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. 僕は何度でも君に恋をする 27
~Yside~
仕事帰りにワインとチーズを買って、インターホンを鳴らせば迎えてくれる君の笑顔が眩しくて
「ただいまチャンミン」
「おかえりなさい、あ…ワイン!!」
「ん、お土産、君の好きなチーズも買ってきたよ」
「わあ、美味しそう、ありがとうございます」
俺の手から嬉しそうにワインとチーズを受け取ると、君はクスクスとそれを見て笑う
「実は僕もワイン買ってきたんです、あとね、ユノさんの好きな苺のケーキ」
「ええ?気があうね、今日はどっちを飲もうかな?」
お互いがお互いの好きなものを買ってくるなんて………
心が通じ合ってる証拠かも、なんて、無意識に口元が緩んでしまうよ
「今日はワインに合うようにボンゴレにしたんです、チーズも切って出そうかな、あ!!クラッカーあったっけ?」
パタパタとキッチンへ行こうとする細い体を抱き寄せる
鼻腔いっぱいに広がる君の甘い香り……
「…ユ、ユノさん?///」
「今日ね、聞いてほしいことがある」
「………ユノさん、僕もあの….話があるんです」
「うん?じゃあ食事の後話そうか?」
「はい…/////」
ゆっくりと振り返る君、なにかを秘めた瞳はゆらゆらと揺らめいて
俺達は……吸い寄せられるように唇を重ねたんだ
. 僕は何度でも君に恋をする 26
~Cside~
「元気そうだね、顔色もいい、で、何か思い出した?」
ナム先生はコーヒーカップをテーブルに置くと、僕の向かい側にゆっくりと座った
人懐っこい笑顔に心が癒される、いつも相談にのってくれる優しい先生なんだ
「以前先生が言われてましたよね、思い出したくないことがあるから余計に思い出さないんだって」
「ああ、無意識に記憶に鍵をかけてしまうんだよ、事故に遭っての記憶障害というのは物理的なショックもあるけど、精神的なこともあると言われているからね」
「………そ、ですか」
「チョンさんとはどうなの?一緒に暮らしてるんだろう?」
「……あ、はい、それから精神的にも落ち着いて」
「 そっか、で、恋人には戻ったのかな?」
「ナ、ナム先生!!///」
「医者として聞いてるんだよ、それにしてもその動揺の仕方じゃまだ戻ってないんだ」
さ、さすが心療内科の先生、なんでもお見通しなのかな
僕は熱くなった顔をパタパタと手で扇ぐ
「チョンさんは我慢強いんだね、いやぁ、彼の君に対する愛情にはほんと頭がさがるよ」
………それは、僕もそう思う、ユノさんの愛は海のように深くて優しく僕を包んでくれるんだ
「先生?もし…記憶を取り戻したら、今の僕は消えてしまうんじゃないですか?」
「シムさん?」
僕はすうっと息を吸い込んで大きく深呼吸した、ずっと不安に思っていることを口にするのは少し勇気のいることだったから
「もし、記憶を取り戻すことができて、僕が昔の僕に戻ってしまったら、今の僕は何処へいくんだろうって、事故から数ヶ月、ユノさんと一緒に色々と乗り越えてここまできたから、忘れたくないんです!!」
僕の勢いに驚いた顔のナム先生、フム、と手を顎において僕の顔をじっと見た
「君はシム・チャンミン君だろう?」
「…はい、先生あの?」
「だったらチョンさんにとっては今の君も昔の君もないんじゃないかな?」
「でも!!」
「チョンさんは、記憶をなくした君を見てこう言ったんだよ『絶対にもう一度好きにさせる、すべてをかけてチャンミンを取り戻します!!』ってね」
「………///」
「だからね、安心してチョンさんの腕の中にいていいんだよ、彼がそれを望んでいるんだから」
そう言ってナム先生はにっこりと笑うと、僕の手をぎゅっと握ったんだ
. 僕は何度でも君に恋をする 25
~Yside~
今日は月に一度のチャンミンの検診の日、午前中なら付き合うと言ったのに、何かを決意したような顔で首を横に振った
………何かあったのか?
