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苺な彼とビールな僕

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. Puppy Love ~モデルな君に恋してる~ 27














~Cside~











『恋人なら付き添ってやればよかったんじゃないの』







思いもよらないユノヒョンの言葉






とても、ショックだった、悲しくて悲しくて思わず店を飛び出してしまった






びっくりするくらい冷たい表情






なんで?

どうしてそんなに?






シウォニヒョンとは何でもないって言ってるのに恋人だなんて……





僕が好きなのはユノヒョンなのに!!






後から後から涙が溢れてきて俯いたままトボトボと歩道を歩く





………と、突然腕を引かれて路地へと引き込まれた!!







「何泣いてんの?一人?」







驚いて顔を上げればガタイのいい男が目の前に立っていた






「……は、離してください」




「やだ、君泣いてるんだもん、ね、俺が慰めてやるよ」






顔を覗き込まれ思わず目を逸らす、これってヤバいんじゃないの!?






「君すっげえ綺麗だね、名前は?」






……いやだ!!







反射的に逃げようと身を捩ると別の腕が伸びてきて僕をそいつから引き剥がした






顔を上げるとそこにいたのは……!!







「…ユ、ユノヒョン?」



「悪いな、俺のツレなんだ」



「ふうん?相手がいたんだ、残念」







ユノヒョンは僕を腕の中に閉じ込めたままそいつに睨みを利かせる







スーツからはユノヒョンの匂いがして、また泣いてしまいそうになる







そいつが行ってしまってからもユノヒョンは僕を離してはくれなくて、このまま時間が止まってしまえばいい、なんて思ってしまうんだ







「チャンミニ、さっきはごめん」



「……ユノヒョン?」



「…伝えたい事がある、顔見せて?」



「……え?/////」









おずおずと顔を上げると優しいユノヒョンの顔があって、僕はそのまま動けなくなってしまったんだ






























. 二人の未来 6













~Yside~










「リウからの連絡はあった?」




「あ、はい、まだ機内からですが」




「そうか、かなり弾丸だったからね、君は少しは休めたの?」




「えっと、はい///」








夕食を摂りながらの何気ない会話、普段と変わらないのに何故かこそばゆいのはお互いに意識をしているから?






何年経っても変わらない反応に俺の方がドキドキとしてしまう







君にはなるべく知られないようにしなきゃ格好がつかないな






こうして新鮮な気持ちになれるのは君がそばにいてくれるから








食事を済ませると交代でシャワーを浴びて、隠しておいた花束を用意する








何か記念になるものをと思ったが、それはまた二人で買いに行けばいいだろう






偶には2人で旅行もいいかもしれない………







「………ユノ、さん?///」




「やあ来たね、奥さん」




「お、奥さん!?///」






俺の言葉に驚いてフリーズしてしまう君






花束を差し出すとみるみる透明な膜に覆われるバンビアイが愛しくて堪らないよ








「………どこに、隠してたんです?」




「ふふ、なかなかうまくいっただろ?」




「……はい、流石チョングループの社長ですね?」




「ああ、チョン社長はいつでも君に夢中だ」





「………ユノさん///」





「チャンミン、改めて俺と結婚して欲しい」





「………はい///」









君の言葉が終わらないうちに細い腕を引き寄せて、腕の中に閉じ込めてやったんだ




































. Puppy Love ~モデルな君に恋してる~ 26















~Tside~








僕の秘策はこうだった……








『キムさん』でのモデル達の飲み会情報を掴んだ僕






すかさず知り合いの女の子達を誘って同じ日に予約を入れたんだ







店の予約状況は前からリサーチ済みだったし、その辺のところはミノが協力してくれたから








そう!!

題して『ヤキモチ妬かせちゃおう大作戦』







Miniがチョン課長を好きなことは歴然としているし、僕と課長を見つめる瞳には少し敵意がある






あれはきっとヤキモチだと思う






飲み会で偶然に鉢合わせ、女の子達とコンパをする課長にヤキモチを妬かせて起爆剤にする






あとのフォローは僕がやってもいいし、お友達関係のままのあの二人には刺激になってちょうどいいはず!!






……がっ!!







そんな僕の思惑は見事に外れて、今はなんだか険悪ムードなお二人さん







壁に隠れて様子を伺う僕、よくは聞こえないけどどうやらMiniが介抱していたモデルに課長がヤキモチを焼いているみたい?






