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. バンビな君にくびったけ 15
~Cside~
なんだかんだと二人で手なんて繋いじゃって、あっという間に辿り着いたのはチョンさんオススメの焼肉屋さん
『レラ様の言う通り』
ず、随分変わった名前のお店だけど、まるで屋台のようにドラム缶が並び、店内は大勢のお客さんで賑わっている
中でも目を引くのは、ど金髪の髪にタオルを巻き、赤いエプロンをしたちょーイケメン、チョンさんによればあれが店長のヒチョルさんらしい
「ようユノ、よく来たな」
「先輩お久しぶりっス!!」
「なんだ、随分美人連れてんじゃねーか、奥の席用意しといたからそっちいきな」
「あざっす!!」
ずっと気になってたんだけど、店内に入っても手は繋いだまんまで、ちょっぴり周りの視線も気になるけど嫌ではなくて…
……こういうの苦手なはずなのに/////
さすがにテーブルに着くときは手を離さなきゃいけなくて、ちょっぴり寂しそうなチョンさんに笑ってしまった
そんなに僕と手を繋ぎたかったのかな?僕、男なのに……考えれば考えるほどドキドキと胸は高鳴ってしまう
この店の唯一のメニューである牛カルビ、無くなり次第閉店だなんて、なんて強気な店長さんだろう
ビールは苦手だっていうチョンさんはスプライトを、僕は遠慮なくビールを注文すると、なんだか改めて照れ臭くなって二人で黙り込んでしまう
「……あの、チョンさん?」
「はっ、はい!!あ……!!先生!!名前で呼んでくれませんか?」
「……え?//////あ、じゃあユンホ…さん?/////」
「は、はいいっ!!/////」
チョンさんはすっくとその場で立ち上がり、 満面の笑みでビシッと敬礼をきめたんだ/////
. 空色の調べにのせて ~特効薬~ 1
~Cside~
「チャンミンもうだいじょうぶだってば~」
「ダメダメまだ寝てないとダメだよ、やっと熱が下がったのに」
クマさんを抱っこして逃亡しようとするリウ君を捕まえて、ふわりと抱き上げるとベッドへと寝かせる、ちょっとかわいそうだけど仕方ないよね
「つまんない~」
足をバタバタとさせるリウ君をどうにか宥めて、もう一度熱を測るとどうやら熱はもう本当に大丈夫みたい
ふう、よかった……
普段はあまり熱を出さないリウ君なのに、保育園から帰ったと思ったらやけに赤い顔をしていて、昨日はどうなることかと思ったけど
子供って結構熱が高くてもニコニコしてるから体温計見てびっくりしちゃったけど、スホさんがいてくれて助かった、ちょうどユノさんは出張中で……
オロオロする僕に、スホさんが色々とアドバイスをくれて、病院だって連れて行ってくれたから
後でユノさんに連絡したら泣きそうになっちゃったけど、こういうことも慣れていかないといけないのに
『リウは寝たの?』
「はい、熱も下がったみたいです、お薬も良く効いて食欲もあります」
『そう、すまなかったね留守中に、で……君は食事を摂ったの?』
………あ、そういえば何も食べてないかも/////
『やっぱりね、君だってちゃんと食事を摂らないと体調を崩してしまうよ?』
「はい/////」
『ふふ、明日は戻れるから、愛してるよチャンミン』
「僕も……愛してます/////」
スマホをタップするとほう、と溜息を一つついた、どうしてユノさんには全てバレてしまうんだろう/////
僕のすることは手に取るようにわかってしまうみたいで……嫌ではないけど恥ずかしいって思ってしまう
電話の向こうのあなたはきっと朝を迎えていて、やっぱり顔が見たいな、なんて、少し甘えたことを思ってしまう僕なんだ/////
. バンビな君にくびったけ 14
~Yside~
………えっと、今のこの状況が理解できないんだけど、バンビ先生が俺の手をに、握っていて……んでもって息をふうふうと吹きかけ………!?/////
「はわっ!!はわわわわわわっ!!!!/////」
慌てて両手を離すと思わず万歳のポーズ、いいいいい今の何!?/////
ハッとして少し悲しそうな顔をするバンビ先生、やばい誤解させちまった!?