いや、表情は至って穏やかだった
それに、俺達上手くいっていると思う、最初の頃の緊張した表情もなくなってとても柔らかくなった
思い返せば事故の前、結婚式の日取りが決まってからは喧嘩ばかりしていた気がする
街外れにある小さな教会、家族と親しい友人だけを集めてするはずだった結婚式
でも、本当はチャンミンを驚かせたくて大学のサークルの仲間や会社の人達もこっそりと招待していた
元々隠し事のできない俺、コソコソと連絡を取る様子が不審に思えたんだろう
………本当は君を喜ばせたかっただけなのに
誤解が誤解を呼び些細な事でのくだらない喧嘩、朝からのチャンミンの小言に俺もつい大声をあげてしまう
「…ユ、ユノは!!ほんとは…僕なんかと結婚したくないんだっ…ふっ…くっ…」
泣かせるつもりじゃなかった、君を喜ばせたかっただけなのに!!
すぐに追いかけていればあんなことには……
どれだけ後悔したかしれない、でも、チャンミンは生きていて、もう一度俺のことを『ユノ』と呼んでくれた
記憶の中に俺が居ないならもう一度刻めばいい、足りない分は俺が補うから
今日は君の好きなワインとチーズを買って帰ろう、二人で乾杯して、もう一度君に告白をするんだ
引き出しを開けるとあの日から仕舞われたままのエンゲージリングが光る
……毎日の俺の日課
そっと唇を寄せて…早く君の指に戻るようにってお祈りをしたんだ
. 君じゃなきゃ意味がない 9
~Cside~
「う…わ、凄い……!!」
今日は初顔合わせだし、他のスタッフ達との打ち合わせもあって、そのままU-KNOWのリハーサルを見せてもらうことになった
本当だったら外に出てなきゃいけないのに、今日は彼の機嫌がいいんだとか
そういやU-KNOWって仕事に厳しくて有名だったっけ
情熱マンスールなんて呼ばれてて、かなり熱いキャラとしてテレビにも出てた気がする
そりゃリハーサルにも手を抜かないわけだ
確か、僕より歳下だったはず、でも、二つぐらいしか変わんないよね
指先の美しさやダンスのキレの良さにも目を奪われるけど、何よりそのしなやかな脚の動きに見惚れてしまう
流れるようなその動きは優しいようで力強くて思わず溜息が出てしまうほど
細いけど柔らかい肉質、そして生まれつきの体幹の良さとリズム感が彼を支えているのか
打ち合わせしてたスタッフ達も思わず手を止めて彼の動きに夢中になってしまってる
うんうん、あの筋肉が彼の足を支えているんだ!!
1人腕を組んで納得していると、早い動きの中で光るアーモンドの瞳と目があってしまう
………わ、こっち見た?///
別に笑っていたわけじゃない、どっちかっていうと睨まれたような気がしたのに
何故かドキドキとしちゃって慌てて目を逸らす僕だったんだ
. 僕は何度でも君に恋をする 24
~Cside~
ユノさんの唇は甘く優しく僕の唇に触れて、僕の歪んでしまった心も溶かしてしまうよう
………僕、知ってる
初めてだけど初めてじゃないユノさんとのキス
何度か角度を変えて口付けると、ユノさんはゆっくりと離れていく
「これ以上は、まずい…かな///」
バツの悪そうなユノさんの顔が少し赤く染まってて、それを見た僕も凄く恥ずかしくなってしまった
「………ま、まずいですか?///」
「えっ!?…だって、ほらっ…だからっ…!!///」
「ぷっ…ユノさんてば」
「もう、勘弁してくれよ~俺、結構我慢してるんだぜ?///」
頭をぽりぽりと掻いて照れ笑い、決して無理強いはしない、どこまでも優しい大切な人
………ああ、僕はこの人が好きだ
記憶なんてなくても僕にはわかる
どれだけあなたに求められているのか
どれだけ僕がこの人を求めているのか
でも………まだ僕にはまだ気になることがある
月に一度の検診の日、僕は担当のユン先生に紹介して貰った心療内科のナム先生を訪ねた
「やあ、久しぶりだね、シム君」
「お久しぶりです、ナム先生、あの…相談があってきました」
「まあ座って、コーヒーでいいかな?」
