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. オオカミなんかじゃない 17
~Cside~
「これから俺が話すこと、よく聞いて欲しいんだ」
「う、うん」
その後ユノから聞いた話は、本当に思いもよらないもので
狼人間だとか、別の世界の話だとか、全く信じられないようなことばかり
途中で夢なんじゃないかって思わず頬をつねってみたり
僕の顔を見つめてポツリポツリと話すユノは、僕の反応を伺ってるみたいでなんだか胸が痛くなってしまう
よくわかんないけど、こういうこと話すのって勇気のいることだよね
「それで、なんでユノはこっちに来たの?」
「あ、えっと、それは……」
「?」
「母さんに会いたくて、その///」
「お母さん?こっちで暮らしてるの?」
「……」
黙ってしまったユノをじっと見つめてみる、そこまで聞かなくても良かったかも
なんだか気まずくなっちゃって飲み物でも取りに行こうかと立ち上がると、ハッとしたユノが僕の手を掴んだ
「チャンミン」
「な、何?」
「俺の番になってくれない?」
「は!?つ、つがい!?///」
「だってまた甘い匂いがしてる」
「へ?わわっ!!ユノ!!///」
腕を掴まれたままグイと引かれて、僕はユノの膝に乗っかるように座らされてしまったんだ
. オオカミなんかじゃない 16
~Yside~
「いいから先にシャワー浴びておいでよ、ね?」
そう言ってバスルームに押し込められてしまった俺
チャンミンに連れられてのこのことついて来てしまったけど、本当に良かったんだろうか
けど、カップラーメン買ったって言ってくれた………
それって俺の事心配してくれたって、こと?
言われるがままシャワーを浴びて、ラーメンを食べるとホッと息をついた
そんな俺の様子をじっと見つめるバンビアイ…………嫌悪感はない?
「そろそろ話してくれてもいいんじゃない?」
「え?あ///」
「ユノは何者?」
「…………」
正面から真っ直ぐに見つめられて心臓がドクンと跳ねる、ふわりと香るのはチャンミンの甘い香り
やばい、このままじゃ……
「チャンミン、俺、普通の人間じゃないんだ」
「………うん」
「狼人間ってわかる?」
「お、狼男じゃなくて?」
「あーまあ、似てるけど違うかな、ね、ソファで話さない?」
「あ、うん///」
真正面から見つめられているのが居た堪れなくてチャンミンをソファへと誘った
話しちまったからにはキチンと伝えなくちゃいけない、よな
隣に座ったチャンミンはおずおずと俺を見上げる、ああ、そんな表情も堪らなく綺麗だとか
「これから俺が話すこと、よく聞いて欲しいんだ」
「う、うん」
すぐ側に感じるチャンミンの温もりにドキドキとしながら、わかってもらえるようゆっくりと話し始めたんだ
. オオカミなんかじゃない 15
~Cside~
「ほら、カップラーメンも買ってきたよ、ね?」
「腹、減った」
「ふふ、でしょ?」
結局、探しに来てしまった……
あまりに理解できないことでキュヒョンを飲みに誘ってみたけど、やっぱりユノのことばかり考えちゃって
誘ったくせに上の空だ、なんて怒られちゃうし
せっかくのビールもまったく味がしないし
ユノに出会った辺りを探してみると、公園のベンチで縮こまるように丸くなる姿を見つけた
まるで捨て犬じゃないか………
そう、この先の歩道だったんだよね、ユノと最初に会ったのは
僕っていい勘してるじゃん
せっかく迎えに来たっていうのに、僕の後ろをそろそろと付いてくるユノが焦ったくて腕を引いた
一瞬驚いた顔をしたユノ、でもその手はギュッと握り返されて今度は僕がドキドキしてしまう
何故だかわからないけ放ってはおけない
手を繋いだままマンションに帰ると、まだぐずぐずとするユノをバスルームへと押し込んだ
あそこに一日中いたんだろうか、きっと不安だったに違いないのに
「チャンミン、俺」
「うん?」
「怖くないの?俺のこと」
そう言って怯えたように見つめるアーモンドの瞳に、ギュッと胸が苦しくなる僕だったんだ
. オオカミなんかじゃない 14
~Yside~
一体どれくらい時間が経ったんだろう……
いつの間にか眠っていた?
日はとっくに暮れて真っ暗になってるし、雨は益々酷くなってるし
いや、あと数時間すればここから解放されるはず、兄さんには思いっきり文句を言ってやる
心細くないといえば嘘になる、どうしたって頭から離れないのは俺を見て困ったように微笑むあの人
ふわふわの髪に溢れそうなバンビアイ、そして、首筋から香るのは甘い………香り
「…………チャンミン」
「呼んだ?」
「えっ!?」
返事が聞こえた気がして当たりを見回した、でも、そこにはただ雨の音が響いているだけで誰も居る筈もない
やばい、幻聴まで聞こえてきたのか……
そんな事を思いながらまたギュッと膝を抱える、なんだよ、夢なら姿くらい見せてくれてもいいじゃないか
「やっぱりここにいた」
「あ///」
「探したよ?」
「な、なんで……」
「うん?どうしても気になっちゃって///」
「……チャンミン」
「良かったら、うち、来る?」
思いもよらない言葉に何も言えなくなってしまうよ
俺のこと気持ち悪いとか思わない?
本当について行っても大丈夫?
「ほら、カップラーメンも買ってきたよ、ね?」
「腹、減った」
「ふふ、でしょ?」
そう言って微笑むバンビアイに胸がいっぱいになって、ただ頷く事しかできない俺だったんだ
. オオカミなんかじゃない 13
~Cside~
「それでさ、うちの課長ったらとんでもないんだって」
「あ、うん」
「ちょっとチャンミン聞いてる?」
「へ?あ!!き、聞いてるよ!!」
「そうかなぁ、やたらと上の空なんだけど、どうしたのさ?」
そう言ってジョッキのビールを飲み干すキュヒョン、とても一人じゃいれそうもないからこうして飲みに誘ってみたわけだけど
やっぱり気になるのは彼のこと
落ち着いて考えてみても耳と尻尾があるなんて普通じゃない、でも、あのまま彼はどこに行ったんだろう
今夜もまた野宿とかするんだろうか………
お兄さんが帰ってくるのは確か明日?明日っていってもどこから何時に帰ってくるのかもわからない
外はまた土砂降りの雨が降ってきたし、今夜は雷も鳴るかもしれないのに、また公園とかで一人ぼっちで………
「チャンミンってば!!」
「へっ?あ!!ごめん」
「なんか相談があったんじゃないの?」
「あ、うん///」
「2日連続で飲みに誘ったくせに~」
「どうせ暇だろ?」
「あ、酷い、俺だって忙しいんぜ?」
そうだよね、いくら友達でも休みの日にこうして付き合ってくれてるのになんだか申し訳なくなってきた
だって話しても信じてもらえるか
たまたま助けた奴が狼男だった、なんて、とてもじゃないけど言える訳……
「ま、気が向いたら言えばいいんじゃない?」
「………キュヒョン」
「それよりもっと食べろよ、せっかくお前の奢りなんだし」
「ぷっ、そうだね」
それ以上突っ込まないでいてくれるキュヒョンに感謝しつつ、冷えてしまった焼き鳥に手を伸ばす僕だったんだ