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苺な彼とビールな僕

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. 俺の婚約者殿 27








~Yside~






「あの……ユンホさん、どこに?////」




信号待ちでおずおずと俺を見上げるバンビアイ、思わず見惚れてしまいそうで慌てて視線を逸らした



何も言わずに車に乗せてしまったから不安に思っているんだろう



「……俺ん家だよ////」


「……えっ!?////」


「その、色々決めんのに部屋見といた方がいいだろ?」


「……ユンホさん////」



そう言ったっきり黙ってしまったチャンミン、気にはなるけど運転中だからあんまりジロジロ見るわけにもいかないし、なんか俺変なこと言ったっけ



わからないよう視線を向ければ、伏せた睫毛に光るのは涙の雫?てか、なんで泣いてんだ!?




「おい!?」


「……あ、ごめんなさい、嬉しくて////」


「ったく、びっくりすんだろ」


「……はい////あの、ご迷惑かけてすいません」


「い、いいんだよ、お、俺達その……付き合ってんだからっ////」



「!!////……はい////」




片目を細めてにっこりと笑ったチャンミンの笑顔が眩しくて胸がキュッと音を立てる



強い口調で積極的なのかと思ったら、こうして遠慮がちに瞳を潤ませて俯いてしまうとか




……全く、敵わねぇな////





堪らず伸ばした指で撫でた頬の柔らかさに


驚いて眼を見張るその仕草に


花が咲いたように綻ぶお前の笑顔に…





胸の高鳴りをどうにも抑えることができない俺だったんだ




































. チャンミナのお茶会 11







~Cside~





せっかくお茶会に呼んでもらったのに、おばちゃん達のパワーにあてられた僕はなんだか逆上せてしまったみたいで



最後はパン屋のおばちゃんに送ってもらって、とっても迷惑をかけてしまった




『ごめんねぇ、ちょっと刺激が強すぎたよね』




なんていっぱい謝られて、本当に申し訳なくて……




ご飯の用意もしなきゃだけど、こんな状態じゃ何もできなくて、おばちゃんがユノ様に連絡もしてくれたから僕は少しだけ横になって眠っていた




夢の中で抱っこされてるのかと思ったら、ユノ様が僕を見下ろしていて、僕は安心してまた眠ってしまった



ユノ様に髪を撫でて貰うととっても安心するんだよね////




次に目を覚ましたのは夜中だったけど、ユノ様はまだ起きていて仕事をしているみたいだった



僕のおでこには冷えピタがペタンと貼ってあって、ユノ様が貼ってくれたって思うとなんだか嬉しくなってしまう////




「………ユ、ユノ様?////」


「チャンミナ起きたのか?具合は?」


「も、大丈夫です、あの……ユノ様ご飯は?」


「ん、コンビニで買ってきた、チャンミナも何か食べるか?」


「……はい、あのっ……それより////」


「うん?」




仕事の時だけしてる眼鏡を外して僕の言葉に首を傾けるユノ様、ああ、今日もなんてかっこいいんだろうって思っちゃう////



僕はそっとユノ様の首に腕を回すと、きゅっと抱きついてユノ様の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ



「……チャンミナ?////」


「ユノ様、あの……僕、僕はまだいい奥さんになれてないけど、その////」


「何?急に////」


「も、もっと頑張っていい奥さんになりますからっ……あっ………んっ////」




ユノ様は突然僕を抱えて膝の上に乗っけると、僕が話し終わる前にキスで唇を塞いでしまったんだ































. 俺の婚約者殿 26








~Cside~





『明日店が終わったら迎えに行くから』




昨日のユンホさんからの連絡で僕は今店の外で待っているわけだけど



……いったいどうしちゃったんだろう////



ユンホさんのお祖母様の突然の提案に、きっと怒っているだろうって思っていたのに



迎えにくるとか……



別れを告げられるのかとも思ったけど、その……ぶっきらぼうだったけど『引っ越し』ってちゃんと言ってたし////



ひ、引っ越しって僕の事だよね……




それってお祖母様の提案に同意してくれたって事なのかな、同居の話を受けてくれたってこ…と?




まさかユンホさんと住む事になるなんて!!そ、そりゃお付き合いしてたら家に遊びに行く事もあるだろうけど!!



朝起きたらユンホさんがそこにいるとか!!寝癖のままで欠伸してるとか!!そんなの想像するだけで!!



