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苺な彼とビールな僕

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. 恋しいのは君の手 20












~Yside~











「チャンミンの部屋何階?」





「あ、えっと、11階だったと思う」





「俺12階なんだ、後でそっち行ってもいい?」





「あ、うん///」










マネージャーにわからないようにこっそりと耳打ちをすると、途端に耳まで真っ赤に染まるから可愛くて仕方ない









スタジオでチャンミンの姿を見たときは幻かと思った

 




だって逢いたくて仕方がなかったから!!







飯を食い終わってマネージャーに別れを告げると、速攻で部屋に帰ってシャワーを浴びた






早く早く







流行る心を抑えてスウェットに着替えると、スマホだけ持って転がるように部屋を出る






笑っちゃうくらい焦ってる自分に苦笑いだ








チャンミンの部屋の前に立つとスウと息を吸い込んで深呼吸をする







なんだよ、なんで今更緊張してんだよ









「チャンミン、来たよ」




「い、いらっしゃい///」




「お、お邪魔します」







ぎこちなく挨拶を交わして部屋に入る俺、待てよ、慌てるなチョン・ユンホ!!







「どうぞ座って?」




「ああ、うん///」




「な、なんか飲む?コーラとかあった気が……」




「チャンミン」








落ち着かない様子でウロウロとするあなたの腕を掴んで、あっという間に腕の中に閉じ込めたんだ































































. 息も止まるほど恋しくて 2













~Cside~











「チャンミンお待たせ!!」





「あ、ユノ///」




「ごめんな遅くなっちまって、待っただろ?」








そう言ってにっこりと笑うユノに思わず顔が綻ぶ







今日は仕事終わりに待ち合わせて一緒に晩ご飯を食べることになっている






ずっと楽しみにしてたから昨日はあんまり眠れなかったんだよね







明日は休みだし、サッカー部の練習もないからゆっくりできるはず///









そう、僕達が付き合い始めてから数ヶ月が経った……







最初はあんまり触れてくれなくて、自分からキスして、なんて言ったこともある






思い返せば恥ずかしくて顔から火が出そうになっちゃうけど、あれから僕らの距離はグッと近くなった





 

でも、まだキスより先には進めてはいない








ユノって真面目っていうか奥手っていうか、割とその……触れてはくれないから







本人曰く抑えが効かなくなるからだそう









そんなの気にしなくていいからガンガン来て欲しいのに







ガ、ガンガンとか……!!///







「チャンミン顔赤いけど大丈夫?」




「あ、うん、何でもない///」




「そっか、具合悪かったら言えよ?」




「はい///」









爽やかに微笑むあなたが眩しくて、慌てて視線を逸らす僕だったんだ



























. 恋しいのは君の手 19















~Cside~













「来てくれてありがとう」




「……うん///」










そう言ってユノは照れ臭そうに笑った








いつもとは違う寂しげな表情に胸がキュッと苦しくなる








本当は抱き締めてあげたいけど流石にここではちょっと、ね……







気を取り直して色々と話を聞いてみると、あそこが痛いだのここがおかしいだの言い始めちゃって








仕方がないからマッサージベッドに寝かせて、ユノの気の済むまで体を解してやったら







『やっぱりチャンミンじゃなきゃダメだ!!』







なんて熱く語られちゃって(笑)


でも、呆れながらも満更でもない自分がいて……








それから僕らは同じホテルに帰って食事を摂った









幸にして個室の焼肉屋が近くにあったから、マネージャーも一緒に美味しい和牛を頬張った







やたらと幸せそうに笑うユノの笑顔が眩しくてとても見ていられないほど








ああ、やっぱり好き………








そんな事を思いながら見つめあっちゃって、マネージャーさんにも突っ込まれる程で








テーブルの下でこっそり絡めた指に、心臓が飛び出してしまいそうになる僕だったんだ













































     

. ピアノだけが知っている おまけのおまけ













~Sside~










『明日は昼過ぎに迎えに来てくれ』









社長からそんな連絡が来たのは昨日の夜遅くのことだった








予定変更ってことなのか?