「ご、ごめんなさい、つい、子供達にするようにしてしまって/////」
「あっ、いやっ!!大丈夫!!/////」
「男なのに気持ち悪いですよね、ほんとごめんなさい」
……気持ち悪い?いや、まさかそんなことあるわけねーじゃん!!
「いやっ!!き、気持ちよかったですからっ!!もっと触っていたいっていうか、いやでも心臓止まりそうになるくらい照れ臭いっていうか!!と、とにかく大歓迎です!!/////」
やばい、なんか動揺しちゃって変なこといっぱい言っちまった!!
目の前のバンビ先生はキョトンと目を丸くしちまってるし、ああほんとどうしようもないな、俺(泣)
「ふふ、大歓迎だなんて、ふふ、チョンさんたら/////」
「……へっ?」
口元に手をやるとクスクスと可笑しそうに笑うから俺もつられて笑っちまう
「い、行きますか!!/////」
「はい!!/////」
俺はどさくさ紛れにバンビ先生の手を取ると、夕闇に染まった道を早足で歩き出したんだ
. あの空の向こうに 20
~Yside~
『いつ俺のものになってくれんの?』
そう言って見下ろす先には宝石みたいな瞳、じっと見つめれば慌てて視線を泳がせて
こんな意地悪な質問…
そんなに困った顔をしないで?無理にでも奪ってしまいたくなる
もちろんいつだってあなたのことが欲しいと思う、でも無理強いはしたくないんだ
きっと真面目なあなたのことだから、こうやって恋人同士になった今でも、親の事や俺の事を最優先して考えてるんだろ?
「ユ、ユノッ……/////」
「ふふ、チャンミンてば焦りすぎ」
「……なっ!!/////」
「でも、あんまり長くは待てないからね」
「……も、もう、年上をからかって……んっ/////」
ねえチャンミン気づいてる?重ねる唇は日毎に熱を持って2人の体が熱くなっていること
だって全身であなたを求めてるんだ
逃げようったってそうはいかないよ?
アメリカだってどこだって、2人を隔てるものなんて全部取っ払って会いにいくから
それから暫くして、チャンミンはアメリカへと旅立っていった
普段通りの日常を過ごしているけど、今度会えるのを指折り数えながら毎日を生きている
メッセージも相変わらずつれないっていうか、保護者みたいなヤツばっかだけど
飯はちゃんと食ったか、とか
勉強はどうか、とか
体に気をつけろ、とか
全くチャンミンらしいっていうか(笑)
少しだけ、ほんの少しだけ待っていて
すぐにあなたに追いつくから
早くあなたに追いついて、俺の人生全てをかけて愛していくつもり
だから覚悟を決めておいて
俺の想いはいつだってあなたへと向かってる、どこまでも続くこの青い空をぬけて…
. バンビな君にくびったけ 13
~Cside~
散々迷った挙句に決めた服は、黒が基調のボーダーに同じく黒のパンツ、コートはグレーでマフラーは紫色のお気に入りのやつにした
……変じゃないよね?/////
焼き肉だって言ってたし、チョンさんは恐縮して『店はあんまり綺麗じゃないんで!!』なんて力説していたから(笑)
一応汚れの目立たない服にして、それでもダサくならないようにって考えて
待ち合わせは駅の前の噴水の前、夕方になって冷えてきたから、マフラーにすっぽりと顔を埋めてキョロキョロと周りを見渡した
……いた/////
一際目を引くビジュアルと、スタイルの良さでまるでモデルのようなのに、ソワソワと落ち着かず、髪を触ったり、お尻を掻いたり
ふふ、黙っていればイケメンなのに…
そっと近づけば嬉しそうな顔をして、まるで飼い主に会った犬みたいにぶんぶんと振った尻尾が見えるよう
「すいません、お待たせしちゃって/////」