わああああああああ!!!!////////




「何やってんだ?(笑)」



熱くなる顔を押さえて1人でバタバタとしていると、笑いを堪えたような声が頭の上から聞こえてきて



「ユ、ユンホさん!!////」


「おまえ…顔真っ赤だぞ?大丈夫か?」


「だだだだ大丈夫です////」


「おかしな奴だ、行くぞ?」


「あ……はい////」



ユンホさんは可笑しそうに笑って僕を車の助手席に乗せると、どこへ行くとも言わずにに車を走らせ始めたんだ

























. チャンミナのお茶会 10







~Yside~





「……え?具合が悪くなった?」


『そうなのよ~なんだか逆上せたみたいに真っ赤になっちゃって、ちょっと刺激が強すぎたのかしらねぇ、ごめんなさいねぇ』



夕方になって仕事先にかかって来た電話はパン屋のおばちゃんからだった



てっきりチャンミナからの連絡と思っていたから驚いてしまったけど



どうやらお茶会の途中でくったりとしてしまったチャンミナ、心配だからと家まで送ってくれたのに、しきりに謝られてしまってこちらが恐縮してしまう



「いや、こちらこそご迷惑かけて申し訳ありませんでした」


『いいのよぉ、チャンミナちゃんには気にしないように言っておいてね、迷惑かけたって随分落ち込んじゃって』



……ああ、そういうところはチャンミナらしいな



居ても立っても居られなくなった俺はチャンミナに連絡を入れつつ定時で会社を後にした



『待ってます』



なんてしおらしいメッセージに胸がキュッと音を立てる、せっかく楽しみにして行ったお茶会だったのに、本人が一番落ち込んでいるだろう



「チャンミナ?」



慌てて鍵を開けて部屋を覗くと、ソファの上にこんもりとした塊が横になっていた



……こんなとこで寝てしまったのか



眠っているのか目はしっかりと閉じたまま、丸くなったままの体を抱き上げて、ベッドへとそっと寝かせた



「………ユノ様?////」


「ん、ただいま、大丈夫か?」


「お、おかえりなさい////僕、あの…ごめんなさい……おばちゃんにも迷惑かけちゃいました////」


「誰も迷惑だなんて思ってないよ」


「……ユノ様////」




俺の服をきゅっと掴む手を引き寄せて、腕の中に閉じ込めるといつもよりは高い体温が感じられる



「熱あるな、ちょっと寝てろ」


「……でも、ご飯が////」


「そんなの後でなんか買ってくるから、な?」


「……はい、ごめんなさい////」



ほんのりピンクに染まった頬にキスをして、チャンミナが眠りにつくまでずっと髪を撫ででいたんだ


























. 俺の婚約者殿 25








~Yside~







……ばあちゃんから電話を貰った時は頭が真っ白になってしまった






いきなりの同居話に驚いて仕事終わりにマッハで実家へと向かうと、まあ、予想どおりうちのばあちゃんが勝手に言い出した事のようで



確かに事情を聞けば気の毒な話だとは思うけど、まだ出逢ったばっかだし、その……付き合い始めたばっかだし////



お互いのことよく知らないのに急に同居とか!!



それにチャンミンからも謝りのメッセージが届いていて、別にあいつが悪いわけじゃないのに……




「ばあちゃん、勝手なこと言いすぎだよ!!」


「だってねぇ、チャンミンさんお店の二階に住むっていうんですもの」


「に、二階?」


「そうなの、最近近くでは綺麗な子を狙った変態も出るっていうし、窓の鍵も壊れてるっていうし」


………へ、変態!?確かにあんなに綺麗だったら狙われる可能性はあるかも(汗)しかも鍵が壊れてるとか意味わかんねーし!!



「それにベッドなんてなくてソファで寝泊まりするっていうのよ~」


「それは気の毒な話だ、お祖母様、うちに来ていただいたらどうです?通勤途中ですし僕が毎日お送りしますよ」


「あらミノ!!それは名案ね」




いつの間にかやって来たミノが涼しい顔でばあちゃんに妙な提案してくるし!!ったくこの家の連中はどうなってんだ!



「ダ、ダメダメ!!ダメだ!!」


「兄さん?」


「……クソッ、わかった!!わかったよっ!!うちに住まわせりゃいいんだろ!!た、但し家が見つかるまでだからな!!////」


「うふふ~そうこなくっちゃ♡」




ああ……売り言葉に買い言葉(泣)





こうして俺はばあちゃんの策略にまんまと嵌められて、あいつと同居することになってしまったんだ


















. チャンミナのお茶会 9








~Cside~





おばちゃん達のお茶会は、なんていうか……その、色々と凄かった////



ぼ、僕の中の勝手なイメージだけど、お茶会って白いテーブルクロスに綺麗なお花がたくさん飾ってあって


ケーキとかクッキーとかが並んでて、紅茶とかをゆったりと飲むものだって思ってたけど……



『チャンミナちゃん何飲む?コーラもあるよ、あ、お酒も(笑)』


『馬鹿だねあんた、こんな可愛い子に飲ませてどうしようって言うんだい』


『コーヒーも紅茶も飲み放題だよ、あ、コップは紙コップそこにあるから』



奥の座敷にでっかいテーブル、その上には所狭しと食べ物が並んでいるし、紙皿と割り箸もセッティングされていて、まるでビュッフェのよう!!