朝から直接取引先に行かれるとは聞いていないし、こんな急なスケジュールの変更はとても珍しい





不審に思っていると室長から体を休めるためだと連絡が入った







………そっか、最近はずっと遅くまで仕事をしておられるし







シム先生もリウ様もきっと寂しがっておられるだろう







きっと気を利かせての半休なのかも







と、いうことは悪い予感が………










ピンポーン










『はい、あ、スホさん?』




「お、おはようございます!!いや、もう昼か!!あ、あの、お迎えに……」




『ちょっ、ちょっと待ってくださいね、あ、鍵開けるんで入って下さい』




「は、はい!!///」







インターホンの向こうでやけに慌てたシム先生の声






気を利かせてギリギリに来たつもりなのに、まだ早かったのだろうか(汗)








「スホさん、コーヒー飲んで待ってらして下さい」







寝起きなのかシルクのパジャマにガウンを羽織ったシム先生はやけに色っぽい







そしてやはり首筋には赤い跡が///







耳を澄ますと聞こえてくるのはやたらと甘い社長の声!!





ドアが開けっぱなしになっているからしっかりと聞こえてくるんですけど!!








「チャンミン、そんな格好で出ちゃダメだ」




「………ユ、ユノさんのせいで寝坊したんですよ?」




「ん、君が可愛すぎるのが悪い」




「………や、ダメ………スホさんが……ん///」




「大丈夫、ここからは見えないよ」









やはり!!


やはりか!!///







ええ、確かにここからは見えませんとも!!
 
  




しかし丸聞こえだっていうのをいい加減に知って欲しかったりもする







ああ、でも、きっと何年経ってもあのお二人は変わらないんだろうな







ある意味平和なのかも(笑)








でかいソファの真ん中で冷めたコーヒーを啜りながら、悟りの境地に陥る僕だったんだ























































. ピアノだけが知っている おまけ
















~Yside~











「リウ朝だ、起きろ」





「……う…ん?えっ、パパ?」









眠い目をゴシゴシと擦って瞼をパチパチとさせるリウ、寝起きの子供というのはこんなにも可愛いものだったのか






昨日は感情に任せるままに君を抱いてしまったから、せめて朝はゆっくり寝かせてやろうと目覚ましを切っておいた






昼からは仕事に戻らなくてはならないが、昼までは君を抱き締めていてもいいだろう






リウは俺が送って行けばいい、しかし本人は至ってまだ現実とは思っていないようだが(笑)







言われるがままに顔を洗って着替えてきたリウ、キョロキョロとチャンミンを探す姿に口元が綻ぶ







チャンミンと暮らすようになってからはこんな事はあり得ないから……







「パパ、チャンミンおねつなの?」




「いや、違うよ、昨日が遅かったから寝かせているだけだ」





「そっか、ぼくしんぱいしちゃった」








ホッと胸を撫で下ろす小さな手、髪を撫でてやるとくすぐったそうに肩を竦めるから愛おしさが止まらない








「ぼくね、パパとあえなくてさみしかったからきのうがんばっておきてたの」




「うん?」




「でも、きょうあえたからげんきになったの!!」




「そうか、パパもリウの顔を見たら元気が出たよ」




「うんっ」








満面の笑みでパンを頬張る我が息子、幼いながらも色々と考えているんだろう







ベッドルームのチャンミンをそっと覗いて安心したのか元気に保育園に行ってくれた







夕方にはチャンミンが迎えに行くからと念をおして……







部屋に戻ればベッドの中で丸くなる細い体








朝方まで求めてしまったから君はまだ夢の中にいて、ああ、長い睫毛が溢れてしまいそうだ







「………ん………ユノ、さん?」





「ん、まだ寝ていていい」





「……はい///」








微睡の中返事をする君を腕の中に閉じ込めて、ふわふわの髪にもう一度キスをしたんだ







































. ピアノだけが知っている 後編











*ほんのりR18です♡


~Cside~












「チャンミン愛してる」




「……ユノ…さ………ああっ///」
   

 






突然帰ってきたと思ったらあっという間に腕の中に閉じ込められて、息も出来ないほどのキスが降ってくる







あまりの展開の速さに頭がついていかない








リウ君を寝かせて、ピアノの前であなたへの想いを馳せていたのは覚えてる







……夢、じゃないよね?