『ユノヒョンのバカ!!』






大きな瞳に涙を溜めて店を出て行ってしまったMini






呆然と立ち尽くす課長は悲しそうな顔でフリーズしたまんまだし









「はあ、課長って本当にバカですね」



「テ、テミン!?お、お前いつからそこに!?」



「最初からですよ、ったく、せっかく僕が……ってか何してんです!?早く追いかけなきゃ!!」



「……もう遅いよ」



「ふーん?勝手にヤキモチ焼いて」



「……!!」



「傷つけたんだ?」



「……っ!!!!」



「後悔してんなら追いかける!!ほらほら!!」



「テ、テミン///」



「好きなんでしょ?Miniのこと」



「……ああ、そうだな、俺行くわ、サンキュ!!」







悪い、と一言声をかけ荷物をとると、チョン課長は颯爽と店を出て行った






……ったく世話が焼けるったら(笑)







走り去る課長の後ろ姿を見つめながら、不器用なあの人が上手くやれるように願わずにはいられない僕だったんだ



























. 奥様は床上手 12













~Yside~











「え?ソッチの悩み?」



「う、うん///」







あのままチャンミンを美味しく頂いても良かったけど、飯だって作ってくれてるし





キュヒョンの話だって聞かなきゃいけないし






飯を食ってシャワーを浴びて、やっとのことで話を聞いてみればまさかの!!







「あーマジか、そうなんだ」




「ご、ごめんなさい、僕……なかなか言えなくて///」






そう言ってしゅんと項垂れてしまううちの奥さん、そうだよな、そりゃあ言いにくいよな






それでなくても恥ずかしがりやなのに………







「会うたびにそういう風になるのを疑問に感じてるみたいで」




「………うーん、これは他人が口出しするべきじゃないな」




「う、うん///」








それにしてもさっきから真っ赤になってもじもじとしちゃって気になって仕方がない






何か他に気になることでもあるのか?







「チャンミン?」




「は、はい///」




「何か俺に言いたいことがあるんじゃないか?」




「えっ?///」




「そういう顔してる」




「わ!!ユノ///」




「ちゃんと話して?ね」




「………///」







グイと腕を引いて体を抱き寄せると、更に俯いてしまう顔を下から覗き込んだんだ


































. Puppy Love ~モデルな君に恋してる~ 25















~Yside~








……あんなこと言うつもりじゃなかった







思いがけず見かけたチャンミニの姿、ただ嬉しくて声をかけようと思った







『ミニ~チャンミン~♡』







酔っ払ったその男は甘えた声を出してチャンミニの肩にしなだれかかり、ベタベタと体を触りまくっていた







……すっげぇイライラした






酔ってるとはいえどう考えても下心アリアリじゃないか?






なんで拒否らないんだ、まさかそいつのこと好きなのか?






チャンミニは店員にタクシーを呼ぶように伝えて、どうにか店の出口へと向かおうとしていた






ガタイの良い男はなかなかチャンミニから離れない、俺は思わずそいつの腕を掴んだ






とにかく早く離れて欲しかった……!!






突然の俺の登場に動揺した様子だったが、そいつをタクシーに押し込んで、やっとチャンミニと話が出来たのに…






「随分と親しげだったけどもしかして恋人?」







突然の俺の言葉に眉を下げ、悲しげな瞳はゆらゆらと揺れて俺を真っ直ぐに見つめた







「……ち、違います、シウォニヒョンは事務所の先輩で、今日は飲みすぎちゃって…その…」



「ま、俺には関係ないけどな、恋人なら付き添ってやればよかったんじゃないのか?」







持っていきようのない憤りが俺を苛立たせる、こんなことは言いたくないのに






「ち、違うっ!!こ、恋人じゃありませんっ!!ぼ、僕が好きなのはっ……好きな人はっ……!!」




「チャンミニ」




「ユ、ユノヒョンのばかっ!!」







チャンミニの宝石みたいな瞳からは透明な雫がポタポタと零れ落ちた






………あ、痛い






俺の胸に何かがチクリと刃を立てた








そして、チャンミニは俺に背を向けると、そのまま店から出て行ってしまったんだ




























. Puppy Love ~モデルな君に恋してる~ 24
















~Cside~









「ミニィ~チャンミン~なんで振り向いてくんないんだよっ…ひくっ」






酔っ払ってしなだれ掛かるシウォニヒョン






なんとか押しのけながら立ち上がり、店員に声をかけようと個室のドアを開けた






「チャンミン~ひっく」



「シウォニヒョン飲み過ぎです!!」



「……お前が冷たいからじゃん」



「……ぼ、僕には好きな人が居るんです///」



「……わかってる、わかってるよ~ひくっ」






モデル仲間と飲みに行くといつもこんな感じで、シウォニヒョンは特に僕に絡んでくる






冗談なのか本気なのか、僕のことを想ってくれているみたいなんだけど……僕には…






どうにか重たい体を支えてながら店員にタクシーを呼んでもらった





と、とりあえずは店の出口まで行かないと






「んしょっと」



「手伝うよ」



「……へっ?……え!!ユノヒョン!?///」






ドサッ!!