おばちゃん曰く『洗い物しなくていいように』ってことらしい




……こういうとこが賢い主婦なんだって思うんだよね




お菓子にコロッケにサラダにサンドイッチ、おにぎりもあればスルメなんかも置いてあって




……ざ、斬新なお茶会すぎる////




お、オシャレではないけど和気あいあいとして、とっても楽しいひと時だったけど、その……話題がちょっと////////




『チャンミナちゃんとユノ様は恋人なんだよねぇ………で、どっちが上なの?』


『やだー!!この人ったら何聞いてんの!!そんなのチャンミナちゃんが組み敷かれてるに決まってるじゃないー!!』


『『『きゃー/////!!』』』



とにかく話しが進めば進むほどにアッチの話になっちゃって、もうどうしていいのかわかんないほどで////




僕は熱くなった顔をパタパタと扇いで、おばちゃん達の話題についていくのに必死だったんだ////






















. 俺の婚約者殿 24







~Cside~





………どうしよう、きっとユンホさんを怒らせてしまった




目の前で電話するお祖母様をハラハラとしながら見ていたけど、こんな急な話、ユンホさんだってすぐには理解出来ないに決まってる



『大丈夫大丈夫♡』



なんて、お祖母様はカラカラと笑って帰って行ったけど、こんな状況とても落ち着いてなんていられない!!



後から聞けば、どうやらバイトの子達が僕の事を話していたのを聞いていたらしく、イェソンさんに随分謝られてしまって



とりあえずはユンホさんにメッセージを送ってみたけど、仕事中だし返事は夜になるだろう




いや、もう呆れて返事すら返ってこないかもしれない




あ、それって凄く凹んじゃう、そうしたらもうお付き合いも終わりになっちゃうのかな



せっかく2人でご飯も食べに行ったのに、良い雰囲気だって思っていたのに……



自分にしては随分前向きに考えてきたつもりだけど、やっぱり高望みだったのかもしれない




いい夢を見させてもらったって思うしかないのかも………




家に帰ってもぐるぐると考え込んでしまって、相変わらずユンホさんからは返事はないし



きっと明日あたりにボアさんから連絡があって、お見合いの話はなかったことに……とか



考えれば考えるほど落ち込んできて、知らずにじわりと涙が溢れてくる




……ああ、僕ってほんとユンホさんが好きだったんだ////




俯いたまましばらく動けなくて、ふと重い瞼を上げると、テーブルに置いたままのスマホが着信を告げる



画面に表示されたのはずっと待っていたユンホさんの名前



僕は慌ててスマホをタップすると、恐る恐るその人の名前を呼んだ





「……ユ、ユンホさん?////」


「悪い、寝てたか?」


「……いえ、あの////」


「明日店が終わったら迎えに行くから」


「……へっ?////」


「は、話しあんだろ?引っ越しのこととかさ////」


「えっ?ええええっ!?////」







ユンホさんからの思いもかけない連絡に、僕はそのままフリーズしてしまったんだ

























. チャンミナのお茶会 8







~Yside~





『ユノ様、遅くなってすいません、なんかすごくて大変ですがとりあえず着いてます♡』




パソコンとスマホを交互に睨みつつ仕事をこなして、チャンミナからやっと連絡が来たのはお昼をとっくに回った頃だった


とりあえず無事でよかったけど





……すごくて大変ってどういうことだろう?





その一言が気になって思わずスマホをタップすると、何度かコールした後電話に出たのはパン屋のおばちゃんで





『はいはい、もしもし~?』


「……あ、あれ?えっと、チャンミナの電話……ですよね?」


『やだユノさんじゃない、ちょっと待ってね、チャンミナちゃん、愛しい旦那様から電話だよ、ほら!!』



ガタッゴソッボワボワッ



なんでチャンミナの電話におばちゃんが出るのかもわからないし、なんで電話を渡すだけでそんな音がするのかもわからない




『……も、もしもし?ユノ様?////』




………きゃーユノ様だって、やばい~




愛しい恋人の声の向こうでざわざわと響く女の人の声、これはおばちゃんの団体様ってことでいいんだろうか(汗)