診察室には不似合いなゆったりとしたソファに促され、僕は一つ息を吐いてそこへ座ったんだ
. ユノ社長の憂鬱 16
~Yside~
「社長、随分と渋い顔ですわね」
「コ課長?」
「そんなにシム君がいないとダメですか?」
「はは、いや」
出張先のホテルに向かう車の中、俺の顔を見てクスクスと笑うコ課長に溜息をつく
なんだ、うちの部下は俺を揶揄うのが通常になっているのか
金曜の夜、仕事を早めに終えての前乗りのフライトは、週末の疲れも相まって憂鬱でもある
つい二日ほど前に一緒の夜を過ごしたばかりなのに……
「随分と変わられたんですのね」
「え?」
「いえ、もっと……余裕のあるお付き合いかと思っていました」
そう言って物憂げに窓に目を向けるコ課長、まさかそんな風に見られているとは
カッコ悪くて仕方ない、な…
バツが悪くて咳払いをしたら、遂には吹き出してしまったコ課長
可笑しそうに口元に手をやる仕草はやはり綺麗で、そんなところに惹かれていたはずなのに
頭に浮かぶのはつれない我が恋人のことばかりで
「心配ならなくてももう困らせたりしませんよ、ああ、社長を困らせるにはシム君を誘うほうがいいかしら?」
「!!コ課長、それは」
「まあ、ほんの冗談ですのよ」
そう言って、さも楽しそうに俺の顔を見つめる彼女にやっぱり溜息しか出ない俺だったんだ
. 僕は何度でも君に恋をする 23
~Yside~
最近チャンミンの様子がおかしい
元気がないっていうか、物憂げに溜息をつく姿がよく見える
俺にはわからないようにしてるみたいだけど
………あれは、ドンへと会ってから?
食欲も落ちてるし、あんまり眠れないみたいだし、何かあったんだろうか?
「チャンミン?」
「は、はい!!何?」
「いや、なんでそんな元気ないの?」
「げ、元気ですよ?」
明らかに無理して笑う表情
一体何があった?
なんでも話してほしいのに、もどかしさとイライラが入り混じった感情が込み上げる
「なにか言いにくいことでもあるの?」
「……べ、別に」
「俺には言えない?」
「……え?」
思ったより強い口調になってしまって俺自身も驚いてしまう
そして、不安げに見上げる瞳には透明な膜がみるみると張っていく
「あ、ごめん!!つい、俺じゃ力になれないのかって思って」
「……自分が嫌になる…」
「え?」
「…自分が、記憶を無くす前の自分がどんなだったか分からなくて嫌になるっ……!!も、もしかしたら…ユノさんの好きだった僕は…もう、いないのかもしれ…な…ふっ…く…」
「チャンミン!!」
震える肩を抱き寄せて、力一杯抱きしめる、ぎゅっと俺の服を掴む君が消えてしまいそうで
「…今も昔も関係ない、ここにいるチャンミンが好きなんだ」
「で、でも!!」
「記憶なんて無くても俺達は何一つ変わってない」
「……あの…」
「チャンミン愛してる、昔の君も、今の君も」
「…ユノさ…んっ…///」
俺はチャンミンの両頬を包んで指で涙を拭うと、そのまま唇を重ね合わせたんだ
. 僕は何度でも君に恋をする 22
~Cside~
ユノさんの家に戻ってから自分でも心が穏やかになっているのがわかって、やっぱりこの人のことが好きなんだって自覚してしまった
だから、ユノさんのスキンシップに過剰に反応してしまうんだ
毎日のハグや挨拶代わりのキス、頰っぺや髪に触れるだけなのにドキドキとして………
あと………気付いちゃったんだよね///
ユノさんの腕の中で微睡んでいると、必ず唇にふわりと何かが触れる
最初は夢なのか、とか、気のせい?とか思ってたけど、毎日のことだから
これって………キス、されてるよね/////
唇に触れる感覚を思い出すだけで自分の顔に熱が集まるのがわかる
僕は記憶を無くしてしまったけどユノさんは変わらないから
………が、我慢させてる?とか
でも、もしかしたら僕は以前とは随分変わってしまっているのかもしれない…ユノさんが好きだった僕ではないのかも
それなら我慢してるんじゃなくて、そんな気が起こらない、とか………?