そんな事を考えながら揺らされていると、ふとアーモンドの瞳が僕を捉えた








「……何考えてるの?」





「な、何って……そんなの決まって……あっ///」





「俺のことだけ考えて?」




「………や、そこばっか……あっ……///」







ピアノの部屋のソファに沈められて、そのまま求められてしまうとか……






あまりの性急さに頭がついていかないよ///








グッと奥までおしいる熱に思わず身を捩る、ああ、貴方の熱は僕の中で確実に質量を増して……!!








「……ユ、ユノさ……も……ダメ///」





「ん、しっかり掴まって」





「あっ……ああっ!!///」









あなたの熱が体の奥にジンと広がって、そのまま僕は意識を飛ばしてしまったんだ


































. ピアノだけが知っている 中編












~Yside~








「ちょ……ユノさん、待って……あっ///」





「ん、待てない」





「なっ!!あ……ダメ…や///」







嫌々と首を横に振る君をソファへと沈めて上から見下ろした






あまりにも性急過ぎる行動に戸惑っているのか、大きな瞳をくるくるとさせて






……愛しさが溢れて堪らないよ





 
ここ1ヶ月ほどのハードなスケジュール、流石に俺の体も悲鳴を上げていて






いや、悲鳴を上げているの心の方か……







肌と肌を合わせればこんなにも胸の奥が満たされていくとか







どれだけ君を欲していたんだろう







今日中に仕事もひと段落つきそうだったから、無理を承知で半日の休みを貰った







君の仕事が休みなこともリサーチ済みだ







こんな風にするとまたワンマン社長だ、なんて言われてしまうだろうか……







「………あっ……や///」




「もうこんなにして、悪い子だ」




「!!!!………い、意地悪……だ///」




「ああ、泣かないでチャンミン、君に泣かれると弱い」




「………や……見ないで///」








拗ねたように俺を睨む瞳には、透明な滴がきらりと光る







ああ、泣かせるつもりはないのに








宥めるように唇を重ねると、おずおずと舌を差し出しから止まらなくなる







そして布の上から触れる二人の熱ははちきれんばかりに膨らんでいて……!!







「チャンミン愛してる」




「……ユノ…さ………ああっ///」
   

 





着ているものを剥ぎ取るのももどかしい程に、甘く香る首筋に舌を這わせたんだ




































. ピアノだけが知っている 前編













~Cside~










ソファで眠ってしまったリウ君をそっと抱き上げてベッドへと連れて行く






『パパにおやすみしてからねるの!!』






そう言って駄々をこねるリウ君は小さな手を握って涙を堪えた








最近ユノさんの帰りが遅いから寂しいんだよね……







朝はお寝坊さんなリウ君だから、朝早くに出て行くユノさんに会えるのはほんの少しの時間で








勿論僕だって一緒に過ごす時間が減っちゃって寂しくて堪らないけど








会社の繁忙期でユノさんやスホさんが頑張っているのに、まさかそんなこと言えるわけもなく







まだ、帰ってこないかな……







カーテンの隙間から覗く夜景はキラキラと輝いて、僕の想いなんてちっぽけに思えてくる





  
こんなことぐらい我慢できないでどうするんだよ、しっかりしなきゃ







自分を落ち着かせようと一つ息を吐くと、向かったのはピアノのある部屋







やっぱりここが僕が一番に落ち着ける場所……








「チャンミンただいま」




「えっ?ユ、ユノさん、ごめんなさい、僕全然気がつかなくって///」




「いや、構わないよ、遅くなってごめん」




「そんな!!お、おかえりなさい!!あ!!ご飯食べました?あっためなきゃ……わ///」







不意に開いた扉から顔を覗かせたのは愛おしい人






いったいいつ帰ってきたんだろう、僕ったら全然気がつかなかった!!