「もしもし?お前大丈夫なの?」


『……へっ?////』


「なんか大変だって言うから心配してんの!!」


『あ、あの……大丈夫です////なんかでも凄くて、あの……こういうの初めてなんですけどっ……と、とにかく凄いんです////』



………やだぁ、初めてで凄いとか~



後ろで聞こえるわけのわかんない盛り上がりが怖いんですけど



チャンミナも何言ってるかさっぱりわかんないし(汗)




「とにかく大丈夫ならいい、今日は早めに帰るからお前も帰るときは連絡しろよ?」


『はいユノ様♡////』




………きゃーまたユノ様って言ったぁ~




チャンミナの後ろで響く黄色い声援(?)がかなり気にはなったけど、とりあえずは俺は仕事を早く終わらせるべくパソコンへと向き直ったんだ






















. 俺の婚約者殿 23








~Cside~






僕はあることで悩んでいた……




今の職場である『fratello』、実は実家からは遠く2時間近くかかってしまう



僕がイタリアから戻ってすぐ、店の近くに住んでいた叔母夫婦の転勤が決まって、運良くそのマンションを借りて住んでいたわけだけど



叔母夫婦が急にこちらに戻ってくることになってしまった



あまりにも急すぎて引っ越し先を探す暇もなく、実家に戻ろうにも通勤時間が往復4時間になるのはちょっと厳しい



叔母夫婦は落ち着き先が決まるまではいてもいいと言ってくれたけど、ここ何年かで調理器具や荷物も増やしてしまったし、流石にそれは申し訳ないと丁重にお断りしたんだ




荷物は実家に預けるとして暫く店の二階に居候させてもらおうかと考えていたのに




まさかその話がユンホさんのお祖母様に伝わっていたなんて!!



「チャンミンさん、ねぇ、名案があるの」


「……え?////」


「お部屋を探しておられるんでしょ?」


「は、はあ////」


「じゃあユンホさんの所に住めばいいのよ!!」




ランチ終わりにコーヒーを飲みながらにっこりと笑ってそんな事を言われて



僕はその言葉を理解するのに数秒を要してしまった……



た、確かにユンホさんのマンションはここから近いとは聞いているけど、そんなの絶対に無理に決まってる!!////




「そ、そんなのダメです!!////」


「あら、どうして?あなた達お付き合いしてるんだし、行く行くは……だし♡」


「で、でもっ!!////」


「大丈夫、婚約者のあなたが困ってるんですもの、ね?私に任せなさい」




…………こっ、婚約者!?////////




思いもよらない言葉に口をパクパクとさせる僕を尻目に、慣れた手つきでスマホをタップするお祖母様




満面の笑みで僕を見つめたまま、ユンホさんに電話をかけてしまったんだ!!


















. チャンミナのお茶会 7








~Cside~






「チャンミナちゃんこっちこっち!!」


「あ……おばさんすいません////」


「何言ってんの、分かりにくかったでしょ?みんなお待ちかねよ~」




パン屋のおばさんの家を探してウロウロと歩きまわって、どうしても分からなくてついにおばさんに迎えに来てもらった




近くならテレポーテーションもできたけど、まさか人前で魔法を使うわけにもいかなくて



し、正体だけはバレないようにしなくちゃ、だよね////




『あら~チャンミナちゃんいらっしゃい!!』


『待ってたのよ~ほら、かけて!!』


『どれどれ~噂のチャンミナちゃんね!!やだ可愛い!!まるでバンビね!!』


『お顔小さい!!私の拳ぐらいしかないわ~』




家に入るなり商店街で知り合いのおばさんや、知らないおばさんに囲まれちゃって、僕は言われるがままに席に座らされて



………こ、これはかなり恥ずかしいんだけど////



質問ぜめとかそれ以前の問題で、僕の話なんて全く聞いてもらえないっていうか……おばさん達の音量に掻き消されてしまうみたいで(笑)



パン屋のおばさんは呆れた様子で僕達をみていたけれど、暫くすると咳払いをして一旦皆んなを席へとつかせてくれたんだ




「皆んな落ち着いて頂戴!!チャンミナちゃんがドン引きしてるじゃないの!!」



『やだ~ごめんね~可愛くてつい構いたくなっちゃって♡』


『いっぱいお喋りしましょうね』



パン屋のおばさんの一声でおばさん達も落ち着いて、僕はホッとしてお土産の紙袋を差し出した



「あ、あのっ……これ、お土産のクッキーです、あの、よかったら////」


「あらあら、ありがとねチャンミナちゃん」


『あら、手作りね~』


『お料理上手なんだそうよ』


『新婚さんだとか!!』


『ええええ~やだぁ////』






じわじわと追い詰められた僕は、冷や汗がたらりと背中を伝うのがわかったんだ























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紫苑☆

Author:紫苑☆
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