「い、いえっ!!全然待ってませんから!!来てくれてありがとうございます!!」
全然待ってないなんて嘘ばっかり、鼻の頭が真っ赤になってるのに……もしかして早くから来て待っててくれたとか?/////
偶然触れた手の冷たさに、あなたの優しが感じられるような気がして
「手冷たいですよ?」
「……へっ?/////」
「僕の手あったかいんですよ、あっためてあげます」
思わず両手で冷えた手を包み込み、ふう、と息を吹きかけたんだ
. あの空の向こうに 19
~Cside~
最近御構い無しにじゃれてくるユノに焦っているのは僕だけで、父さんや母さんは『なんだか昔に戻ったみたいね』なんて呑気な事を話してて
……やっぱりね、少しだけ心が痛くなる
ユノは両親にはすぐにでも話したいと言っていたけど、それは断固として反対したんだ
僕らが少しの間離れている時間、もしかしたらユノに好きな人が出来てしまうかもしれないし、そうなったらきっと、僕といるよりは……
だってね、ユノには誰よりも幸せになってほしいから、僕がユノにとって足枷のようになりたくないから
でも、こんな事考えるだけで胸が痛くて堪らない、本当は僕のことだけを好きでいて欲しい
僕といえば、ユノよりずっと年上だし、体だって当たり前に男なんだから、きっと自分に自信がないんだと思う
……がっかりさせてしまうんじゃないかって
想いを伝え合ってからは、堂々と毎晩のように僕のベッドに潜り込んでくるユノは、当たり前のように僕を抱きしめて眠るけど
背中に触れる温もりに、首筋に感じる君の吐息に、熱くなる体を止められなくて
「チャンミンの心臓すげー早い」
「……/////」
「俺にドキドキしてくれんだ?」
「……ユノ…わっ!!/////」
背中にくっついていたと思ったのに、いきなりくるりと返されて、気付けばユノに組み敷かれていた
「いつ俺のものになってくれんの?」
黒目がちな瞳で真っ直ぐに見下ろされて、僕はそのまま動けなくなってしまったんだ
. バンビな君にくびったけ 12
~Yside~
バンビ先生を飯に誘ったのはいいけれど、デートなんてどこに行けばいいのか皆目不明で
色々とおしゃれな所を探してみたりもしたんだけど、やっぱり俺にはあんまり向いてないみたいだし(笑)
スマホとにらめっこしながら悩んだ挙句、店はそこまで綺麗じゃないけど、肉だけはやたらと美味い焼肉屋に行くことにした
その店は俺の大学んときの先輩が店長をやってるから予約も入れやすいし、きっとサービスもしてくれるはず!!
気に入ってもらえるかはわかんないけど、思い切ってバンビ先生にメッセージを送ってみる
『焼肉大好きなんです、楽しみにしてます♡』
なんて、ハートマークまでつけて喜んじゃって、それって俺に対してのハートマークってことでいいんだよな!!
いや、例え焼肉に対してでも嬉しいに決まってる、ああ、顔が緩んで元に戻らない
いよいよ明日に迫ったバンビ先生との初デート!!俺の計画では3度目のデートで告白する予定だったんだけど
『バカね、本当に脈がありそうなら2回目のデートで告白すんのよ!!男同士なんだからこーいうのはちゃっちゃとやんないと!!相手に有無を言わせずOK貰ってくんのよ!!』
なんて、姉貴からのアドバイスを頂いちゃって、服も散々迷ってシンプルだけど普段着まんまにはなんねーようにして
俺って割と賑やかな服が多いから気をつけないと
明日の土曜は姉貴に頼んで昼から上がらせて貰って、一旦シャワーを浴びてからバンビ先生と待ち合わせなんだ
やっぱ少しでも綺麗な身体で会いたいからな、うん/////
先生は午前中仕事があるみたいだし、待ち合わせは夕方だけど、1時間くらい前から待っててもいいぐらいの気分だぜ!!