慌ててキッチンへ向かおうとする僕を抱き寄せる逞しい腕






ふわりと香るあなたの香りに胸がキュッと音を立てる






……やだ、泣いてしまいそう







ギュッと僕を抱いたまま動かなくなるユノさん、どうしたんだろう、まさか調子が悪いとか?







「ユ、ユノさん、あの///」




「ん、今充電中」




「えっ?///」




「チャンミン、わがままを聞いてくれないか?」




「……な、何ですか?///」




「明日の昼まで君を独り占めしたい」




「……ええっ?……んっ///」









突然落ちてきたあなたの唇に、戸惑いながらも体の奥がジンと熱くなる僕だったんだ





























. 息も止まるほど恋しくて 1














~Yside~









「よっしゃラスト行くぞーー!!」




「「「ウィーーースッ!!」」」




「校庭10周!!」




「「「げえええええーーー!!」」」









俺の言葉にひいひい言いながらも校庭を走る生徒達にハッパをかけるように大声で気合を入れる




 


部活が終わったら速攻シャワーを浴びて行かなきゃならない







そう、今日は仕事終わりにデートの約束があるんだ!!








臨時でやってきた保険の先生であるシム先生ことチャンミンと恋人同士になってから早数ヶ月








最近はキスもスマートに出来るようになったし、ゆっくりではあるが進展していると思うんだ、うん!!








猪突猛進な所があるのは自分でもわかってる








思い込んだら死ぬまで一筋!!


一生愛していくってのは心に決めてある!!








ま、その辺のとこはまだチャンミンには伝えてはいないけど









とにかく前に進みたいのは二人とも同じ気持ちなわけで……







ただ恋愛に慣れてない俺のこと、中々そういう雰囲気にもっていくのも難しい








だって、暴走しちまいそうになるんだ









ふと目を伏せる仕草とか



薄い瞼を覆う長い睫毛とか



襟足がくるんとなった綺麗な首筋とか///








だが!!今日こそはキスより先を目指して!!








「っしゃ!!いくぜっ!!」





「先生もう終わりなんじゃ……」





「バカ、シャワーだシャワー!!今日の練習終わり!!」





「「「お、お疲れ様でした!!」」」












俺の勢いにタジタジの生徒達に片手をあげると、誰よりも早くシャワー室へとダッシュしたんだ

























. 恋しいのは君の手 18












~Yside~











「……すげ、本物だ」




「ふふ、何それ?」




「会いたかった、ほんとに」




「………///」










突然現れた愛しい人を前にしてロクに言葉も出てこない






まったく、マネージャーのやつ、とんだサプライズだよ……







暫くは腕の中でじっとしていたチャンミンもあんまり俺が動かないからモゾモゾとし始めた






やんわりと胸を押して離れようとするから、俯いた顔を下から覗き込んでやる






と、慌てて飛び退くから弾みで二人ともひっくり返ってしまった!!








「ちょ、チャンミン!!」




「だ、だって!!近いって!!」




「ちぇっ、せっかくキスしようと思ったのに」




「なっ!!なーーー!!!!///」







顔を真っ赤にして後ずさるチャンミンが可笑しくて仕方ない






そんなに逃げなくても流石にここじゃキスしないっての!!








「ユ、ユノ!!///」




「わかってるって」




「も、もう///」




「チャンミン、その、さ」




「え?///」




「来てくれてありがとう」




「……うん///」








お互いに床に座り込んだまま見つめあって、どんな状況だよ、なんてツッコミを入れたくなるけど








こんなドタバタな再会も俺達らしくていい、とか思っちまう俺なんだ















































. プロフィール

紫苑☆

Author:紫苑☆
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