
~Yside~
「……んっ…はっ……ああっ!!////」
細い体を震わせて熱を放つチャンミンを抱きしめて、浅く開いた唇にキスをする
本当はこのまま最後までしてしまいたいけど…
男同士だし、勿論初めてだし、大切にしたいと思うから
もっとじっくりと君を蕩かしてから…
まあ、自分が暴走しないようにしているところもあるかもしれないけど
「……ユノ////」
「ん?」
「ユノは?……僕ばっかり嫌だ////」
「…じゃあ触ってくれる?」
自分から言ったくせに途端に頬を真っ赤に染めて視線を逸らすとか
全く君には何処までも夢中にさせられる…
君が俺に触れていると思うだけで、もうすぐにでもイッてしまいそうだよ
結局俺達はそのまま寄り添って眠ってしまって、キュヒョナの話は出来ずに夜を過ごした
次の日は君の家から直接会社へと向かって仕事をこなし、夜は店に顔をだすとメッセージを送った
「え?シウォンさんが?」
「ええ、応接室でお待ちです」
受付からシウォンさんが訪ねてきたと連絡が入り、俺は慌てて応接室へと向かった
珍しいな、こんな急に…
「シウォンさん、お久しぶりです」
「やあ、ユノ」
扉を開くと珍しく物憂げな表情のシウォンさんがいて、俺は向かいのソファへとゆっくりとかけたんだ