大袈裟になんないように包んだ『苺バンビシリーズ』のボールペン、可愛い付箋もつけちゃって
先生が喜んでくれると嬉しいな、なんて、またニヤニヤしてしまう俺なんだ/////
. あの空の向こうに 18
~Yside~
チャンミンと想いを伝え合って、それまでがむしゃらに求めるだけだった自分が変わった気がする
本当なら父さんと母さんにも話してしまいところだけど、チャンミンに『まだ早い』と止められてしまって
だって俺はまだほんの子供で、いくら想いが強くったって説得力なんてないんだから仕方ないよな
チャンミンは俺が別の人を好きになれば諦める、なんて言っていて、最初はそんな言葉に凄く腹が立ったけど、瞳を見れば本心じゃないのはすぐにわかってしまったから
……ったく、素直じゃないんだから
そんなあなたに気づいてしまったら、意外と子供っぽいところもあるんだって思えて可愛く見えてしまう
そういや俺と元カノのキスを見たときも悲しそうな顔してたっけ……
「チャンミンってさ、やきもち焼きなんだ?」
「……なっ!!なんだよ急に!!/////」
「なんか可愛い」
「……ばっ!!か、可愛いとか言うなっ!!/////」
「言っとくけど俺のファーストキスはチャンミンだからね」
「……へっ?/////」
「小さい頃から何度キスしたと思ってんの?」
「……んっ!!……ユノッ、家ではダメ…んんっ!!/////」
「無理、止まんない」
「んんーっ!!/////」
最近知ったこと
チャンミンって意外と力が弱いこと
なんだかんだ言って俺には甘いこと
割と推しには弱いってこと!!
まあ、調子に乗って舌とか入れちゃったら、思いっきり殴られちゃったんだけどね(笑)
. バンビな君にくびったけ 11
~Cside~
「シム先生なんだか嬉しそうですね?」
「えっ?そ、そうですか?/////」
「ふふ、顔が緩んじゃってますよ~?」
「そそそんなことないですよ/////」
イ先生からの鋭いツッコミ、思わず視線を逸らして日報をパラパラと捲る、全く女の人ってどうしてこう勘がいいんだろう/////
明日はいよいよチョンさんとの約束の日、僕は花束を見ながらついニヤニヤしてしまっていて
いけないいけない、まだ仕事中なのに!!
この前チョンさんから貰った花束は、あんまり綺麗だったから職員室に置かせてもらったんだ
だってその方がずっと眺めていられるし、なんかパワーが貰える気がするから
まあ、散々他の先生方には冷やかされたけど、適当に誤魔化しておいたから大丈夫!!
……明日は何着て行こうかな、なんて/////
こんなに楽しみにしてるのおかしいのかな?
あれから連絡先を交換して、毎日のように連絡が来るようになったけど、それがほんとにおかしくて(笑)
『今日も元気で行ってらっしゃい、あなたの笑顔が俺の幸せです!!』
『夕焼けの空が綺麗だったから、あなたの瞳を思い出して歌を作りました!!今度また聞いてください』
朝から吹き出してしまうような楽しいメッセージ、ほんと面白い人だよね/////
ああ、今夜は楽しみで眠れないかも、チョンさんの笑顔を思い出すと胸がきゅんとするなんて……
僕ってやっぱりおかしいのかもしれないな/////
. あの空の向こうに 17
~Cside~
力任せにぎゅうぎゅうと抱きしめられて、息をするのもままならないほどで…ほんと馬鹿力なんだから!!/////
「ユ、ユノ!!苦しいって!!/////」
「ねぇ、チャンミンほんとに?俺のこと好き?」
「……っ!!き、聞くなっ!!/////」
「ちゃんと言って?まさか冗談とか?」
「そ、そんな訳!!/////」
夜の公園のベンチに座って、2人で抱き合ったままのこんなやりとりが幸せ過ぎて
心に閉じ込めておいた想い、まだ口にしてしまうには大切過ぎる気がして…
それから2人で沢山のことを話した、コートもマフラーも半分ずつ分け合って、寒さも感じられないほど寄り添い合って
「2年って長すぎる」
「…飛行機のチケット送るから……/////」
「……会いに行っていいの?」
「ユノが嫌じゃなければ/////」
「嫌な訳ない!!バイトも頑張っていっぱい会いに行く!!」
「ふふ、成績が落ちたら送らないからね、しっかり勉強してね?」
「する!!絶対するから!!」
「もし……もしね、ユノに別に好きな人が出来たら……その……」
「そんなの出来るわけないだろ!!」
「ユ、ユノ……んっ/////」
言葉ごと唇を塞がれて、それでも心はとても満たされていた
兄弟だとか
男同士だとか
そんなことは大した問題じゃなくて
ただ、君だけが好きで、心から求めていて……
ユノが家を飛び出した日は、2人にとって忘れられない記念日になったんだ