ああ、僕ってやっぱり思考が暗い、でもこんなこと面と向かって聞けないよね……
「チャンミン、お待たせ!!」
「よお、チャンミン久しぶりだな!!」
ハッと顔を上げるとユノさんとドンへさん、そうだった、僕、近くのカフェで二人と待ち合わせしてたんだっけ
「気分でも悪いのか?」
「ううん、大丈夫です、考え事してて」
僕の髪を撫でながら顔を覗き込むユノさん、顔が目の間にあってドキドキしてしまう
「なんかチャンミン随分変わったよな」
「そ、そうですか?」
そう言ってドンへさんは僕をマジマジと見つめた
ドンへさんはユノさんの親友で事故の後もずっと僕らのことを気にかけてくれたんだ
「うん、なんか出会った頃みたいだ、恥ずかしがりで大人しそうで、な、ユノ!!」
「……ああ、そうだな///」
照れくさそうに頭をぽりぽりと掻くユノさん、少し顔が赤くなってる(笑)
「でもさ、あのギロリと睨む挑戦的な目がいいんだよ、なんて言ってたのにな、はははっ」
「…っ!!ドンへッ!!余計なこと言うなよ/////」
……え?
そう…なんだ
そんな二人の笑い声を遠くに聞きながら、味のしなくなったコーヒーをゴクリと飲み干す僕だったんだ
. 僕は何度でも君に恋をする 21
~Yside~
「うん、うまいっ!!」
久々に食べたチャンミンの手料理、以前は毎日のことで当たり前になっていたのに
「ほんとに?………よかった///」
嬉しそうに笑う君が眩しくて、誤魔化すようにガツガツとカルボナーラを口に運んだ
こんな日常が幸せで何だか泣きそうになってしまう
「ユノさん?」
「な、何?////」
…………やばい、泣きそうなのバレたかな?
「ソースついてますよ」
そう言ってクスクスと笑いながらティッシュを渡してくれる君、やっぱり笑ってる方が数倍も可愛いよ
「ユノさん、僕に出来ることはなんでもしていきたいんです、甘えるばかりじゃなくて…あの、仕事のことも、きっと料理みたいにやれば思い出すような気がして、お手伝いできることがあれば…」
「チャンミン…勿論だ!!手伝えることあるよ」
「ありがとうございます///」
それからチャンミンは、家事も俺の仕事の手伝いも積極的にこなすようになって、表情もずっと明るくなっていった
「ユノさんおかえりなさい」
ドアを開けると迎えてくれる笑顔が愛おしくて、やっぱり抱き締めたくなる
恋人のようなハグは出来ないから、友達のように軽くハグして髪にキスをする
一緒に食事して、同じテレビを見て、同じベッドに入り眠る、そんな生活
腕の中で眠ってしまった君に口付けるのは俺だけの小さな秘密
………それくらい、許してくれるよな?
. 僕は何度でも君に恋をする 20
~Cside~
『俺がチャンミンが必要なんだ』
そう言って僕を抱き締めるその腕は震えていて、あなたの温もりに、あなたの言葉に、どれだけ安心するか知れない……!!
「もう、飛び出したりするな!!事故のこと思い出してゾッとしたよ」
ああ、そうだった
僕……家を飛び出してそのまま車に……
「もう、あんな思いはしたくない…!!」
「ユノさん…ごめんなさい」
ぎゅっと瞑った瞳には透明の雫がキラリと光っていて、そんな思いをさせてしまったのが申し訳なくて
「チャンミン、嫌な思いさせて悪かった、早く帰ろう、食材は近くのスーパーで買えばいい」
「はい///」
冷静になると、人目のあるショッピングモールで男二人で抱き合ってるとか
…は、恥ずかしい///
僕らは逃げるようにその場を去ると、スーパーで食材を買って家へと帰った
何故かイチゴアイスがカゴに沢山入れられていたけど(笑)
そして、僕はどうやら料理が出来たようで、キッチンに立つと自然と体が動いていた
……多分、毎日家事をこなしていたから?
そう思うと人間ってほんとすごい
「カ、カルボナーラでいいですか?」
「ええ!?作れるの?」
「た、多分、スマホもあるし…でも、期待しないで?」
「マジか、楽しみすぎ!!」
カウンターから優しい笑顔で見つめるユノさんに、ドキドキとしながら料理にとりかかる僕だったんだ