「……いててててて、酷いよチャンミン~」



「ああ、大丈夫ですか?ほらつかまって、チャンミニはそっち」



「……あ、はい/////」






シウォニヒョンの肩を二人で担ぐようにしてなんとかタクシーに乗せることができた






ふう、まったく







……それにしてもどうしてユノヒョンがここに?







さっきまで息切れして動悸がしてたのに、今度は別の意味でドキドキしてきちゃったよ






偶然、だよね?






「……ユ、ユノヒョン、どうして…?」



「あの人ってさ、チャンミニのこと好きなんだな」



「……え」



「随分と親しげだったけどもしかして恋人?」









何故か怒ったようなユノヒョンに射るように見つめられて、僕はそのまま動けなくなってしまったんだ
























. Puppy Love ~モデルな君に恋してる~ 23















~Yside~












『いい店見つけたんですよ、会社からもすぐだし後から来てくださいね』







残業中の俺に届いたテミンからのメッセージ、ご丁寧に店の紹介ページまで貼り付けてある







……腹も減ったし行ってみるか







そんな軽い気持ちで覗いた居酒屋『キムさん』







名前からは想像もできない随分とオシャレな店内で、俺は店員に案内されて奥のボックス席へと向かった








「課長!!待ってましたよ~♪」







テミンとミノを中心に男女合わせて七人ほどが楽しそうに呑んでいた……しかしこれは?







「テミンこれって……」



「いいからいいから、ほら座ってくださいよ!!」







コレってどっからどう見てもコンパじゃねぇのか!!







男を挟むように座る女の子達はウチの会社の子達じゃないし






そういや先週からやけに週末の予定を聞かれていた気がする






……どうやらテミンに嵌められた、か?








「やだ、凄いイケメン!!やばい」



「ずるいわよアイリン、私も隣がいい~」



「ちょっとジョイったら割り込まないでよ~」






ワアワアと騒ぐ女の子達にタジタジになっているとミノが助け船を出してくれる






「うちの課長はシャイなんスよ、あんまり積極的なのは好みじゃないらしいっス」



「「「ええ~!?」」」」



「ほらほら大人しく席に戻って、とりあえずは乾杯しましょう」






にっこりと爽やかな笑顔で女の子達をあしらうミノ、なんだよ、会社にいるときとはまるで別人じゃないか(笑) 







乾杯と同時に運ばれてきた料理はなかなかのもので、味も美味いし盛り付けも今時だし







ここ『キムさん』はとても流行りの店らしく、いつも予約でいっぱいなんだとか





なんでもイケメンのオーナーが人気なんだとか、奥の個室には芸能人も来るらしい、なんて







「テミンなに企んでる?」



「べっつに~♪」






鼻歌交じりにビールを流し込むテミンを睨んで別の個室の方へふと目をやった






………あ…れ?







不意にスラリと背の高い男が個室から現れた





くるんとした睫毛はここからでも見えるほどの存在感、誰かを支えて店員に何か伝えている






ぐったりとしたその人を気遣うように声をかけて…






あ、あれは…!!

 






個室から酔っ払いを介抱しながら出てきたのは、まさかのチャンミニだったんだ




























. 二人の未来 5












~Cside~











夢中でピアノを弾いていたら、いつの間にかすっかり陽は落ちて外は夜の帳に包まれていた







いけない、もうユノさんが帰ってくる頃かも









僕は慌ててピアノから離れると、ソファに置いたままのスマホを手に取った








コンコン









と、ドアをノックする音が響いた同時に現れたのは僕の一番大切な人







い、いつの間に帰ってきたんだろう?玄関を開ける音すら聞こえていなかった!!










「ただいまチャンミン」




「ユノさん!!すいません僕、全然気がつかなくて」




「いや、いいんだ、きっとここだと思った」




「………え?///」




「きっとお母さんに報告してるだろうってね」




「あ///」








そう言ってにっこりと微笑むアーモンドの瞳に胸がジンと熱くなる







どうしてあなたには何もかもバレてしまうんだろう///







「で?おかえりのキスはしてくれないの?」








拗ねたように僕を軽く睨むから、思わずその胸に飛び込んだ







ああ、なんだか泣いてしまいそうになる……








「こら、また泣いてる」




「……な、泣いてません!!///」




「ふふ、嘘つきさんだな、ほらちゃんと顔見せて?」




「………や……ん///」








必死に顔を隠そうとするのに、容赦なく顎を掬われて蕩けるようなキスが落ちてくる







やだ、そんな風にされると体が熱くなっちゃうのに///







チュッと音を立てて離れた唇が名残惜しくて思わず手を伸ばす








「このままここで襲いたいくらいだが、君のためにもとりあえず腹ごしらえをしないとね」




「なっ!!///」




「ほら、お腹と背中がくっついてしまいそうだ」





「ユ、ユノさん!!///」









クスクスと肩を揺らすあなたの胸をトンと叩いて、思い切り睨み返してやったんだ









































. Puppy Love ~モデルな君に恋してる~ 22
















~Cside~








……実は最近気になってることがある






ユノヒョンとは良い雰囲気っていうか、最近は家にも来るようになって






一緒に食べる晩御飯とか、そういうのがとっても幸せで…






僕の通う事務所の向かい側、休憩室の窓を見上げればにっこりと笑うユノヒョンの姿






……す、少しは期待していいのかな、なんて///







でも………



いつもユノヒョンの隣には同じ人がいて、そういや最初に遭遇したラーメン屋さんでも一緒だったっけ







確か『テミン』って人……







なんだか意味ありげには僕のことを見つめてくるし、まさかあの人もユノヒョンのことを……?







……か、考えすぎだよね






モヤモヤとした思考を掻き消すように首を横に振る






今日は事務所の飲み会があっていつもの店にモデル仲間と集まっていた






『キムさん』という名の創作居酒屋、名前的にどうなの?と思うけど、オーナーのヒチョルヒョンはモデル並みに綺麗な人で






おまけにオタクってこともあってこの辺りじゃ人気の店なんだ







「チャンミン久しぶりだな!!」



「こんばんはヒチョルヒョン」







カウンター越しに顔をみせるヒチョルヒョン、とっても気さくな人で、いつも僕のこと気にかけてくれるんだ






最近どう?なんて暫く世間話をしているとシウォニヒョンがふらふらと僕を探しにやってきた







「Mini、ほらこっちだって、ヒチョルヒョン、うちの後輩誘惑しないでくださいよ!!」




「何言ってんだ、狙ってんのはお前だろ?チャンミン気をつけろよ、優しげな先輩が豹変するのは時間の問題だぞ?」




「……ばっ!!何言ってんスか!!///」







ぎゃあぎゃあとじゃれ合う二人はとっても仲がいい、こういうのってなんかイイな






シャラン♪






『いらっしゃいませ!!』







店の入口からガヤガヤと賑やかにスーツ姿のサラリーマンが数人入ってくる







……あ、あの人は!!






その中にはいつもユノヒョンの隣にいる、テミンって人の姿があったんだ























. Puppy Love ~モデルな君に恋してる~ 21












~Tside~










「なあテミン、恋愛に性別って関係ないと思うか?」






突然のチョン課長の言葉に思わずコーヒーを吹きそうになる!!






い、一体何を言い出すんだっての!!






まあ残業終わりの休憩室、社内に残ってるのはほんの数人で、ここには僕ら二人しかいないけど







「課長!!いきなりなんなんですか、びっくりするじゃないですか!!」



「…あ?ああ、すまん」



「好きになったら性別とか関係ないんじゃないですかね、大切なのは自分の気持ちですし、まあ、僕は女の子の方がいいですけどね」



「そう……だよな、普通はそうなんだよ」







課長はブツブツと呟きながら窓の外に目を向ける





きっとMiniを探してるんだ





物憂げな横顔は男の僕でもドキッとしてしまうほど色気が漂っていて






……恋って人をこんなにも変えるもんなんだ






何かの役に立つかと思い会社の女の子達の情報を集めていたけど、最近あのモデル事務所行きつけの店があるって話を聞いたんだ





なんでもオーナーと知り合いだとかなんとか、まったく彼女達の情報網には頭が下がるよ





しかし、これは使えるんじゃないのか?

 




なんでもタイミングって大切なんだよ、うん




今がまさにその時だと思うんだ、この調子じゃいつまでたっても平行線な気がするし、ここは僕が一肌脱いであげれば……





どうせやるならガツンと決めなきゃ、これは楽しくなってきた






ふふっ






「テミン、顔がおかしいぞ?」





怪訝な顔で僕の顔を覗き込むチョン課長、いやいや、待っていてください、僕がなんとかしてあげますから!!






「任せてください!!」



「はあ?何言ってんだ、帰るぞ」



「飯奢ってくれんですか?」



「餃子はナシだ」



「ええええええ!?」







さっきまでぼんやりしてたくせに動く時は誰よりも早い、さっさと席を立ってもう部屋から出ようとしているし(笑)






課長ファイティン!!






僕は課長の広い背中を見つめながら、小さくガッツポーズをキメる僕だったんだ
























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紫苑☆

Author:紫苑☆
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